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人物名

人物名津和野清六 
人物名読み 
場所 
生年 
没年 

本文

石見国津和野城下に、高砂や清六といふ者有。老母に仕へて至孝也。富るにはあらねどもまたいたく貧しといふにもあらぬに、物詣など必母を負て往。竹輿にゆらるゝをおそれて人目をも憚らず。其他おして知べし。しかも生前の孝はなほ類ひあり、母歿して後、年ごとの魂祭に、墓に行て是を迎へ、三日が間是を饗るさま、唯生ル人に仕ふるがごとく、日数限有リて送るに及びては、哭泣して堪ざるがごとし。近隣の児輩などは、ことしも亦清六が涕泣を見んとて集まるに及ぶと、其郷人浦子承の話也。夫神を祭リて在がごとくするは、聖教に教るところ、五十にして父母を慕ふは大舜の至れりとする所、僻境の卑夫も中心の誠に出るもの、おのづから聖道に愜へるは、感ぜざるべけんや。