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人物名

人物名金蘭斎 
人物名読みこんのらんさい 
場所出羽秋田藩  京都  京都本覚寺 
生年 
没年 

本文

金蘭斎は真の老荘者にて、心も境界も是にあへり。尤、家まどしく、いづれの書にても講をこふ人あれば、吾其書なし、といふゆゑに、購求て贈るに、開講の日に及び書生到れば、其書は既に米に代たりといふ。止事を得ず、書生の本を与へて購ぜしむ。又門人常に衣服をとゝのへおくるに、ほどなく売ゆゑに、あるたび背に円形を白く大にして、中に金蘭斎と書たるをおくれるに、さながら着てありき、ものともおもはず。又あるとき客至りしに、猶寐たり。おどろきて衾ノ内より出るをみれば、袴を着ながら臥したり。又或時は購の半に代神楽といふもの、笛を吹、鼓を鳴して街を過ぐる声あり。書生にも謝せず、たゞちに走り出て、小児とともに、彼者のしりにつきてありきける。あるは道路にて、女の帯の結びを指さし微笑して、造物者の無尽蔵といひしもおかしかりしとぞ。此人著せる老子国字解、近き比刻につけり、仮名をもて書しかど、一家の見識あり。他の俚諺抄の類にあらずと、ある人は評しき。

図版