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宝治百首(宝治御百首)


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作品集名宝治百首(宝治御百首) 
作品集名読みほうじひゃくしゅ(ほうじおんひゃくしゅ) 
作成年月日宝治二年春頃までに(1248年春頃までに)
場所 

宝治百首:春
宝治百首:夏
宝治百首:秋
宝治百首:冬
宝治百首:恋
宝治百首:雑

宝治百首:春

00001
未入力 御製 (xxx)

一とせをわきそかねぬるみふゆつきのこる日数の春はきにけり

ひととせを−わきそかねぬる−みふゆつき−のこるひかすの−はるはきにけり


00002
未入力 沙門道助 (xxx)

あらたまのとしとやいはむ立帰る春よりさきに春は来にけり

あらたまの−としとやいはむ−たちかへる−はるよりさきに−はるはきにけり


00003
未入力 従一位臣藤原朝臣実氏 (xxx)

君か代のちとせにあまるしるしとや春よりさきに春のきぬらん

きみかよの−ちとせにあまる−しるしとや−はるよりさきに−はるのきぬらむ


00004
未入力 正二位臣藤原朝臣基家 (xxx)

大空はまた冬なから行く雲にとしをこめてや春はたつらむ

おほそらは−またふゆなから−ゆくくもに−としをこめてや−はるはたつらむ


00005
未入力 家良 (xxx)

くれのこる日数もまたすあら玉のむへも年とや春のきぬらん

くれのこる−ひかすもまたす−あらたまの−むへもとしとや−はるのきぬらむ


00006
未入力 基良 (xxx)

ことしとはいふはかりなる日数にてまた冬なから春はきにけり

ことしとは−いふはかりなる−ひかすにて−またふゆなから−はるはきにけり


00007
未入力 正二位行権大納言臣藤原朝臣隆親上 (xxx)

年のうちも春たちぬとや春日野のとふひののへも霞みそむらん

としのうちも−はるたちぬとや−かすかのの−とふひののへも−かすみそむらむ


00008
未入力 正二位臣藤原為家上 (xxx)

あさ氷とけにけらしな年の内にくみてしらるる春のわか水

あさこほり−とけにけらしな−としのうちに−くみてしらるる−はるのわかみつ


00009
未入力 正二位行権大納言藤原朝臣公相上 (xxx)

行きめくる月日の数は一とせに二たひ春そたちかはりぬる

ゆきめくる−つきひのかすは−ひととせに−ふたたひはるそ−たちかはりぬる


00010
未入力 正二位行権大納言臣藤原朝臣実雄上 (xxx)

としの内に冬の日数はのこるとも去年とやいはむ春はきにけり

としのうちに−ふゆのひかすは−のこるとも−こそとやいはむ−はるはきにけり


00011
未入力 沙弥信覚上 (xxx)

年のうちにきにける春のしるしとて山下水も音たてつなり

としのうちに−きにけるはるの−しるしとて−やましたみつも−おとたてつなり


00012
未入力 正二位行中納言臣藤原朝臣為経上 (xxx)

あら玉のとしはきのふにかはらねとはやくそ春の今朝立ちにける

あらたまの−としはきのふに−かはらねと−はやくそはるの−けさたちにける


00013
未入力 正二位臣藤原朝臣忠定上 (xxx)

待ちあへすはるはきにける誰かためにとしのくれとて猶いそくらん

まちあへす−はるはきにける−たかために−としのくれとて−なほいそくらむ


00014
未入力 参議従二位行侍従兼近江権守臣藤原朝臣資季 (xxx)

朝日影のとかになりぬ春やとき年やおそきとたれにとはまし

あさひかけ−のとかになりぬ−はるやとき−としやおそきと−たれにとはまし


00015
未入力 従二位臣藤原朝臣頼氏上 (xxx)

時しあれは岩戸の関の明方にことしをかけて春はきにけり

ときしあれは−いはとのせきの−あけかたに−ことしをかけて−はるはきにけり


00016
未入力 従二位行兵部卿臣源朝臣有教上 (xxx)

ひととせに二たひはるに逢坂の関のし水やこほりとくらむ

ひととせに−ふたたひはるに−あふさかの−せきのしすいや−こほりとくらむ


00017
未入力 参議従三位行右近衛権中将兼但馬守臣藤原朝臣師継上 (xxx)

年の内もまたくれなくにけふしはやよは春なれや空ののとけき

としのうちも−またくれなくに−けふしはや−よははるなれや−そらののとけき


00018
未入力 参議従三位行大蔵卿兼左兵衛督備前守臣藤原朝臣定嗣上 (xxx)

あらたまの年ゆきかへる月よめはいまた冬にて春はきにけり

あらたまの−としゆきかへる−つきよめは−いまたふゆにて−はるはきにけり


00019
未入力 正二位藤原成実上 (xxx)

冬なから春たつそらの朝日かけ雲井はるかにかけそのとけき

ふゆなから−はるたつそらの−あさひかけ−くもゐはるかに−かけそのとけき


00020
未入力 沙弥蓮性上 (xxx)

大方のとしまたあけぬ民の戸は松やはたてる春きたりとて

おほかたの−としまたあけぬ−たみのとは−まつやはたてる−はるきたりとて


00021
未入力 従三位臣藤原朝臣顕氏上 (xxx)

春たつといかていふらん月よめはまた古年の日かすなりけり

はるたつと−いかていふらむ−つきよめは−またふるとしの−ひかすなりけり


00022
未入力 沙弥寂能上 (xxx)

としはなほ行くせによとむよしの川岩波はやく春はきにけり

としはなほ−ゆくせによとむ−よしのかは−いはなみはやく−はるはきにけり


00023
未入力 正四位下行左近衛権中将臣藤原朝臣為氏上 (xxx)

さらに又こそとやいはむ年の内二たひおなしはるはたつなり

さらにまた−こそとやいはむ−としのうち−ふたたひおなし−はるはたつなり


00024
未入力 釈真観上 (xxx)

くる春も君かためとやいそくらんおくりむかふる年もまたすて

くるはるも−きみかためとや−いそくらむ−おくりむかふる−としもまたすて


00025
未入力 沙弥寂西上 (xxx)

かそふれは猶のこりける年なれと冬とはいはし春たちにけり

かそふれは−なほのこりける−としなれと−ふゆとはいはし−はるたちにけり


00026
未入力 正四位下行中務大輔臣藤原朝臣為継上 (xxx)

年くるる冬の日数もすきぬまにかさねて春のいかてきぬらん

としくるる−ふゆのひかすも−すきぬまに−かさねてはるの−いかてきぬらむ


00027
未入力 従四位上行左京権大夫臣藤原朝臣経朝上 (xxx)

いつのまにそらのけしきも荒玉のとしをのこして春はきぬらん

いつのまに−そらのけしきも−あらたまの−としをのこして−はるはきぬらむ


00028
未入力 散位従四位上臣藤原朝臣行家上 (xxx)

待ちあへす春はきにけりあらたまの年たにいまたくちはてぬめり

まちあへす−はるはきにけり−あらたまの−としたにいまた−くちはてぬめり


00029
未入力 日吉禰宜従四位上前丹後守祝部宿禰成茂上 (xxx)

冬なからけさより空ののとけきは雲井にちよのはるやたつらん

ふゆなから−けさよりそらの−のとけきは−くもゐにちよの−はるやたつらむ


00030
未入力 散位正五位下臣藤原朝臣隆祐上 (xxx)

あら玉のとしもへたてぬ雲ゐよりまつのとかなる春はきにけり

あらたまの−としもへたてぬ−くもゐより−まつのとかなる−はるはきにけり


00031
未入力 沙弥禅信上 (xxx)

荒玉の年をこめてもきにけらし君かめくみの千代のはつ春

あらたまの−としをこめても−きにけらし−きみかめくみの−ちよのはつはる


00032
未入力 安嘉門院高倉 (xxx)

あら玉の春はいつしか立ちぬれとまた古年の月日なりけり

あらたまの−はるはいつしか−たちぬれと−またふるとしの−つきひなりけり


00033
未入力 鷹司院按察 (xxx)

春立ちてきのふをこそとかそふれは冬の日数そなほのこりける

はるたちて−きのふをこそと−かそふれは−ふゆのひかすそ−なほのこりける


00034
未入力 鷹司院帥 (xxx)

大方はまたふる年とおもへとも春たつけふになりそしにける

おほかたは−またふるとしと−おもへとも−はるたつけふに−なりそしにける


00035
未入力 承明門院小宰相 (xxx)

立ちそむる春のけしきのしるけれは年を残して冬や行くらん

たちそむる−はるのけしきの−しるけれは−としをのこして−ふゆやゆくらむ


00036
未入力 俊成卿女 (xxx)

わか君の千代のはしめのけふとてや年よりさきに春もたつらん

わかきみの−ちよのはしめの−けふとてや−としよりさきに−はるもたつらむ


00037
未入力 少将内侍 (xxx)

つひにさてもみちぬ色に春立ちて年の内なる松のひとしほ

つひにさて−もみちぬいろに−はるたちて−としのうちなる−まつのひとしほ


00038
未入力 弁内侍 (xxx)

冬もいまいくかもあらすくれぬるをその程またす春立ちにけり

ふゆもいま−いくかもあらす−くれぬるを−そのほとまたす−はるたちにけり


00039
未入力 藻壁門院但馬 (xxx)

あら玉のとしの残りの日数をもまたてや春のけふはたつらん

あらたまの−としののこりの−ひかすをも−またてやはるの−けふはたつらむ


00040
未入力 下野 (xxx)

あたらしき春はきぬれとかそふれはまた古年の内にそ有りける

あたらしき−はるはきぬれと−かそふれは−またふるとしの−うちにそありける


00041
未入力 御製 (xxx)

いまは又かすみへたてて思ふかなおほうち山の春のあけほの

いまはまた−かすみへたてて−おもふかな−おほうちやまの−はるのあけほの


00042
未入力 道助 (xxx)

おしなへてうつもれぬらんよし野山いふはかりよりふかき霞に

おしなへて−うつもれぬらむ−よしのやま−いふはかりより−ふかきかすみに


00043
未入力 実氏 (xxx)

なかめこし音羽の山もいまさらにかすめはとほき明ほのの空

なかめこし−おとはのやまも−いまさらに−かすめはとほき−あけほののそら


00044
未入力 基家 (xxx)

この春は山のいはほをなてそめてかかる霞やあまのは衣

このはるは−やまのいはほを−なてそめて−かかるかすみや−あまのはころも


00045
未入力 家良 (xxx)

朝かすみいまたてるらし久堅の空にほのめくみよしのの山

あさかすみ−いまたてるらし−ひさかたの−そらにほのめく−みよしののやま


00046
未入力 基良 (xxx)

よし野山かすむはかりの梢にも猶あらたまる色はみえける

よしのやま−かすむはかりの−こすゑにも−なほあらたまる−いろはみえける


00047
未入力 隆親 (xxx)

浅緑はるのしるしやいそくらんいつしかかすむあまのかく山

あさみとり−はるのしるしや−いそくらむ−いつしかかすむ−あまのかくやま


00048
未入力 為家 (xxx)

いつしかとあまのかく山おりはへてほすや霞の春の衣手

いつしかと−あまのかくやま−おりはへて−ほすやかすみの−はるのころもて


00049
未入力 公相 (xxx)

見わたせは霞棚引くあしひきのとほき山へに春やきぬらん

みわたせは−かすみたなひく−あしひきの−とほきやまへに−はるやきぬらむ


00050
未入力 実雄 (xxx)

立ちなるる伊駒の山の雲ならて霞もかくす春の明ほの

たちなるる−いこまのやまの−くもならて−かすみもかくす−はるのあけほの


00051
未入力 信覚 (xxx)

棹姫のかすみの衣うすき程吹きなかくしそ春の山風

さほひめの−かすみのころも−うすきほと−ふきなかくしそ−はるのやまかせ


00052
未入力 為経 (xxx)

いくとせの春の霞に立ちなれて世は久堅のあまのかく山

いくとせの−はるのかすみに−たちなれて−よはひさかたの−あまのかくやま


00053
未入力 忠定 (xxx)

遠山の松のかすみのすり衣うすきこのまの風にみたすな

とほやまの−まつのかすみの−すりころも−うすきこのまの−かせにみたすな


00054
未入力 資季 (xxx)

故郷のよし野の山のおくまても春をしるへとたつ霞かな

ふるさとの−よしののやまの−おくまても−はるをしるへと−たつかすみかな


00055
未入力 頼氏 (xxx)

はるに又かすみにけりな水鳥の鴨のは色の遠山のまつ

はるにまた−かすみにけりな−みつとりの−かものはいろの−とほやまのまつ


00056
未入力 有教 (xxx)

大方に春のけしきはしるけれとわきてそかすむみよしのの山

おほかたに−はるのけしきは−しるけれと−わきてそかすむ−みよしののやま


00057
未入力 師継 (xxx)

みわたせは霞のころも立ちにけり山のはよりや春のきぬらん

みわたせは−かすみのころも−たちにけり−やまのはよりや−はるのきぬらむ


00058
未入力 定嗣 (xxx)

みつもろのその山なみも見えぬまて春の霞はいまたたるらし

みつもろの−そのやまなみも−みえぬまて−はるのかすみは−いまたたるらし


00059
未入力 成実 (xxx)

棹姫のかつらき山にかけてほす春の衣はかすみなりけり

さほひめの−かつらきやまに−かけてほす−はるのころもは−かすみなりけり


00060
未入力 蓮性 (xxx)

む月たち春にはなりぬ三輪山の杉かえしのき朝霞せよ

むつきたち−はるにはなりぬ−みわやまの−すきかえしのき−あさかすみせよ


00061
未入力 顕氏 (xxx)

いつしかも峰立ちならす夕かすみたえすそかかる葛城の山

いつしかも−みねたちならす−ゆふかすみ−たえすそかかる−かつらきのやま


00062
未入力 寂能 (xxx)

君か代はにきはふ民のかまととや山もあまねくたつかすみかな

きみかよは−にきはふたみの−かまととや−やまもあまねく−たつかすみかな


00063
未入力 為氏 (xxx)

衣手の田上山のあさ霞立ちかさねてそ春もきにける

ころもての−たなかみやまの−あさかすみ−たちかさねてそ−はるもきにける


00064
未入力 真観 (xxx)

はる霞たち渡るなり橋たてや松原こしのよさの大山

はるかすみ−たちわたるなり−はしたてや−まつはらこしの−よさのおほやま


00065
未入力 寂西 (xxx)

朝霞たなひきぬるかしからきの外山の嵐吹きたゆむなり

あさかすみ−たなひきぬるか−しからきの−とやまのあらし−ふきたゆむなり


00066
未入力 為継 (xxx)

見わたせは山のはかけて久方の空も一にかすむ春かな

みわたせは−やまのはかけて−ひさかたの−そらもひとつに−かすむはるかな


00067
未入力 経朝 (xxx)

秋津しまくにの都の山たかみいく千代かけてかすみきぬらん

あきつしま−くにのみやこの−やまたかみ−いくちよかけて−かすみきぬらむ


00068
未入力 行家 (xxx)

み冬つき年のこゆてふ山のはに今朝ははやくも立つ霞かな

みふゆつき−としのこゆてふ−やまのはに−けさははやくも−たつかすみかな


00069
未入力 成茂 (xxx)

ささ波やなからの山の朝霞さらにや春のあらたまるらん

ささなみや−なからのやまの−あさかすみ−さらにやはるの−あらたまるらむ


00070
未入力 隆祐 (xxx)

あけわたるはこやの山の行末をはるかになして立つ霞かな

あけわたる−はこやのやまの−ゆくすゑを−はるかになして−たつかすみかな


00071
未入力 禅信 (xxx)

立ちきつるしつはたやまの朝霞春の衣とたれかおりけん

たちきつる−しつはたやまの−あさかすみ−はるのころもと−たれかおりけむ


00072
未入力 高倉 (xxx)

朝霞たつたの山はおしなへてこのめも春に成りにけるかな

あさかすみ−たつたのやまは−おしなへて−このめもはるに−なりにけるかな


00073
未入力 按察 (xxx)

時まちて立出てにける霞かな朝日の山に春やきぬらん

ときまちて−たちいてにける−かすみかな−あさひのやまに−はるやきぬらむ


00074
未入力 帥 (xxx)

山のはもいつくなるらんおしなへてみえぬはかりにかすむ春かな

やまのはも−いつくなるらむ−おしなへて−みえぬはかりに−かすむはるかな


00075
未入力 小宰相 (xxx)

嶺にゐる雲のとたえもわかぬまて霞そかかる葛城の山

みねにゐる−くものとたえも−わかぬまて−かすみそかかる−かつらきのやま


00076
未入力 俊成女 (xxx)

あさくらや山も霞の雲まよりよそに昔の春そ恋しき

あさくらや−やまもかすみの−くもまより−よそにむかしの−はるそこひしき


00077
未入力 少将内侍 (xxx)

今ははや春くる空の朝霞よも山かけてたなひきにけり

いまははや−はるくるそらの−あさかすみ−よもやまかけて−たなひきにけり


00078
未入力 弁内侍 (xxx)

いそのかみふるの山へも春きぬと霞や空にたちかへるらん

いそのかみ−ふるのやまへも−はるきぬと−かすみやそらに−たちかへるらむ


00079
未入力 但馬 (xxx)

葦曳のみ山はxxxxxxxx都の野へは雪間たになし

あしひきの−みやまはxxx−xxxxx−みやこののへは−ゆきまたになし


00080
未入力 下野 (xxx)

あさまたきなかめにとほき山のはそ霞の色はたちまさりけり

あさまたき−なかめにとほき−やまのはそ−かすみのいろは−たちまさりけり


00081
未入力 御製 (xxx)

春の立つあとこそみゆれ朝日影さすや岡へにとくる白雪

はるのたつ−あとこそみゆれ−あさひかけ−さすやをかへに−とくるしらゆき


00082
未入力 道助 (xxx)

みふゆつきこれや形見に残るらん春をもよほす峰の泡雪

みふゆつき−これやかたみに−のこるらむ−はるをもよほす−みねのあはゆき


00083
未入力 実氏 (xxx)

風にほふまことの花にくらへはや桜か枝にふれるしら雪

かせにほふ−まことのはなに−くらへはや−さくらかえたに−ふれるしらゆき


00084
未入力 基家 (xxx)

春も猶川波さえて立田山滝のうはてにみ雪ふるらし

はるもなほ−かはなみさえて−たつたやま−たきのうはてに−みゆきふるらし


00085
未入力 家良 (xxx)

はるはきてをち方人の跡見えし萩のやけふは雪の降りつつ

はるはきて−をちかたひとの−あとみえし−はきのやけふは−ゆきのふりつつ


00086
未入力 基良 (xxx)

春くれと我かふる郷そ跡たゆる野へも山辺も雪のむら消

はるくれと−わかふるさとそ−あとたゆる−のへもやまへも−ゆきのむらきえ


00087
未入力 隆親 (xxx)

泡雪のふるやの軒の梅かえに春さく花の色そかさなる

あはゆきの−ふるやののきの−うめかえに−はるさくはなの−いろそかさなる


00088
未入力 為家 (xxx)

あは雪はふりもやまなむまたきよりまたるる花のちるとまかふに

あはゆきは−ふりもやまなむ−またきより−またるるはなの−ちるとまかふに


00089
未入力 公相 (xxx)

荒玉のとしをへたつる故郷のかきねの雪はかはらさりけり

あらたまの−としをへたつる−ふるさとの−かきねのゆきは−かはらさりけり


00090
未入力 実雄 (xxx)

うちきらしふれとも雪のかつ消えて都ののへは春めきにけり

うちきらし−ふれともゆきの−かつきえて−みやこののへは−はるめきにけり


00091
未入力 信覚 (xxx)

もえいつる草のはつせの山風に雪の下水いまやとくらん

もえいつる−くさのはつせの−やまかせに−ゆきのしたみつ−いまやとくらむ


00092
未入力 為経 (xxx)

みよしのは花と見えつつかけろふのもゆる春日にふれる白雪

みよしのは−はなとみえつつ−かけろふの−もゆるはるひに−ふれるしらゆき


00093
未入力 忠定 (xxx)

老か身のよはひやなにそふりぬれとつもらぬ春の雪も有る世に

おいかみの−よはひやなにそ−ふりぬれと−つもらぬはるの−ゆきもあるよに


00094
未入力 資季 (xxx)

高砂のをのへにふれる雪の色を松に花さく春かとそみる

たかさこの−をのへにふれる−ゆきのいろを−まつにはなさく−はるかとそみる


00095
未入力 頼氏 (xxx)

ふり消えて野にも山にもたまらねとさすかにさむき春の泡雪

ふりきえて−のにもやまにも−たまらねと−さすかにさむき−はるのあはゆき


00096
未入力 有教 (xxx)

かきくらしふるとはすれとかつ消えぬかすめる空の春のあは雪

かきくらし−ふるとはすれと−かつきえぬ−かすめるそらの−はるのあはゆき


00097
未入力 師継 (xxx)

梓弓はるてふ空は引きかへてあらたまれとも猶み雪ふる

あつさゆみ−はるてふそらは−ひきかへて−あらたまれとも−なほみゆきふる


00098
未入力 定嗣 (xxx)

あたらしきとよのことしのしるしとて内にもとにもひかる白雪

あたらしき−とよのことしの−しるしとて−うちにもとにも−ひかるしらゆき


00099
未入力 成実 (xxx)

かすめとも猶ふるとしの余波とてさえてもつもる春の雪かな

かすめとも−なほふるとしの−なこりとて−さえてもつもる−はるのゆきかな


00100
未入力 蓮性 (xxx)

冬かれの岡への梢めもはるにしるや日かけの雪のむら消

ふゆかれの−をかへのこすゑ−めもはるに−しるやひかけの−ゆきのむらきえ


00101
未入力 顕氏 (xxx)

うちなひき春はきたれと今も猶つきてふりしく野への泡雪

うちなひき−はるはきたれと−いまもなほ−つきてふりしく−のへのあはゆき


00102
未入力 寂能 (xxx)

雪きゆる春の玉水なほさえてたるひそ軒のゐせきなりける

ゆききゆる−はるのたまみつ−なほさえて−たるひそのきの−ゐせきなりける


00103
未入力 為氏 (xxx)

かけろふのもゆる春日の浅みとりかすめる空も雪はふりつつ

かけろふの−もゆるはるひの−あさみとり−かすめるそらも−ゆきはふりつつ


00104
未入力 真観 (xxx)

久方のあまつみそらは春なるにいつとさためて雪のふるらし

ひさかたの−あまつみそらは−はるなるに−いつとさためて−ゆきのふるらし


00105
未入力 寂西 (xxx)

つもりにしかきねの雪の消えやらて春にかかれる竹の下をれ

つもりにし−かきねのゆきの−きえやらて−はるにかかれる−たけのしたをれ


00106
未入力 為継 (xxx)

御吉野の山のしら雪けふまても猶古里は春としもなし

みよしのの−やまのしらゆき−けふまても−なほふるさとは−はるとしもなし


00107
未入力 経朝 (xxx)

いまは又花を待つへきみよしのの山かきくらす春のあは雪

いまはまた−はなをまつへき−みよしのの−やまかきくらす−はるのあはゆき


00108
未入力 行家 (xxx)

なににかはちりもまかはむ春きても花なき里にふれる白雪

なににかは−ちりもまかはむ−はるきても−はななきさとに−ふれるしらゆき


00109
未入力 成茂 (xxx)

此里はひら山おろし猶さえて春ともわかす雪そふりしく

このさとは−ひらやまおろし−なほさえて−はるともわかす−ゆきそふりしく


00110
未入力 隆祐 (xxx)

空にのみ冬の日数や残すらんきゆるもしらすふれる白雪

そらにのみ−ふゆのひかすや−のこすらむ−きゆるもしらす−ふれるしらゆき


00111
未入力 禅信 (xxx)

かつ消えてつもりもあへすさわらひのもゆる春日の野への泡雪

かつきえて−つもりもあへす−さわらひの−もゆるはるひの−のへのあはゆき


00112
未入力 高倉 (xxx)

谷ふかみよそより春や立ちぬらん猶消えあへすつもるあはゆき

たにふかみ−よそよりはるや−たちぬらむ−なほきえあへす−つもるあはゆき


00113
未入力 按察 (xxx)

立帰るとしのしるしやなにならんいまさらにふる雪も消えすて

たちかへる−としのしるしや−なにならむ−いまさらにふる−ゆきもきえすて


00114
未入力 帥 (xxx)

春そとは人はいへともみよしのや猶しかすかに雪のふりつつ

はるそとは−ひとはいへとも−みよしのや−なほしかすかに−ゆきのふりつつ


00115
未入力 小宰相 (xxx)

衣手のもりの木本跡たえておりはへのこる春のしら雪

ころもての−もりのこのもと−あとたえて−おりはへのこる−はるのしらゆき


00116
未入力 俊成女 (xxx)

ひかりなき谷のとほそは猶さえてよりこぬ春の泡雪そ降る

ひかりなき−たにのとほそは−なほさえて−よりこぬはるの−あはゆきそふる


00117
未入力 少将内侍 (xxx)

いその上ふるとも雪のたまらめや春くる空といひてしものを

いそのかみ−ふるともゆきの−たまらめや−はるくるそらと−いひてしものを


00118
未入力 弁内侍 (xxx)

おのつからふりしくとしもなけれとも猶そあまきる春の泡雪

おのつから−ふりしくとしも−なけれとも−なほそあまきる−はるのあはゆき


00119
未入力 但馬 (xxx)

なにとこの春の名たてに泡雪のちるてふ花の色にみゆらん

なにとこの−はるのなたてに−あはゆきの−ちるてふはなの−いろにみゆらむ


00120
未入力 下野 (xxx)

うゑたてて春待つそののかひもなく猶梅かえに雪そあまきる

うゑたてて−はるまつそのの−かひもなく−なほうめかえに−ゆきそあまきる


00121
未入力 御製 (xxx)

鴬のさへつるけさのはつねよりあらたまりける春そしらるる

うくひすの−さへつるけさの−はつねより−あらたまりける−はるそしらるる


00122
未入力 道助 (xxx)

春といへはみしかきよはの程もなくあくるまかきにきゐるうくひす

はるといへは−みしかきよはの−ほともなく−あくるまかきに−きゐるうくひす


00123
未入力 実氏 (xxx)

くれ竹のなかくみしかきふしふしに今朝鴬のはつ音鳴くなり

くれたけの−なかくみしかき−ふしふしに−けさうくひすの−はつねなくなり


00124
未入力 基家 (xxx)

鴬のこゑきくなへにいつる日の朝の原は春めきにけり

うくひすの−こゑきくなへに−いつるひの−あしたのはらは−はるめきにけり


00125
未入力 家良 (xxx)

はるの夜のねてのあさけのあけたてはつまとや我を鴬のなく

はるのよの−ねてのあさけの−あけたては−つまとやわれを−うくひすのなく


00126
未入力 基良 (xxx)

うくひすの涙にむすふ氷をはおのか羽風やけさはとくらん

うくひすの−なみたにむすふ−こほりをは−おのかはかせや−けさはとくらむ


00127
未入力 隆親 (xxx)

片糸に柳をよりて鴬の梅の花かさけさもぬふらし

かたいとに−やなきをよりて−うくひすの−うめのはなかさ−けさもぬふらし


00128
未入力 為家 (xxx)

明けぬれとねくらの竹のよの程にかこちよせてやうくひすの鳴く

あけぬれと−ねくらのたけの−よのほとに−かこちよせてや−うくひすのなく


00129
未入力 公相 (xxx)

立ちかはる春ともしらぬ谷の戸をあけ行く空に鴬のなく

たちかはる−はるともしらぬ−たにのとを−あけゆくそらに−うくひすのなく


00130
未入力 実雄 (xxx)

しら雪の古巣はけさも猶さえて鳴く音もとけぬ鴬の声

しらゆきの−ふるすはけさも−なほさえて−なくねもとけぬ−うくひすのこゑ


00131
未入力 信覚 (xxx)

春の日に谷のふるすや出てぬらん跡ものとけきうくひすの声

はるのひに−たにのふるすや−いてぬらむ−あとものとけき−うくひすのこゑ


00132
未入力 為経 (xxx)

谷の戸のあくるあさけの古巣より春しりそむる鴬の声

たにのとの−あくるあさけの−ふるすより−はるしりそむる−うくひすのこゑ


00133
未入力 忠定 (xxx)

竹の葉も朝霜けたすとちこめてまたねくらなる鴬の声

たけのはも−あさしもけたす−とちこめて−またねくらなる−うくひすのこゑ


00134
未入力 資季 (xxx)

はる風のさそひし日よりあさなあさななれてききつる鴬の声

はるかせの−さそひしひより−あさなあさな−なれてききつる−うくひすのこゑ


00135
未入力 頼氏 (xxx)

けさも猶雪けの雲を出てやらて谷のと山のうくひすの声

けさもなほ−ゆきけのくもを−いてやらて−たにのとやまの−うくひすのこゑ


00136
未入力 有教 (xxx)

都にはまつらんものをうくひすのたによりいつる今朝の初声

みやこには−まつらむものを−うくひすの−たによりいつる−けさのはつこゑ


00137
未入力 師継 (xxx)

立ちかへるとしの初の朝より春をしらするうくひすのこゑ

たちかへる−としのはしめの−あしたより−はるをしらする−うくひすのこゑ


00138
未入力 定嗣 (xxx)

春されはたかきにうつる鴬をやとの梢にあさなあさなきく

はるされは−たかきにうつる−うくひすを−やとのこすゑに−あさなあさなきく


00139
未入力 成実 (xxx)

うくひすのこゑ打ちいつる谷の戸のあさ明の山に春はきにけり

うくひすの−こゑうちいつる−たにのとの−あさあけのやまに−はるはきにけり


00140
未入力 蓮性 (xxx)

春のきてあくる朝日の谷のとをすたちもやらす鴬そ鳴く

はるのきて−あくるあさひの−たにのとを−すたちもやらす−うくひすそなく


00141
未入力 顕氏 (xxx)

あさなあさなそともにきなくももちとり身にはよそなる春をつくなり

あさなあさな−そともにきなく−ももちとり−みにはよそなる−はるをつくなり


00142
未入力 寂能 (xxx)

朝ことのみことかしこみしりかほになれもさへつる春のうくひす

あさことの−みことかしこみ−しりかほに−なれもさへつる−はるのうくひす


00143
未入力 為氏 (xxx)

あさなあさなおのれ鳴きてやうくひすの年たち帰るはるをしるらん

あさなあさな−おのれなきてや−うくひすの−としたちかへる−はるをしるらむ


00144
未入力 真観 (xxx)

世は春とたれもしるらし鴬のなききかせたるけさの初こゑ

よははると−たれもしるらし−うくひすの−なききかせたる−けさのはつこゑ


00145
未入力 寂西 (xxx)

うくひすのまたよをこめて鳴くこゑをねなくにきけは明けはてにけり

うくひすの−またよをこめて−なくこゑを−ねなくにきけは−あけはてにけり


00146
未入力 為継 (xxx)

さらてたに春の朝日ののとけきを声しつかなる谷のうくひす

さらてたに−はるのあさひの−のとけきを−こゑしつかなる−たにのうくひす


00147
未入力 経朝 (xxx)

春日野のとふひののもりこととはんけさは初ねか鴬のなく

かすかのの−とふひののもり−こととはむ−けさははつねか−うくひすのなく


00148
未入力 行家 (xxx)

けさははやはねならはしの枝うつり古巣の竹に鴬そなく

けさははや−はねならはしの−えたうつり−ふるすのたけに−うくひすそなく


00149
未入力 成茂 (xxx)

春くれはおのか涙のあさ氷まつ打ちとけてうくひすそなく

はるくれは−おのかなみたの−あさこほり−まつうちとけて−うくひすそなく


00150
未入力 隆祐 (xxx)

やとちかき夜半のねくらの木間より明けはなれぬる鴬のこゑ

やとちかき−よはのねくらの−このまより−あけはなれぬる−うくひすのこゑ


00151
未入力 禅信 (xxx)

呉竹のよるのねくらも立ちやらす明行くままにうくひすそなく

くれたけの−よるのねくらも−たちやらす−あけゆくままに−うくひすそなく


00152
未入力 高倉 (xxx)

春きぬとあしたの原に鴬の谷よりいつるはつね鳴くなり

はるきぬと−あしたのはらに−うくひすの−たによりいつる−はつねなくなり


00153
未入力 按察 (xxx)

花もまたにほはぬ程の朝な朝ななけや鴬春とおもはん

はなもまた−にほはぬほとの−あさなあさな−なけやうくひす−はるとおもはむ


00154
未入力 帥 (xxx)

よをこめておのかね山や出てぬらん今朝わかやとに鴬のなく

よをこめて−おのかねやまや−いてぬらむ−けさわかやとに−うくひすのなく


00155
未入力 小宰相 (xxx)

あさなあさな鳴くうくひすのこゑならて我か身にうとき春の色かな

あさなあさな−なくうくひすの−こゑならて−わかみにうとき−はるのいろかな


00156
未入力 俊成女 (xxx)

あらたまる春の朝のうくひすのももさへつりもいはふかみかせ

あらたまる−はるのあしたの−うくひすの−ももさへつりも−いはふかみかせ


00157
未入力 少将内侍 (xxx)

谷の戸をあくるあさけの春風に古巣うかれて鴬そなく

たにのとを−あくるあさけの−はるかせに−ふるすうかれて−うくひすそなく


00158
未入力 弁内侍 (xxx)

今朝はしも猶さえこほる谷の戸を出てかてにこそ鴬もなけ

けさはしも−なほさえこほる−たにのとを−いてかてにこそ−うくひすもなけ


00159
未入力 但馬 (xxx)

竹の内にまたふしなれぬこゑすなり谷の鴬けさや出てつる

たけのうちに−またふしなれぬ−こゑすなり−たにのうくひす−けさやいてつる


00160
未入力 下野 (xxx)

うくひすの今朝なく時そ山かつのかきほも春にあふ心ちする

うくひすの−けさなくときそ−やまかつの−かきほもはるに−あふここちする


00161
未入力 御製 (xxx)

年をへて沢辺の草はおいにけりなとてわかなといひはしめけん

としをへて−さはへのくさは−おいにけり−なとてわかなと−いひはしめけむ


00162
未入力 道助 (xxx)

氷ゐしさはへの水もとけそめてわかなつむへき程そみえける

こほりゐし−さはへのみつも−とけそめて−わかなつむへき−ほとそみえける


00163
未入力 実氏 (xxx)

里人は山田の沢に袖ぬれてけふこそともにわかなつむらめ

さとひとは−やまたのさはに−そてぬれて−けふこそともに−わかなつむらめ


00164
未入力 基家 (xxx)

いそのかみふるの野沢の跡しめて春やむかしとわかなつみつつ

いそのかみ−ふるののさはの−あとしめて−はるやむかしと−わかなつみつつ


00165
未入力 家良 (xxx)

あたち野の野沢の氷とけにけりますけにましるこせりつみてん

あたちのの−のさはのこほり−とけにけり−ますけにましる−こせりつみてむ


00166
未入力 基良 (xxx)

年をつむ身こそ老いぬれ沢水にいかなる草のわかななるらん

としをつむ−みこそおいぬれ−さはみつに−いかなるくさの−わかななるらむ


00167
未入力 隆親 (xxx)

うちむれて野沢のわかなつむにたにのとけき御世の春そしらるる

うちむれて−のさはのわかな−つむにたに−のとけきみよの−はるそしらるる


00168
未入力 為家 (xxx)

さは水にこほる下ねは猶とけていそくわかなのつみもやられす

さはみつに−こほるしたねは−なほとけて−いそくわかなの−つみもやられす


00169
未入力 公相 (xxx)

諸人の袖ふりはへてけさよりや野沢の水にわかなつむらん

もろひとの−そてふりはへて−けさよりや−のさはのみつに−わかなつむらむ


00170
未入力 実雄 (xxx)

いつかたにわかなつむらん葦曳の山さは水は猶こほりつつ

いつかたに−わかなつむらむ−あしひきの−やまさはみつは−なほこほりつつ


00171
未入力 信覚 (xxx)

若菜つむあさの衣手猶さえてあささはをのに袖はぬれつつ

わかなつむ−あさのころもて−なほさえて−あささはをのに−そてはぬれつつ


00172
未入力 為経 (xxx)

君かため野沢におふる若菜にそ行末とほく年はつむへき

きみかため−のさはにおふる−わかなにそ−ゆくすゑとほく−としはつむへき


00173
未入力 忠定 (xxx)

つまねとも沢辺の水やあらふらんもとよりしろきねせりなりける

つまねとも−さはへのみつや−あらふらむ−もとよりしろき−ねせりなりける


00174
未入力 資季 (xxx)

消えやらぬ沢への氷かき分けてたれみかくれのわかなつむらん

きえやらぬ−さはへのこほり−かきわけて−たれみかくれの−わかなつむらむ


00175
未入力 頼氏 (xxx)

おのつから野沢の芹をつみませて知らぬ形見のわかななりけり

おのつから−のさはのせりを−つみませて−しらぬかたみの−わかななりけり


00176
未入力 有教 (xxx)

春きてはわかなつみにといそけとも野さはの水は猶こほりけり

はるきては−わかなつみにと−いそけとも−のさはのみつは−なほこほりけり


00177
未入力 師継 (xxx)

あし曳の山田の沢に雪消えてわかなつむへき時はきにけり

あしひきの−やまたのさはに−ゆききえて−わかなつむへき−ときはきにけり


00178
未入力 定嗣 (xxx)

いさやこら雪消えぬらし足引の山さはゑくもつみてかへらん

いさやこら−ゆききえぬらし−あしひきの−やまさはゑくも−つみてかへらむ


00179
未入力 成実 (xxx)

春といへは野沢の氷かつ消えてわかなつむへき時をしるかな

はるといへは−のさはのこほり−かつきえて−わかなつむへき−ときをしるかな


00180
未入力 蓬性 (xxx)

国栖らかわかなつむへき時はきぬ野沢の草も下根さしつつ

くにすらか−わかなつむへき−ときはきぬ−のさはのくさも−したねさしつつ


00181
未入力 顕氏 (xxx)

今朝みれは野さはの水のあさみとりゑくのわかなや下萌えぬらん

けさみれは−のさはのみつの−あさみとり−ゑくのわかなや−したもえぬらむ


00182
未入力 寂能 (xxx)

若菜つむ野沢の原の忘水わすれすめくむ春の色かな

わかなつむ−のさはのはらの−わすれみつ−わすれすめくむ−はるのいろかな


00183
未入力 為氏 (xxx)

里人は山沢水のうすこほりとけにし日より若菜つみつつ

さとひとは−やまさはみつの−うすこほり−とけにしひより−わかなつみつつ


00184
未入力 真観 (xxx)

霜かれの沢へのち原ふみしたき春さりくれはわかなをそつむ

しもかれの−さはへのちはら−ふみしたき−はるさりくれは−わかなをそつむ


00185
未入力 寂西 (xxx)

かたみもてさはへの水にみる影はつみかさねたるわかななりけり

かたみもて−さはへのみつに−みるかけは−つみかさねたる−わかななりけり


00186
未入力 為継 (xxx)

今朝はみなわかなつみにとそともなる野沢の水に袖やぬるらん

けさはみな−わかなつみにと−そともなる−のさはのみつに−そてやぬるらむ


00187
未入力 経朝 (xxx)

ききすなく沢のあさなもつま恋に跡ふみつくる春の霜かな

ききすなく−さはのあさなも−つまこひに−あとふみつくる−はるのしもかな


00188
未入力 行家 (xxx)

けふとてもつむ人あらしかくれぬの入江の沢にもゆるわかなは

けふとても−つむひとあらし−かくれぬの−いりえのさはに−もゆるわかなは


00189
未入力 成茂 (xxx)

沢水に身は老いらくの影みえて神のためにとわかなつみつつ

さはみつに−みはおいらくの−かけみえて−かみのためにと−わかなつみつつ


00190
未入力 隆祐 (xxx)

あし曳の山沢水に袖ぬれぬやけ野はまたきわかなつむとて

あしひきの−やまさはみつに−そてぬれぬ−やけのはまたき−わかなつむとて


00191
未入力 禅信 (xxx)

沢水の氷とけ行くひまことに袖ふりはへてわかなつみけり

さはみつの−こほりとけゆく−ひまことに−そてふりはへて−わかなつみけり


00192
未入力 高倉 (xxx)

わかなつむ野さはの水の薄氷とくるにつけてぬるる袖かな

わかなつむ−のさはのみつの−うすこほり−とくるにつけて−ぬるるそてかな


00193
未入力 按察 (xxx)

氷たにまたとけはてぬ沢水にあらふ若菜は流れやはする

こほりたに−またとけはてぬ−さはみつに−あらふわかなは−なかれやはする


00194
未入力 帥 (xxx)

をとめこか沢へのわかなつむ時はうはものすそそほす隙もなき

をとめこか−さはへのわかな−つむときは−うはものすそそ−ほすひまもなき


00195
未入力 小宰相 (xxx)

これのみそおのか春とて山かつの野さはのわかなつみにいつらん

これのみそ−おのかはるとて−やまかつの−のさはのわかな−つみにいつらむ


00196
未入力 俊成女 (xxx)

たれとなく忍ふむかしの形見にもふるののさはにせりなをそつむ

たれとなく−しのふむかしの−かたみにも−ふるののさはに−せりなをそつむ


00197
未入力 少将内侍 (xxx)

沢水に袖そぬれけるあはれわか野へのわかなにつみならひつつ

さはみつに−そてそぬれける−あはれわか−のへのわかなに−つみならひつつ


00198
未入力 弁内侍 (xxx)

袖ぬらす野さはの水に影みれはひとりはつまぬわかななりけり

そてぬらす−のさはのみつに−かけみれは−ひとりはつまぬ−わかななりけり


00199
未入力 但馬 (xxx)

君かため野沢のわかなとしをへていまいくちよの春かつむへき

きみかため−のさはのわかな−としをへて−いまいくちよの−はるかつむへき


00200
未入力 下野 (xxx)

春をあさみ沢辺の氷とけぬまは袖もぬらさてわかなをそつむ

はるをあさみ−さはへのこほり−とけぬまは−そてもぬらさて−わかなをそつむ


00201
未入力 御製 (xxx)

あし曳の山の嵐そ猶さむきむへきさらきと人もいふなり

あしひきの−やまのあらしそ−なほさむき−うへきさらきと−ひともいふなり


00202
未入力 道助 (xxx)

ぬきをうすみ春の衣の白妙に雪なほ寒しきさらきの空

ぬきをうすみ−はるのころもの−しろたへに−ゆきなほさむし−きさらきのそら


00203
未入力 実氏 (xxx)

春きてもなほさえまさる山里はこそとやいはむ峰の木からし

はるきても−なほさえまさる−やまさとは−こそとやいはむ−みねのこからし


00204
未入力 基家 (xxx)

山川のいはねのひはら春かけて氷も霜もいくへさゆらん

やまかはの−いはねのひはら−はるかけて−こほりもしもも−いくへさゆらむ


00205
未入力 家良 (xxx)

春日野の草葉もいまはもゆへきにまた朝霜のさゆる春かな

かすかのの−くさはもいまは−もゆへきに−またあさしもの−さゆるはるかな


00206
未入力 基良 (xxx)

春きても霜おきまさるよもきふのくち葉か本はむへもさえけり

はるきても−しもおきまさる−よもきふの−くちはかもとは−うへもさえけり


00207
未入力 降親 (xxx)

春きても日数はあさき薄氷またうちとけぬ風のおとかな

はるきても−ひかすはあさき−うすこほり−またうちとけぬ−かせのおとかな


00208
未入力 為家 (xxx)

いまさらにしつかを山田打ちかへし雪けもよほす風のさむけさ

いまさらに−しつかをやまた−うちかへし−ゆきけもよほす−かせのさむけさ


00209
未入力 公相 (xxx)

けふもなほ松の嵐の音さえてまたとけやらぬ雪のした水

けふもなほ−まつのあらしの−おとさえて−またとけやらぬ−ゆきのしたみつ


00210
未入力 実雄 (xxx)

春ははや立ちにし空にさらに又雪けの雲のさゆるころかな

はるははや−たちにしそらに−さらにまた−ゆきけのくもの−さゆるころかな


00211
未入力 信覚 (xxx)

日影まつかけひの氷とけやらて猶風寒し春のやまさと

ひかけまつ−かけひのこほり−とけやらて−なほかせさむし−はるのやまさと


00212
未入力 為経 (xxx)

春の空いつまて冬の名残とて霞なからに猶もさゆらん

はるのそら−いつまてふゆの−なこりとて−かすみなからに−なほもさゆらむ


00213
未入力 忠定 (xxx)

山のはに霞さそひしうす雲の雪けに帰るそらのさむけさ

やまのはに−かすみさそひし−うすくもの−ゆきけにかへる−そらのさむけさ


00214
未入力 資季 (xxx)

ふりつみし深山の雪も消えにしに今更さむきねやのさ衣

ふりつみし−みやまのゆきも−きえにしに−いまさらさむき−ねやのさころも


00215
未入力 頼氏 (xxx)

風さむみ又やむすはん立田河氷ひらくる波のはつはな

かせさむみ−またやむすはむ−たつたかは−こほりひらくる−なみのはつはな


00216
未入力 有教 (xxx)

かせさえて霰なほふるま木のやはおとにもきかす春のけしきを

かせさえて−あられなほふる−まきのやは−おとにもきかす−はるのけしきを


00217
未入力 師継 (xxx)

としくれし嵐も雪も猶さえて冬にかはらぬ春のそらかな

としくれし−あらしもゆきも−なほさえて−ふゆにかはらぬ−はるのそらかな


00218
未入力 定嗣 (xxx)

冬のことさむくしあれはをの山にすみやく翁心たのしか

ふゆのこと−さむくしあれは−をのやまに−すみやくおきな−こころたのしか


00219
未入力 成実 (xxx)

あら玉の春ともみえぬ梢かな猶風さゆるしからきのやま

あらたまの−はるともみえぬ−こすゑかな−なほかせさゆる−しからきのやま


00220
未入力 蓮性 (xxx)

春といへと夜とこをさむき難波めかこやの蘆火も今もたくらし

はるといへと−よとこをさむき−なにはめか−こやのあしひも−いまもたくらし


00221
未入力 顕氏 (xxx)

ことしたにまた空寒し久方の雲のいつくを春といはまし

ことしたに−またそらさむし−ひさかたの−くものいつくを−はるといはまし


00222
未入力 寂能 (xxx)

いはこゆるこゑそすくなき玉島の河上さえて猶こほるらし

いはこゆる−こゑそすくなき−たましまの−かはかみさえて−なほこほるらし


00223
未入力 為氏 (xxx)

たちわたる霞の衣きさらきの空ともいはすさゆる山かせ

たちわたる−かすみのころも−きさらきの−そらともいはす−さゆるやまかせ


00224
未入力 真観 (xxx)

よしなくも冬になさけをかけられて我か衣手のいまたこほれる

よしなくも−ふゆになさけを−かけられて−わかころもての−いまたこほれる


00225
未入力 寂西 (xxx)

としをこそ身にはとまると思ひしになにかさむさの冬にかはらぬ

としをこそ−みにはとまると−おもひしに−なにかさむさの−ふゆにかはらぬ


00226
未入力 為継 (xxx)

むすひおく霜も氷もとけやらて春吹く風のかひやなからん

むすひおく−しももこほりも−とけやらて−はるふくかせの−かひやなからむ


00227
未入力 経朝 (xxx)

朝日かけさすかに春の色なから雲は雪けにさゆる空かな

あさひかけ−さすかにはるの−いろなから−くもはゆきけに−さゆるそらかな


00228
未入力 行家 (xxx)

をの山や春さへさゆるゆふこりに猶たきそふるま木のすみかま

をのやまや−はるさへさゆる−ゆふこりに−なほたきそふる−まきのすみかま


00229
未入力 成茂 (xxx)

春きても我か袖なほもこほれるはふりにしとしの雪つもるかも

はるきても−わかそてなほも−こほれるは−ふりにしとしの−ゆきつもるかも


00230
未入力 隆祐 (xxx)

きえ帰る霜よの空のあさほらけなほさりにこそ春はきにけれ

きえかへる−しもよのそらの−あさほらけ−なほさりにこそ−はるはきにけれ


00231
未入力 禅信 (xxx)

けふりさへかすめる空の猶さえて春もたゆまぬをのの炭やき

けふりさへ−かすめるそらの−なほさえて−はるもたゆまぬ−をののすみやき


00232
未入力 高倉 (xxx)

春くれとみ山は夜はの風さえて雪けの雲そ峰にたな引く

はるくれと−みやまはよはの−かせさえて−ゆきけのくもそ−みねにたなひく


00233
未入力 按察 (xxx)

山風のさえのこりたるすみかをや春のいたらぬやとといはまし

やまかせの−さえのこりたる−すみかをや−はるのいたらぬ−やとといはまし


00234
未入力 帥 (xxx)

いかなれはあらたまりぬる春たにも猶山かせのさえわたるらん

いかなれは−あらたまりぬる−はるたにも−なほやまかせの−さえわたるらむ


00235
未入力 小宰相 (xxx)

かきくもりみそれも雪もふりませてさえくらしつる昨日けふかな

かきくもり−みそれもゆきも−ふりませて−さえくらしつる−きのふけふかな


00236
未入力 俊成女 (xxx)

時しらぬみ山のいほの春の霜柴のあみとを猶むすひけり

ときしらぬ−みやまのいほの−はるのしも−しはのあみとを−なほむすひけり


00237
未入力 少将内侍 (xxx)

山の井のあさきは春と思へはやあかすも水のなほこほるらん

やまのゐの−あさきははると−おもへはや−あかすもみつの−なほこほるらむ


00238
未入力 弁内侍 (xxx)

のこれるをさらぬあたりのよひよひに思ひもすてぬ春のうつみ火

のこれるを−さらぬあたりの−よひよひに−おもひもすてぬ−はるのうつみひ


00239
未入力 但馬 (xxx)

さえくれし雪けの雲の晴れやらて空にわかれぬ春の色かな

さえくれし−ゆきけのくもの−はれやらて−そらにわかれぬ−はるのいろかな


00240
未入力 下野 (xxx)

いかに又雪けの雲に帰るらん春立つそらの色は見えしを

いかにまた−ゆきけのくもに−かへるらむ−はるたつそらの−いろはみえしを


00241
未入力 御製 (xxx)

ことならは色をもみせよ梅の花かはかくれなきよはの春風

ことならは−いろをもみせよ−うめのはな−かはかくれなき−よはのはるかせ


00242
未入力 道助 (xxx)

梅の花にほひの外はxxもなし空ももらさぬよもの春風

うめのはな−にほひのほかは−xxもなし−そらももらさぬ−よものはるかせ


00243
未入力 実氏 (xxx)

たか里の梅の立枝を過きぬらん思ひのほかに匂ふはるかせ

たかさとの−うめのたちえを−すきぬらむ−おもひのほかに−にほふはるかせ


00244
未入力 基家 (xxx)

梅かかもその木の本とわきかねぬ夜のまの風や吹きめくるらん

うめかかも−そのこのもとと−わきかねぬ−よのまのかせや−ふきめくるらむ


00245
未入力 家良 (xxx)

むめの花さかりになれは白妙の袖さへにほふ春かせそふく

うめのはな−さかりになれは−しろたへの−そてさへにほふ−はるかせそふく


00246
未入力 基良 (xxx)

あけは又ゆきてとふへき梅かかを夜のまもおくる窓の春風

あけはまた−ゆきてとふへき−うめかかを−よのまもおくる−まとのはるかせ


00247
未入力 隆親 (xxx)

春風に匂をおくる梅かかの誰か袂にか又かよふらむ

はるかせに−にほひをおくる−うめかかの−たかたもとにか−またかよふらむ


00248
未入力 為家 (xxx)

かすめともかくれぬ物はむめの花風にあまれる匂ひなりけり

かすめとも−かくれぬものは−うめのはな−かせにあまれる−にほひなりけり


00249
未入力 公相 (xxx)

夢ならておとろく物は春風の枕ににほふ夜はの梅かえ

ゆめならて−おとろくものは−はるかせの−まくらににほふ−よはのうめかえ


00250
未入力 実雄 (xxx)

行人をこてふににたり梅花さくや牆根ににほふ春風

ゆくひとを−こてふににたり−うめのはな−さくやかきねに−にほふはるかせ


00251
未入力 信覚 (xxx)

吹きおくる梅のにほひにやすらはん木本つけよ春の山かせ

ふきおくる−うめのにほひに−やすらはむ−このもとつけよ−はるのやまかせ


00252
未入力 為経 (xxx)

たか里をわきて尋ねむ梅花さなからにほふよもの春風

たかさとを−わきてたつねむ−うめのはな−さなからにほふ−よものはるかせ


00253
未入力 忠定 (xxx)

梅かかを又たかために吹分けて袂にあまるはるの山かせ

うめかかを−またたかために−ふきわけて−たもとにあまる−はるのやまかせ


00254
未入力 資季 (xxx)

梅かかのいたらぬ里もあらしかし吹きまふよはの風にまかせて

うめかかの−いたらぬさとも−あらしかし−ふきまふよはの−かせにまかせて


00255
未入力 頼氏 (xxx)

さきにけりいまや匂をかすか山みかさののへの梅のした風

さきにけり−いまやにほひを−かすかやま−みかさののへの−うめのしたかせ


00256
未入力 有教 (xxx)

吹きすくる風につけてや梅花にほひをとほく人のしるらん

ふきすくる−かせにつけてや−うめのはな−にほひをとほく−ひとのしるらむ


00257
未入力 師継 (xxx)

立ちかくす霞の内の梅の花匂はしるく春風そふく

たちかくす−かすみのうちの−うめのはな−にほひはしるく−はるかせそふく


00258
未入力 定嗣 (xxx)

我かやとに匂ひまきれは梅花よきてふけとは風もいとはし

わかやとに−にほひまきれは−うめのはな−よきてふけとは−かせもいとはし


00259
未入力 成実 (xxx)

梅かえのにほふさかりに成りにけり花もてはやす春風そ吹く

うめかえの−にほふさかりに−なりにけり−はなもてはやす−はるかせそふく


00260
未入力 蓮性 (xxx)

むめかえを根こめにさそふ風もかなよその匂はえこそあかれね

うめかえを−ねこめにさそふ−かせもかな−よそのにほひは−えこそあかれね


00261
未入力 顕氏 (xxx)

吹きおくる風のたよりにしられけりをちのかきねににほふ梅かえ

ふきおくる−かせのたよりに−しられけり−をちのかきねに−にほふうめかえ


00262
未入力 寂能 (xxx)

梅かかの空にみちぬる春のよはいつくか風のやとりなるらん

うめかかの−そらにみちぬる−はるのよは−いつくかかせの−やとりなるらむ


00263
未入力 為氏 (xxx)

梅花しるへなくとも尋ねみん吹くかたにほふ風のたよりに

うめのはな−しるへなくとも−たつねみむ−ふくかたにほふ−かせのたよりに


00264
未入力 真観 (xxx)

たえたえにかをれる梅のにほひかなよはの村風吹きにけらしも

たえたえに−かをれるうめの−にほひかな−よはのむらかせ−ふきにけらしも


00265
未入力 寂西 (xxx)

見にもこぬ人をやねたく梅かかをありと吹きやる春の夕風

みにもこぬ−ひとをやねたく−うめかかを−ありとふきやる−はるのゆふかせ


00266
未入力 為継 (xxx)

梅花あかぬ匂をいつかたにしらせかほなる風のふくらん

うめのはな−あかぬにほひを−いつかたに−しらせかほなる−かせのふくらむ


00267
未入力 経朝 (xxx)

にほひあれはよるともわかすをられけり風をたよりのやとの梅かえ

にほひあれは−よるともわかす−をられけり−かせをたよりの−やとのうめかえ


00268
未入力 行家 (xxx)

たをやめの花のま袖に吹きませて匂わかれぬ梅のした風

たをやめの−はなのまそてに−ふきませて−にほひわかれぬ−うめのしたかせ


00269
未入力 成茂 (xxx)

軒はなるねこしの梅のさきしより花のかにのみ春風そ吹く

のきはなる−ねこしのうめの−さきしより−はなのかにのみ−はるかせそふく


00270
未入力 隆祐 (xxx)

梅かかを我か袖まてはさそひきてよそになすきそ春の夕風

うめかかを−わかそてまては−さそひきて−よそになすきそ−はるのゆふかせ


00271
未入力 禅信 (xxx)

梅花にほふ軒はもとはれけり風こそやとのしるへなりけれ

うめのはな−にほふのきはも−とはれけり−かせこそやとの−しるへなりけれ


00272
未入力 高倉 (xxx)

むめのはな色こそやみはあやなけれにほふは風のしるへなりけり

うめのはな−いろこそやみは−あやなけれ−にほふはかせの−しるへなりけり


00273
未入力 按察 (xxx)

さても猶色そゆかしき梅花かを吹きかくる風はあれとも

さてもなほ−いろそゆかしき−うめのはな−かをふきかくる−かせはあれとも


00274
未入力 帥 (xxx)

色まかふおほろ月夜の梅花にほひはしるき春風そ吹く

いろまかふ−おほろつきよの−うめのはな−にほひはしるき−はるかせそふく


00275
未入力 小宰相 (xxx)

梅花色をのこして吹く風はかこそあはれとおもひそめける

うめのはな−いろをのこして−ふくかせは−かこそあはれと−おもひそめける


00276
未入力 俊成女 (xxx)

吹きすきてこれかとにほふ梅かかのそなたの風やむかしなるらん

ふきすきて−これかとにほふ−うめかかの−そなたのかせや−むかしなるらむ


00277
未入力 少将内侍 (xxx)

梅花ありとそここに匂ひけるたもとにすくる春の夕かせ

うめのはな−ありとそここに−にほひける−たもとにすくる−はるのゆふかせ


00278
未入力 弁内侍 (xxx)

梅かえの風のたよりのあやしきは風ににほひをつくるなりけり

うめかえの−かせのたよりの−あやしきは−かせににほひを−つくるなりけり


00279
未入力 但馬 (xxx)

いまそみる風をしるへに尋ぬれは思はぬやとの梅の立枝を

いまそみる−かせをしるへに−たつぬれは−おもはぬやとの−うめのたちえを


00280
未入力 下野 (xxx)

吹く風のにほひそ人にしらせける深山かくれの梅のさかりは

ふくかせの−にほひそひとに−しらせける−みやまかくれの−うめのさかりは


00281
未入力 御製 (xxx)

玉桙の道ならなくにはるはるとよりてそみつる青柳の糸

たまほこの−みちならなくに−はるはると−よりてそみつる−あをやきのいと


00282
未入力 道助 (xxx)

道のへや岸の柳の春風と老のちからといつれよわけむ

みちのへや−きしのやなきの−はるかせと−おいのちからと−いつれよわけむ


00283
未入力 実氏 (xxx)

みちのへの一本柳ふしてなひきおきてみたるる春風そ吹く

みちのへの−ひともとやなき−ふしてなひき−おきてみたるる−はるかせそふく


00284
未入力 基家 (xxx)

道の辺に染めてみたるる青柳のかみなひ山をけふやこえなん

みちのへに−そめてみたるる−あをやきの−かみなひやまを−けふやこえなむ


00285
未入力 家良 (xxx)

たかせさす川そひ柳もえぬれはさをてやすらふ春の旅人

たかせさす−かはそひやなき−もえぬれは−さをてやすらふ−はるのたひひと


00286
未入力 基良 (xxx)

打ちなひき春さりくれは道のへに染めてみたるる青柳の糸

うちなひき−はるさりくれは−みちのへに−そめてみたるる−あをやきのいと


00287
未入力 隆親 (xxx)

過きやらて行ての契むすふともたかためなひく青柳のいと

すきやらて−ゆくてのちきり−むすふとも−たかためなひく−あをやきのいと


00288
未入力 為家 (xxx)

浅緑まつ染めてけり青柳の陰ふむ道はいまた冬野に

あさみとり−まつそめてけり−あをやきの−かけふむみちは−いまたふゆのに


00289
未入力 公相 (xxx)

すききつる淀のわたりはかすみつつ川そひ柳春風そふく

すききつる−よとのわたりは−かすみつつ−かはそひやなき−はるかせそふく


00290
未入力 実雄 (xxx)

玉桙の道の行手によりかけてはなたの帯のなひく青柳

たまほこの−みちのゆくてに−よりかけて−はなたのおひの−なひくあをやき


00291
未入力 信覚 (xxx)

青柳のかつらの里のふかみとりみちのたたちに春風そふく

あをやきの−かつらのさとの−ふかみとり−みちのたたちに−はるかせそふく


00292
未入力 為経 (xxx)

立ちよりてみてこそゆかめ玉桙の行ききの道のあをやきの糸

たちよりて−みてこそゆかめ−たまほこの−ゆききのみちの−あをやきのいと


00293
未入力 忠定 (xxx)

行くままにとをちの村の柳原たのめしやとも猶かすみつつ

ゆくままに−とをちのむらの−やなきはら−たのめしやとも−なほかすみつつ


00294
未入力 責季 (xxx)

いそくともよりてやみまし棹姫の春のかつらの青柳の糸

いそくとも−よりてやみまし−さほひめの−はるのかつらの−あをやきのいと


00295
未入力 頼氏 (xxx)

道のへの賀茂の河原の柳かけ春のゆききにたれならすらん

みちのへの−かものかはらの−やなきかけ−はるのゆききに−たれならすらむ


00296
未入力 有教 (xxx)

玉桙の道のへ柳春くれは行きかふ人のかさしにそをる

たまほこの−みちのへやなき−はるくれは−ゆきかふひとの−かさしにそをる


00297
未入力 師継 (xxx)

浅みとり染めかけしより玉柳をちかた人のかつらとそみる

あさみとり−そめかけしより−たまやなき−をちかたひとの−かつらとそみる


00298
未入力 定嗣 (xxx)

道の辺にみたれてなひく青柳の木立もみえぬかけをふむかな

みちのへに−みたれてなひく−あをやきの−こたちもみえぬ−かけをふむかな


00299
未入力 成実 (xxx)

青柳のいともてぬける玉桙の道行きくるる野へのしら雪

あをやきの−いともてぬける−たまほこの−みちゆきくるる−のへのしらゆき


00300
未入力 遮性 (xxx)

青柳の花のかつらのなかき日にうちたえゆけと道そはるけき

あをやきの−はなのかつらの−なかきひに−うちたえゆけと−みちそはるけき


00301
未入力 顕氏 (xxx)

行末の里のしるへの夕けふり色をまかへてなひく青柳

ゆくすゑの−さとのしるへの−ゆふけふり−いろをまかへて−なひくあをやき


00302
未入力 寂能 (xxx)

道のへに柳のいとをそめさらしおるや錦の立ちそわつらふ

みちのへに−やなきのいとを−そめさらし−おるやにしきの−たちそわつらふ


00303
未入力 為氏 (xxx)

道のへの川そひ柳いとはやも春くる色に打ちなひきつつ

みちのへの−かはそひやなき−いとはやも−はるくるいろに−うちなひきつつ


00304
未入力 真観 (xxx)

さされふみはや行きてみむさほちなる川そひ柳もえ渡るらし

さされふみ−はやゆきてみむ−さほちなる−かはそひやなき−もえわたるらし


00305
未入力 寂西 (xxx)

うちなひき行ての方やをしふらん道のさかひの青柳の糸

うちなひき−ゆくてのかたや−をしふらむ−みちのさかひの−あをやきのいと


00306
未入力 為継 (xxx)

青柳のしつえのいとのまつはれてすきこそやらね春の山道

あをやきの−しつえのいとの−まつはれて−すきこそやらね−はるのやまみち


00307
未入力 経朝 (xxx)

しるしらすしはしやすらふ旅人のゆききのをかになひく青柳

しるしらす−しはしやすらふ−たひひとの−ゆききのをかに−なひくあをやき


00308
未入力 行家 (xxx)

打ちわたすこまひきとめて佐保川の岸の柳のなひく影みむ

うちわたす−こまひきとめて−さほかはの−きしのやなきの−なひくかけみむ


00309
未入力 成茂 (xxx)

道のへに朽ちぬと思ひし古柳春日まちえてひこはえにけり

みちのへに−くちぬとおもひし−ふるやなき−はるひまちえて−ひこはえにけり


00310
未入力 隆祐 (xxx)

川辺行くむかひの岸の柳原そかひに成りて遠さかりぬる

かはへゆく−むかひのきしの−やなきはら−そかひになりて−とほさかりぬる


00311
未入力 禅信 (xxx)

駒とめてしはし水かふ河柳うつるもなひく影そみえける

こまとめて−しはしみつかふ−かはやなき−うつるもなひく−かけそみえける


00312
未入力 高倉 (xxx)

風ふけは岸の青柳打ちなひき道さへたとる春の夕くれ

かせふけは−きしのあをやき−うちなひき−みちさへたとる−はるのゆふくれ


00313
未入力 按察 (xxx)

長き日に春しきぬれはおほのちにしけくもみゆる柳かけかな

なかきひに−はるしきぬれは−おほのちに−しけくもみゆる−やなきかけかな


00314
未入力 帥 (xxx)

道のへの河そひ柳春くれは行きかふ人の袖にかけつつ

みちのへの−かはそひやなき−はるくれは−ゆきかふひとの−そてにかけつつ


00315
未入力 小宰相 (xxx)

棹姫の手そめの糸の青柳を道のゆききに春をへてみる

さほひめの−てそめのいとの−あをやきを−みちのゆききに−はるをへてみる


00316
未入力 俊成女 (xxx)

なひくともゆくてにかけてたよりにもくる人そなき青柳の糸

なひくとも−ゆくてにかけて−たよりにも−くるひとそなき−あをやきのいと


00317
未入力 少将内侍 (xxx)

山陰の木のしたすきて行く道にしはしかたよれ青柳のいと

やまかけの−このしたすきて−ゆくみちに−しはしかたよれ−あをやきのいと


00318
未入力 弁内侍 (xxx)

玉桙の道の行ききにくる人のうたてもなひく青柳のいと

たまほこの−みちのゆききに−くるひとの−うたてもなひく−あをやきのいと


00319
未入力 但馬 (xxx)

我のみやむもれはてなむ道のへの朽木の柳春はわすれす

われのみや−うもれはてなむ−みちのへの−くちきのやなき−はるはわすれす


00320
未入力 下野 (xxx)

くりかへしあかぬ心そとまりける行てにみつる青柳のいと

くりかへし−あかぬこころそ−とまりける−ゆくてにみつる−あをやきのいと


00321
未入力 御製 (xxx)

なかしとは名にこそたてれ春雨のふりつるなへにけふもくれつつ

なかしとは−なにこそたてれ−はるさめの−ふりつるなへに−けふもくれつつ


00322
未入力 道助 (xxx)

立ちぬるる花のしつくかしら玉のをやみたにせす春雨そふる

たちぬるる−はなのしつくか−しらたまの−をやみたにせす−はるさめそふる


00323
未入力 実氏 (xxx)

とははやな心よいかにともすれはなかめられぬる春雨のそら

とははやな−こころよいかに−ともすれは−なかめられぬる−はるさめのそら


00324
未入力 基家 (xxx)

しつのをかかへすあら田のうき土に道ふみかぬる春雨の比

しつのをか−かへすあらたの−うきつちに−みちふみかぬる−はるさめのころ


00325
未入力 家良 (xxx)

いたつらにふりぬと思ひし春雨のめくみあまねき御代にあひつつ

いたつらに−ふりぬとおもひし−はるさめの−めくみあまねき−みよにあひつつ


00326
未入力 基良 (xxx)

春雨のあまねき御代のめくみとはたのむものからぬるる袖かな

はるさめの−あまねきみよの−めくみとは−たのむものから−ぬるるそてかな


00327
未入力 隆親 (xxx)

里わかぬうるほひ四方にあふくかな君かめくみの春雨の空

さとわかぬ−うるほひよもに−あふくかな−きみかめくみの−はるさめのそら


00328
未入力 為家 (xxx)

をちこちもわかすや雨にうるふらんあまねき君か春のめくみは

をちこちも−わかすやあめに−うるふらむ−あまねききみか−はるのめくみは


00329
未入力 公相 (xxx)

あまの原へたててふかき霞よりいかにもりてか春雨のふる

あまのはら−へたててふかき−かすみより−いかにもりてか−はるさめのふる


00330
未入力 実雄 (xxx)

みな人も君かめくみをたのむらんこのめは春の雨そそくなり

みなひとも−きみかめくみを−たのむらむ−このめははるの−あめそそくなり


00331
未入力 信覚 (xxx)

春の雨のふりにし御代に帰りきて身の霜かれを哀とはみよ

はるのあめの−ふりにしみよに−かへりきて−みのしもかれを−あはれとはみよ


00332
未入力 為経 (xxx)

浅緑そむるもしるく我かせこか衣春雨いまふりぬなり

あさみとり−そむるもしるく−わかせこか−ころもはるさめ−いまふりぬなり


00333
未入力 忠定 (xxx)

一しほをそめてふりける春雨も色こそみえね松のした露

ひとしほを−そめてふりける−はるさめも−いろこそみえね−まつのしたつゆ


00334
未入力 資季 (xxx)

時雨には色もかはらぬ松かえに緑をそへて春雨そふる

しくれには−いろもかはらぬ−まつかえに−みとりをそへて−はるさめそふる


00335
未入力 頼氏 (xxx)

くるとあくといくかもしらぬ春雨にすけのをかさのいとまなき比

くるとあくと−いくかもしらぬ−はるさめに−すけのをかさの−いとまなきころ


00336
未入力 有教 (xxx)

おしなへてよもの山への草木まてめくみあまねき春雨そ降る

おしなへて−よものやまへの−くさきまて−めくみあまねき−はるさめそふる


00337
未入力 師継 (xxx)

かきくもり雨はふりきぬ鴬の梅の花かさわれにかさなん

かきくもり−あめはふりきぬ−うくひすの−うめのはなかさ−われにかさなむ


00338
未入力 定嗣 (xxx)

春雨のめくみあまねき君か代に跡を尋ねてふるかひそある

はるさめの−めくみあまねき−きみかよに−あとをたつねて−ふるかひそある


00339
未入力 成実 (xxx)

もらすなよあまねき御代の春雨のふりぬる身にも哀かけつつ

もらすなよ−あまねきみよの−はるさめの−ふりぬるみにも−あはれかけつつ


00340
未入力 蓮性 (xxx)

こほりせし山のたるみの音たてていま春雨も岩たたくなる

こほりせし−やまのたるみの−おとたてて−いまはるさめも−いはたたくなる


00341
未入力 顕氏 (xxx)

春雨のふるののをささ年をへてかはらすなから猶そ色こき

はるさめの−ふるののをささ−としをへて−かはらすなから−なほそいろこき


00342
未入力 寂能 (xxx)

たらちねのをやます雨のふることはこのめもはるの色に出てつつ

たらちねの−をやますあめの−ふることは−このめもはるの−いろにいてつつ


00343
未入力 為氏 (xxx)

浅緑このめ春雨ふるなへにかれふのをのそ色まさり行く

あさみとり−このめはるさめ−ふるなへに−かれふのをのそ−いろまさりゆく


00344
未入力 真観 (xxx)

あひにあふ野への草木の気色まてたたにはみえぬ春の雨かな

あひにあふ−のへのくさきの−けしきまて−たたにはみえぬ−はるのあめかな


00345
未入力 寂西 (xxx)

やとからの身のつれつれの雨により春日もことにくらしかねつつ

やとからの−みのつれつれの−あめにより−はるひもことに−くらしかねつつ


00346
未入力 為継 (xxx)

山陰に花まつほとのさひしさのなかめをそへて春雨そふる

やまかけに−はなまつほとの−さひしさの−なかめをそへて−はるさめそふる


00347
未入力 経朝 (xxx)

野も山もかはるけしきの浅緑いま一しほのはるさめそふる

のもやまも−かはるけしきの−あさみとり−いまひとしほの−はるさめそふる


00348
未入力 行家 (xxx)

かくしてや花もにほはむ昨日けふ春雨ふりぬたかまとの山

かくしてや−はなもにほはむ−きのふけふ−はるさめふりぬ−たかまとのやま


00349
未入力 成茂 (xxx)

草も木もあらたまれとも春雨に我か身一そふりまさりける

くさもきも−あらたまれとも−はるさめに−わかみひとつそ−ふりまさりける


00350
未入力 隆祐 (xxx)

ぬれてたに御代のめくみにもれしとてをかさもとらぬ春雨の空

ぬれてたに−みよのめくみに−もれしとて−をかさもとらぬ−はるさめのそら


00351
未入力 禅信 (xxx)

春雨のふるの神杉いかにしてかはらぬ色にそめはしめけん

はるさめの−ふるのかみすき−いかにして−かはらぬいろに−そめはしめけむ


00352
未入力 高倉 (xxx)

つくつくとくもるもなかき春の日の身をしるあめそ晴間たになき

つくつくと−くもるもなかき−はるのひの−みをしるあめそ−はれまたになき


00353
未入力 按察 (xxx)

春の雨いつらは色もみえなくに野へをみとりにいかてそむらん

はるのあめ−いつらはいろも−みえなくに−のへをみとりに−いかてそむらむ


00354
未入力 帥 (xxx)

いととしくくらしかねたるこの比のなかなかしけに春雨そふる

いととしく−くらしかねたる−このころの−なかなかしけに−はるさめそふる


00355
未入力 小宰相 (xxx)

おきもせすねもせぬよはの名残かは雨ふりくらすけふのなかめは

おきもせす−ねもせぬよはの−なこりかは−あめふりくらす−けふのなかめは


00356
未入力 俊成女 (xxx)

袖にさへふる春雨のもるやとは忍草おふる露やおくらん

そてにさへ−ふるはるさめの−もるやとは−しのふくさおふる−つゆやおくらむ


00357
未入力 少将内侍 (xxx)

けふも又ふりやくらさむ片岡のあしたの原の春雨の空

けふもまた−ふりやくらさむ−かたをかの−あしたのはらの−はるさめのそら


00358
未入力 弁内侍 (xxx)

さもこそはこのめも春の雨ならめ板間をもると袖やぬれなん

さもこそは−このめもはるの−あめならめ−いたまをもると−そてやぬれなむ


00359
未入力 但馬 (xxx)

春雨のふるの神杉たちよれとかけもかひなくぬるる袖かな

はるさめの−ふるのかみすき−たちよれと−かけもかひなく−ぬるるそてかな


00360
未入力 下野 (xxx)

のとかなる御代のしるしをみせかほに四方の草木もめくむ春雨

のとかなる−みよのしるしを−みせかほに−よものくさきも−めくむはるさめ


00361
未入力 御製 (xxx)

あかねさす紫野にも名のみしておなし緑の春のわかくさ

あかねさす−むらさきのにも−なのみして−おなしみとりの−はるのわかくさ


00362
未入力 道助 (xxx)

時しあれはかはるなかめそうつり行くこそのかれ葉も野への若草

ときしあれは−かはるなかめそ−うつりゆく−こそのかれはも−のへのわかくさ


00363
未入力 実氏 (xxx)

春日野にまたうらわかきさいたつまつまこもるともいふ人やなき

かすかのに−またうらわかき−さいたつま−つまこもるとも−いふひとやなき


00364
未入力 基家 (xxx)

嶺にのみけふりはあをしふしの山すそのももゆる春のわか草

みねにのみ−けふりはあをし−ふしのやま−すそのももゆる−はるのわかくさ


00365
未入力 家良 (xxx)

もえそめていくかもあらぬ初草のあさ野の原はききす鳴くなり

もえそめて−いくかもあらぬ−はつくさの−あさののはらは−ききすなくなり


00366
未入力 基良 (xxx)

武蔵野にはる待ちえたる若草の行末とほきあさみとりかな

むさしのに−はるまちえたる−わかくさの−ゆくすゑとほき−あさみとりかな


00367
未入力 隆親 (xxx)

みわたせはむら消えわたる雪間より下もえにける野への若草

みわたせは−むらきえわたる−ゆきまより−したもえにける−のへのわかくさ


00368
未入力 為家 (xxx)

春くれはあらたまり行くわか草にいつくふるのの名かのこるへき

はるくれは−あらたまりゆく−わかくさに−いつくふるのの−なかのこるへき


00369
未入力 公相 (xxx)

春くれは荻のやけ原跡とめて又もえいつる野へのわか草

はるくれは−をきのやけはら−あととめて−またもえいつる−のへのわかくさ


00370
未入力 実雄 (xxx)

唐衣すそ野の草のうらわかみ春しきぬれは浅緑なり

からころも−すそののくさの−うらわかみ−はるしきぬれは−あさみとりなり


00371
未入力 信覚 (xxx)

春日野やかれ葉にましる若草のつまもこもらぬ春のあさ明

かすかのや−かれはにましる−わかくさの−つまもこもらぬ−はるのあさあけ


00372
未入力 為経 (xxx)

日影さすかきほの雪のむら消にまつもえいつる春のわか草

ひかけさす−かきほのゆきの−むらきえに−まつもえいつる−はるのわかくさ


00373
未入力 忠定 (xxx)

冬かれものこる雪まの浅みとりややみえそむる野への若草

ふゆかれも−のこるゆきまの−あさみとり−ややみえそむる−のへのわかくさ


00374
未入力 資季 (xxx)

ふみ分けて荻のやけ原いつしかと下もえわたる野へのわか草

ふみわけて−をきのやけはら−いつしかと−したもえわたる−のへのわかくさ


00375
未入力 頼氏 (xxx)

焼きすてし跡ともみえす春草の緑そとほきむさしのの原

やきすてし−あとともみえす−はるくさの−みとりそとほき−むさしののはら


00376
未入力 有教 (xxx)

野へは猶またわか草の浅緑雪間をわけて春はきにけり

のへはなほ−またわかくさの−あさみとり−ゆきまをわけて−はるはきにけり


00377
未入力 師継 (xxx)

霜かれの草はみなからもえにけり春のひかりのやふしわかねは

しもかれの−くさはみなから−もえにけり−はるのひかりの−やふしわかねは


00378
未入力 定嗣 (xxx)

みむろ山この目も春に成りぬれはまつ下草そ浅みとりなる

みむろやま−このめもはるに−なりぬれは−まつしたくさそ−あさみとりなる


00379
未入力 成実 (xxx)

冬かれの霜の下草わかたちに春青葉なる野への色かな

ふゆかれの−しものしたくさ−わかたちに−はるあをはなる−のへのいろかな


00380
未入力 蓮性 (xxx)

日をへては緑そまさるたまさかにきさすと見えしのへの初草

ひをへては−みとりそまさる−たまさかに−きさすとみえし−のへのはつくさ


00381
未入力 顕氏 (xxx)

若葉さすかきほの草の浅緑またふかからぬ春の色かな

わかはさす−かきほのくさの−あさみとり−またふかからぬ−はるのいろかな


00382
未入力 寂能 (xxx)

あしつののおひ出てそめしそのかみに草葉みなから春を知りける

あしつのの−おひいてそめし−そのかみに−くさはみなから−はるをしりける


00383
未入力 為氏 (xxx)

春日野のをのの冬草したもえてひとつ緑に成りにけるかな

かすかのの−をののふゆくさ−したもえて−ひとつみとりに−なりにけるかな


00384
未入力 真観 (xxx)

みよしののやけふをみれはいとはやもにひ草もえて浅みとりなり

みよしのの−やけふをみれは−いとはやも−にひくさもえて−あさみとりなり


00385
未入力 寂西 (xxx)

春のきてまた草たちに成りにけり見しはふるねの荻の焼原

はるのきて−またくさたちに−なりにけり−みしはふるねの−をきのやけはら


00386
未入力 為継 (xxx)

みわたせは一みとりの草わかみそれともわかぬ野への色かな

みわたせは−ひとつみとりの−くさわかみ−それともわかぬ−のへのいろかな


00387
未入力 経朝 (xxx)

ひはりたつやけのにもゆる若草に四方のめくみもしるき春かな

ひはりたつ−やけのにもゆる−わかくさに−よものめくみも−しるきはるかな


00388
未入力 行家 (xxx)

霜かれのすくろの薄もえ出てて粟津のをのは浅みとりなり

しもかれの−すくろのすすき−もえいてて−あはつのをのは−あさみとりなり


00389
未入力 成茂 (xxx)

霜おける老木のかけのこ草まて春のめくみにもらさすもかな

しもおける−おいきのかけの−こくさまて−はるのめくみに−もらさすもかな


00390
未入力 隆祐 (xxx)

ふみわけむ跡こそ猶もいとはるれ雪より後の春のわか草

ふみわけむ−あとこそなほも−いとはるれ−ゆきよりのちの−はるのわかくさ


00391
未入力 禅信 (xxx)

はし鷹のかりはのをのの草わかみかくれもやらてききす鳴くなり

はしたかの−かりはのをのの−くさわかみ−かくれもやらて−ききすなくなり


00392
未入力 高倉 (xxx)

かつきゆる雪の下水露おきて春きにけりとしける若草

かつきゆる−ゆきのしたみつ−つゆおきて−はるきにけりと−しけるわかくさ


00393
未入力 按察 (xxx)

山かけの草葉みなからもえやらて宮こにみゆる春の色かな

やまかけの−くさはみなから−もえやらて−みやこにみゆる−はるのいろかな


00394
未入力 帥 (xxx)

やきすてし山のすそのの草の葉も春にしあへはもえてけるかな

やきすてし−やまのすそのの−くさのはも−はるにしあへは−もえてけるかな


00395
未入力 小宰相 (xxx)

初草のそれともみえぬ末葉よりやかてもぬるる春の朝露

はつくさの−それともみえぬ−すゑはより−やかてもぬるる−はるのあさつゆ


00396
未入力 俊成女 (xxx)

おのつから見えし雪間の緑まていま一しほの春の若草

おのつから−みえしゆきまの−みとりまて−いまひとしほの−はるのわかくさ


00397
未入力 少将内侍 (xxx)

野へはみなまたあさちふの下もえに春の日数の程もみえけり

のへはみな−またあさちふの−したもえに−はるのひかすの−ほともみえけり


00398
未入力 弁内侍 (xxx)

庭もせに緑はかりの下もえはなにの草ともわかれさりけり

にはもせに−みとりはかりの−したもえは−なにのくさとも−わかれさりけり


00399
未入力 但馬 (xxx)

おしなへておなし緑の春の色に空もひとつの野への若草

おしなへて−おなしみとりの−はるのいろに−そらもひとつの−のへのわかくさ


00400
未入力 下野 (xxx)

もえいつるわか葉の薄ほりわけて又うゑかへむこそのふるあと

もえいつる−わかはのすすき−ほりわけて−またうゑかへむ−こそのふるあと


00401
未入力 御製 (xxx)

いつはとは影はわかねと夜はの月かすめは春の物にそ有りける

いつはとは−かけはわかねと−よはのつき−かすめははるの−ものにそありける


00402
未入力 道助 (xxx)

煙立つおほろ月夜のかなしさも春のうみへに塩かまの浦

けふりたつ−おほろつきよの−かなしさも−はるのうみへに−しほかまのうら


00403
未入力 実氏 (xxx)

をしむへき雲のいつくの影もみすかすみてあくる春のよの月

をしむへき−くものいつくの−かけもみす−かすみてあくる−はるのよのつき


00404
未入力 基家 (xxx)

なかめきて年にそへたる哀とも身にしられぬる春の夜の月

なかめきて−としにそへたる−あはれとも−みにしられぬる−はるのよのつき


00405
未入力 家良 (xxx)

春の夜はかすみかすますわかねともおほろにいつる山のはの月

はるのよは−かすみかすます−わかねとも−おほろにいつる−やまのはのつき


00406
未入力 基良 (xxx)

大方はつもるなかめの老よりや春もおほろの月とみゆらん

おほかたは−つもるなかめの−おいよりや−はるもおほろの−つきとみゆらむ


00407
未入力 隆親 (xxx)

塩かまのけふりや空にたゆむらん薄雲はるる春の夜の月

しほかまの−けふりやそらに−たゆむらむ−うすくもはるる−はるのよのつき


00408
未入力 為家 (xxx)

かすむよの月のかつらも木間より光を花とうつろひにけり

かすむよの−つきのかつらも−このまより−ひかりをはなと−うつろひにけり


00409
未入力 公相 (xxx)

おほろ夜の名にこそたてれ山のはの霞のほかにいつる月影

おほろよの−なにこそたてれ−やまのはの−かすみのほかに−いつるつきかけ


00410
未入力 実雄 (xxx)

なかむれはこぬ人またる春のよの月こそうたて空たのめなれ

なかむれは−こぬひとまたる−はるのよの−つきこそうたて−そらたのめなれ


00411
未入力 信覚 (xxx)

しほたるる昔の春を思ひ出てて心よりみるおほろ月よそ

しほたるる−むかしのはるを−おもひいてて−こころよりみる−おほろつきよそ


00412
未入力 為経 (xxx)

大方にかはらぬ月の影も猶春のならひとかすむ空かな

おほかたに−かはらぬつきの−かけもなほ−はるのならひと−かすむそらかな


00413
未入力 忠定 (xxx)

いかにして春のひかりもしらぬ身にかすめる月の袖にみゆらん

いかにして−はるのひかりも−しらぬみに−かすめるつきの−そてにみゆらむ


00414
未入力 資季 (xxx)

夜はの月かすむとまてはなき空も春はなにゆゑおほろなるらん

よはのつき−かすむとまては−なきそらも−はるはなにゆゑ−おほろなるらむ


00415
未入力 頼氏 (xxx)

春のよのおほろのし水きてみれは月もたよりの影そうつろふ

はるのよの−おほろのしみつ−きてみれは−つきもたよりの−かけそうつろふ


00416
未入力 有教 (xxx)

忘れすよ人やわすれむ契りおきし春や昔の春のよの月

わすれすよ−ひとやわすれむ−ちきりおきし−はるやむかしの−はるのよのつき


00417
未入力 師継 (xxx)

はれくもる一かたならすかすみつつ空にそしるき春の夜の月

はれくもる−ひとかたならす−かすみつつ−そらにそしるき−はるのよのつき


00418
未入力 定嗣 (xxx)

春霞たなひく山もくらからす出ててみせたる夜はの月かな

はるかすみ−たなひくやまも−くらからす−いててみせたる−よはのつきかな


00419
未入力 成実 (xxx)

梅かえの花にうつろふ久方の月のかつらもにほふはるかせ

うめかえの−はなにうつろふ−ひさかたの−つきのかつらも−にほふはるかせ


00420
未入力 蓮性 (xxx)

かすみしく空とないひそこれは又春の時しるおほろ月よそ

かすみしく−そらとないひそ−これはまた−はるのときしる−おほろつきよそ


00421
未入力 顕氏 (xxx)

村雲をなにかはいとふ夜はの月かすめる空は絶またになし

むらくもを−なにかはいとふ−よはのつき−かすめるそらは−たえまたになし


00422
未入力 寂能 (xxx)

山のははむら雲かすむ春の空月はいつくのほとを出つらん

やまのはは−むらくもかすむ−はるのそら−つきはいつくの−ほとをいつらむ


00423
未入力 為氏 (xxx)

久方のおなしそらにはみゆれともかすみてかはる春の月影

ひさかたの−おなしそらには−みゆれとも−かすみてかはる−はるのつきかけ


00424
未入力 真観 (xxx)

はるかさてやみにし身をそ思ひしるかすめる月のよはの哀に

はるかさて−やみにしみをそ−おもひしる−かすめるつきの−よはのあはれに


00425
未入力 寂西 (xxx)

かすむ夜の月そと思へと忘れてはさやけからぬそつらさなりける

かすむよの−つきそとおもへと−わすれては−さやけからぬそ−つらさなりける


00426
未入力 為継 (xxx)

夕霞はれぬならひとみゆるよりおほろにいつる山のはの月

ゆふかすみ−はれぬならひと−みゆるより−おほろにいつる−やまのはのつき


00427
未入力 経朝 (xxx)

ますかかみみるめの浦やくもるらん霞そうすき春の夜の月

ますかかみ−みるめのうらや−くもるらむ−かすみそうすき−はるのよのつき


00428
未入力 行家 (xxx)

ときつ風霞吹きとけあまの原すむらんままの月のかけみむ

ときつかせ−かすみふきとけ−あまのはら−すむらむままの−つきのかけみむ


00429
未入力 成茂 (xxx)

おほろさは春のならひの月をさへ老のとかくとうらみつるかな

おほろさは−はるのならひの−つきをさへ−おいのとかくと−うらみつるかな


00430
未入力 隆祐 (xxx)

春のよの霞ににほふひかりにもくもらてふくる月はみえけり

はるのよの−かすみににほふ−ひかりにも−くもらてふくる−つきはみえけり


00431
未入力 禅信 (xxx)

月かけにむかしの春を思出てて我か身一とたれなかむらん

つきかけに−むかしのはるを−おもひいてて−わかみひとつと−たれなかむらむ


00432
未入力 高倉 (xxx)

思ひいつる春は昔の月なからわか身ひとつそうきにかはれる

おもひいつる−はるはむかしの−つきなから−わかみひとつそ−うきにかはれる


00433
未入力 按察 (xxx)

涙にそくもりははつる春の空おほろ月夜もよそにへたてて

なみたにそ−くもりははつる−はるのそら−おほろつきよも−よそにへたてて


00434
未入力 帥 (xxx)

いとと又霞もふかきみ山よりほのかにいつる春の夜の月

いととまた−かすみもふかき−みやまより−ほのかにいつる−はるのよのつき


00435
未入力 小宰相 (xxx)

かすむよの木間もりくる影よりそ月に哀をそへてみるらん

かすむよの−このまもりくる−かけよりそ−つきにあはれを−そへてみるらむ


00436
未入力 俊成女 (xxx)

なかむれと我か身一のあらぬよに昔ににたる春のよの月

なかむれと−わかみひとつの−あらぬよに−むかしににたる−はるのよのつき


00437
未入力 少将内侍 (xxx)

くもるとはみえぬものから久方の空にかすめる春の夜の月

くもるとは−みえぬものから−ひさかたの−そらにかすめる−はるのよのつき


00438
未入力 弁内侍 (xxx)

うちたえていつを霞の絶まともみえぬよころの月の影かな

うちたえて−いつをかすみの−たえまとも−みえぬよころの−つきのかけかな


00439
未入力 但馬 (xxx)

すみわひぬ問ふ人あれな月影のおほろけならぬ宿のさひしさ

すみわひぬ−とふひとあれな−つきかけの−おほろけならぬ−やとのさひしさ


00440
未入力 下野 (xxx)

ふかきよの哀もそらにしられけりおほろにかすむ春の月影

ふかきよの−あはれもそらに−しられけり−おほろにかすむ−はるのつきかけ


00441
未入力 御製 (xxx)

なにゆゑにいさなはれつつ雁かねの行きては帰るならひなるらん

なにゆゑに−いさなはれつつ−かりかねの−ゆきてはかへる−ならひなるらむ


00442
未入力 道助 (xxx)

あけわたると山の末の横雲にはねうちかはしかへるかりかね

あけわたる−とやまのすゑの−よこくもに−はねうちかはし−かへるかりかね


00443
未入力 実氏 (xxx)

たかためにこし雁かねときかねとも帰るはつらき春のわかれち

たかために−こしかりかねと−きかねとも−かへるはつらき−はるのわかれち


00444
未入力 基家 (xxx)

うす衣かけほす山の雲まよりたな引く雁や春の下帯

うすころも−かけほすやまの−くもまより−たなひくかりや−はるのしたおひ


00445
未入力 家良 (xxx)

立ちかへる雲の衣をかさねても猶うらめしき春のかりかね

たちかへる−くものころもを−かさねても−なほうらめしき−はるのかりかね


00446
未入力 基良 (xxx)

しののめの霞の衣きぬきぬに立ちわかれてやかへるかりかね

しののめの−かすみのころも−きぬきぬに−たちわかれてや−かへるかりかね


00447
未入力 隆親 (xxx)

秋風に霧とひわけし雁かねの霞にかへる春はきにけり

あきかせに−きりとひわけし−かりかねの−かすみにかへる−はるはきにけり


00448
未入力 為家 (xxx)

あきかせにさこそ名残はをしみけめこしちしられて帰る雁金

あきかせに−さこそなこりは−をしみけめ−こしちしられて−かへるかりかね


00449
未入力 公相 (xxx)

くれゆかはいつくとまりと白雲にはねうちかはしかへるかりかね

くれゆかは−いつくとまりと−しらくもに−はねうちかはし−かへるかりかね


00450
未入力 実雄 (xxx)

帰る山おのかこしちにありといへはさそやとまらぬ春のかり金

かへるやま−おのかこしちに−ありといへは−さそやとまらぬ−はるのかりかね


00451
未入力 信覚 (xxx)

かへる雁おのかわかれはしらねとも遠さかり行く声そかなしき

かへるかり−おのかわかれは−しらねとも−とほさかりゆく−こゑそかなしき


00452
未入力 為経 (xxx)

あらたまる年にやならふ雁かねの春くることに立ちかへるらん

あらたまる−としにやならふ−かりかねの−はるくることに−たちかへるらむ


00453
未入力 忠定 (xxx)

はるはると霞をわけてみこしちや雪ふる山に帰るかりかね

はるはると−かすみをわけて−みこしちや−ゆきふるやまに−かへるかりかね


00454
未入力 資季 (xxx)

帰る山おのかためとやいひおきしなれてとまらぬ春のかりかね

かへるやま−おのかためとや−いひおきし−なれてとまらぬ−はるのかりかね


00455
未入力 頼氏 (xxx)

山風にそら行く雲も坂こえてあへの田面に帰るかりかね

やまかせに−そらゆくくもも−さかこえて−あへのたのもに−かへるかりかね


00456
未入力 有教 (xxx)

都をは霞とともにかへるかりこしちは春やたちまさるらん

みやこをは−かすみとともに−かへるかり−こしちははるや−たちまさるらむ


00457
未入力 師継 (xxx)

はるかすみ猶たちかくせ帰る山こえ行く雁の道まとふかに

はるかすみ−なほたちかくせ−かへるやま−こえゆくかりの−みちまとふかに


00458
未入力 定嗣 (xxx)

あまの原道とほみかもかすみつつ古郷をしもかへるかり金

あまのはら−みちとほみかも−かすみつつ−ふるさとをしも−かへるかりかね


00459
未入力 成実 (xxx)

帰る雁あけ行くそらはかすみつつみねにわかるる春の白雲

かへるかり−あけゆくそらは−かすみつつ−みねにわかるる−はるのしらくも


00460
未入力 蓮性 (xxx)

たひの空かりのは衣立ちかへりまた故郷の春いそくらし

たひのそら−かりのはころも−たちかへり−またふるさとの−はるいそくらし


00461
未入力 顕氏 (xxx)

さく花に思ひつく身もあるものをよそに見すてて帰るかり金

さくはなに−おもひつくみも−あるものを−よそにみすてて−かへるかりかね


00462
未入力 寂能 (xxx)

あけほのはいつくの山も春そかし宮このほかに帰るかりかね

あけほのは−いつくのやまも−はるそかし−みやこのほかに−かへるかりかね


00463
未入力 為氏 (xxx)

帰るさを何いそくらん人やりの道ならなくにはるのかり金

かへるさを−なにいそくらむ−ひとやりの−みちならなくに−はるのかりかね


00464
未入力 真観 (xxx)

のとかなる雲井の雁のわきていま北にむかふはよそいのるらん

のとかなる−くもゐのかりの−わきていま−きたにむかふは−よそいのるらむ


00465
未入力 寂西 (xxx)

いくつらにはや成りぬらん今はとて帰りたちぬる春のかりかね

いくつらに−はやなりぬらむ−いまはとて−かへりたちぬる−はるのかりかね


00466
未入力 為継 (xxx)

とほさかる程は雲井の春のかりいまはこしちの空に鳴くなる

とほさかる−ほとはくもゐの−はるのかり−いまはこしちの−そらになくなる


00467
未入力 経朝 (xxx)

しるへなき八重のしほちの舟人は帰るかりにや北をわくらん

しるへなき−やへのしほちの−ふなひとは−かへるかりにや−きたをわくらむ


00468
未入力 行家 (xxx)

白雲の道行きくらし帰るかり空にや旅のやとさたむらん

しらくもの−みちゆきくらし−かへるかり−そらにやたひの−やとさたむらむ


00469
未入力 成茂 (xxx)

いつしかとおのかこしちの帰る山ありとやいそく春のかり金

いつしかと−おのかこしちの−かへるやま−ありとやいそく−はるのかりかね


00470
未入力 隆祐 (xxx)

心から帰るわかれもしかすかに哀なれはや雁のなくらん

こころから−かへるわかれも−しかすかに−あはれなれはや−かりのなくらむ


00471
未入力 禅信 (xxx)

みるままにたか玉章の跡もなし雲路に消えて帰るかり金

みるままに−たかたまつさの−あともなし−くもちにきえて−かへるかりかね


00472
未入力 高倉 (xxx)

春の空をたか心よりわかるれはなくなく雁の立ちかへるらん

はるのそらを−たかこころより−わかるれは−なくなくかりの−たちかへるらむ


00473
未入力 按察 (xxx)

つゆはかりあまとふ雁は故郷に春とちきれることやあるらん

つゆはかり−あまとふかりは−ふるさとに−はるとちきれる−ことやあるらむ


00474
未入力 帥 (xxx)

みれとあかぬ花の都を立ちわかれうたても帰るはるのかり金

みれとあかぬ−はなのみやこを−たちわかれ−うたてもかへる−はるのかりかね


00475
未入力 小宰相 (xxx)

帰る雁たかいつはりにならひてか心もとめぬそらになくらん

かへるかり−たかいつはりに−ならひてか−こころもとめぬ−そらになくらむ


00476
未入力 俊成女 (xxx)

古郷の春や恋しき帰るかり秋はたつねしみやこなれとも

ふるさとの−はるやこひしき−かへるかり−あきはたつねし−みやこなれとも


00477
未入力 少将内侍 (xxx)

はるし又こしのしら山いかならん帰帰も雁はなくなり

はるしまた−こしのしらやま−いかならむ−かへるかへるも−かりはなくなり


00478
未入力 弁内侍 (xxx)

としことのならひはなにそ春をおきてあたし心の雁の別ち

としことの−ならひはなにそ−はるをおきて−あたしこころの−かりのわかれち


00479
未入力 但馬 (xxx)

暁のわかれや空にしりぬらん横雲わけて帰るかりかね

あかつきの−わかれやそらに−しりぬらむ−よこくもわけて−かへるかりかね


00480
未入力 下野 (xxx)

うらめしや春のけしきに成りぬれは忘れぬものと帰る雁かね

うらめしや−はるのけしきに−なりぬれは−わすれぬものと−かへるかりかね


00481
未入力 御製 (xxx)

いとはやもやとの桜はさきにけり花待つ人のここにしもくる

いとはやも−やとのさくらは−さきにけり−はなまつひとの−ここにしもくる


00482
未入力 道助 (xxx)

さきそむる梢すくなき花の色にかつかつ行きてをる心かな

さきそむる−こすゑすくなき−はなのいろに−かつかつゆきて−をるこころかな


00483
未入力 実氏 (xxx)

さくら色の初花そめのかり衣きてをやなれむ春の木下

さくらいろの−はつはなそめの−かりころも−きてをやなれむ−はるのこのもと


00484
未入力 基家 (xxx)

けふまては猶こもりえのはつせ山あまたにやらぬ花の色かな

けふまては−なほこもりえの−はつせやま−あまたにやらぬ−はなのいろかな


00485
未入力 家良 (xxx)

夜の程の雨にいそひてあし曳のをのへの桜さきそめにけり

よのほとの−あめにいそひて−あしひきの−をのへのさくら−さきそめにけり


00486
未入力 基良 (xxx)

さきそむる峰の桜のにほひより人の心そうつろひにける

さきそむる−みねのさくらの−にほひより−ひとのこころそ−うつろひにける


00487
未入力 隆親 (xxx)

尋ねきてをりもそやつす此里に花さきそむといひなちらしそ

たつねきて−をりもそやつす−このさとに−はなさきそむと−いひなちらしそ


00488
未入力 為家 (xxx)

とへかしな外のさくらのまたきまに一枝さける花のあるしを

とへかしな−ほかのさくらの−またきまに−ひとえたさける−はなのあるしを


00489
未入力 公相 (xxx)

ちるといふ名をたにきかし今年より春しりそむる初桜花

ちるといふ−なをたにきかし−ことしより−はるしりそむる−はつさくらはな


00490
未入力 実雄 (xxx)

都人外のさかりにとひなれてまつさく山の花をちらすな

みやこひと−ほかのさかりに−とひなれて−まつさくやまの−はなをちらすな


00491
未入力 信覚 (xxx)

軒はなる初花さくらあかなくにかねて日数の春もうらめし

のきはなる−はつはなさくら−あかなくに−かねてひかすの−はるもうらめし


00492
未入力 為経 (xxx)

しら雲のあまたにやらすたつた山初花桜いまさきにけり

しらくもの−あまたにやらす−たつたやま−はつはなさくら−いまさきにけり


00493
未入力 忠定 (xxx)

一枝も軒はの花やさきぬらん今夜枕に風かをるなり

ひとえたも−のきはのはなや−さきぬらむ−こよひまくらに−かせかをるなり


00494
未入力 資季 (xxx)

またれこし遠山桜さきにけりけさ立ちそむる峰のしら雲

またれこし−とほやまさくら−さきにけり−けさたちそむる−みねのしらくも


00495
未入力 頼氏 (xxx)

春の日のゆふ山さくらさきにけりあさゐる雲になかめせしまに

はるのひの−ゆふやまさくら−さきにけり−あさゐるくもに−なかめせしまに


00496
未入力 有教 (xxx)

待ちえても猶そまたるる山桜さく一枝のあかぬにほひを

まちえても−なほそまたるる−やまさくら−さくひとえたの−あかぬにほひを


00497
未入力 師継 (xxx)

葦曳の山の桜のさきそめて人の心も花になりつつ

あしひきの−やまのさくらの−さきそめて−ひとのこころも−はなになりつつ


00498
未入力 定嗣 (xxx)

またれつるこたかき山の桜花末たのもしくさきにけらしな

またれつる−こたかきやまの−さくらはな−すゑたのもしく−さきにけらしな


00499
未入力 成実 (xxx)

なかむれは初さくら花さきにけりいまそたつたの峰の白雲

なかむれは−はつさくらはな−さきにけり−いまそたつたの−みねのしらくも


00500
未入力 蓮性 (xxx)

春のきる花の衣のにひそめは日数かさねて色やますらん

はるのきる−はなのころもの−にひそめは−ひかすかさねて−いろやますらむ


00501
未入力 顕氏 (xxx)

昨日まてつれなくみえし我かやとの若木の桜いまさきにける

きのふまて−つれなくみえし−わかやとの−わかきのさくら−いまさきにける


00502
未入力 寂能 (xxx)

山人のかさしていつる初さくら都に花をちらしそめつる

やまひとの−かさしていつる−はつさくら−みやこにはなを−ちらしそめつる


00503
未入力 為氏 (xxx)

春くれはまつさく山の桜花友まちつけてちらはちらなん

はるくれは−まつさくやまの−さくらはな−ともまちつけて−ちらはちらなむ


00504
未入力 真観 (xxx)

山さくらあすかもあらはさかりとや花のつほみを人につけまし

やまさくら−あすかもあらは−さかりとや−はなのつほみを−ひとにつけまし


00505
未入力 寂西 (xxx)

春といひて日ころはあれとあるかひはけふしさくらの花の一枝

はるといひて−ひころはあれと−あるかひは−けふしさくらの−はなのひとえた


00506
未入力 為継 (xxx)

けふのまはたた一村そさきにけるかたへまたしき峰の初花

けふのまは−たたひとむらそ−さきにける−かたへまたしき−みねのはつはな


00507
未入力 経朝 (xxx)

夜のまにや花さきぬらん昨日みし花の絶まは雲もなかりき

よのまにや−はなさきぬらむ−きのふみし−はなのたえまは−くももなかりき


00508
未入力 行家 (xxx)

さきそむる片枝そにほふ山桜花のさかりと後もしのはん

さきそむる−かたえそにほふ−やまさくら−はなのさかりと−のちもしのはむ


00509
未入力 成茂 (xxx)

ことしよりちらぬならひをしらせはや風のとかなる春の初花

ことしより−ちらぬならひを−しらせはや−かせのとかなる−はるのはつはな


00510
未入力 隆祐 (xxx)

さきなはと思ひしかとも桜花のこりおほかる色そまたるる

さきなはと−おもひしかとも−さくらはな−のこりおほかる−いろそまたるる


00511
未入力 禅信 (xxx)

日数へはさきもふりなむ桜花まれなる花をとふ人もかな

ひかすへは−さきもふりなむ−さくらはな−まれなるはなを−とふひともかな


00512
未入力 高倉 (xxx)

よしの山またれし花もさきぬれはしつ心なき春の明ほの

よしのやま−またれしはなも−さきぬれは−しつこころなき−はるのあけほの


00513
未入力 按察 (xxx)

さかはまついさやとかりて花みんと契りし人にけふしらせはや

さかはまつ−いさやとかりて−はなみむと−ちきりしひとに−けふしらせはや


00514
未入力 帥 (xxx)

見さりつる雲こそみゆれあし曳の山の初花いまやさくらん

みさりつる−くもこそみゆれ−あしひきの−やまのはつはな−いまやさくらむ


00515
未入力 小宰相 (xxx)

待つこともめかれぬ花のおのつからいつの人間にいそくなるらん

まつことも−めかれぬはなの−おのつから−いつのひとまに−いそくなるらむ


00516
未入力 俊成女 (xxx)

春もいま花もさくらの時そとや雲よりにほふかつらきの山

はるもいま−はなもさくらの−ときそとや−くもよりにほふ−かつらきのやま


00517
未入力 少将内侍 (xxx)

我かやとにいまためかれぬ桜花さきぬと人にしらせそめはや

わかやとに−いまためかれぬ−さくらはな−さきぬとひとに−しらせそめはや


00518
未入力 弁内侍 (xxx)

さきそむる吉野の桜けふみすはいつよりにほふ花としらまし

さきそむる−よしののさくら−けふみすは−いつよりにほふ−はなとしらまし


00519
未入力 但馬 (xxx)

けふみれは夜のまに花はさきにけり昨日にもにぬ峰の白雲

けふみれは−よのまにはなは−さきにけり−きのふにもにぬ−みねのしらくも


00520
未入力 下野 (xxx)

けさよりはほのかに風そにほふなる花さきぬらしみよしのの山

けさよりは−ほのかにかせそ−にほふなる−はなさきぬらし−みよしののやま


00521
未入力 御製 (xxx)

としをへて色もかはらすみゆるかな何そは花をあた物といふ

としをへて−いろもかはらす−みゆるかな−なにそははなを−あたものといふ


00522
未入力 道助 (xxx)

山さくらいつの人まもあらはこそおのれと花の色もかはらめ

やまさくら−いつのひとまも−あらはこそ−おのれとはなの−いろもかはらめ


00523
未入力 実氏 (xxx)

いまも又花をしみれはいにしへの人の心そ身にしられぬる

いまもまた−はなをしみれは−いにしへの−ひとのこころそ−みにしられぬる


00524
未入力 基家 (xxx)

ゆふつくひさすやたか木の山桜花の光そ空にうつろふ

ゆふつくひ−さすやたかきの−やまさくら−はなのひかりそ−そらにうつろふ


00525
未入力 家良 (xxx)

春は猶日かけもなかきすかの山見らくにあかぬ花の色かな

はるはなほ−ひかけもなかき−すかのやま−みらくにあかぬ−はなのいろかな


00526
未入力 基良 (xxx)

吹く風ものとけき御世につかへてそ二心なく花はみるへき

ふくかせも−のとけきみよに−つかへてそ−ふたこころなく−はなはみるへき


00527
未入力 隆親 (xxx)

限なき御代にかはらす九重の花をみるこそ身の思ひいて

かきりなき−みよにかはらす−ここのへの−はなをみるこそ−みのおもひいて


00528
未入力 為家 (xxx)

身ははるのよそなりなからやまさくらさきぬる花よえやはめかるる

みははるの−よそなりなから−やまさくら−さきぬるはなよ−えやはめかるる


00529
未入力 公相 (xxx)

みてのみやけふもすきなん白雲の夕ゐる嶺の花の下陰

みてのみや−けふもすきなむ−しらくもの−ゆふゐるみねの−はなのしたかけ


00530
未入力 実雄 (xxx)

をとめこか葛木山のさくら花心にかけて見ぬ時そなき

をとめこか−かつらきやまの−さくらはな−こころにかけて−みぬときそなき


00531
未入力 信覚 (xxx)

なかむれはとほやま桜さきしよりよしのの滝は水まさりつつ

なかむれは−とほやまさくら−さきしより−よしののたきは−みつまさりつつ


00532
未入力 為経 (xxx)

みても猶しつのをたまき長き日のくるるもあかぬ山桜かな

みてもなほ−しつのをたまき−なかきひの−くるるもあかぬ−やまさくらかな


00533
未入力 忠定 (xxx)

花あれはうときもわかす尋入る心の色を人なとかめそ

はなあれは−うときもわかす−たつねいる−こころのいろを−ひとなとかめそ


00534
未入力 資季 (xxx)

宮こ人とはてやすきん独のみなかめておくる花の日数を

みやこひと−とはてやすきむ−ひとりのみ−なかめておくる−はなのひかすを


00535
未入力 頼氏 (xxx)

さきあまる花の宮こにありなから春の心はみよしのの山

さきあまる−はなのみやこに−ありなから−はるのこころは−みよしののやま


00536
未入力 有教 (xxx)

なにゆゑか春の心をなくさめむ花みることのなからましかは

なにゆゑか−はるのこころを−なくさめむ−はなみることの−なからましかは


00537
未入力 師継 (xxx)

うつり行く月日もさらに忘られぬ花のあたりのなかめせしまに

うつりゆく−つきひもさらに−わすられぬ−はなのあたりの−なかめせしまに


00538
未入力 定嗣 (xxx)

さかりなる花にそありける白妙の雲からくせる山とみたれは

さかりなる−はなにそありける−しろたへの−くもからくせる−やまとみたれは


00539
未入力 成実 (xxx)

よしの山めかれぬ花の春ことにつらき霞の中にたつらん

よしのやま−めかれぬはなの−はることに−つらきかすみの−なかにたつらむ


00540
未入力 蓮性 (xxx)

これをかも春にあひぬとなくさめて花にむかへは身のうれへなし

これをかも−はるにあひぬと−なくさめて−はなにむかへは−みのうれへなし


00541
未入力 顕氏 (xxx)

めかれせてけふさへ猶やくれはてむ待ちし桜の花のさかりは

めかれせて−けふさへなほや−くれはてむ−まちしさくらの−はなのさかりは


00542
未入力 寂能 (xxx)

うゑてみる軒はの花にめかれねは心ちらさぬ花もありけり

うゑてみる−のきはのはなに−めかれねは−こころちらさぬ−はなもありけり


00543
未入力 為氏 (xxx)

いかさまの色にしさけは花桜みるにこころのうつりはつらん

いかさまの−いろにしさけは−はなさくら−みるにこころの−うつりはつらむ


00544
未入力 真観 (xxx)

尋ねてそ花をもみまし木本をすみかともせぬ我か身なりせは

たつねてそ−はなをもみまし−このもとを−すみかともせぬ−わかみなりせは


00545
未入力 寂西 (xxx)

むかしといひいまも見らくにみよしのの桜を雲にまかへぬはなし

むかしといひ−いまもみらくに−みよしのの−さくらをくもに−まかへぬはなし


00546
未入力 為継 (xxx)

さく花をさのみや嶺の白雲にまかへはててもめかれせさらん

さくはなを−さのみやみねの−しらくもに−まかへはてても−めかれせさらむ


00547
未入力 経朝 (xxx)

梓弓やよひの雲に引きつれてたかまと山の花をみるかな

あつさゆみ−やよひのくもに−ひきつれて−たかまとやまの−はなをみるかな


00548
未入力 行家 (xxx)

桜花あかぬ心もあやにくにみても猶こそみまくほしけれ

さくらはな−あかぬこころも−あやにくに−みてもなほこそ−みまくほしけれ


00549
未入力 成茂 (xxx)

しめの内は風をも花にやはらけてのとかにみるもめくみなりけり

しめのうちは−かせをもはなに−やはらけて−のとかにみるも−めくみなりけり


00550
未入力 隆祐 (xxx)

さすらふる春の木陰をつくしても猶九重の花そゆかしき

さすらふる−はるのこかけを−つくしても−なほここのへの−はなそゆかしき


00551
未入力 禅信 (xxx)

まてしはし又もきてみむ山桜あかぬ心にいさなはれつつ

まてしはし−またもきてみむ−やまさくら−あかぬこころに−いさなはれつつ


00552
未入力 高倉 (xxx)

世中にありてうき身の思出も花みるほとの春そへにける

よのなかに−ありてうきみの−おもひいても−はなみるほとの−はるそへにける


00553
未入力 按察 (xxx)

うき身には花をしみれと物そ思ふさてもよそなる春のつらさに

うきみには−はなをしみれと−ものそおもふ−さてもよそなる−はるのつらさに


00554
未入力 帥 (xxx)

春ことにみれともあかぬ桜花おなし色かに又さきにけり

はることに−みれともあかぬ−さくらはな−おなしいろかに−またさきにけり


00555
未入力 小宰相 (xxx)

いとまありてなれぬる身をも思ひしれさりとも花はなさけわくらん

いとまありて−なれぬるみをも−おもひしれ−さりともはなは−なさけわくらむ


00556
未入力 俊成女 (xxx)

尋ぬとも思はて入りし奥山のいほもる花を独こそみれ

たつぬとも−おもはていりし−おくやまの−いほもるはなを−ひとりこそみれ


00557
未入力 少将内侍 (xxx)

しら雲とたたにもいはて山桜みれはそ峰の花としりける

しらくもと−たたにもいはて−やまさくら−みれはそみねの−はなとしりける


00558
未入力 弁内侍 (xxx)

白雲に花はまかへとめかれせぬ心は猶そわくかたもなき

しらくもに−はなはまかへと−めかれせぬ−こころはなほそ−わくかたもなき


00559
未入力 但馬 (xxx)

さきつつくいく木の本に日数へてなれてもあかぬ花の比かな

さきつつく−いくこのもとに−ひかすへて−なれてもあかぬ−はなのころかな


00560
未入力 下野 (xxx)

山桜またれまたれてさきしより花にむかはぬ時の間もなし

やまさくら−またれまたれて−さきしより−はなにむかはぬ−ときのまもなし


00561
未入力 御製 (xxx)

いさ桜我もかはらす年をへて老いせぬ春はをりてかささん

いささくら−われもかはらす−としをへて−おいせぬはるは−をりてかささむ


00562
未入力 道助 (xxx)

あかなくのかさしの花もうつろひぬふかき匂をたれとかむらん

あかなくの−かさしのはなも−うつろひぬ−ふかきにほひを−たれとかむらむ


00563
未入力 実氏 (xxx)

かさしてはかくるる老と知りなからたをるはをしき山桜かな

かさしては−かくるるおいと−しりなから−たをるはをしき−やまさくらかな


00564
未入力 基家 (xxx)

ふりまさるよはひを花にかそへてもあかぬ心はたへぬ春かな

ふりまさる−よはひをはなに−かそへても−あかぬこころは−たへぬはるかな


00565
未入力 家良 (xxx)

時の間のめかれもをしき花さかり心ありける月のころかな

ときのまの−めかれもをしき−はなさかり−こころありける−つきのころかな


00566
未入力 基良 (xxx)

みるほとは物思ひなき山さくら春にそ老はなくさみぬへき

みるほとは−ものおもひなき−やまさくら−はるにそおいは−なくさみぬへき


00567
未入力 隆親 (xxx)

千代ふへき冬とそいはむもろ人のけふのかさしにをれる桜は

ちよふへき−ふゆとそいはむ−もろひとの−けふのかさしに−をれるさくらは


00568
未入力 為家 (xxx)

よしやけふ人なとかめそ花さかり我か老いらくに折りてかささむ

よしやけふ−ひとなとかめそ−はなさかり−わかおいらくに−をりてかささむ


00569
未入力 公相 (xxx)

さくら花てことに折りて帰るさは袖こそにほへ春のやま人

さくらはな−てことにをりて−かへるさは−そてこそにほへ−はるのやまひと


00570
未入力 実雄 (xxx)

いさ桜折りてかささむ花にあかぬあたし心の色やまかふと

いささくら−をりてかささむ−はなにあかぬ−あたしこころの−いろやまかふと


00571
未入力 信覚 (xxx)

よしの山しをりもしらし桜かり花の雪には道まとふとて

よしのやま−しをりもしらし−さくらかり−はなのゆきには−みちまとふとて


00572
未入力 為経 (xxx)

をりかさす峰の桜に吹く風ものとかなる世の春そしらるる

をりかさす−みねのさくらに−ふくかせも−のとかなるよの−はるそしらるる


00573
未入力 忠定 (xxx)

さらはたたこほれてにほへ春の風をるてにたにも花はたまらす

さらはたた−こほれてにほへ−はるのかせ−をるてにたにも−はなはたまらす


00574
未入力 資季 (xxx)

よそなからみれともあかぬ桜花折りてもけふはかさしつるかな

よそなから−みれともあかぬ−さくらはな−をりてもけふは−かさしつるかな


00575
未入力 頼氏 (xxx)

ささ竹の大宮人の桜かりはなのところに春やくらさむ

ささたけの−おほみやひとの−さくらかり−はなのところに−はるやくらさむ


00576
未入力 有教 (xxx)

山桜をりなつかしくふく風も枝をならさぬ御代としらすや

やまさくら−をりなつかしく−ふくかせも−えたをならさぬ−みよとしらすや


00577
未入力 師継 (xxx)

けふくれぬあすもこむとは思へともたたまくをしき花の陰かな

けふくれぬ−あすもこむとは−おもへとも−たたまくをしき−はなのかけかな


00578
未入力 定嗣 (xxx)

山桜手にとりもちて長き日もいやめつらしみあかぬ色かな

やまさくら−てにとりもちて−なかきひも−いやめつらしみ−あかぬいろかな


00579
未入力 成実 (xxx)

いつよりか雲井の桜さきそめて千代のかさしと定めおきけん

いつよりか−くもゐのさくら−さきそめて−ちよのかさしと−さためおきけむ


00580
未入力 蓮性 (xxx)

しはしたに老を忘れてけふしこそわかゆはかりに花をかささめ

しはしたに−おいをわすれて−けふしこそ−わかゆはかりに−はなをかささめ


00581
未入力 顕氏 (xxx)

我か君の御代の春風しつかにてあくまて花の色になれぬる

わかきみの−みよのはるかせ−しつかにて−あくまてはなの−いろになれぬる


00582
未入力 寂能 (xxx)

磯上ふる木の桜かさしもてうゑし昔をいましのふかな

いそのかみ−ふるきのさくら−かさしもて−うゑしむかしを−いましのふかな


00583
未入力 為氏 (xxx)

さくら花いまや手ことにたをりもてともにちとせの春にかささん

さくらはな−いまやてことに−たをりもて−ともにちとせの−はるにかささむ


00584
未入力 真観 (xxx)

あさなあさな仏のためといさなひてかめにさしおく花さくらかな

あさなあさな−ほとけのためと−いさなひて−かめにさしおく−はなさくらかな


00585
未入力 寂西 (xxx)

をらはをし花の鏡の水にこそあかぬあたりの袖もぬらさめ

をらはをし−はなのかかみの−みつにこそ−あかぬあたりの−そてもぬらさめ


00586
未入力 為継 (xxx)

くれぬとも心を花にととめつつ木の本さらぬ家ゐをやせん

くれぬとも−こころをはなに−ととめつつ−このもとさらぬ−いへゐをやせむ


00587
未入力 経朝 (xxx)

みよし野やてことにかさす桜かりかへさは花の錦をそきる

みよしのや−てことにかさす−さくらかり−かへさははなの−にしきをそきる


00588
未入力 行家 (xxx)

色もかも袖にうつして山桜花のかたみと後もしのはん

いろもかも−そてにうつして−やまさくら−はなのかたみと−のちもしのはむ


00589
未入力 成茂 (xxx)

なれきつるかさしの桜年をへてしらかにいまはちりまかひぬる

なれきつる−かさしのさくら−としをへて−しらかにいまは−ちりまかひぬる


00590
未入力 隆祐 (xxx)

身にうとき春の恨も帰りこすいつの物とて花になるらん

みにうとき−はるのうらみも−かへりこす−いつのものとて−はなになるらむ


00591
未入力 禅信 (xxx)

かさしとてをる袖ふるる花桜たかうつりかの又にほふらん

かさしとて−をるそてふるる−はなさくら−たかうつりかの−またにほふらむ


00592
未入力 高倉 (xxx)

けふ桜をらはをらなむ風ふかは夜のまもしらぬ花の木すゑに

けふさくら−をらはをらなむ−かせふかは−よのまもしらぬ−はなのこすゑに


00593
未入力 按察 (xxx)

いかにせむ花もてやつす身をしれは猶この本の春も物うし

いかにせむ−はなもてやつす−みをしれは−なほこのもとの−はるもものうし


00594
未入力 帥 (xxx)

打ちむれて春の山へに入りぬれは手ことに花を折りてこそくれ

うちむれて−はるのやまへに−いりぬれは−てことにはなを−をりてこそくれ


00595
未入力 小宰相 (xxx)

ちらぬより花の姿ややつるらんてことにをりて帰るさと人

ちらぬより−はなのすかたや−やつるらむ−てことにをりて−かへるさとひと


00596
未入力 俊成女 (xxx)

みてもあかぬ心は花の夢の内をのかれもはてぬ名こそをしけれ

みてもあかぬ−こころははなの−ゆめのうちを−のかれもはてぬ−なこそをしけれ


00597
未入力 少将内侍 (xxx)

さく花にあかてくらせる春の日はなかしとたにも思ひやはする

さくはなに−あかてくらせる−はるのひは−なかしとたにも−おもひやはする


00598
未入力 弁内侍 (xxx)

折りてみむことのみそうき桜花うつし心はちりもこそすれ

をりてみむ−ことのみそうき−さくらはな−うつしこころは−ちりもこそすれ


00599
未入力 但馬 (xxx)

よそなれは梢は花のまさるかと折りてみるたにあかぬ匂を

よそなれは−こすゑははなの−まさるかと−をりてみるたに−あかぬにほひを


00600
未入力 下野 (xxx)

身にちかくをりてかささむ花桜春ののこりもあかぬ名残を

みにちかく−をりてかささむ−はなさくら−はるののこりも−あかぬなこりを


00601
未入力 御製 (xxx)

かくはかりをしと思ふ日をくれぬとて花みて帰る人さへそうき

かくはかり−をしとおもふひを−くれぬとて−はなみてかへる−ひとさへそうき


00602
未入力 道助 (xxx)

人しれすをしむならひはちる花のまててふことを風にしらせん

ひとしれす−をしむならひは−ちるはなの−まててふことを−かせにしらせむ


00603
未入力 実氏 (xxx)

とまれともいはれぬへくは山桜うつろふ花に物は思はし

とまれとも−いはれぬへくは−やまさくら−うつろふはなに−ものはおもはし


00604
未入力 基家 (xxx)

身にかへて思へはなにかをしむへき花をとめてもおなし別を

みにかへて−おもへはなにか−をしむへき−はなをとめても−おなしわかれを


00605
未入力 家良 (xxx)

うつろはむ世世のならひも忘られぬいまはた花にあかぬ心は

うつろはむ−よよのならひも−わすられぬ−いまはたはなに−あかぬこころは


00606
未入力 基良 (xxx)

雪とちる花をそ思ふ春の風さそはれぬへき身をは惜ます

ゆきとちる−はなをそおもふ−はるのかせ−さそはれぬへき−みをはをします


00607
未入力 隆親 (xxx)

おのつから花をさそはぬ山風のあれなくれ行く春のなさけに

おのつから−はなをさそはぬ−やまかせの−あれなくれゆく−はるのなさけに


00608
未入力 為家 (xxx)

桜はないけらは後とたのますはあかぬに身をもかへやしなまし

さくらはな−いけらはのちと−たのますは−あかぬにみをも−かへやしなまし


00609
未入力 公相 (xxx)

あちきなく又こりすまにをしめともうつろひまさる山さくらかな

あちきなく−またこりすまに−をしめとも−うつろひまさる−やまさくらかな


00610
未入力 実雄 (xxx)

いかにしてしはしととめむ桜花ちりなはなけの春の日数を

いかにして−しはしととめむ−さくらはな−ちりなはなけの−はるのひかすを


00611
未入力 信覚 (xxx)

桜花ふるさと人のみるはかり一木はのこせ峰のはるかせ

さくらはな−ふるさとひとの−みるはかり−ひときはのこせ−みねのはるかせ


00612
未入力 為経 (xxx)

身にかへてをしむにとまれ桜花我か身をのちの春にのこさん

みにかへて−をしむにとまれ−さくらはな−わかみをのちの−はるにのこさむ


00613
未入力 忠定 (xxx)

ちる花の契たのまぬ別にも老いてかひなき命なりけり

ちるはなの−ちきりたのまぬ−わかれにも−おいてかひなき−いのちなりけり


00614
未入力 資季 (xxx)

日数へて花の匂ひはうつろふとちらさて春をすくしてしかな

ひかすへて−はなのにほひは−うつろふと−ちらさてはるを−すくしてしかな


00615
未入力 頼氏 (xxx)

あかなくに見はてむ花の命にもまさりてをしき春風そ吹く

あかなくに−みはてむはなの−いのちにも−まさりてをしき−はるかせそふく


00616
未入力 有教 (xxx)

二なき命にかへてととむとも数ならぬ身を花やきらはむ

ふたつなき−いのちにかへて−ととむとも−かすならぬみを−はなやきらはむ


00617
未入力 師継 (xxx)

あたなれとあひも思はは桜花うつろふ色に身をやかへまし

あたなれと−あひもおもはは−さくらはな−うつろふいろに−みをやかへまし


00618
未入力 定嗣 (xxx)

いくよろつめくりあふへき君か代の春にも花を猶そをしまん

いくよろつ−めくりあふへき−きみかよの−はるにもはなを−なほそをしまむ


00619
未入力 成実 (xxx)

身にかへてうつろふ色をなけくかなよしなや花に思ひつきつつ

みにかへて−うつろふいろを−なけくかな−よしなやはなに−おもひつきつつ


00620
未入力 蓮性 (xxx)

しかりとてちるてふ花もととまらすなにそ山守あるかひもなし

しかりとて−ちるてふはなも−ととまらす−なにそやまもり−あるかひもなし


00621
未入力 顕氏 (xxx)

さりとてもつひにとまらぬ花ゆゑにことしもあやな物思ふらん

さりとても−つひにとまらぬ−はなゆゑに−ことしもあやな−ものおもふらむ


00622
未入力 寂能 (xxx)

ちることを思ひますれは山桜花みる春もうらみやはなき

ちることを−おもひますれは−やまさくら−はなみるはるも−うらみやはなき


00623
未入力 為氏 (xxx)

身にかふる習しあれな山桜あかぬなこりのうきにつけては

みにかふる−ならひしあれな−やまさくら−あかぬなこりの−うきにつけては


00624
未入力 真観 (xxx)

ぬきとめむかたしなけれは桜花心のをにそおもひみたるる

ぬきとめむ−かたしなけれは−さくらはな−こころのをにそ−おもひみたるる


00625
未入力 寂西 (xxx)

老いて後をしむとたにもしらせはやたかひの心花にありやと

おいてのち−をしむとたにも−しらせはや−たかひのこころ−はなにありやと


00626
未入力 為継 (xxx)

をしむからかひなき物はかねてより散ることいそく桜なりけり

をしむから−かひなきものは−かねてより−ちることいそく−さくらなりけり


00627
未入力 経朝 (xxx)

ちるを見はなに心ちせん山桜花をへたてよ峰のしら雲

ちるをみは−なにここちせむ−やまさくら−はなをへたてよ−みねのしらくも


00628
未入力 行家 (xxx)

したへともあひそ思はぬうつり行く花の心のたのみかたさは

したへとも−あひそおもはぬ−うつりゆく−はなのこころの−たのみかたさは


00629
未入力 成茂 (xxx)

ちるまては花をもめてし山桜なれてそ老の身にかへつへき

ちるまては−はなをもめてし−やまさくら−なれてそおいの−みにかへつへき


00630
未入力 隆祐 (xxx)

あひ思ふとしもやあるとしたへともうつろひまさる山さくらかな

あひおもふ−としもやあると−したへとも−うつろひまさる−やまさくらかな


00631
未入力 禅信 (xxx)

身にかへて花をもなにか惜むらん又こむ春にあはさらめやは

みにかへて−はなをもなにか−をしむらむ−またこむはるに−あはさらめやは


00632
未入力 高倉 (xxx)

一すちに風もうらみしをしめともうつろふ色は花のこころを

ひとすちに−かせもうらみし−をしめとも−うつろふいろは−はなのこころを


00633
未入力 按察 (xxx)

うつろふをしたふ習のいとせめて花にもみゆる我かこころかな

うつろふを−したふならひの−いとせめて−はなにもみゆる−わかこころかな


00634
未入力 帥 (xxx)

いつもたたちりかふ花としりなからしたふやなにの心なるらん

いつもたた−ちりかふはなと−しりなから−したふやなにの−こころなるらむ


00635
未入力 小宰相 (xxx)

をしむとてとまる習もなき花にさのみ心をつくさすもかな

をしむとて−とまるならひも−なきはなに−さのみこころを−つくさすもかな


00636
未入力 俊成女 (xxx)

春ことに花の盛をしたへともあひも思はす色かはりつつ

はることに−はなのさかりを−したへとも−あひもおもはす−いろかはりつつ


00637
未入力 少将内侍 (xxx)

いくとせもいけらは後の春をおきて猶をしまるる花桜かな

いくとせも−いけらはのちの−はるをおきて−なほをしまるる−はなさくらかな


00638
未入力 弁内侍 (xxx)

をしからぬ桜なりせは何ゆゑか春のあらしのうきをしらまし

をしからぬ−さくらなりせは−なにゆゑか−はるのあらしの−うきをしらまし


00639
未入力 但馬 (xxx)

さきしよりすくる日数をかそへつつくるるをなけく花の陰かな

さきしより−すくるひかすを−かそへつつ−くるるをなけく−はなのかけかな


00640
未入力 下野 (xxx)

をしめともうつろふ花の木本に吹きくる風をいかてととめむ

をしめとも−うつろふはなの−このもとに−ふきくるかせを−いかてととめむ


00641
未入力 御製 (xxx)

ちりはててあくたになると山桜花の所はあさきよめすな

ちりはてて−あくたになると−やまさくら−はなのところは−あさきよめすな


00642
未入力 道助 (xxx)

いまは又とはれぬ程も日数へて花ちりうつむ庭そふりぬる

いまはまた−とはれぬほとも−ひかすへて−はなちりうつむ−にはそふりぬる


00643
未入力 実氏 (xxx)

雲となり雪とふりしく山桜いつれを花の色とかもみん

くもとなり−ゆきとふりしく−やまさくら−いつれをはなの−いろとかもみむ


00644
未入力 基家 (xxx)

風ふけは波もいくへの桜川名になかれたる水のはるかな

かせふけは−なみもいくへの−さくらかは−なになかれたる−みつのはるかな


00645
未入力 家良 (xxx)

待つほとの人の心をつくしてもみる日すくなくちる桜かな

まつほとの−ひとのこころを−つくしても−みるひすくなく−ちるさくらかな


00646
未入力 基良 (xxx)

いつちをもさこそわするな山桜ねに帰るさを何いそくらん

いつちをも−さこそわするな−やまさくら−ねにかへるさを−なにいそくらむ


00647
未入力 隆親 (xxx)

いつまてか嶺の雲とも思ひけんちれはみゆきとつもる桜を

いつまてか−みねのくもとも−おもひけむ−ちれはみゆきと−つもるさくらを


00648
未入力 為家 (xxx)

消かてのこけちの雪に跡絶えて花をそたとる春のこのもと

きえかての−こけちのゆきに−あとたえて−はなをそたとる−はるのこのもと


00649
未入力 公相 (xxx)

山たかみさこそ嵐はさそふともあまりなるまてちる桜かな

やまたかみ−さこそあらしは−さそふとも−あまりなるまて−ちるさくらかな


00650
未入力 実雄 (xxx)

ちりつもる花のしら雪ふみ分けて猶いてかてのみよしのの山

ちりつもる−はなのしらゆき−ふみわけて−なほいてかての−みよしののやま


00651
未入力 信覚 (xxx)

庭にむす苔のいははし水こえて花もてせける春の山風

にはにむす−こけのいははし−みつこえて−はなもてせける−はるのやまかせ


00652
未入力 為経 (xxx)

雪とのみ吹きしく風の木の本はねにたに花の帰りやはする

ゆきとのみ−ふきしくかせの−このもとは−ねにたにはなの−かへりやはする


00653
未入力 忠定 (xxx)

ふりつもるゆききにまかふ道のへの花そとかをる春の山風

ふりつもる−ゆききにまかふ−みちのへの−はなそとかをる−はるのやまかせ


00654
未入力 資季 (xxx)

さくら花あまきる雪とふりしくにはらはぬ袖のぬれすも有るかな

さくらはな−あまきるゆきと−ふりしくに−はらはぬそての−ぬれすもあるかな


00655
未入力 頼氏 (xxx)

たかために花の下紐とけそめてちるをかきりのわかれなるらん

たかために−はなのしたひも−とけそめて−ちるをかきりの−わかれなるらむ


00656
未入力 有教 (xxx)

都人とははとはなむ山さくら庭をさかりのけふのはる風

みやこひと−とははとはなむ−やまさくら−にはをさかりの−けふのはるかせ


00657
未入力 師継 (xxx)

わかやとの軒はの桜風過きてあつめぬ窓に雪そつもれる

わかやとの−のきはのさくら−かせすきて−あつめぬまとに−ゆきそつもれる


00658
未入力 定嗣 (xxx)

いまは又いとひし風のたよりまて木のもとしらぬ花を尋ねん

いまはまた−いとひしかせの−たよりまて−このもとしらぬ−はなをたつねむ


00659
未入力 成実 (xxx)

風にちる桜の雪のふる郷に跡もさためす夏はらふらん

かせにちる−さくらのゆきの−ふるさとに−あともさためす−なつはらふらむ


00660
未入力 蓮性 (xxx)

けふ桜猶雪とのみふりしかは庭にや花の跡ををしまん

けふさくら−なほゆきとのみ−ふりしかは−にはにやはなの−あとををしまむ


00661
未入力 顕氏 (xxx)

見わたせは梢にかかる雲もなしまかひし花や根に帰るらん

みわたせは−こすゑにかかる−くももなし−まかひしはなや−ねにかへるらむ


00662
未入力 寂能 (xxx)

みよしのの滝のかふちのみなかみは桜吹きしく山おろしの風

みよしのの−たきのかふちの−みなかみは−さくらふきしく−やまおろしのかせ


00663
未入力 為氏 (xxx)

つもり行く日数にそへてみよしのの山の桜は雪とふりつつ

つもりゆく−ひかすにそへて−みよしのの−やまのさくらは−ゆきとふりつつ


00664
未入力 真観 (xxx)

山桜いかなるむくい春にありて風のあなつる花に咲きけん

やまさくら−いかなるむくい−はるにありて−かせのあなつる−はなにさきけむ


00665
未入力 寂西 (xxx)

おのつからちりかかるとも山桜苔の衣のうはきにはせし

おのつから−ちりかかるとも−やまさくら−こけのころもの−うはきにはせし


00666
未入力 為継 (xxx)

いたつらに雪とふりぬる山桜けふ尋ねてもみるかひそなき

いたつらに−ゆきとふりぬる−やまさくら−けふたつねても−みるかひそなき


00667
未入力 経朝 (xxx)

おしなへて梢に春はくれはとりあやにくにのみちる桜かな

おしなへて−こすゑにはるは−くれはとり−あやにくにのみ−ちるさくらかな


00668
未入力 行家 (xxx)

我かやとに花さへちりぬいまは又なにをかことに人をまたまし

わかやとに−はなさへちりぬ−いまはまた−なにをかことに−ひとをまたまし


00669
未入力 成茂 (xxx)

久方の空はくもらぬ雪とのみ木のした風に花そちりしく

ひさかたの−そらはくもらぬ−ゆきとのみ−このしたかせに−はなそちりしく


00670
未入力 隆祐 (xxx)

いささくらちらんといひし偽の人の心をはなやみるらん

いささくら−ちらむといひし−いつはりの−ひとのこころを−はなやみるらむ


00671
未入力 禅信 (xxx)

みよしのやいまはならひにちる花を風のとかとは思はさらなむ

みよしのや−いまはならひに−ちるはなを−かせのとかとは−おもはさらなむ


00672
未入力 高倉 (xxx)

ちるといははいつか別のかたからん花ゆゑ春の風もいとはし

ちるといはは−いつかわかれの−かたからむ−はなゆゑはるの−かせもいとはし


00673
未入力 按察 (xxx)

桜はなとはねは人のつらさにてちらはちれともえこそ思はね

さくらはな−とはねはひとの−つらさにて−ちらはちれとも−えこそおもはね


00674
未入力 帥 (xxx)

吹く風にちりしく庭の八重桜さけともなしか我思ひけん

ふくかせに−ちりしくにはの−やへさくら−さけともなしか−われおもひけむ


00675
未入力 小宰相 (xxx)

ちるとみてえやはうらむる山桜思ひますへき花しなけれは

ちるとみて−えやはうらむる−やまさくら−おもひますへき−はなしなけれは


00676
未入力 俊成女 (xxx)

けふとても桜は雪とふるさとの跡なき庭を花とやはみる

けふとても−さくらはゆきと−ふるさとの−あとなきにはを−はなとやはみる


00677
未入力 少将内侍 (xxx)

山里の花は雪とそふりにけるけふこむ人やつらしと思はん

やまさとの−はなはゆきとそ−ふりにける−けふこむひとや−つらしとおもはむ


00678
未入力 弁内侍 (xxx)

つもりても哀いくへに成りぬらんかつちる花の程そふり行く

つもりても−あはれいくへに−なりぬらむ−かつちるはなの−ほとそふりゆく


00679
未入力 但馬 (xxx)

雲まよふ風にあまきる雪かとてはらへは袖も花のかそする

くもまよふ−かせにあまきる−ゆきかとて−はらへはそても−はなのかそする


00680
未入力 下野 (xxx)

大かたの春の日数もすき行けは梢は花の色ものこらす

おほかたの−はるのひかすも−すきゆけは−こすゑははなの−いろものこらす


00681
未入力 御製 (xxx)

さきぬともいはぬ色なる山吹のまかきの内をしる人そなき

さきぬとも−いはぬいろなる−やまふきの−まかきのうちを−しるひとそなき


00682
未入力 道助 (xxx)

たちはなのこしまのさきの山吹をいかて籬にうつしそめけん

たちはなの−こしまのさきの−やまふきを−いかてまかきに−うつしそめけむ


00683
未入力 実氏 (xxx)

こえしとてやとかる人はなけれともまかきにさける山吹のはな

こえしとて−やとかるひとは−なけれとも−まかきにさける−やまふきのはな


00684
未入力 基家 (xxx)

折る人のしけき籬のあたりにはさけともさかぬ山ふきの花

をるひとの−しけきまかきの−あたりには−さけともさかぬ−やまふきのはな


00685
未入力 家良 (xxx)

うゑおきしまかきの外にあまるまてたわわにさける山吹の花

うゑおきし−まかきのほかに−あまるまて−たわわにさける−やまふきのはな


00686
未入力 基良 (xxx)

苔ふかきまかきにさける山吹をいはぬ色とやとふ人もなし

こけふかき−まかきにさける−やまふきを−いはぬいろとや−とふひともなし


00687
未入力 隆親 (xxx)

さきさかすたれにとはまし故郷のまかきにうゑし山吹の花

さきさかす−たれにとはまし−ふるさとの−まかきにうゑし−やまふきのはな


00688
未入力 為家 (xxx)

山吹の花こそいはぬ色ならめもとのまかきをとふ人もかな

やまふきの−はなこそいはぬ−いろならめ−もとのまかきを−とふひともかな


00689
未入力 公相 (xxx)

とへとたに人につけはや我かやとのまかきににほふやへの山吹

とへとたに−ひとにつけはや−わかやとの−まかきににほふ−やへのやまふき


00690
未入力 実雄 (xxx)

とまれとはいはぬ色なる山吹のさける籬のなそや過きうき

とまれとは−いはぬいろなる−やまふきの−さけるまかきの−なそやすきうき


00691
未入力 信覚 (xxx)

うゑおきてたれかすみける跡ならんふるきまかきの山吹の花

うゑおきて−たれかすみける−あとならむ−ふるきまかきの−やまふきのはな


00692
未入力 為経 (xxx)

きてみよとたれにかいはむ籬なるくちなしそめの山吹の花

きてみよと−たれにかいはむ−まかきなる−くちなしそめの−やまふきのはな


00693
未入力 忠定 (xxx)

夕くれはまかきにうつる日影さへ色をそへたる山ふきの花

ゆふくれは−まかきにうつる−ひかけさへ−いろをそへたる−やまふきのはな


00694
未入力 資季 (xxx)

しめゆひし籬やたわに成りぬらん花おもけなる庭の山吹

しめゆひし−まかきやたわに−なりぬらむ−はなおもけなる−にはのやまふき


00695
未入力 頼氏 (xxx)

うゑそへしまかきの外の山吹の花のえならぬ春のふる郷

うゑそへし−まかきのほかの−やまふきの−はなのえならぬ−はるのふるさと


00696
未入力 有教 (xxx)

我かやとのまかきにたのむ山吹をいはぬ色とや折りつくすらん

わかやとの−まかきにたのむ−やまふきを−いはぬいろとや−をりつくすらむ


00697
未入力 師継 (xxx)

をりつれはかさへなつかし我かやとのまかきの内の山ふきの花

をりつれは−かさへなつかし−わかやとの−まかきのうちの−やまふきのはな


00698
未入力 定嗣 (xxx)

我かやとのまかきもひまそなかるへきやへ山吹の花に咲きつつ

わかやとの−まかきもひまそ−なかるへき−やへやまふきの−はなにさきつつ


00699
未入力 成実 (xxx)

としをへてあるるまかきもうつもれていはぬ色こき山吹の花

としをへて−あるるまかきも−うつもれて−いはぬいろこき−やまふきのはな


00700
未入力 遮性 (xxx)

籬にはしけるむくらもあるものをたたみしままのやへの山吹

まかきには−しけるむくらも−あるものを−たたみしままの−やへのやまふき


00701
未入力 顕氏 (xxx)

春はかり人をもまたむ山吹の花のまかきを折りなつくしそ

はるはかり−ひとをもまたむ−やまふきの−はなのまかきを−をりなつくしそ


00702
未入力 寂能 (xxx)

さきなるるまかきはなにのつらけれはいはて露けき山吹の花

さきなるる−まかきはなにの−つらけれは−いはてつゆけき−やまふきのはな


00703
未入力 為氏 (xxx)

いはぬ色に人こそとはね山吹の口なしそめの花のまかきは

いはぬいろに−ひとこそとはね−やまふきの−くちなしそめの−はなのまかきは


00704
未入力 真観 (xxx)

山吹のさきそふ花にかこはれてふるき籬はあれまくもなし

やまふきの−さきそふはなに−かこはれて−ふるきまかきは−あれまくもなし


00705
未入力 寂西 (xxx)

かこへとはたれかいひけん山吹の花のまかきそみれはあやしき

かこへとは−たれかいひけむ−やまふきの−はなのまかきそ−みれはあやしき


00706
未入力 為継 (xxx)

山吹の花のまかきをたのみつつ又はかこはぬ井てのさと人

やまふきの−はなのまかきを−たのみつつ−またはかこはぬ−ゐてのさとひと


00707
未入力 経朝 (xxx)

たれかみむ今さかりなる我かやとのまかきにあまる山吹の花

たれかみむ−いまさかりなる−わかやとの−まかきにあまる−やまふきのはな


00708
未入力 行家 (xxx)

心あらは人もきてとへ山吹の花のやへさく春のまかきを

こころあらは−ひともきてとへ−やまふきの−はなのやへさく−はるのまかきを


00709
未入力 成茂 (xxx)

とまれともいはぬ色にも山吹のまかきや春の過きうかるらん

とまれとも−いはぬいろにも−やまふきの−まかきやはるの−すきうかるらむ


00710
未入力 隆祐 (xxx)

山吹は春さく花のまかきとも思ひゆるさすおけるしら露

やまふきは−はるさくはなの−まかきとも−おもひゆるさす−おけるしらつゆ


00711
未入力 禅信 (xxx)

うちはへて枝もとををにさきにけりおのれ籬の庭の山吹

うちはへて−えたもとををに−さきにけり−おのれまかきの−にはのやまふき


00712
未入力 高倉 (xxx)

いはぬ色に春のかたみや残るらむまかきにさける山ふきの花

いはぬいろに−はるのかたみや−のこるらむ−まかきにさける−やまふきのはな


00713
未入力 按察 (xxx)

ぬしやたれをりてもみはや山吹の花のまかきに春は過くとも

ぬしやたれ−をりてもみはや−やまふきの−はなのまかきに−はるはすくとも


00714
未入力 帥 (xxx)

わかやとのまかきににほふ山吹を過きかてになとみる人のなき

わかやとの−まかきににほふ−やまふきを−すきかてになと−みるひとのなき


00715
未入力 小宰相 (xxx)

くれぬとて人もとまらぬ籬にはさく山吹の花の名もをし

くれぬとて−ひともとまらぬ−まかきには−さくやまふきの−はなのなもをし


00716
未入力 俊成女 (xxx)

いはぬ色の花にそみゆるゐての里庭も籬も春のくれとは

いはぬいろの−はなにそみゆる−ゐてのさと−にはもまかきも−はるのくれとは


00717
未入力 少将内侍 (xxx)

ことならはやへまてかこへ山吹の花のまかきの春の山さと

ことならは−やへまてかこへ−やまふきの−はなのまかきの−はるのやまさと


00718
未入力 弁内侍 (xxx)

人とはぬ春のかきねをうしとたにいはてそさける山吹のはな

ひととはぬ−はるのかきねを−うしとたに−いはてそさける−やまふきのはな


00719
未入力 但馬 (xxx)

山吹は花より後の花なれはまかきの外にめこそうつらね

やまふきは−はなよりのちの−はななれは−まかきのほかに−めこそうつらね


00720
未入力 下野 (xxx)

やまふきの花こそ春を返しけれくれぬと思ふやとのまかきに

やまふきの−はなこそはるを−かへしけれ−くれぬとおもふ−やとのまかきに


00721
未入力 御製 (xxx)

深緑色もかはらぬ松かえは藤こそ春のしるしなりけれ

ふかみとり−いろもかはらぬ−まつかえは−ふちこそはるの−しるしなりけれ


00722
未入力 道助 (xxx)

松かえの緑すくなくかくろへて梢もおもくかかるふちなみ

まつかえの−みとりすくなく−かくろへて−こすゑもおもく−かかるふちなみ


00723
未入力 実氏 (xxx)

さきつつく藤さかへむと春日山松にそ君をいはひかけつる

さきつつく−ふちさかえむと−かすかやま−まつにそきみを−いはひかけつる


00724
未入力 基家 (xxx)

雲とのみ藤さきかかるみ山には松の雨とや風もなるらん

くもとのみ−ふちさきかかる−みやまには−まつのあめとや−かせもなるらむ


00725
未入力 家良 (xxx)

さきかかるふせの浦まの藤波にうつる影のみ松はみえけり

さきかかる−ふせのうらまの−ふちなみに−うつるかけのみ−まつはみえけり


00726
未入力 基良 (xxx)

しひて猶をりからにほふ藤の花ちとせを松の梢とやみむ

しひてなほ−をりからにほふ−ふちのはな−ちとせをまつの−こすゑとやみむ


00727
未入力 隆親 (xxx)

くれて行く春のなこりと人もみよみきはは松にかかる藤波

くれてゆく−はるのなこりと−ひともみよ−みきははまつに−かかるふちなみ


00728
未入力 為家 (xxx)

春風のおとせさりせは藤の花かかれる松やわすられなまし

はるかせの−おとせさりせは−ふちのはな−かかれるまつや−わすられなまし


00729
未入力 公相 (xxx)

ちとせまて松にとのみやかかるらん花さきそむる春の藤波

ちとせまて−まつにとのみや−かかるらむ−はなさきそむる−はるのふちなみ


00730
未入力 実雄 (xxx)

いつもみる松のときはの色にさへ春くれかかる池のふちなみ

いつもみる−まつのときはの−いろにさへ−はるくれかかる−いけのふちなみ


00731
未入力 信覚 (xxx)

なこり思ふ色もなつかしさきかかる藤波こゆる末の松山

なこりおもふ−いろもなつかし−さきかかる−ふちなみこゆる−すゑのまつやま


00732
未入力 為経 (xxx)

みきはなる松の緑もうつもれて紫ふかくにほふふちなみ

みきはなる−まつのみとりも−うつもれて−むらさきふかく−にほふふちなみ


00733
未入力 忠定 (xxx)

めくみあらは藤の若葉や花さくと老木の松も下にこそまて

めくみあらは−ふちのわかはや−はなさくと−おいきのまつも−したにこそまて


00734
未入力 資季 (xxx)

すむ鶴も松の梢やたとるらんみとりもみえすかかる藤波

すむつるも−まつのこすゑや−たとるらむ−みとりもみえす−かかるふちなみ


00735
未入力 頼氏 (xxx)

すみよしのまつより松にうつりきてしつえは岸にかかる藤波

すみよしの−まつよりまつに−うつりきて−しつえはきしに−かかるふちなみ


00736
未入力 有教 (xxx)

藤の花さきぬる時はみ山への松の梢もうつろひにけり

ふちのはな−さきぬるときは−みやまへの−まつのこすゑも−うつろひにけり


00737
未入力 師継 (xxx)

色かへぬみきはの松をあらふなり紫ふかき池の藤なみ

いろかへぬ−みきはのまつを−あらふなり−むらさきふかき−いけのふちなみ


00738
未入力 定嗣 (xxx)

十廻の松えの花やこれならん千とせをこめてかかる藤波

とかへりの−まつえのはなや−これならむ−ちとせをこめて−かかるふちなみ


00739
未入力 成実 (xxx)

かそふれはくるる春日の末葉よりたれ松かえにかかる藤なみ

かそふれは−くるるはるひの−すゑはより−たれまつかえに−かかるふちなみ


00740
未入力 蓮性 (xxx)

みれは又松にひかれていやとしにさもそ木たかくさける藤波

みれはまた−まつにひかれて−いやとしに−さもそこたかく−さけるふちなみ


00741
未入力 顕氏 (xxx)

松かえのおのか緑もうつもれてむらさきふかき池の藤波

まつかえの−おのかみとりも−うつもれて−むらさきふかき−いけのふちなみ


00742
未入力 寂能 (xxx)

君か代の松にかかれる藤なれは千たひさくへき花かとそ思ふ

きみかよの−まつにかかれる−ふちなれは−ちたひさくへき−はなかとそおもふ


00743
未入力 為氏 (xxx)

色かへぬみきはの松も今更に花さきかかるはるの藤波

いろかへぬ−みきはのまつも−いまさらに−はなさきかかる−はるのふちなみ


00744
未入力 真観 (xxx)

紫の雪かとみれは藤の花さきおほふ松の木すゑなりけり

むらさきの−ゆきかとみれは−ふちのはな−さきおほふまつの−こすゑなりけり


00745
未入力 寂西 (xxx)

しつえのみあらふとみしを浦松の梢にかくる藤波のはな

しつえのみ−あらふとみしを−うらまつの−こすゑにかくる−ふちなみのはな


00746
未入力 為継 (xxx)

代よへたる松はふる木の枝なから若紫にかかるふちなみ

よよへたる−まつはふるきの−えたなから−わかむらさきに−かかるふちなみ


00747
未入力 経朝 (xxx)

松の葉のおのか緑もなかりけり梢もみえすかかる藤なみ

まつのはの−おのかみとりも−なかりけり−こすゑもみえす−かかるふちなみ


00748
未入力 行家 (xxx)

おきつ風ふけとふかねと住吉の松にかけこす岸の藤浪

おきつかせ−ふけとふかねと−すみよしの−まつにかけこす−きしのふちなみ


00749
未入力 成茂 (xxx)

君かため千代のかさしに契りてや松には藤のさきかかるらん

きみかため−ちよのかさしに−ちきりてや−まつにはふちの−さきかかるらむ


00750
未入力 隆祐 (xxx)

ときはなる松たにかはる紫の花さく藤にもるる袖かな

ときはなる−まつたにかはる−むらさきの−はなさくふちに−もるるそてかな


00751
未入力 禅信 (xxx)

としをへてはふ木あまたに成りにけり松より松にかかる藤波

としをへて−はふきあまたに−なりにけり−まつよりまつに−かかるふちなみ


00752
未入力 高倉 (xxx)

みるたひに松の花とそまかひぬれかかりてさける池の藤波

みるたひに−まつのはなとそ−まかひぬれ−かかりてさける−いけのふちなみ


00753
未入力 按察 (xxx)

あたに見し心の色のゆかりとや松の梢をこゆるふちなみ

あたにみし−こころのいろの−ゆかりとや−まつのこすゑを−こゆるふちなみ


00754
未入力 帥 (xxx)

住吉の松のしつえもをるはかりはひまつはれてかかる藤浪

すみよしの−まつのしつえも−をるはかり−はひまつはれて−かかるふちなみ


00755
未入力 小宰相 (xxx)

いかにしてときはの松のおなしえにかかれる藤の花に咲くらん

いかにして−ときはのまつの−おなしえに−かかれるふちの−はなにさくらむ


00756
未入力 俊成女 (xxx)

君か代のちとせの春の藤の花松にとのみそさきかかりける

きみかよの−ちとせのはるの−ふちのはな−まつにとのみそ−さきかかりける


00757
未入力 少将内侍 (xxx)

九重の池の藤波かけてこそみきはの松も色まさりけれ

ここのへの−いけのふちなみ−かけてこそ−みきはのまつも−いろまさりけれ


00758
未入力 弁内侍 (xxx)

春ふかくにほふ藤波かけてけり松はときはの色とみしかと

はるふかく−にほふふちなみ−かけてけり−まつはときはの−いろとみしかと


00759
未入力 但馬 (xxx)

藤波のかかるさかりに成りぬれはさらに花さく岸の松かえ

ふちなみの−かかるさかりに−なりぬれは−さらにはなさく−きしのまつかえ


00760
未入力 下野 (xxx)

さきかかる梢の藤の花の色をたをらは松の色ややつれん

さきかかる−こすゑのふちの−はなのいろを−たをらはまつの−いろややつれむ


00761
未入力 御製 (xxx)

梓弓春の日数もけふはかりいるかことくも過きにけるかな

あつさゆみ−はるのひかすも−けふはかり−いるかことくも−すきにけるかな


00762
未入力 道助 (xxx)

花鳥のなかめすきにし日数さへやよひはかりに猶残りつつ

はなとりの−なかめすきにし−ひかすさへ−やよひはかりに−なほのこりつつ


00763
未入力 実氏 (xxx)

花みつるとしのいくとせかそへても猶しのはるる春の暮かな

はなみつる−としのいくとせ−かそへても−なほしのはるる−はるのくれかな


00764
未入力 基家 (xxx)

里わかすおなし夕に行く春を我そ別とたれをしむらん

さとわかす−おなしゆふへに−ゆくはるを−われそわかれと−たれをしむらむ


00765
未入力 家良 (xxx)

思ひかね猶いかさまになくさめむわれふるそてに春の別を

おもひかね−なほいかさまに−なくさめむ−われふるそてに−はるのわかれを


00766
未入力 基良 (xxx)

なそもかく心にしみて惜むらん我か身一の春のくれかは

なそもかく−こころにしみて−をしむらむ−わかみひとつの−はるのくれかは


00767
未入力 隆親 (xxx)

あちきなくなにをなさけとをしむらん行方見せぬ春の夕暮

あちきなく−なにをなさけと−をしむらむ−ゆくかたみせぬ−はるのゆふくれ


00768
未入力 為家 (xxx)

かすみてものこる程こそすくなけれやよひの末の在明の月

かすみても−のこるほとこそ−すくなけれ−やよひのすゑの−ありあけのつき


00769
未入力 公相 (xxx)

桜川なかるる花をせきとめてとまらぬ春の思出にせん

さくらかは−なかるるはなを−せきとめて−とまらぬはるの−おもひいてにせむ


00770
未入力 実雄 (xxx)

たのまれぬ人の心の花にたに猶をしまれて過くる春かな

たのまれぬ−ひとのこころの−はなにたに−なほをしまれて−すくるはるかな


00771
未入力 信覚 (xxx)

よしさらは芳野の河にせきとめよ春の形見の花のうたかた

よしさらは−よしののかはに−せきとめよ−はるのかたみの−はなのうたかた


00772
未入力 為経 (xxx)

春の行く方はいつくとしらねともしたふ心をたくへてそやる

はるのゆく−かたはいつくと−しらねとも−したふこころを−たくへてそやる


00773
未入力 忠定 (xxx)

なかめこし山のすゑのの夕霞その色となくをしき春かな

なかめこし−やまのすゑのの−ゆふかすみ−そのいろとなく−をしきはるかな


00774
未入力 資季 (xxx)

鴬のおのかなくへき春くれて谷の故郷跡もとむらむ

うくひすの−おのかなくへき−はるくれて−たにのふるさと−あともとむらむ


00775
未入力 頼氏 (xxx)

みな人のをしむならひの夕くれにしるへもなくて春や行くらん

みなひとの−をしむならひの−ゆふくれに−しるへもなくて−はるやゆくらむ


00776
未入力 有教 (xxx)

をしめとも春はとまらぬ習そと人にはいひて猶そうらむる

をしめとも−はるはとまらぬ−ならひそと−ひとにはいひて−なほそうらむる


00777
未入力 師継 (xxx)

かくはかりくるる別をしたふとも思ひもしらす春や行くらん

かくはかり−くるるわかれを−したふとも−おもひもしらす−はるやゆくらむ


00778
未入力 定嗣 (xxx)

ととむるにとまらぬ春といひなからをしむはみなの人の心そ

ととむるに−とまらぬはると−いひなから−をしむはみなの−ひとのこころそ


00779
未入力 成実 (xxx)

しのはしよ命にかへてをしめとも片思ひなる春のわかれを

しのはしよ−いのちにかへて−をしめとも−かたおもひなる−はるのわかれを


00780
未入力 蓮性 (xxx)

こし方にそへても猶やしのはれんことしも春の過くる日数を

こしかたに−そへてもなほや−しのはれむ−ことしもはるの−すくるひかすを


00781
未入力 顕氏 (xxx)

くれぬとも春のなこりをしたへとやせきに霞の猶ととむらん

くれぬとも−はるのなこりを−したへとや−せきにかすみの−なほととむらむ


00782
未入力 寂能 (xxx)

杉の葉はしるしもみえすいくたひかくれ行く春に逢坂の関

すきのはは−しるしもみえす−いくたひか−くれゆくはるに−あふさかのせき


00783
未入力 為氏 (xxx)

くれかたき空とはなにに思ひけんすくる程なき春の日数を

くれかたき−そらとはなにに−おもひけむ−すくるほとなき−はるのひかすを


00784
未入力 真観 (xxx)

ありし世に思ひそめてし心にて忘れすいまもをしき春かな

ありしよに−おもひそめてし−こころにて−わすれすいまも−をしきはるかな


00785
未入力 寂西 (xxx)

恨みかねせめてそ思ふ春のくれくははるとしにいつかめくらん

うらみかね−せめてそおもふ−はるのくれ−くははるとしに−いつかめくらむ


00786
未入力 為継 (xxx)

年ことにけふの恨はかさなれと猶つれなくもくるる春かな

としことに−けふのうらみは−かさなれと−なほつれなくも−くるるはるかな


00787
未入力 経朝 (xxx)

おのつからいまは霞の関の名やとまらぬ春の形見なるへき

おのつから−いまはかすみの−せきのなや−とまらぬはるの−かたみなるへき


00788
未入力 行家 (xxx)

いくかへりやよひの空のくれことにこりぬ心の春したふらん

いくかへり−やよひのそらの−くれことに−こりぬこころの−はるしたふらむ


00789
未入力 成茂 (xxx)

今さらに思はしとてもむかしよりをしみなれたる春のくれかな

いまさらに−おもはしとても−むかしより−をしみなれたる−はるのくれかな


00790
未入力 隆祐 (xxx)

跡をさへ誰かためしのふ春なれは霞の内にくれて行くらん

あとをさへ−たかためしのふ−はるなれは−かすみのうちに−くれてゆくらむ


00791
未入力 禅信 (xxx)

行く春のいくかもあらぬはつせ山けふは名残の入あひの鐘

ゆくはるの−いくかもあらぬ−はつせやま−けふはなこりの−いりあひのかね


00792
未入力 高倉 (xxx)

嵐ふく山のした道ふみまよひととめぬ春の名残をそとふ

あらしふく−やまのしたみち−ふみまよひ−ととめぬはるの−なこりをそとふ


00793
未入力 按祭 (xxx)

年をへてそをたに後の形見とや心にあかて春の過くらん

としをへて−そをたにのちの−かたみとや−こころにあかて−はるのすくらむ


00794
未入力 帥 (xxx)

又もこむ春そといまは思へともなくさめかたきけふのくれかな

またもこむ−はるそといまは−おもへとも−なくさめかたき−けふのくれかな


00795
未入力 小宰相 (xxx)

けふの日も入あひの鐘のこゑきけはいかにとむへき春の別そ

けふのひも−いりあひのかねの−こゑきけは−いかにとむへき−はるのわかれそ


00796
未入力 俊成女 (xxx)

春も又をしみかほなる夕かな今夜はかりの空のなこりは

はるもまた−をしみかほなる−ゆふへかな−こよひはかりの−そらのなこりは


00797
未入力 少将内侍 (xxx)

いかにせむさならぬことも思ふ身にましてわかれの春の夕暮

いかにせむ−さならぬことも−おもふみに−ましてわかれの−はるのゆふくれ


00798
未入力 弁内侍 (xxx)

夏とのみうはの空にそいひかへるくれ行く春のあかぬあまりは

なつとのみ−うはのそらにそ−いひかへる−くれゆくはるの−あかぬあまりは


00799
未入力 但馬 (xxx)

大井河くたす筏にさす棹のはやくも春のくれそ過行く

おほゐかは−くたすいかたに−さすさをの−はやくもはるの−くれそすきゆく


00800
未入力 下野 (xxx)

くれはつるけふの日影もかたふきて名残すくなく残る春かな

くれはつる−けふのひかけも−かたふきて−なこりすくなく−のこるはるかな



宝治百首:夏

00801
未入力 御製 (xxx)

荒玉の年をかさねてかへつれと猶ひとへなる夏衣かな

あらたまの−としをかさねて−かへつれと−なほひとへなる−なつころもかな


00802
未入力 道助 (xxx)

昨日まて花にまかひししら雲の面影うすくたつ衣かな

きのふまて−はなにまかひし−しらくもの−おもかけうすく−たつころもかな


00803
未入力 実氏 (xxx)

のこりけるみ山かくれのおそ桜夏さへ風を猶やいとはむ

のこりける−みやまかくれの−おそさくら−なつさへかせを−なほやいとはむ


00804
未入力 基家 (xxx)

こえきつるとほ山鳥のおそ桜宮こにしらぬ春やのこれる

こえきつる−とほやまとりの−おそさくら−みやこにしらぬ−はるやのこれる


00805
未入力 家良 (xxx)

春をのみをしみし程に夏衣たつ日にはやく成りにけるかな

はるをのみ−をしみしほとに−なつころも−たつひにはやく−なりにけるかな


00806
未入力 基良 (xxx)

春をのみ人はしのへはうの花のかけにかくれて夏やきぬらん

はるをのみ−ひとはしのへは−うのはなの−かけにかくれて−なつやきぬらむ


00807
未入力 隆親 (xxx)

昨日まて袂にそめし花の色の形見もしらぬ衣かへかな

きのふまて−たもとにそめし−はなのいろの−かたみもしらぬ−ころもかへかな


00808
未入力 為家 (xxx)

夏きてはたたひとへなる衣手にいかてか春を立ちへたつらん

なつきては−たたひとへなる−ころもてに−いかてかはるを−たちへたつらむ


00809
未入力 公相 (xxx)

たちかはるけふを卯月の始とや神のみむろに榊とるらん

たちかはる−けふをうつきの−はしめとや−かみのみむろに−さかきとるらむ


00810
未入力 実雄 (xxx)

けふとてや大宮人の白妙にかさねてきたる蝉のは衣

けふとてや−おほみやひとの−しろたへに−かさねてきたる−せみのはころも


00811
未入力 信覚 (xxx)

めくりあひて夏きにけらし久方のあまの羽衣たちやかふらん

めくりあひて−なつきにけらし−ひさかたの−あまのはころも−たちやかふらむ


00812
未入力 為経 (xxx)

あかさりし花のかとりの衣かへ春のかたみや猶のこるらん

あかさりし−はなのかとりの−ころもかへ−はるのかたみや−なほのこるらむ


00813
未入力 忠定 (xxx)

昨日かもかすみしものをあまつ空てる日の色に夏はきにけり

きのふかも−かすみしものを−あまつそら−てるひのいろに−なつはきにけり


00814
未入力 資季 (xxx)

白妙の雲のはたての夏衣いまかほすらんあまのかこ山

しろたへの−くものはたての−なつころも−いまかほすらむ−あまのかこやま


00815
未入力 頼氏 (xxx)

春のきし霞もけさは立ちかへてうすき衣に夏はきにけり

はるのきし−かすみもけさは−たちかへて−うすきころもに−なつはきにけり


00816
未入力 有教 (xxx)

しるしらすなれこし春のこの本をとふ人もなき夏はきにけり

しるしらす−なれこしはるの−このもとを−とふひともなき−なつはきにけり


00817
未入力 師継 (xxx)

花の色をけふぬきかふる夏衣春の形見やうすく成るらん

はなのいろを−けふぬきかふる−なつころも−はるのかたみや−うすくなるらむ


00818
未入力 定嗣 (xxx)

ことさらにけふつかへてそももしきの大宮人もかとりをはきる

ことさらに−けふつかへてそ−ももしきの−おほみやひとも−かとりをはきる


00819
未入力 成実 (xxx)

たちなれし花の面かけしたひきてひとへにつらき夏衣かな

たちなれし−はなのおもかけ−したひきて−ひとへにつらき−なつころもかな


00820
未入力 蓮性 (xxx)

ちりのこる花をみなから夏衣心をかへて風をまつらん

ちりのこる−はなをみなから−なつころも−こころをかへて−かせをまつらむ


00821
未入力 顕氏 (xxx)

立ちかふるうすき衣も白妙の色もてはやすやとのうの花

たちかふる−うすきころもも−しろたへの−いろもてはやす−やとのうのはな


00822
未入力 寂能 (xxx)

布引の滝のしらいと夏くれはいはねの苔も色やかふらん

ぬのひきの−たきのしらいと−なつくれは−いはねのこけも−いろやかふらむ


00823
未入力 為氏 (xxx)

けさよりは蝉の羽衣おりはへてたたひとへにそ夏はきにける

けさよりは−せみのはころも−おりはへて−たたひとへにそ−なつはきにける


00824
未入力 真観 (xxx)

いまもさく岡へのすそのつつし原いつらは春の後とみえける

いまもさく−をかへのすその−つつしはら−いつらははるの−のちとみえける


00825
未入力 寂西 (xxx)

けふははやみあれの月の始とて神の社もころもかへせり

けふははや−みあれのつきの−はしめとて−かみのやしろも−ころもかへせり


00826
未入力 為継 (xxx)

せめて猶春の形見をぬきすててけふたちそむる夏衣かな

せめてなほ−はるのかたみを−ぬきすてて−けふたちそむる−なつころもかな


00827
未入力 経朝 (xxx)

なつそひくうすき衣にたちそめておのれもかはる風の音かな

なつそひく−うすきころもに−たちそめて−おのれもかはる−かせのおとかな


00828
未入力 行家 (xxx)

榊葉に卯月のみしめ引きかけてみむろの山は神まつるなり

さかきはに−うつきのみしめ−ひきかけて−みむろのやまは−かみまつるなり


00829
未入力 成茂 (xxx)

夏きぬといふはかりにておそ桜ちらぬ限や春とたのまん

なつきぬと−いふはかりにて−おそさくら−ちらぬかきりや−はるとたのまむ


00830
未入力 隆祐 (xxx)

すかのねの長き日はかり形見にて春は跡なきみよしのの山

すかのねの−なかきひはかり−かたみにて−はるはあとなき−みよしののやま


00831
未入力 禅信 (xxx)

夏衣たつたの山のしら雲をしはしは花の形見ともみん

なつころも−たつたのやまの−しらくもを−しはしははなの−かたみともみむ


00832
未入力 高倉 (xxx)

花の色にかさねし袖を引きかへてひとへにいそく夏衣かな

はなのいろに−かさねしそてを−ひきかへて−ひとへにいそく−なつころもかな


00833
未入力 按察 (xxx)

なにしかも花の色にもそめてけん袖の別の夏はきにけり

なにしかも−はなのいろにも−そめてけむ−そてのわかれの−なつはきにけり


00834
未入力 帥 (xxx)

夏くれはやとにまつさく卯花をなとかは人の雪とみるらん

なつくれは−やとにまつさく−うのはなを−なとかはひとの−ゆきとみるらむ


00835
未入力 小宰相 (xxx)

花の色の袖はさなから夏衣かさなるけふの習なりせは

はなのいろの−そてはさなから−なつころも−かさなるけふの−ならひなりせは


00836
未入力 俊成女 (xxx)

ぬきかへし花染衣それならぬ苔の袖にも夏そしらるる

ぬきかへし−はなそめころも−それならぬ−こけのそてにも−なつそしらるる


00837
未入力 少将内侍 (xxx)

いつしかとけふより夏に立ちかへてたたひとへなるあまのは衣

いつしかと−けふよりなつに−たちかへて−たたひとへなる−あまのはころも


00838
未入力 弁内侍 (xxx)

おそ桜のこるためしもありといはは猶たちかへし花染の袖

おそさくら−のこるためしも−ありといはは−なほたちかへし−はなそめのそて


00839
未入力 但馬 (xxx)

身にしめし花の色かもととまらすうすき衣に立ちかへてけり

みにしめし−はなのいろかも−ととまらす−うすきころもに−たちかへてけり


00840
未入力 下野 (xxx)

花にあかぬ心ならひに夏衣けふ白妙の袖もものうし

はなにあかぬ−こころならひに−なつころも−けふしろたへの−そてもものうし


00841
未入力 御製 (xxx)

身にしらは初ねきかせよ郭公五月をまつもくるしかるらん

みにしらは−はつねきかせよ−ほとときす−さつきをまつも−くるしかるらむ


00842
未入力 道助 (xxx)

一こゑを猶やをしまむほとときすあかつきふかく待つかひもなく

ひとこゑを−なほやをしまむ−ほとときす−あかつきふかく−まつかひもなく


00843
未入力 実氏 (xxx)

郭公いまはと思ふ山のはに月をまつことなれをこそまて

ほとときす−いまはとおもふ−やまのはに−つきをまつこと−なれをこそまて


00844
未入力 基家 (xxx)

出てやらぬときはの山のほとときす此里からやつれなかるらん

いてやらぬ−ときはのやまの−ほとときす−このさとからや−つれなかるらむ


00845
未入力 家良 (xxx)

いかなれは五月まつまは時鳥なくねを人にをしみそめけん

いかなれは−さつきまつまは−ほとときす−なくねをひとに−をしみそめけむ


00846
未入力 基良 (xxx)

とことはに待つそくるしき郭公なかぬ夜をたにしるよしもかな

とことはに−まつそくるしき−ほとときす−なかぬよをたに−しるよしもかな


00847
未入力 隆親 (xxx)

郭公初ねもいまは待つほとに成行くやとの夏木立かな

ほとときす−はつねもいまは−まつほとに−なりゆくやとの−なつこたちかな


00848
未入力 為家 (xxx)

あふひ草かさす卯月の郭公人の心にまつかかりつつ

あふひくさ−かさすうつきの−ほとときす−ひとのこころに−まつかかりつつ


00849
未入力 公相 (xxx)

契りおきしことしなけれと村雨の空にまたるる郭公かな

ちきりおきし−ことしなけれと−むらさめの−そらにまたるる−ほとときすかな


00850
未入力 実雄 (xxx)

われそまつこととひ渡る郭公人つてにたに猶またれつつ

われそまつ−こととひわたる−ほとときす−ひとつてにたに−なほまたれつつ


00851
未入力 信覚 (xxx)

山かけやいまもなかなん郭公待つ夜むなしきしののめの空

やまかけや−いまもなかなむ−ほとときす−まつよむなしき−しののめのそら


00852
未入力 為経 (xxx)

郭公きかぬ限はまとろまてまてはや夏の夜はのみしかき

ほとときす−きかぬかきりは−まとろまて−まてはやなつの−よはのみしかき


00853
未入力 忠定 (xxx)

今夜ともたのめぬものを郭公おもへはよその恨なりけり

こよひとも−たのめぬものを−ほとときす−おもへはよその−うらみなりけり


00854
未入力 資季 (xxx)

時鳥なくへき比に成りしよりみしかき夜はをねてあかすかな

ほとときす−なくへきころに−なりしより−みしかきよはを−ねてあかすかな


00855
未入力 頼氏 (xxx)

ほとときす待つとせしまの道はかりしけりもあへぬ杜の下草

ほとときす−まつとせしまの−みちはかり−しけりもあへぬ−もりのしたくさ


00856
未入力 有教 (xxx)

尋入るやまほとときすさのみやはつれなくありて世をわたるへき

たつねいる−やまほとときす−さのみやは−つれなくありて−よをわたるへき


00857
未入力 師継 (xxx)

いたつらに月日もすきぬ郭公心つくさていまはなかなん

いたつらに−つきひもすきぬ−ほとときす−こころつくさて−いまはなかなむ


00858
未入力 定嗣 (xxx)

玉にぬくあふちさくめり時鳥はや我かやとに一こゑもかな

たまにぬく−あふちさくめり−ほとときす−はやわかやとに−ひとこゑもかな


00859
未入力 成実 (xxx)

郭公なかてはやまぬものゆゑに人くるしめにこゑをしむらん

ほとときす−なかてはやまぬ−ものゆゑに−ひとくるしめに−こゑをしむらむ


00860
未入力 蓮性 (xxx)

ほとときすくへきよひとやたのままし人はたれかはくものふるまひ

ほとときす−くへきよひとや−たのままし−ひとはたれかは−くものふるまひ


00861
未入力 顕氏 (xxx)

五月たに鳴きもふるさぬ郭公せめても夜はの心つくしに

さつきたに−なきもふるさぬ−ほとときす−せめてもよはの−こころつくしに


00862
未入力 寂能 (xxx)

明けぬとてまちもたゆまし時鳥初ねはよはにかきるものかは

あけぬとて−まちもたゆまし−ほとときす−はつねはよはに−かきるものかは


00863
未入力 為氏 (xxx)

まてはこそつれなかるらめ郭公思ひすててや初ねきかまし

まてはこそ−つれなかるらめ−ほとときす−おもひすててや−はつねきかまし


00864
未入力 真観 (xxx)

野も山もたたゆきこえん時鳥なかなくこゑのあふ所まて

のもやまも−たたゆきこえむ−ほとときす−なかなくこゑの−あふところまて


00865
未入力 寂西 (xxx)

夜もすから我かあらましの時鳥なかぬ初ねもめはさましけり

よもすから−わかあらましの−ほとときす−なかぬはつねも−めはさましけり


00866
未入力 為経 (xxx)

初ねきく人をはわかしほとときすねぬ夜かさなる宿をとへかし

はつねきく−ひとをはわかし−ほとときす−ねぬよかさなる−やとをとへかし


00867
未入力 経朝 (xxx)

よもすから心をつくす郭公またぬ里にやなきふるすらん

よもすから−こころをつくす−ほとときす−またぬさとにや−なきふるすらむ


00868
未入力 行家 (xxx)

やよやなけあり明の空の郭公こゑをしむへき月の影かは

やよやなけ−ありあけのそらの−ほとときす−こゑをしむへき−つきのかけかは


00869
未入力 成茂 (xxx)

郭公まつ夜かさなる今夜もや猶つれなさはなかてあけなむ

ほとときす−まつよかさなる−こよひもや−なほつれなさは−なかてあけなむ


00870
未入力 隆祐 (xxx)

いつをかも契りおきてか郭公心のままのねををしむらん

いつをかも−ちきりおきてか−ほとときす−こころのままの−ねををしむらむ


00871
未入力 禅信 (xxx)

郭公こゑ待つほとの故郷に花たちはなそまつにほひける

ほとときす−こゑまつほとの−ふるさとに−はなたちはなそ−まつにほひける


00872
未入力 高倉 (xxx)

我もさそしのへはくるし時鳥まつ夕くれにこゑなをしみそ

われもさそ−しのへはくるし−ほとときす−まつゆふくれに−こゑなをしみそ


00873
未入力 按察 (xxx)

わかためのこゑにもあらし郭公かたらへとしもなとおもふらん

わかための−こゑにもあらし−ほとときす−かたらへとしも−なとおもふらむ


00874
未入力 帥 (xxx)

かくはかりまてとかひなき郭公なにとしてかはきくへかるらん

かくはかり−まてとかひなき−ほとときす−なにとしてかは−きくへかるらむ


00875
未入力 小宰相 (xxx)

時鳥たよりをしへよ卯花のかけにしのふるかけたにもせす

ほとときす−たよりをしへよ−うのはなの−かけにしのふる−かけたにもせす


00876
未入力 俊成女 (xxx)

待つよひの心つくしに郭公なとしのひねをもらしたにせぬ

まつよひの−こころつくしに−ほとときす−なとしのひねを−もらしたにせぬ


00877
未入力 少将内侍 (xxx)

郭公初ねまたるるときにこそみしかき夜半もあかしかねけれ

ほとときす−はつねまたるる−ときにこそ−みしかきよはも−あかしかねけれ


00878
未入力 弁内侍 (xxx)

我にたたなきてきかせよ郭公しのひねならは人にかたらし

われにたた−なきてきかせよ−ほとときす−しのひねならは−ひとにかたらし


00879
未入力 但馬 (xxx)

うらみしなおもふにたかふやとなれはまつにおとせぬ山ほとときす

うらみしな−おもふにたかふ−やとなれは−まつにおとせぬ−やまほとときす


00880
未入力 下野 (xxx)

郭公外のはつねやすきぬらん待つかひもなき軒のたち花

ほとときす−ほかのはつねや−すきぬらむ−まつかひもなき−のきのたちはな


00881
未入力 御製 (xxx)

我も又いさかたらはむ郭公待ちつるほとの心つくしを

われもまた−いさかたらはむ−ほとときす−まちつるほとの−こころつくしを


00882
未入力 道助 (xxx)

郭公ふりいててなけ神代にもから紅のこゑはきこえす

ほとときす−ふりいててなけ−かみよにも−からくれなゐの−こゑはきこえす


00883
未入力 実氏 (xxx)

ともにきく人こそかはれ郭公ことしもこそのこゑになくなり

ともにきく−ひとこそかはれ−ほとときす−ことしもこその−こゑになくなり


00884
未入力 基家 (xxx)

ちはやふる神かき山をこえすきて鳴く郭公身をやをしまぬ

ちはやふる−かみかきやまを−こえすきて−なくほとときす−みをやをしまぬ


00885
未入力 家良 (xxx)

郭公あかす過行く里ことになかなくこゑもいとなかるらん

ほとときす−あかすすきゆく−さとことに−なかなくこゑも−いとなかるらむ


00886
未入力 基良 (xxx)

時鳥まれにもたれかかたらはんおのかなさけそ身にはしらるる

ほとときす−まれにもたれか−かたらはむ−おのかなさけそ−みにはしらるる


00887
未入力 隆親 (xxx)

足引の山ちくらして時鳥しはしかたらふゆふくれのこゑ

あしひきの−やまちくらして−ほとときす−しはしかたらふ−ゆふくれのこゑ


00888
未入力 為家 (xxx)

たちかへり山郭公なのれともたそかれ時はなほやとはまし

たちかへり−やまほとときす−なのれとも−たそかれときは−なほやとはまし


00889
未入力 公相 (xxx)

おのつからとふ人もなきみ山へに我のみなのるほとときすかな

おのつから−とふひともなき−みやまへに−われのみなのる−ほとときすかな


00890
未入力 実雄 (xxx)

をちかへりなきふるせとも郭公猶あかなくにけふもくらしつ

をちかへり−なきふるせとも−ほとときす−なほあかなくに−けふもくらしつ


00891
未入力 為経 (xxx)

ききつやと人にそつくる郭公我か待ちかねしこころならひに

ききつやと−ひとにそつくる−ほとときす−わかまちかねし−こころならひに


00892
未入力 信覚 (xxx)

名もつらし老その杜の郭公おのか涙もとしやへぬらん

なもつらし−おいそのもりの−ほとときす−おのかなみたも−としやへぬらむ


00893
未入力 忠定 (xxx)

鳴きすてしなれもわかれぬ郭公うきはならひのあかつきの空

なきすてし−なれもわかれぬ−ほとときす−うきはならひの−あかつきのそら


00894
未入力 資季 (xxx)

またきかぬ人につけはや五月待つ山ほとときすこゑならすなり

またきかぬ−ひとにつけはや−さつきまつ−やまほとときす−こゑならすなり


00895
未入力 頼氏 (xxx)

たち花の軒はの山の郭公五月まちけるこゑつつくなり

たちはなの−のきはのやまの−ほとときす−さつきまちける−こゑつつくなり


00896
未入力 有教 (xxx)

あし曳の山ほとときすいかにしてあかれぬねには鳴きはしめけん

あしひきの−やまほとときす−いかにして−あかれぬねには−なきはしめけむ


00897
未入力 師継 (xxx)

郭公なにをうしとか卯花の陰にかくれてなきわたるらん

ほとときす−なにをうしとか−うのはなの−かけにかくれて−なきわたるらむ


00898
未入力 定嗣 (xxx)

たれもみな物思ひなき御世なれはいとはてそきく山ほとときす

たれもみな−ものおもひなき−みよなれは−いとはてそきく−やまほとときす


00899
未入力 成実 (xxx)

行すゑもしらぬ山ちの郭公又やきなくとここに待見む

ゆくすゑも−しらぬやまちの−ほとときす−またやきなくと−ここにまちみむ


00900
未入力 蓮性 (xxx)

いかにして忘れすきなくほとときすかたらふ人もあらぬ我か身を

いかにして−わすれすきなく−ほとときす−かたらふひとも−あらぬわかみを


00901
未入力 顕氏 (xxx)

去年のねといひふるせとも郭公いやめつらなる夕くれのこゑ

こそのねと−いひふるせとも−ほとときす−いやめつらなる−ゆふくれのこゑ


00902
未入力 寂能 (xxx)

み山いてて鳴きおくれたる郭公待ちえぬ里の人もきくらん

みやまいてて−なきおくれたる−ほとときす−まちえぬさとの−ひともきくらむ


00903
未入力 為氏 (xxx)

鳴きふるす五月の空の郭公いととあやめのねをやそふらん

なきふるす−さつきのそらの−ほとときす−いととあやめの−ねをやそふらむ


00904
未入力 真観 (xxx)

すきねたたことつてもせし郭公哀といはむ人もなき身そ

すきねたた−ことつてもせし−ほとときす−あはれといはむ−ひともなきみそ


00905
未入力 寂西 (xxx)

なきぬとてあなかま人のさわくまにききまよはせる郭公かな

なきぬとて−あなかまひとの−さわくまに−ききまよはせる−ほとときすかな


00906
未入力 為継 (xxx)

しののめの横雲わたる絶間よりこゑかすかなる郭公かな

しののめの−よこくもわたる−たえまより−こゑかすかなる−ほとときすかな


00907
未入力 経朝 (xxx)

郭公あかぬ心をしるへにて思ひそおくる雲のをちかた

ほとときす−あかぬこころを−しるへにて−おもひそおくる−くものをちかた


00908
未入力 行家 (xxx)

つま恋のこゑほのかなる郭公神なひ山のこすゑはるかに

つまこひの−こゑほのかなる−ほとときす−かみなひやまの−こすゑはるかに


00909
未入力 成茂 (xxx)

いくこゑもあくへき物か郭公たた鳴きふるせおのか五月は

いくこゑも−あくへきものか−ほとときす−たたなきふるせ−おのかさつきは


00910
未入力 隆祐 (xxx)

思ひしる我かやとからの郭公一こゑなくもなさけなりけり

おもひしる−わかやとからの−ほとときす−ひとこゑなくも−なさけなりけり


00911
未入力 禅信 (xxx)

をりはへて山郭公なのるなりたそかれ時のむら雲の空

をりはへて−やまほとときす−なのるなり−たそかれときの−むらくものそら


00912
未入力 高倉 (xxx)

郭公なきて過きぬるあまの戸のおしあけ方にのこる月影

ほとときす−なきてすきぬる−あまのとの−おしあけかたに−のこるつきかけ


00913
未入力 按察 (xxx)

郭公いさやすかたはみもわかす昔なりけるこゑはかりして

ほとときす−いさやすかたは−みもわかす−むかしなりける−こゑはかりして


00914
未入力 帥 (xxx)

郭公なきふるしてしこゑなれと聞くたひことにあかれやはする

ほとときす−なきふるしてし−こゑなれと−きくたひことに−あかれやはする


00915
未入力 小宰相 (xxx)

郭公こゑのかきりをつくすへきおのか五月といまそしりける

ほとときす−こゑのかきりを−つくすへき−おのかさつきと−いまそしりける


00916
未入力 俊成女 (xxx)

きく人に心やかよふほとときすわれも昔のなのりしてける

きくひとに−こころやかよふ−ほとときす−われもむかしの−なのりしてける


00917
未入力 少将内侍 (xxx)

五月きて鳴きふるせとも郭公おのかなくねのあかれやはする

さつききて−なきふるせとも−ほとときす−おのかなくねの−あかれやはする


00918
未入力 弁内侍 (xxx)

郭公なきふるすまて成りにけりこふのかきりや五月なるらん

ほとときす−なきふるすまて−なりにけり−こふのかきりや−さつきなるらむ


00919
未入力 但馬 (xxx)

なれもけにしのはさりけり郭公ねにたてつへき空のけしきを

なれもけに−しのはさりけり−ほとときす−ねにたてつへき−そらのけしきを


00920
未入力 下野 (xxx)

郭公たそかれ時になのるなりおのかね山へ帰るさのこゑ

ほとときす−たそかれときに−なのるなり−おのかねやまへ−かへるさのこゑ


00921
未入力 御製 (xxx)

足曳の山田のさなへとりとりに民のしわさはにきはひにけり

あしひきの−やまたのさなへ−とりとりに−たみのしわさは−にきはひにけり


00922
未入力 道助 (xxx)

あし引の山たのさなへ数数に年ある民のほとそしらるる

あしひきの−やまたのさなへ−かすかすに−としあるたみの−ほとそしらるる


00923
未入力 実氏 (xxx)

雨すくるますけのをかさかたよりにを田のさをとめ早苗とるなり

あめすくる−ますけのをかさ−かたよりに−をたのさをとめ−さなへとるなり


00924
未入力 基家 (xxx)

山かけのを田のしめ縄長き日のくれかかるまてとる早苗かな

やまかけの−をたのしめなは−なかきひの−くれかかるまて−とるさなへかな


00925
未入力 家良 (xxx)

この程は民の草葉のはつなへにとりもたゆますいくかへぬらん

このほとは−たみのくさはの−はつなへに−とりもたゆます−いくかへぬらむ


00926
未入力 基良 (xxx)

遠山田おりたつ田子のいとまなみとるや早苗にけふも暮れつつ

とほやまた−おりたつたこの−いとまなみ−とるやさなへに−けふもくれつつ


00927
未入力 隆親 (xxx)

くれかかる山田のたこのぬれ衣ほさてやあすも早苗とるへき

くれかかる−やまたのたこの−ぬれころも−ほさてやあすも−さなへとるへき


00928
未入力 為家 (xxx)

道のへの山田のみしめ引きはへて長き日つきに早苗とるなり

みちのへの−やまたのみしめ−ひきはへて−なかきひつきに−さなへとるなり


00929
未入力 公相 (xxx)

今よりは五月なりとやいそくらん山田の早苗とらぬ日そなき

いまよりは−さつきなりとや−いそくらむ−やまたのさなへ−とらぬひそなき


00930
未入力 実雄 (xxx)

昨日まて苗代水をせきかけしわさ田の早苗今そとるなる

きのふまて−なはしろみつを−せきかけし−わさたのさなへ−いまそとるなる


00931
未入力 信覚 (xxx)

早苗とる田子のもすそのみしふつきあせこす水にぬれぬ日そなき

さなへとる−たこのもすその−みしふつき−あせこすみつに−ぬれぬひそなき


00932
未入力 為経 (xxx)

いそきとれ五月たけなは足引の山田の早苗程すきぬへし

いそきとれ−さつきたけなは−あしひきの−やまたのさなへ−ほとすきぬへし


00933
未入力 忠定 (xxx)

早苗とる田の面の水のあさ緑すすしき色に山風そ吹く

さなへとる−たのものみつの−あさみとり−すすしきいろに−やまかせそふく


00934
未入力 資季 (xxx)

山しろのとはたの面に立つ民もおのか時とや早苗とるらむ

やましろの−とはたのおもに−たつたみも−おのかときとや−さなへとるらむ


00935
未入力 頼氏 (xxx)

今はとて早苗とるらしみ山田にせきいるる水の末そにこれる

いまはとて−さなへとるらし−みやまたに−せきいるるみつの−すゑそにこれる


00936
未入力 有教 (xxx)

五月待つわさたの早苗老いぬとやおりたつ田子のけふいそくらん

さつきまつ−わさたのさなへ−おいぬとや−おりたつたこの−けふいそくらむ


00937
未入力 師継 (xxx)

またれつる時は五月に成りにけり小田の早苗も今いそかなん

またれつる−ときはさつきに−なりにけり−をたのさなへも−いまいそかなむ


00938
未入力 定嗣 (xxx)

坂こえて民はきにけりたつのゐるあへの田のもにさなへとるなり

さかこえて−たみはきにけり−たつのゐる−あへのたのもに−さなへとるなり


00939
未入力 成実 (xxx)

五月きていそく早苗をとりもあへす御代さかゆへき程を知るかな

さつききて−いそくさなへを−とりもあへす−みよさかゆへき−ほとをしるかな


00940
未入力 蓮性 (xxx)

けふも又田子のいた舟さしうけてぬま江をふかみとる早苗かな

けふもまた−たこのいたふね−さしうけて−ぬまえをふかみ−とるさなへかな


00941
未入力 顕氏 (xxx)

みたやもりいそく早苗のとりとりによにふる道はけにそくるしき

みたやもり−いそくさなへの−とりとりに−よにふるみちは−けにそくるしき


00942
未入力 寂能 (xxx)

まつら川あゆつるせせの水きよみにこらぬ末に早苗とるなり

まつらかは−あゆつるせせの−みつきよみ−にこらぬすゑに−さなへとるなり


00943
未入力 為氏 (xxx)

おしなへて五月きぬとや足引の山田の早苗とらぬ日もなし

おしなへて−さつききぬとや−あしひきの−やまたのさなへ−とらぬひもなし


00944
未入力 真観 (xxx)

まきおきし石田のわせの種なれは外にまたしき早苗とるなり

まきおきし−いしたのわせの−たねなれは−ほかにまたしき−さなへとるなり


00945
未入力 寂西 (xxx)

かついそく田子のもろこゑ打ちむれてうたふや五月早苗とるなり

かついそく−たこのもろこゑ−うちむれて−うたふやさつき−さなへとるなり


00946
未入力 為継 (xxx)

五月こぬ程と思へと小山田にはやもいそくか早苗とるなり

さつきこぬ−ほととおもへと−をやまたに−はやもいそくか−さなへとるなり


00947
未入力 経朝 (xxx)

ますらをか山田の早苗とりとりにいそく五月に雨うるふなり

ますらをか−やまたのさなへ−とりとりに−いそくさつきに−あめうるふなり


00948
未入力 行家 (xxx)

三輪川の水せきかけてやまとなるふるのわさたは早苗とるなり

みわかはの−みつせきかけて−やまとなる−ふるのわさたは−さなへとるなり


00949
未入力 成実 (xxx)

五月きぬみとしろ小田にしめはへて神の宮つこ早苗とるらん

さつききぬ−みとしろをたに−しめはへて−かみのみやつこ−さなへとるらむ


00950
未入力 隆祐 (xxx)

日くるれはうたふをとめかこゑすみてとほき田面に早苗とるなり

ひくるれは−うたふをとめか−こゑすみて−とほきたのもに−さなへとるなり


00951
未入力 禅信 (xxx)

ひくしめのいくたひ民のいとまなく昨日もけふもとる早苗かな

ひくしめの−いくたひたみの−いとまなく−きのふもけふも−とるさなへかな


00952
未入力 高倉 (xxx)

たまゆらにむろのはやわせとりそめて世渡るしつそくるしかりける

たまゆらに−むろのはやわせ−とりそめて−よわたるしつそ−くるしかりける


00953
未入力 按察 (xxx)

今よりや早苗とるらんしつのめも五月まつ間はいそかさりしを

いまよりや−さなへとるらむ−しつのめも−さつきまつまは−いそかさりしを


00954
未入力 帥 (xxx)

足引の山田のしつかいとまなみおのか五月ととるさなへかな

あしひきの−やまたのしつか−いとまなみ−おのかさつきと−とるさなへかな


00955
未入力 小宰相 (xxx)

早苗とりおりたつたこのけしきまてをさまれる世はまつしるきかな

さなへとり−おりたつたこの−けしきまて−をさまれるよは−まつしるきかな


00956
未入力 俊成女 (xxx)

小山田に早苗とるしつのぬれ衣たかためいそく袖のしつくそ

をやまたに−さなへとるしつの−ぬれころも−たかためいそく−そてのしつくそ


00957
未入力 少将内侍 (xxx)

けふいくかぬれそふ袖をほしやらており立つ田子の早苗とるらん

けふいくか−ぬれそふそてを−ほしやらて−おりたつたこの−さなへとるらむ


00958
未入力 弁内侍 (xxx)

小山田にまかする水のあさみこそ袖はひつらめ早苗とるまて

をやまたに−まかするみつの−あさみこそ−そてはひつらめ−さなへとるまて


00959
未入力 但馬 (xxx)

早苗とるしつのをたまき長き日に猶くり返しぬらす袖かな

さなへとる−しつのをたまき−なかきひに−なほくりかへし−ぬらすそてかな


00960
未入力 下野 (xxx)

雨ふれは山田の早苗とりとりにおり立つ田子のもすそぬらしつ

あめふれは−やまたのさなへ−とりとりに−おりたつたこの−もすそぬらしつ


00961
未入力 御製 (xxx)

谷川の渡りしせせもひひくまて音こそまされ五月雨の比

たにかはの−わたりしせせも−ひひくまて−おとこそまされ−さみたれのころ


00962
未入力 道助 (xxx)

はつせ山おのれ五月のやみそへてひはらの谷に雨そそくなり

はつせやま−おのれさつきの−やみそへて−ひはらのたにに−あめそそくなり


00963
未入力 実氏 (xxx)

五月雨にたえやしぬらん音羽川うき木つたひの谷の通路

さみたれに−たえやしぬらむ−おとはかは−うききつたひの−たにのかよひち


00964
未入力 基家 (xxx)

玉かつら谷のかけはし波こえてくる人たゆる五月雨のころ

たまかつら−たにのかけはし−なみこえて−くるひとたゆる−さみたれのころ


00965
未入力 家良 (xxx)

ゆきなやみさされかくれぬ谷水のxxxxxxxxxxxxxx

ゆきなやみ−さされかくれぬ−たにみつの−xxxxxxx−xxxxxxx


00966
未入力 基良 (xxx)

五月雨の雲さへふかき谷風はさまゆふいかて人にしられん

さみたれの−くもさへふかき−たにかせは−さまゆふいかて−ひとにしられむ


00967
未入力 隆親 (xxx)

旅人のこまうちわたす道もなし細谷川の五月雨のころ

たひひとの−こまうちわたす−みちもなし−ほそたにかはの−さみたれのころ


00968
未入力 為家 (xxx)

水まさる谷のむもれ木根をたえてさそはれいつる五月雨の比

みつまさる−たにのうもれき−ねをたえて−さそはれいつる−さみたれのころ


00969
未入力 公相 (xxx)

谷川の岩間の水はかつこえて音まさり行く五月雨のころ

たにかはの−いはまのみつは−かつこえて−おとまさりゆく−さみたれのころ


00970
未入力 実雄 (xxx)

谷川に通ひし水のいはつたひ波そこえ行く五月雨のころ

たにかはに−かよひしみつの−いはつたひ−なみそこえゆく−さみたれのころ


00971
未入力 信覚 (xxx)

せきいるる谷のを河の五月雨にいはこす水も音とよむなり

せきいるる−たにのをかはの−さみたれに−いはこすみつも−おととよむなり


00972
未入力 為経 (xxx)

日数へて水まさり行く五月雨になかれにけりな谷のかけはし

ひかすへて−みつまさりゆく−さみたれに−なかれにけりな−たにのかけはし


00973
未入力 忠定 (xxx)

五月雨は谷のかよひち絶えにけり水の下なる波のかけはし

さみたれは−たにのかよひち−たえにけり−みつのしたなる−なみのかけはし


00974
未入力 資季 (xxx)

をちこちの滝の数そふ五月雨に細谷川の音ひひくなり

をちこちの−たきのかすそふ−さみたれに−ほそたにかはの−おとひひくなり


00975
未入力 頼氏 (xxx)

五月雨の日をふるままに埋木のそこともみえぬ谷の下水

さみたれの−ひをふるままに−うもれきの−そこともみえぬ−たにのしたみつ


00976
未入力 有教 (xxx)

五月雨に谷のかけはし水こえて嶺のふし木をかよふ山人

さみたれに−たにのかけはし−みつこえて−みねのふしきを−かよふやまひと


00977
未入力 師継 (xxx)

としへぬる谷の埋木あらはれてさてもやすきむ五月雨の比

としへぬる−たにのうもれき−あらはれて−さてもやすきむ−さみたれのころ


00978
未入力 定嗣 (xxx)

渋谷のありそのさきもみえぬまて波たかからし五月雨の比

しふたにの−ありそのさきも−みえぬまて−なみたかからし−さみたれのころ


00979
未入力 成実 (xxx)

さらてたには山か谷のいふせきに雲とちはつる五月雨の比

さらてたに−はやまかたにの−いふせきに−くもとちはつる−さみたれのころ


00980
未入力 蓮性 (xxx)

谷川の滝つせせなるしら玉のをやみもみえぬ五月雨の空

たにかはの−たきつせせなる−しらたまの−をやみもみえぬ−さみたれのそら


00981
未入力 顕氏 (xxx)

谷陰やむすふいほりのしはしたに袖まきほさぬ五月雨の比

たにかけや−むすふいほりの−しはしたに−そてまきほさぬ−さみたれのころ


00982
未入力 寂能 (xxx)

五月雨にみをのはやせはととまらてよとみにわたす谷の柴橋

さみたれに−みをのはやせは−ととまらて−よとみにわたす−たにのしははし


00983
未入力 為氏 (xxx)

五月雨はいくか日数のふりぬらんさなから淵の谷川の水

さみたれは−いくかひかすの−ふりぬらむ−さなからふちの−たにかはのみつ


00984
未入力 真観 (xxx)

いはかねにとかくせかれし谷水のうへになかるる五月雨の比

いはかねに−とかくせかれし−たにみつの−うへになかるる−さみたれのころ


00985
未入力 寂西 (xxx)

かけつくる谷のいほりの軒はよりしつくもなかし五月雨の比

かけつくる−たにのいほりの−のきはより−しつくもなかし−さみたれのころ


00986
未入力 為継 (xxx)

五月雨に道こそなけれみなそこの岩ねつたひの谷のかけ橋

さみたれに−みちこそなけれ−みなそこの−いはねつたひの−たにのかけはし


00987
未入力 経朝 (xxx)

五月雨によもの谷川水こえて波こそわたれせせの高はし

さみたれに−よものたにかは−みつこえて−なみこそわたれ−せせのたかはし


00988
未入力 行家 (xxx)

五月雨に山のしつくもおちそひて岩波たかし谷川の水

さみたれに−やまのしつくも−おちそひて−いはなみたかし−たにかはのみつ


00989
未入力 成茂 (xxx)

五月雨はのとかにふれと谷川の岩こす水は山もととろに

さみたれは−のとかにふれと−たにかはの−いはこすみつは−やまもととろに


00990
未入力 隆祐 (xxx)

谷川のまかせぬ水はあまりきてかけひなかるる五月雨の比

たにかはの−まかせぬみつは−あまりきて−かけひなかるる−さみたれのころ


00991
未入力 禅信 (xxx)

流れそふ山のしつくの五月雨にあさせもふかき谷川の水

なかれそふ−やまのしつくの−さみたれに−あさせもふかき−たにかはのみつ


00992
未入力 高倉 (xxx)

五月雨に谷のかけはし水こえてゆききもみえぬみねの通路

さみたれに−たにのかけはし−みつこえて−ゆききもみえぬ−みねのかよひち


00993
未入力 按察 (xxx)

谷のとのいはかきし水いかはかりこの五月雨に流れそふらむ

たにのとの−いはかきしみつ−いかはかり−このさみたれに−なかれそふらむ


00994
未入力 帥 (xxx)

五月雨のはれまもみえぬ比なれはさそ朽ちぬらん谷の埋木

さみたれの−はれまもみえぬ−ころなれは−さそくちぬらむ−たにのうもれき


00995
未入力 小宰相 (xxx)

いかはかり谷のいはかきこえつらん川音たかき五月雨の比

いかはかり−たにのいはかき−こえつらむ−かはおとたかき−さみたれのころ


00996
未入力 俊成女 (xxx)

谷陰やとふ人まれの通路も水なみxxx五月雨の比

たにかけや−とふひとまれの−かよひちも−みつなみxxx−さみたれのころ


00997
未入力 少将内侍 (xxx)

かきくらしふる五月雨の比をへて谷のを川も音まさるなり

かきくらし−ふるさみたれの−ころをへて−たにのをかはも−おとまさるなり


00998
未入力 弁内侍 (xxx)

谷陰の石間つたひの忘水なかれてまさるさみたれの比

たにかけの−いしまつたひの−わすれみつ−なかれてまさる−さみたれのころ


00999
未入力 但馬 (xxx)

さらてたに日影すくなき谷のとにあくるもしらぬ五月雨の空

さらてたに−ひかけすくなき−たにのとに−あくるもしらぬ−さみたれのそら


01000
未入力 下野 (xxx)

ふりそむる日数やあさき五月雨に谷のいはまの水もまさらす

ふりそむる−ひかすやあさき−さみたれに−たにのいはまの−みつもまさらす


01001
未入力 御製 (xxx)

ふりたつるゆすゑも見えす夏草の野島か道を過くる狩人

ふりたつる−ゆすゑもみえす−なつくさの−のしまかみちを−すくるかりひと


01002
未入力 道助 (xxx)

夏草にましるさゆりはおのつから秋にしられぬ露やおくらん

なつくさに−ましるさゆりは−おのつから−あきにしられぬ−つゆやおくらむ


01003
未入力 実氏 (xxx)

露むすふ籬にふかき夏草のなにともなしにことしけの身や

つゆむすふ−まかきにふかき−なつくさの−なにともなしに−ことしけのみや


01004
未入力 基家 (xxx)

あけわたる夏野分行く里人は草かくれにや友よはふらん

あけわたる−なつのわけゆく−さとひとは−くさかくれにや−ともよはふらむ


01005
未入力 家良 (xxx)

ますらをはいたくなかりそ姫ゆりのしけみにましる花もこそあれ

ますらをは−いたくなかりそ−ひめゆりの−しけみにましる−はなもこそあれ


01006
未入力 基良 (xxx)

かりにとふ人たにみえす露ふかき夏野の庵の草の下道

かりにとふ−ひとたにみえす−つゆふかき−なつののいほの−くさのしたみち


01007
未入力 隆親 (xxx)

まくすはふ夏野の草はしけれとも君か御代には道そおほかる

まくすはふ−なつののくさは−しけれとも−きみかみよには−みちそおほかる


01008
未入力 為家 (xxx)

かへりみぬなこりそいまも故郷はやつれてのみとしける夏草

かへりみぬ−なこりそいまも−ふるさとは−やつれてのみと−しけるなつくさ


01009
未入力 公相 (xxx)

武蔵野やほりかねの井のふかくのみしけりそまさる四方の夏草

むさしのや−ほりかねのゐの−ふかくのみ−しけりそまさる−よものなつくさ


01010
未入力 実雄 (xxx)

分けわひて今も人めはかれぬへししける夏のの草のふかさに

わけわひて−いまもひとめは−かれぬへし−しけるなつのの−くさのふかさに


01011
未入力 信覚 (xxx)

吹く風の音こそたてね夏草の下露むすふ野辺のふる道

ふくかせの−おとこそたてね−なつくさの−したつゆむすふ−のへのふるみち


01012
未入力 為経 (xxx)

しけり行く草は夏野にふかくとも道ある世には人もまよはし

しけりゆく−くさはなつのに−ふかくとも−みちあるよには−ひともまよはし


01013
未入力 忠定 (xxx)

この比はかこはぬ草のやへかきに夏野の野守もるひまやなき

このころは−かこはぬくさの−やへかきに−なつのののもり−もるひまやなき


01014
未入力 資季 (xxx)

磯上ふるの中道いまさらにふみ分けかたくしけるなつ草

いそのかみ−ふるのなかみち−いまさらに−ふみわけかたく−しけるなつくさ


01015
未入力 頼氏 (xxx)

さかりなる野島かさきの夏草に秋待つ露はおきもつくさし

さかりなる−のしまかさきの−なつくさに−あきまつつゆは−おきもつくさし


01016
未入力 有教 (xxx)

しけり行く夏野の草の深緑なひく葉すゑの風そ涼しき

しけりゆく−なつののくさの−ふかみとり−なひくはすゑの−かせそすすしき


01017
未入力 師継 (xxx)

おほあらきの杜の下草跡もなしふかくや草のしけりはてぬる

おほあらきの−もりのしたくさ−あともなし−ふかくやくさの−しけりはてぬる


01018
未入力 定嗣 (xxx)

とほつ人なつみくるかも深山ちの夏野の草のしけるこの比

とほつひと−なつみくるかも−みやまちの−なつののくさの−しけるこのころ


01019
未入力 成実 (xxx)

狩人のいるのの草のしけけれははやむる駒も行きなつむらし

かりひとの−いるののくさの−しけけれは−はやむるこまも−ゆきなつむらし


01020
未入力 蓮性 (xxx)

いまたにも引く人あれや山しろのこまのうりふにおふる下草

いまたにも−ひくひとあれや−やましろの−こまのうりふに−おふるしたくさ


01021
未入力 顕氏 (xxx)

かる人もなくてや今もしけるらんふみ分けかたき杜の下草

かるひとも−なくてやいまも−しけるらむ−ふみわけかたき−もりのしたくさ


01022
未入力 寂能 (xxx)

はつまきのをふのしけみになくかはつ草の物いふむかしおもほゆ

はつまきの−をふのしけみに−なくかはつ−くさのものいふ−むかしおもほゆ


01023
未入力 為氏 (xxx)

夏ふかく成りにけらしな唐衣すそのの杜のかけの下草

なつふかく−なりにけらしな−からころも−すそののもりの−かけのしたくさ


01024
未入力 真観 (xxx)

かれはてん後もうらめしまくすてふ夏のの草をかる人もかな

かれはてむ−のちもうらめし−まくすてふ−なつののくさを−かるひともかな


01025
未入力 寂西 (xxx)

片山のはたのかきほの薄原たねよりもけにしける夏かな

かたやまの−はたのかきほの−すすきはら−たねよりもけに−しけるなつかな


01026
未入力 為継 (xxx)

故郷は庭もまかきも夏草のしけるよりこそ野とも成るらめ

ふるさとは−にはもまかきも−なつくさの−しけるよりこそ−のともなるらめ


01027
未入力 経朝 (xxx)

春にあかぬなかめせしまに玉ほこの道みえぬまてしける草かな

はるにあかぬ−なかめせしまに−たまほこの−みちみえぬまて−しけるくさかな


01028
未入力 行家 (xxx)

今ははや道ふみたえてこぬ人のつらさあらはすやとの夏草

いまははや−みちふみたえて−こぬひとの−つらさあらはす−やとのなつくさ


01029
未入力 成茂 (xxx)

しけりあふ夏野の草も吹きわけて道のしるへの風そ涼しき

しけりあふ−なつののくさも−ふきわけて−みちのしるへの−かせそすすしき


01030
未入力 隆祐 (xxx)

あしのやのあれにし跡もこの比はひまこそなけれ草かくれつつ

あしのやの−あれにしあとも−このころは−ひまこそなけれ−くさかくれつつ


01031
未入力 禅信 (xxx)

ふみ分けてとふへき程の道もなししけき夏野の深草の里

ふみわけて−とふへきほとの−みちもなし−しけきなつのの−ふかくさのさと


01032
未入力 高倉 (xxx)

ふる里の露のよすかをしるへとやはらはぬ庭にしける夏草

ふるさとの−つゆのよすかを−しるへとや−はらはぬにはに−しけるなつくさ


01033
未入力 按察 (xxx)

おもへとも夏野の草のさしもなとしけくは物のかなしかるらん

おもへとも−なつののくさの−さしもなと−しけくはものの−かなしかるらむ


01034
未入力 帥 (xxx)

山里のしつか牆ねの草かつらくる人なしとしけるころかな

やまさとの−しつかかきねの−くさかつら−くるひとなしと−しけるころかな


01035
未入力 小宰相 (xxx)

すすしさはくれ行く空もなかりけり風吹きわけぬ草のしけみに

すすしさは−くれゆくそらも−なかりけり−かせふきわけぬ−くさのしけみに


01036
未入力 俊成女 (xxx)

人めなくあれ行くやとは夏草の心のままにしける庭かな

ひとめなく−あれゆくやとは−なつくさの−こころのままに−しけるにはかな


01037
未入力 少将内侍 (xxx)

夏草は心のままにしけれたたむすふはかりの庵にもせむ

なつくさは−こころのままに−しけれたた−むすふはかりの−いほりにもせむ


01038
未入力 弁内侍 (xxx)

山かつのかきほにしける夏草にかこはぬ道も跡や絶えなん

やまかつの−かきほにしける−なつくさに−かこはぬみちも−あとやたえなむ


01039
未入力 但馬 (xxx)

しけりあふ夏野の草をかき分けてかりにもとはん人はまたれす

しけりあふ−なつののくさを−かきわけて−かりにもとはむ−ひとはまたれす


01040
未入力 下野 (xxx)

分けわひぬをち方人の跡たえて夏のの草に道もまとひぬ

わけわひぬ−をちかたひとの−あとたえて−なつののくさに−みちもまとひぬ


01041
未入力 御製 (xxx)

夏の夜も影そすすしき久方の月のいつこに秋やとるらん

なつのよも−かけそすすしき−ひさかたの−つきのいつこに−あきやとるらむ


01042
未入力 道助 (xxx)

しるしらす道行く人も山の井に水よりむすふ月そすすしき

しるしらす−みちゆくひとも−やまのゐに−みつよりむすふ−つきそすすしき


01043
未入力 実氏 (xxx)

玉こゆるはすのうき葉にやとかりて影もにこらぬ夏の夜の月

たまこゆる−はすのうきはに−やとかりて−かけもにこらぬ−なつのよのつき


01044
未入力 基家 (xxx)

をしむらん山のあなたにしらねともいつるはおそき夏のよの月

をしむらむ−やまのあなたに−しらねとも−いつるはおそき−なつのよのつき


01045
未入力 家良 (xxx)

難波かたくもるはつらし夏かりの蘆のみしかき夜はの月影

なにはかた−くもるはつらし−なつかりの−あしのみしかき−よはのつきかけ


01046
未入力 基良 (xxx)

雪の色のよはの扇におもなれていつる月さへ閨そ涼し

ゆきのいろの−よはのあふきに−おもなれて−いつるつきさへ−ねやそすすしき


01047
未入力 隆親 (xxx)

瀬のこゑも秋にちかつく川水に夏をよそなる月の影かな

せのこゑも−あきにちかつく−かはみつに−なつをよそなる−つきのかけかな


01048
未入力 為家 (xxx)

名にたつるさこそみしか夜あかなくに月には夏のしられすもかな

なにたつる−さこそみしかよ−あかなくに−つきにはなつの−しられすもかな


01049
未入力 公相 (xxx)

夏の夜は山のはいつる月影のさなからのこる在明のそら

なつのよは−やまのはいつる−つきかけの−さなからのこる−ありあけのそら


01050
未入力 実雄 (xxx)

よそへつる扇の風やかよふらん涼しくすめる山のはの月

よそへつる−あふきのかせや−かよふらむ−すすしくすめる−やまのはのつき


01051
未入力 信覚 (xxx)

ささ竹のみしかき夜はのうたたねに月影すすし庭の木かくれ

ささたけの−みしかきよはの−うたたねに−つきかけすすし−にはのこかくれ


01052
未入力 為経 (xxx)

あまの戸はあけやすくとも山のはに影さしとめよ夏のよの月

あまのとは−あけやすくとも−やまのはに−かけさしとめよ−なつのよのつき


01053
未入力 忠定 (xxx)

月のすむと山に秋をならしはのしはしもみせすあくる空かな

つきのすむ−とやまにあきを−ならしはの−しはしもみせす−あくるそらかな


01054
未入力 資季 (xxx)

夏の夜もむすへる霜とみゆるまて袖に涼しき月の影かな

なつのよも−むすへるしもと−みゆるまて−そてにすすしき−つきのかけかな


01055
未入力 頼氏 (xxx)

あまの河このせにのこる夏の月みつかけ草のかけやあふらん

あまのかは−このせにのこる−なつのつき−みつかけくさの−かけやあふらむ


01056
未入力 有教 (xxx)

夏衣ひとへに秋の心ちして袖に涼しき夜はの月かけ

なつころも−ひとへにあきの−ここちして−そてにすすしき−よはのつきかけ


01057
未入力 師継 (xxx)

心あらはいててもふけよ夏のよのみるもみしかき山のはの月

こころあらは−いててもふけよ−なつのよの−みるもみしかき−やまのはのつき


01058
未入力 定嗣 (xxx)

夏なれと庭のいさこにおくしものしろきをみれはてる月夜かな

なつなれと−にはのいさこに−おくしもの−しろきをみれは−てるつきよかな


01059
未入力 成実 (xxx)

吹く風のならのはそよく夏山の秋のけしきにすめる月かけ

ふくかせの−ならのはそよく−なつやまの−あきのけしきに−すめるつきかけ


01060
未入力 蓮性 (xxx)

待つほとにふけなはいかに短夜の心もしらぬ山のはの月

まつほとに−ふけなはいかに−みしかよの−こころもしらぬ−やまのはのつき


01061
未入力 顕氏 (xxx)

ま木のとのあくるもやすき短夜にまたれす出てよいさよひの月

まきのとの−あくるもやすき−みしかよに−またれすいてよ−いさよひのつき


01062
未入力 寂能 (xxx)

あまのとのあくるほとなき夜はの月またて水鶏のなにたたくらん

あまのとの−あくるほとなき−よはのつき−またてくひなの−なにたたくらむ


01063
未入力 為氏 (xxx)

夏かりの玉江のあしのみしか夜はけにあけやすき月の影かな

なつかりの−たまえのあしの−みしかよは−けにあけやすき−つきのかけかな


01064
未入力 真観 (xxx)

秋とてもかはかりこそは待ちもみめすすしく山をいつる月かな

あきとても−かはかりこそは−まちもみめ−すすしくやまを−いつるつきかな


01065
未入力 寂西 (xxx)

みしか夜の月をやとせは夏衣うすくもかけのあけ渡るかな

みしかよの−つきをやとせは−なつころも−うすくもかけの−あけわたるかな


01066
未入力 為継 (xxx)

月ゆゑにをしと思ふ夜の夏なれとふす程もなくあくる空かな

つきゆゑに−をしとおもふよの−なつなれと−ふすほともなく−あくるそらかな


01067
未入力 経朝 (xxx)

夏山の木間やくらくしけるらんもりくる月の影そ稀なる

なつやまの−このまやくらく−しけるらむ−もりくるつきの−かけそまれなる


01068
未入力 行家 (xxx)

夏と秋と行あひちかき空なれはさそな夜渡る月はすすしき

なつとあきと−ゆきあひちかき−そらなれは−さそなよわたる−つきはすすしき


01069
未入力 成茂 (xxx)

なかめつつたたすすしさの時の間もあかぬにあくる夏のよの月

なかめつつ−たたすすしさの−ときのまも−あかぬにあくる−なつのよのつき


01070
未入力 隆祐 (xxx)

よひの間にしはしたたよふ雲間より待出ててみれはあくる月影

よひのまに−しはしたたよふ−くもまより−まちいててみれは−あくるつきかけ


01071
未入力 禅信 (xxx)

かたふかて月のあけ行くみしか夜はいる方をしむ山のはもなし

かたふかて−つきのあけゆく−みしかよは−いるかたをしむ−やまのはもなし


01072
未入力 高倉 (xxx)

夏ふかき木すゑを月のもりかねて雲にやとかる夜はそみしかき

なつふかき−こすゑをつきの−もりかねて−くもにやとかる−よはそみしかき


01073
未入力 按察 (xxx)

月みすて思ひしよりも夏のよのみしかき程は今そしらるる

つきみすて−おもひしよりも−なつのよの−みしかきほとは−いまそしらるる


01074
未入力 帥 (xxx)

夏のよはねなくにあくる空そとも月みて人やいひはしめけん

なつのよは−ねなくにあくる−そらそとも−つきみてひとや−いひはしめけむ


01075
未入力 小宰相 (xxx)

木間行くほとたにをしき夏の月山のはにけよ空にのこさむ

このまゆく−ほとたにをしき−なつのつき−やまのはにけよ−そらにのこさむ


01076
未入力 俊成女 (xxx)

影やとすうつせみのはの衣手にくもるくまなき夏のよの月

かけやとす−うつせみのはの−ころもてに−くもるくまなき−なつのよのつき


01077
未入力 少将内侍 (xxx)

山のはにせめては月のかたふくとみてたに夏のよをあかさはや

やまのはに−せめてはつきの−かたふくと−みてたになつの−よをあかさはや


01078
未入力 弁内侍 (xxx)

まきのとをささてもあけぬ夏のよのうたたねにのみ月をみしまに

まきのとを−ささてもあけぬ−なつのよの−うたたねにのみ−つきをみしまに


01079
未入力 但馬 (xxx)

てにならす扇の風も忘られてねやもる月の影そすすしき

てにならす−あふきのかせも−わすられて−ねやもるつきの−かけそすすしき


01080
未入力 下野 (xxx)

夏の夜のあくるははやきあまの河なかるる月をせく人もかな

なつのよの−あくるははやき−あまのかは−なかるるつきを−せくひともかな


01081
未入力 御製 (xxx)

山水のたきりておつる岩かけに玉ちりまかひとふほたるかな

やまみつの−たきりておつる−いはかけに−たまちりまかひ−とふほたるかな


01082
未入力 道助 (xxx)

とふ蛍消えぬ思ひもあらはれて水かけ草に露そおきそふ

とふほたる−きえぬおもひも−あらはれて−みつかけくさに−つゆそおきそふ


01083
未入力 実氏 (xxx)

下くらきあしまの水に影みえて数もあらはにとふほたるかな

したくらき−あしまのみつに−かけみえて−かすもあらはに−とふほたるかな


01084
未入力 基家 (xxx)

きよきせに蛍ゆふゐる玉ささの葉分の水の色そ涼しき

きよきせに−ほたるゆふゐる−たまささの−はわけのみつの−いろそすすしき


01085
未入力 家良 (xxx)

みこもりのぬまのいはかき我はかり行方みえてとふ蛍かな

みこもりの−ぬまのいはかき−われはかり−ゆくかたみえて−とふほたるかな


01086
未入力 基良 (xxx)

行くほたるよそにみきはのひかりにも窓をてらさぬ身はしつみつつ

ゆくほたる−よそにみきはの−ひかりにも−まとをてらさぬ−みはしつみつつ


01087
未入力 隆親 (xxx)

なかれ行く音もすすしき山河の岩間かくれにとふほたるかな

なかれゆく−おともすすしき−やまかはの−いはまかくれに−とふほたるかな


01088
未入力 為家 (xxx)

もえあかす夜はの蛍の思ひにも野中の水やぬるまさるらん

もえあかす−よはのほたるの−おもひにも−のなかのみつや−ぬるまさるらむ


01089
未入力 公相 (xxx)

あし曳の山下水のしたにさへ影をならへてとふほたるかな

あしひきの−やましたみつの−したにさへ−かけをならへて−とふほたるかな


01090
未入力 実雄 (xxx)

草ふかみありともみえぬ忘水すたく蛍のひかりにそしる

くさふかみ−ありともみえぬ−わすれみつ−すたくほたるの−ひかりにそしる


01091
未入力 信覚 (xxx)

袖のうへの思ひはおなし夏むしの影やとし行く山川のみつ

そてのうへの−おもひはおなし−なつむしの−かけやとしゆく−やまかはのみつ


01092
未入力 為経 (xxx)

あたりたにすすしき水の上になともえて蛍のよをわたるらん

あたりたに−すすしきみつの−うへになと−もえてほたるの−よをわたるらむ


01093
未入力 忠定 (xxx)

外よりも蛍のしけく成行くはのさはの水にかけやうつれる

ほかよりも−ほたるのしけく−なりゆくは−のさはのみつに−かけやうつれる


01094
未入力 資季 (xxx)

いつ方に行くともみえぬ沼水に影をならへてとふ蛍かな

いつかたに−ゆくともみえぬ−ぬまみつに−かけをならへて−とふほたるかな


01095
未入力 頼氏 (xxx)

くれゆけはこの下くらき岩橋のみたらし河にとふ蛍かな

くれゆけは−このしたくらき−いははしの−みたらしかはに−とふほたるかな


01096
未入力 有教 (xxx)

蘆わくる波のよるとそくらからしおのれともして行く蛍かな

あしわくる−なみのよるとそ−くらからし−おのれともして−ゆくほたるかな


01097
未入力 師継 (xxx)

夏のよは波にほたるの影そへてみきはによする玉かとそみる

なつのよは−なみにほたるの−かけそへて−みきはによする−たまかとそみる


01098
未入力 定嗣 (xxx)

水の面にすたく蛍をあつめこししるしや今のひかりともなる

みつのおもに−すたくほたるを−あつめこし−しるしやいまの−ひかりともなる


01099
未入力 成実 (xxx)

せきとめてすすむ木陰の山水にゆふくれしるくとふ蛍かな

せきとめて−すすむこかけの−やまみつに−ゆふくれしるく−とふほたるかな


01100
未入力 蓮性 (xxx)

これは又衛士のたく火かももしきのみかはの池の夏虫の影

これはまた−ゑしのたくひか−ももしきの−みかはのいけの−なつむしのかけ


01101
未入力 顕氏 (xxx)

山川の岩間の水のたえたえにひかりもみえてとふ蛍かな

やまかはの−いはまのみつの−たえたえに−ひかりもみえて−とふほたるかな


01102
未入力 寂能 (xxx)

ふる河のみくつせかれししからみにのこるかかりは蛍なりける

ふるかはの−みくつせかれし−しからみに−のこるかかりは−ほたるなりける


01103
未入力 為氏 (xxx)

沢水に消えぬ思ひのほとみえてわれつれなくもとふ蛍かな

さはみつに−きえぬおもひの−ほとみえて−われつれなくも−とふほたるかな


01104
未入力 真観 (xxx)

思ひけつかたもやあると石はしる滝つあたりを行く蛍かな

おもひけつ−かたもやあると−いしはしる−たきつあたりを−ゆくほたるかな


01105
未入力 寂西 (xxx)

みなそこにもえたる影のうつらすはかた思ひなる蛍ならまし

みなそこに−もえたるかけの−うつらすは−かたおもひなる−ほたるならまし


01106
未入力 為継 (xxx)

夕すすみせくてふ水の影に又もゆるほたるの思ひをそみる

ゆふすすみ−せくてふみつの−かけにまた−もゆるほたるの−おもひをそみる


01107
未入力 経朝 (xxx)

草ふかき沢への水にすむ蛍いはぬ思ひのしたそつれなき

くさふかき−さはへのみつに−すむほたる−いはぬおもひの−したそつれなき


01108
未入力 行家 (xxx)

くれぬるか浅沢水のたえたえにひかりみえても行く蛍かな

くれぬるか−あささはみつの−たえたえに−ひかりみえても−ゆくほたるかな


01109
未入力 成茂 (xxx)

かくれぬの流れぬ水にすたきてもいつ方となくゆく蛍かな

かくれぬの−なかれぬみつに−すたきても−いつかたとなく−ゆくほたるかな


01110
未入力 隆祐 (xxx)

行く水の底にみたるる影みえてよるの玉もやほたるなるらん

ゆくみつの−そこにみたるる−かけみえて−よるのたまもや−ほたるなるらむ


01111
未入力 禅信 (xxx)

くらき夜もおのかひかりをしるへにて野沢の水にとふ蛍かな

くらきよも−おのかひかりを−しるへにて−のさはのみつに−とふほたるかな


01112
未入力 高倉 (xxx)

はれぬよは野沢の水に影まよひ蛍も里もわきそかねぬる

はれぬよは−のさはのみつに−かけまよひ−ほたるもさとも−わきそかねぬる


01113
未入力 按察 (xxx)

行く蛍きえぬ思ひのたくひとや水の底なるかけをみるらん

ゆくほたる−きえぬおもひの−たくひとや−みつのそこなる−かけをみるらむ


01114
未入力 帥 (xxx)

名取川いかにせむとか日くるれはせせにみたれて蛍とふらん

なとりかは−いかにせむとか−ひくるれは−せせにみたれて−ほたるとふらむ


01115
未入力 小宰相 (xxx)

くれにけりすたく蛍の数数に名もあらはるる井ての玉水

くれにけり−すたくほたるの−かすかすに−なもあらはるる−ゐてのたまみつ


01116
未入力 俊成女 (xxx)

秋ちかし雲井まてとや行く蛍さはへの水にかけのみたるる

あきちかし−くもゐまてとや−ゆくほたる−さはへのみつに−かけのみたるる


01117
未入力 少将内侍 (xxx)

さりとても思ひはきえしとふ蛍下行くみつにもえあかすなり

さりとても−おもひはきえし−とふほたる−したゆくみつに−もえあかすなり


01118
未入力 弁内侍 (xxx)

身より猶あまる思ひをさそふ水ありとやここにほたるとふらん

みよりなほ−あまるおもひを−さそふみつ−ありとやここに−ほたるとふらむ


01119
未入力 但馬 (xxx)

とふほたる野中の水に影みえてもゆる思ひのほとやしるらん

とふほたる−のなかのみつに−かけみえて−もゆるおもひの−ほとやしるらむ


01120
未入力 下野 (xxx)

みたらしやささわくる水にとふ蛍もゆる影さへすすしかりけり

みたらしや−ささわくるみつに−とふほたる−もゆるかけさへ−すすしかりけり


01121
未入力 御製 (xxx)

かきくらす空ともみえす夕立の過行く雲に入日さしつつ

かきくらす−そらともみえす−ゆふたちの−すきゆくくもに−いりひさしつつ


01122
未入力 道助 (xxx)

日をさふるならのひろ葉に鳴く蝉の声よりはるる夕立の空

ひをさふる−ならのひろはに−なくせみの−こゑよりはるる−ゆふたちのそら


01123
未入力 実氏 (xxx)

山たかみ梢にあらき風すきて谷よりのほる夕立の雲

やまたかみ−こすゑにあらき−かせすきて−たによりのほる−ゆふたちのくも


01124
未入力 基家 (xxx)

淡路島ゆふたちすらし住吉の岸のむかひにかかる村雲

あはちしま−ゆふたちすらし−すみよしの−きしのむかひに−かかるむらくも


01125
未入力 家良 (xxx)

見わたしの山のはまてはくもれとも里をわきつる夕立の空

みわたしの−やまのはまては−くもれとも−さとをわきつる−ゆふたちのそら


01126
未入力 基良 (xxx)

片山は日影うつろふそらなからさとわきて行く夕立の雲

かたやまは−ひかけうつろふ−そらなから−さとわきてゆく−ゆふたちのくも


01127
未入力 隆親 (xxx)

秋のくる日数もまたす浅茅生に露おきそむる夕立の空

あきのくる−ひかすもまたす−あさちふに−つゆおきそむる−ゆふたちのそら


01128
未入力 為家 (xxx)

山本のをちの日影はさたかにてかたへすすしき夕立の空

やまもとの−をちのひかけは−さたかにて−かたへすすしき−ゆふたちのそら


01129
未入力 公相 (xxx)

朝露の跡みぬ庭のあさちふに玉ぬきかくるゆふ立のあめ

あさつゆの−あとみぬにはの−あさちふに−たまぬきかくる−ゆふたちのあめ


01130
未入力 実雄 (xxx)

この里は雲間もみえぬ夕立に日かけいさよふをちの山のは

このさとは−くもまもみえぬ−ゆふたちに−ひかけいさよふ−をちのやまのは


01131
未入力 信覚 (xxx)

風過きて夕立はるる片岡の露にをれふすやまとなてしこ

かせすきて−ゆふたちはるる−かたをかの−つゆにをれふす−やまとなてしこ


01132
未入力 為経 (xxx)

うちなひくもりの木の葉に露おちて名残もしるき夕立の雨

うちなひく−もりのこのはに−つゆおちて−なこりもしるき−ゆふたちのあめ


01133
未入力 忠定 (xxx)

風あらき昨日の雲のけしきにて又やとみゆるゆふ立の雨

かせあらき−きのふのくもの−けしきにて−またやとみゆる−ゆふたちのあめ


01134
未入力 資季 (xxx)

夕立のすきぬる跡の名残まて庭のあさちの露そ涼しき

ゆふたちの−すきぬるあとの−なこりまて−にはのあさちの−つゆそすすしき


01135
未入力 頼氏 (xxx)

かきくらす空も程なき夕立の雲にたまらぬいなつまの影

かきくらす−そらもほとなき−ゆふたちの−くもにたまらぬ−いなつまのかけ


01136
未入力 有教 (xxx)

夕立の雲は一村すきぬれといく里かけて露のおくらん

ゆふたちの−くもはひとむら−すきぬれと−いくさとかけて−つゆのおくらむ


01137
未入力 師継 (xxx)

思ひやるそなたの雲になる神のおとにのみきくゆふ立の空

おもひやる−そなたのくもに−なるかみの−おとにのみきく−ゆふたちのそら


01138
未入力 定嗣 (xxx)

夕立の雨しふれれは久方のあまかこ山に雲そおほへる

ゆふたちの−あめしふれれは−ひさかたの−あまかこやまに−くもそおほへる


01139
未入力 成実 (xxx)

河上のゆつはの村にすきにけり此里まては夕立もせす

かはかみの−ゆつはのむらに−すきにけり−このさとまては−ゆふたちもせす


01140
未入力 蓮性 (xxx)

たかねより夕立雲にふる雨の音ははけしき山おろしの風

たかねより−ゆふたちくもに−ふるあめの−おとははけしき−やまおろしのかせ


01141
未入力 顕氏 (xxx)

いなつまのひかりはかりや残るらん夕立過くる雲のまにまに

いなつまの−ひかりはかりや−のこるらむ−ゆふたちすくる−くものまにまに


01142
未入力 寂能 (xxx)

いくかてるいはもとすけのよられ葉も露おきうるふ夕立の空

いくかてる−いはもとすけの−よられはも−つゆおきうるふ−ゆふたちのそら


01143
未入力 為氏 (xxx)

かきくもる空とみえつる夕立は又いつ方に遠さかるらん

かきくもる−そらとみえつる−ゆふたちは−またいつかたに−とほさかるらむ


01144
未入力 真観 (xxx)

山のはの雲のけしきをみつるよりかねてもしるし夕立の空

やまのはの−くものけしきを−みつるより−かねてもしるし−ゆふたちのそら


01145
未入力 寂西 (xxx)

みれは又さも名残なく晴れにけりこほしかけつる夕立の雨

みれはまた−さもなこりなく−はれにけり−こほしかけつる−ゆふたちのあめ


01146
未入力 為継 (xxx)

くもりつるたた一村の跡はれて又名残なき夕立の空

くもりつる−たたひとむらの−あとはれて−またなこりなき−ゆふたちのそら


01147
未入力 経朝 (xxx)

夕立の空とはかりはなる神もこゑをさまれる雲の上かな

ゆふたちの−そらとはかりは−なるかみも−こゑをさまれる−くものうへかな


01148
未入力 行家 (xxx)

ゆふたちの雨の名残ははちす葉に玉こす露のさもそ涼しき

ゆふたちの−あめのなこりは−はちすはに−たまこすつゆの−さもそすすしき


01149
未入力 成茂 (xxx)

夏山の木のはの色はそめねとも時雨ににたる夕立のそら

なつやまの−このはのいろは−そめねとも−しくれににたる−ゆふたちのそら


01150
未入力 隆祐 (xxx)

木の本も音はさすかにたゆむなりのこるしつくの夕立のあめ

このもとも−おとはさすかに−たゆむなり−のこるしつくの−ゆふたちのあめ


01151
未入力 禅信 (xxx)

波こゆとぬるる草木やおもふらん夕立すくるすゑの松やま

なみこゆと−ぬるるくさきや−おもふらむ−ゆふたちすくる−すゑのまつやま


01152
未入力 高倉 (xxx)

うかれ行くよその村雲さそひきて晴間もみせぬ夕立の空

うかれゆく−よそのむらくも−さそひきて−はれまもみせぬ−ゆふたちのそら


01153
未入力 按察 (xxx)

夏の日もすすしかりけり風はやみ雲の行きかふ夕たちの空

なつのひも−すすしかりけり−かせはやみ−くものゆきかふ−ゆふたちのそら


01154
未入力 帥 (xxx)

山めくる雲の下にそ成りにけるふもとの里の夕立のそら

やまめくる−くものしたにそ−なりにける−ふもとのさとの−ゆふたちのそら


01155
未入力 小宰相 (xxx)

夕立の雲路はるかになるままに入日色こきにしの山のは

ゆふたちの−くもちはるかに−なるままに−いりひいろこき−にしのやまのは


01156
未入力 俊成女 (xxx)

夕立の名残の露のかことにも秋をかけたるをののしの原

ゆふたちの−なこりのつゆの−かことにも−あきをかけたる−をののしのはら


01157
未入力 少将内侍 (xxx)

此里も雲はすくれと夕立の山よりをちに音そきこゆる

このさとも−くもはすくれと−ゆふたちの−やまよりをちに−おとそきこゆる


01158
未入力 弁内侍 (xxx)

おのつからかたへの雲や晴れぬらん山のはとほき夕立のそら

おのつから−かたへのくもや−はれぬらむ−やまのはとほき−ゆふたちのそら


01159
未入力 但馬 (xxx)

たか里のよそなる雲と思ふまにやかてはけしきゆふ立の空

たかさとの−よそなるくもと−おもふまに−やかてはけしき−ゆふたちのそら


01160
未入力 下野 (xxx)

夕立の雲こそおそくなりにけれま木の板やに音よわるなり

ゆふたちの−くもこそおそく−なりにけれ−まきのいたやに−おとよわるなり


01161
未入力 御製 (xxx)

大ぬさの引く手あまたの里ことになこしのはらへけふいそくなり

おほぬさの−ひくてあまたの−さとことに−なこしのはらへ−けふいそくなり


01162
未入力 道助 (xxx)

みそき河なかるるあさのうきこともけふこそはやくみな月の空

みそきかは−なかるるあさの−うきことも−けふこそはやく−みなつきのそら


01163
未入力 実氏 (xxx)

春秋の行くをのみやはをしむへきあやにくにする夏祓かな

はるあきの−ゆくをのみやは−をしむへき−あやにくにする−なつはらへかな


01164
未入力 基家 (xxx)

あさの葉もみなかみかけていつみ河こま山人やみそきしつらん

あさのはも−みなかみかけて−いつみかは−こまやまひとや−みそきしつらむ


01165
未入力 家良 (xxx)

風ふけはたたすの河に立つ波のゆふかたかけてみそきをそする

かせふけは−たたすのかはに−たつなみの−ゆふかたかけて−みそきをそする


01166
未入力 基良 (xxx)

今夜又ちとせをのふるみそきしていとと久しき御代そしらるる

こよひまた−ちとせをのふる−みそきして−いととひさしき−みよそしらるる


01167
未入力 隆親 (xxx)

いくかへりちとせの命かさぬらんなこしのはらへ数つもりつつ

いくかへり−ちとせのいのち−かさぬらむ−なこしのはらへ−かすつもりつつ


01168
未入力 為家 (xxx)

みそき川つひによるせはしらねとも引く手あまたになかす大ぬさ

みそきかは−つひによるせは−しらねとも−ひくてあまたに−なかすおほぬさ


01169
未入力 公相 (xxx)

底清き河せの水はあさの葉にしらゆふかけてみそきをそする

そこきよき−かはせのみつは−あさのはに−しらゆふかけて−みそきをそする


01170
未入力 実雄 (xxx)

みそき川はやく行くせの波の上に秋をいそかす風わたるなり

みそきかは−はやくゆくせの−なみのうへに−あきをいそかす−かせわたるなり


01171
未入力 信覚 (xxx)

うきしつみあさの葉なかるみそき河波のいくせに秋の立つらん

うきしつみ−あさのはなかる−みそきかは−なみのいくせに−あきのたつらむ


01172
未入力 為経 (xxx)

夏くるる神なひ川のせをはやみみそきにかくる波のしらゆふ

なつくるる−かみなひかはの−せをはやみ−みそきにかくる−なみのしらゆふ


01173
未入力 忠定 (xxx)

みそきするをかへのちはら立ちなからまつはらふなりならの川風

みそきする−をかへのちはら−たちなから−まつはらふなり−ならのかはかせ


01174
未入力 資季 (xxx)

みな月のみそきかはらの帰るさになこしの山の雲そ明けゆく

みなつきの−みそきかはらの−かへるさに−なこしのやまの−くもそ明けゆく


01175
未入力 頼氏 (xxx)

くれはつる夏のわかれのけふことになとみそきする習なるらん

くれはつる−なつのわかれの−けふことに−なとみそきする−ならひなるらむ


01176
未入力 有教 (xxx)

みそき川なかれてはやき月日へて今夜そ夏の限なりける

みそきかは−なかれてはやき−つきひへて−こよひそなつの−かきりなりける


01177
未入力 師継 (xxx)

けふのみやしるもしらぬもみそきしておなし心に秋を待つらん

けふのみや−しるもしらぬも−みそきして−おなしこころに−あきをまつらむ


01178
未入力 定嗣 (xxx)

みな月の月みむとてや夏祓むかしはけふとさためさりけん

みなつきの−つきみむとてや−なつはらへ−むかしはけふと−さためさりけむ


01179
未入力 成実 (xxx)

千代まてとあらふる神にいのるかな三たひすかぬく夏祓して

ちよまてと−あらふるかみに−いのるかな−みたひすかぬく−なつはらへして


01180
未入力 蓮性 (xxx)

あはれ又われいくとせのけふにあひてあさちすかぬきみそきしつらん

あはれまた−われいくとせの−けふにあひて−あさちすかぬき−みそきしつらむ


01181
未入力 顕氏 (xxx)

夏はつるけふのみそきのひたりなはあらふる神も心とくらし

なつはつる−けふのみそきの−ひたりなは−あらふるかみも−こころとくらし


01182
未入力 寂能 (xxx)

君か代のとほつ河波たちまちにちとせのみそき神やうけひく

きみかよの−とほつかはなみ−たちまちに−ちとせのみそき−かみやうけひく


01183
未入力 為氏 (xxx)

みそき川しらゆふかけてあさの葉をぬさとたむくる夏の別ち

みそきかは−しらゆふかけて−あさのはを−ぬさとたむくる−なつのわかれち


01184
未入力 真観 (xxx)

今夜われすかぬきかくる輪を出ててなかく此世にめくらすもかな

こよひわれ−すかぬきかくる−わをいてて−なかくこのよに−めくらすもかな


01185
未入力 寂西 (xxx)

みそきしてちとせをいのるぬさにこそつひには夏のとり所あれ

みそきして−ちとせをいのる−ぬさにこそ−つひにはなつの−とりところあれ


01186
未入力 為継 (xxx)

みそきする川せすすしき夕まくれ波をへたてて秋やきぬらん

みそきする−かはせすすしき−ゆふまくれ−なみをへたてて−あきやきぬらむ


01187
未入力 経朝 (xxx)

みそきする河せに波のかけまくもかしこき千代は我か君のため

みそきする−かはせになみの−かけまくも−かしこきちよは−わかきみのため


01188
未入力 行家 (xxx)

河のせにあさの大ぬさとりしててけふの今夜や夏はらひせむ

かはのせに−あさのおほぬさ−とりしてて−けふのこよひや−なつはらひせむ


01189
未入力 成茂 (xxx)

たちかへり神代の松のかけにゐてけふのみそきはしかのから崎

たちかへり−かみよのまつの−かけにゐて−けふのみそきは−しかのからさき


01190
未入力 隆祐 (xxx)

みそきする今夜は夏のみなと河あらふる神もすすしかるらん

みそきする−こよひはなつの−みなとかは−あらふるかみも−すすしかるらむ


01191
未入力 禅信 (xxx)

くれはつる夏の川せの夕すすみやかてみそきのぬさそとりける

くれはつる−なつのかはせの−ゆふすすみ−やかてみそきの−ぬさそとりける


01192
未入力 高倉 (xxx)

たれかけふあさのをかりのすかたにて身のうきせせにみそきしそかし

たれかけふ−あさのをかりの−すかたにて−みのうきせせに−みそきしそかし


01193
未入力 按察 (xxx)

みそきするけふとしいへはみな月のなこしの山を夏の行くらん

みそきする−けふとしいへは−みなつきの−なこしのやまを−なつのゆくらむ


01194
未入力 帥 (xxx)

みな月のみそきのよはのすすしきは秋のちかくもなれはなりけり

みなつきの−みそきのよはの−すすしきは−あきのちかくも−なれはなりけり


01195
未入力 小宰相 (xxx)

みそきする河せすすしき風の音は秋の色にや吹きかはるらん

みそきする−かはせすすしき−かせのおとは−あきのいろにや−ふきかはるらむ


01196
未入力 俊成女 (xxx)

みそきするあさの葉末のなひくより人の心にかよふあき風

みそきする−あさのはすゑの−なひくより−ひとのこころに−かよふあきかせ


01197
未入力 少将内侍 (xxx)

夏と秋と行きかふせにやなかるらんみそき川原のあさのおほぬさ

なつとあきと−ゆきかふせにや−なかるらむ−みそきかはらの−あさのおほぬさ


01198
未入力 弁内侍 (xxx)

みそきしてすすしくも有るか山川のみきはに秋やちかく成るらん

みそきして−すすしくもあるか−やまかはの−みきはにあきや−ちかくなるらむ


01199
未入力 但馬 (xxx)

あさの葉にゆふしてかけて思ふことみなつきねとてはらひつるかな

あさのはに−ゆふしてかけて−おもふこと−みなつきねとて−はらひつるかな


01200
未入力 下野 (xxx)

おもふこと猶おほぬさのゆふまくれけふみな月はなのみなりけり

おもふこと−なほおほぬさの−ゆふまくれ−けふみなつきは−なのみなりけり



宝治百首:秋

01201
未入力 御製 (xxx)

風の音のにはかにかはるくれはとりあやしと思へは秋はきにけり

かせのおとの−にはかにかはる−くれはとり−あやしとおもへは−あきはきにけり


01202
未入力 道助 (xxx)

中中にけふもとはとそ思ひやるいくたの杜の秋のけしきは

なかなかに−けふもとはとそ−おもひやる−いくたのもりの−あきのけしきは


01203
未入力 実氏 (xxx)

かせの音もあすはいかなる色ならん今日より秋の夕くれの空

かせのおとも−あすはいかなる−いろならむ−けふよりあきの−ゆふくれのそら


01204
未入力 基家 (xxx)

よもの海波のやしまの外まてもおなし空にや秋は立つらん

よものうみ−なみのやしまの−ほかまても−おなしそらにや−あきはたつらむ


01205
未入力 家良 (xxx)

白妙の袖そすすしき高島のみをのかちのの秋のはつかせ

しろたへの−そてそすすしき−たかしまの−みをのかちのの−あきのはつかせ


01206
未入力 基良 (xxx)

秋きぬとおのか色にはみえねともいまはたしるき松の風かな

あききぬと−おのかいろには−みえねとも−いまはたしるき−まつのかせかな


01207
未入力 隆親 (xxx)

あききぬと誰かはつくるおく山のまつふく風のこゑの外には

あききぬと−たれかはつくる−おくやまの−まつふくかせの−こゑのほかには


01208
未入力 為家 (xxx)

白露も草葉をおきて袖ぬらす我か身一と秋はきにけり

しらつゆも−くさはをおきて−そてぬらす−わかみひとつと−あきはきにけり


01209
未入力 公相 (xxx)

いとはやもすすしかりけり烏羽玉のよのまに秋や立ちはしむらん

いとはやも−すすしかりけり−うはたまの−よのまにあきや−たちはしむらむ


01210
未入力 実雄 (xxx)

吹きそめていくかもあらぬ秋風にいとはや袖の露けかるらん

ふきそめて−いくかもあらぬ−あきかせに−いとはやそての−つゆけかるらむ


01211
未入力 信覚 (xxx)

足引の山下露のおきそめてまた色そめぬ秋のはつかせ

あしひきの−やましたつゆの−おきそめて−またいろそめぬ−あきのはつかせ


01212
未入力 為経 (xxx)

せみのはの木すゑにうすき夏衣かはらすなから秋はきにけり

せみのはの−こすゑにうすき−なつころも−かはらすなから−あきはきにけり


01213
未入力 忠定 (xxx)

老いぬともなとかちきらて別れけんいまはと思ひし秋はきにけり

おいぬとも−なとかちきらて−わかれけむ−いまはとおもひし−あきはきにけり


01214
未入力 資季 (xxx)

たつぬへきしるしは色にみえねとも三わのすき山秋そきにける

たつぬへき−しるしはいろに−みえねとも−みわのすきやま−あきそきにける


01215
未入力 頼氏 (xxx)

秋をあさみまたうらなれぬ衣手のかたのの末に風そすすしき

あきをあさみ−またうらなれぬ−ころもての−かたののすゑに−かせそすすしき


01216
未入力 有教 (xxx)

おしなへて秋のけしきはかはりけりさしてそれとはみえぬものから

おしなへて−あきのけしきは−かはりけり−さしてそれとは−みえぬものから


01217
未入力 師継 (xxx)

わくらはにとひこし人の跡たゆるむくらの門に秋はきにけり

わくらはに−とひこしひとの−あとたゆる−むくらのかとに−あきはきにけり


01218
未入力 定嗣 (xxx)

はつせ河かは風すすしけさの間も秋やきぬらん三輪の山本

はつせかは−かはかせすすし−けさのまも−あきやきぬらむ−みわのやまもと


01219
未入力 成実 (xxx)

せみのはのうすき袂を吹く風に露もたまらぬ秋はきにけり

せみのはの−うすきたもとを−ふくかせに−つゆもたまらぬ−あきはきにけり


01220
未入力 蓮性 (xxx)

秋のきて風ふきたらはささかにのくものすかきのあれまくもをし

あきのきて−かせふきたらは−ささかにの−くものすかきの−あれまくもをし


01221
未入力 顕氏 (xxx)

秋きてもいくかもあらぬ朝露のやかておきゐる袖そさむけき

あききても−いくかもあらぬ−あさつゆの−やかておきゐる−そてそさむけき


01222
未入力 寂能 (xxx)

我かためにくる秋ならぬくすかつらまつうらめしき風の音かな

わかために−くるあきならぬ−くすかつら−まつうらめしき−かせのおとかな


01223
未入力 為氏 (xxx)

いつしかと秋のはしめをけふとてやまつ身にしみて風そすすしき

いつしかと−あきのはしめを−けふとてや−まつみにしみて−かせそすすしき


01224
未入力 真観 (xxx)

時しらぬ身とも思はし秋くれは誰か袖よりもつゆけかりけり

ときしらぬ−みともおもはし−あきくれは−たかそてよりも−つゆけかりけり


01225
未入力 寂西 (xxx)

夏衣うすきかうへにうすきかとおほゆるけさの秋の初かせ

なつころも−うすきかうへに−うすきかと−おほゆるけさの−あきのはつかせ


01226
未入力 為継 (xxx)

秋のくる朝のそらのあまつ風けふはいつしか身にそしみける

あきのくる−あしたのそらの−あまつかせ−けふはいつしか−みにそしみける


01227
未入力 経朝 (xxx)

吹く風の秋はけふとやつけつらんのなる草木もまつなひきける

ふくかせの−あきはけふとや−つけつらむ−のなるくさきも−まつなひきける


01228
未入力 行家 (xxx)

露たにもまたおきあへぬ草の葉に思ひなせはや秋のくるらん

つゆたにも−またおきあへぬ−くさのはに−おもひなせはや−あきのくるらむ


01229
未入力 成茂 (xxx)

いつの間に秋はきぬらんうたたねのあさけの風も身にそしみける

いつのまに−あきはきぬらむ−うたたねの−あさけのかせも−みにそしみける


01230
未入力 隆祐 (xxx)

木葉ちる秋のはしめのことわりもさひしきやとのたよりにそしる

このはちる−あきのはしめの−ことわりも−さひしきやとの−たよりにそしる


01231
未入力 禅信 (xxx)

秋といへはいかに吹くらん昨日にもかはるけしきのもりの下かせ

あきといへは−いかにふくらむ−きのふにも−かはるけしきの−もりのしたかせ


01232
未入力 高倉 (xxx)

風の音を玉まくくすのうらむとも思ひしらすや秋はきぬらん

かせのおとを−たままくくすの−うらむとも−おもひしらすや−あきはきぬらむ


01233
未入力 按察 (xxx)

秋きぬとおもへはいととかなしきに我か心にはけふなしらせそ

あききぬと−おもへはいとと−かなしきに−わかこころには−けふなしらせそ


01234
未入力 帥 (xxx)

打ちつけにけふふくかせの身にしむはいかなる秋のたてはなるらん

うちつけに−けふふくかせの−みにしむは−いかなるあきの−たてはなるらむ


01235
未入力 小宰相 (xxx)

秋きぬといふはかりなるなかめより昨日にはにぬ明ほのの空

あききぬと−いふはかりなる−なかめより−きのふにはにぬ−あけほののそら


01236
未入力 俊成女 (xxx)

風かはる夏のあふきはてになれて袖にまつおく秋の白露

かせかはる−なつのあふきは−てになれて−そてにまつおく−あきのしらつゆ


01237
未入力 少将内侍 (xxx)

秋きぬといはぬをしるは吹く風の身にしむ時の心なりけり

あききぬと−いはぬをしるは−ふくかせの−みにしむときの−こころなりけり


01238
未入力 弁内侍 (xxx)

身にしむも思ひをそふるつらさにてなといひしらぬ秋のはつ風

みにしむも−おもひをそふる−つらさにて−なといひしらぬ−あきのはつかせ


01239
未入力 但馬 (xxx)

白露はまたおきあへぬうたたねの袖におとろく秋のはつかせ

しらつゆは−またおきあへぬ−うたたねの−そてにおとろく−あきのはつかせ


01240
未入力 下野 (xxx)

木すゑにはまた色かへぬ青葉よりもるる日かけそ秋をしらする

こすゑには−またいろかへぬ−あをはより−もるるひかけそ−あきをしらする


01241
未入力 御製 (xxx)

七夕にかしつることのおなしくはひきもととめよあかぬ別を

たなはたに−かしつることの−おなしくは−ひきもととめよ−あかぬわかれを


01242
未入力 道助 (xxx)

七夕の逢ふ夜の影やうつるらん雲井の庭にまかふともし火

たなはたの−あふよのかけや−うつるらむ−くもゐのにはに−まかふともしひ


01243
未入力 実氏 (xxx)

白露の玉のをことのたむけして庭にかかくる秋のともし火

しらつゆの−たまのをことの−たむけして−にはにかかくる−あきのともしひ


01244
未入力 基家 (xxx)

おくことのかひやなからむ星逢の秋の別はひきもととめす

おくことの−かひやなからむ−ほしあひの−あきのわかれは−ひきもととめす


01245
未入力 家良 (xxx)

七夕に庭の灯たむけつつあまの河原のゆききをそ待つ

たなはたに−にはのともしひ−たむけつつ−あまのかはらの−ゆききをそまつ


01246
未入力 基良 (xxx)

彦星のあまつ光やかよふちし庭につらぬる灯のかけ

ひこほしの−あまつひかりや−かよふちし−にはにつらぬる−ともしひのかけ


01247
未入力 隆親 (xxx)

年をへて今日七夕にかすいとのよるともみえす庭のともしひ

としをへて−けふたなはたに−かすいとの−よるともみえす−にはのともしひ


01248
未入力 為家 (xxx)

七夕のあはすは何を白露の玉の緒こともけふはかさまし

たなはたの−あはすはなにを−しらつゆの−たまのをことも−けふはかさまし


01249
未入力 公相 (xxx)

よひの間はあまの河瀬もたとるやと数数みする庭の灯

よひのまは−あまのかはせも−たとるやと−かすかすみする−にはのともしひ


01250
未入力 実雄 (xxx)

七夕にかしてたむくることのをはたえぬ契のためしにそ引く

たなはたに−かしてたむくる−ことのをは−たえぬちきりの−ためしにそひく


01251
未入力 信覚 (xxx)

待渡る秋の七日の灯の庭にかけ見る星逢のそら

まちわたる−あきのなぬかの−ともしひの−にはにかけみる−ほしあひのそら


01252
未入力 為経 (xxx)

ももしきや庭の呉竹夜もすから待ちてそみつる星逢の空

ももしきや−にはのくれたけ−よもすから−まちてそみつる−ほしあひのそら


01253
未入力 忠定 (xxx)

彦星も影をやかはす灯のきよくすすしき玉の砌に

ひこほしも−かけをやかはす−ともしひの−きよくすすしき−たまのみきりに


01254
未入力 資季 (xxx)

久方のあまつ星逢を雲の上に程もまちかくけふまつるらし

ひさかたの−あまつほしあひを−くものうへに−ほともまちかく−けふまつるらし


01255
未入力 頼氏 (xxx)

今日まつる雲井の庭の灯に二の星の影やとむらん

けふまつる−くもゐのにはの−ともしひに−ふたつのほしの−かけやとむらむ


01256
未入力 有教 (xxx)

星逢の空に光をまかへつつほのかにのこる庭のともしひ

ほしあひの−そらにひかりを−まかへつつ−ほのかにのこる−にはのともしひ


01257
未入力 師継 (xxx)

庭にたくそらたき物やかよふらん七夕つめの袖のにほひに

にはにたく−そらたきものや−かよふらむ−たなはたつめの−そてのにほひに


01258
未入力 定耐 (xxx)

ななのはりぬきてやぬはむ七夕のいほはたたてておれる衣を

ななのはり−ぬきてやぬはむ−たなはたの−いほはたたてて−おれるころもを


01259
未入力 成実 (xxx)

星逢の空たのめせぬ秋ことに光くまなき庭のともしひ

ほしあひの−そらたのめせぬ−あきことに−ひかりくまなき−にはのともしひ


01260
未入力 蓮性 (xxx)

星逢の行あひの空にたむけしていたたきまつる此夕かな

ほしあひの−ゆきあひのそらに−たむけして−いたたきまつる−このゆふへかな


01261
未入力 顕氏 (xxx)

呉竹の庭の灯よよをへてたえぬ逢瀬をたれまつるらん

くれたけの−にはのともしひ−よよをへて−たえぬあふせを−たれまつるらむ


01262
未入力 寂能 (xxx)

彦星に光をみかけ九重に玉しく庭のたけのともしひ

ひこほしに−ひかりをみかけ−ここのへに−たましくにはの−たけのともしひ


01263
未入力 為氏 (xxx)

ひかりそふ玉しく庭のともし火に面影みゆる星逢のそら

ひかりそふ−たましくにはの−ともしひに−おもかけみゆる−ほしあひのそら


01264
未入力 真観 (xxx)

すへらきのみなみのそらにみいてせしその代の秋は今夜なりけり

すへらきの−みなみのそらに−みいてせし−そのよのあきは−こよひなりけり


01265
未入力 寂西 (xxx)

みるままに庭の灯かすかにて七夕まつる夜はふけにけり

みるままに−にはのともしひ−かすかにて−たなはたまつる−よはふけにけり


01266
未入力 為継 (xxx)

星逢の空まてにほへ庭の面におもひをこかすよはのたき物

ほしあひの−そらまてにほへ−にはのおもに−おもひをこかす−よはのたきもの


01267
未入力 経朝 (xxx)

庭もせに今夜たむくるともし火やたえぬ星逢の光なるらん

にはもせに−こよひたむくる−ともしひや−たえぬほしあひの−ひかりなるらむ


01268
未入力 行家 (xxx)

七夕のつままつよひの衣手ににほひをかはせ庭のそらたき

たなはたの−つままつよひの−ころもてに−にほひをかはせ−にはのそらたき


01269
未入力 成茂 (xxx)

まちかくやそらたき物も匂ふらん雲井にまつる星逢のよは

まちかくや−そらたきものも−にほふらむ−くもゐにまつる−ほしあひのよは


01270
未入力 隆祐 (xxx)

七夕の袖の匂やまさるらん庭よりたつる夜はのけふりに

たなはたの−そてのにほひや−まさるらむ−にはよりたつる−よはのけふりに


01271
未入力 禅信 (xxx)

たき物のけふりそかよふ七夕の雲の衣や袖にほふらん

たきものの−けふりそかよふ−たなはたの−くものころもや−そてにほふらむ


01272
未入力 高倉 (xxx)

七夕のあふよのいたくふけぬれはつま松風にかよふことのね

たなはたの−あふよのいたく−ふけぬれは−つままつかせに−かよふことのね


01273
未入力 按察 (xxx)

七夕に心をかさは庭の面にたえぬおもひのかすやそはまし

たなはたに−こころをかさは−にはのおもに−たえぬおもひの−かすやそはまし


01274
未入力 帥 (xxx)

いまこそは庭のともしひほのかにてたなはたつめのあふよなるらめ

いまこそは−にはのともしひ−ほのかにて−たなはたつめの−あふよなるらめ


01275
未入力 小宰相 (xxx)

まれにあふ七夕つめにかすことはちよを一よにひきもとめなん

まれにあふ−たなはたつめに−かすことは−ちよをひとよに−ひきもとめなむ


01276
未入力 俊成女 (xxx)

星逢のそらたきものや匂ふらん七夕つめの夜はのまくらに

ほしあひの−そらたきものや−にほふらむ−たなはたつめの−よはのまくらに


01277
未入力 少将内侍 (xxx)

星逢のそらたきものの煙まて七夕つめの思ひにそかる

ほしあひの−そらたきものの−けふりまて−たなはたつめの−おもひにそかる


01278
未入力 弁内侍 (xxx)

おくことのねにはたてねとをたえせてなかきためしの星逢の空

おくことの−ねにはたてねと−をたえせて−なかきためしの−ほしあひのそら


01279
未入力 但馬 (xxx)

星逢の空に光やまさるらん影もくもらぬ庭のともしひ

ほしあひの−そらにひかりや−まさるらむ−かけもくもらぬ−にはのともしひ


01280
未入力 下野 (xxx)

星逢はしのひもすらん雲の上をさやかにてらすよはの灯

ほしあひは−しのひもすらむ−くものうへを−さやかにてらす−よはのともしひ


01281
未入力 御製 (xxx)

たのめおく人なくよはも秋風のそよとおとろく庭の荻原

たのめおく−ひとなくよはも−あきかせの−そよとおとろく−にはのをきはら


01282
未入力 道助 (xxx)

長き夜のいやはかなくに夢もみすねさめをかこつ荻の上風

なかきよの−いやはかなくに−ゆめもみす−ねさめをかこつ−をきのうはかせ


01283
未入力 実氏 (xxx)

物思はて心をくたく心かなうゑすはきかしをきのうはかせ

ものおもはて−こころをくたく−こころかな−うゑすはきかし−をきのうはかせ


01284
未入力 基家 (xxx)

つくつくと秋の日なかき山里に荻の葉すくる峰のこからし

つくつくと−あきのひなかき−やまさとに−をきのはすくる−みねのこからし


01285
未入力 家良 (xxx)

ちはやふる神代もかくや荻のはに秋かせふけはなみたおちけん

ちはやふる−かみよもかくや−をきのはに−あきかせふけは−なみたおちけむ


01286
未入力 基良 (xxx)

つらからん風の音とも思はてやまかきにうゑし庭のをき原

つらからむ−かせのおととも−おもはてや−まかきにうゑし−にはのをきはら


未入力 隆親 (xxx)

(空白)

xxxxx−xxxxxxx−xxxxx−xxxxxxx−xxxxxxx


01287
未入力 為家 (xxx)

我かなみたそよ又何と荻のはに秋風ふけはまつこほるらん

わかなみた−そよまたなにと−をきのはに−あきかせふけは−まつこほるらむ


01288
未入力 公相 (xxx)

さらてたに身にしむ色の秋風を軒はの荻の音にたつなる

さらてたに−みにしむいろの−あきかせを−のきはのをきの−おとにたつなる


01289
未入力 実雄 (xxx)

さならてもなみたおつやと秋の風荻の上葉をよきてふかなん

さならても−なみたおつやと−あきのかせ−をきのうははを−よきてふかなむ


01290
未入力 信覚 (xxx)

荒玉の年もうらめし身につもる秋となつけて荻の上風

あらたまの−としもうらめし−みにつもる−あきとなつけて−をきのうはかせ


01291
未入力 為経 (xxx)

物思ふつまとそなれる我かやとの軒はの荻の秋のはつかせ

ものおもふ−つまとそなれる−わかやとの−のきはのをきの−あきのはつかせ


01292
未入力 忠定 (xxx)

こゑたてて我ともつゆはこほるれと人そしをるる荻の上風

こゑたてて−われともつゆは−こほるれと−ひとそしをるる−をきのうはかせ


01293
未入力 資季 (xxx)

すすしさは思ひもあへぬ秋風のおとにもつくる庭の荻原

すすしさは−おもひもあへぬ−あきかせの−おとにもつくる−にはのをきはら


01294
未入力 頼氏 (xxx)

この比はたつことやすき秋風をまつしる物は庭の荻原

このころは−たつことやすき−あきかせを−まつしるものは−にはのをきはら


01295
未入力 有教 (xxx)

我かやとの庭の荻原吹く風のおとより外にとふ人もかな

わかやとの−にはのをきはら−ふくかせの−おとよりほかに−とふひともかな


01296
未入力 師継 (xxx)

今そきく荻の葉わけのそよさらに風こそ秋のはしめなりけれ

いまそきく−をきのはわけの−そよさらに−かせこそあきの−はしめなりけれ


01297
未入力 定嗣 (xxx)

今きけはのきはの荻もおとたかし簾うこかす風の便に

いまきけは−のきはのをきも−おとたかし−すたれうこかす−かせのたよりに


01298
未入力 成実 (xxx)

秋きぬと吹きおとろかす暁の風よりしるき荻のおとかな

あききぬと−ふきおとろかす−あかつきの−かせよりしるき−をきのおとかな


01299
未入力 蓮性 (xxx)

夕くれの風におとろく荻のはのすゑもととろに音そ聞ゆる

ゆふくれの−かせにおとろく−をきのはの−すゑもととろに−おとそきこゆる


01300
未入力 為氏 (xxx)

荻の葉に今はたおとを吹きたてて人にしらるる秋のはつかせ

をきのはに−いまはたおとを−ふきたてて−ひとにしらるる−あきのはつかせ


01301
未入力 顕氏 (xxx)

荻のはにふきくる風の音信もをりからつらき秋の夕くれ

をきのはに−ふきくるかせの−おとつれも−をりからつらき−あきのゆふくれ


01302
未入力 真観 (xxx)

きけは又をきのうへこす秋風もせめてのことく身をこかすかな

きけはまた−をきのうへこす−あきかせも−せめてのことく−みをこかすかな


01303
未入力 寂能 (xxx)

秋のくる空こそあらめ荻のはに風の音さへ吹きかはるらん

あきのくる−そらこそあらめ−をきのはに−かせのおとさへ−ふきかはるらむ


01304
未入力 寂西 (xxx)

くやしくものきはの荻をうゑおきて我すこしたる風の音かな

くやしくも−のきはのをきを−うゑおきて−われすこしたる−かせのおとかな


01305
未入力 為継 (xxx)

昨日今日秋のはつかせ吹きそめておとつれやまぬ庭の荻はら

きのふけふ−あきのはつかせ−ふきそめて−おとつれやまぬ−にはのをきはら


01306
未入力 経朝 (xxx)

いまよりの秋の夕のいかならんおとたてそむる荻の上風

いまよりの−あきのゆふへの−いかならむ−おとたてそむる−をきのうはかせ


01307
未入力 行家 (xxx)

うちつけに物のかなしき秋といひてにはかに吹きぬ荻の上風

うちつけに−もののかなしき−あきといひて−にはかにふきぬ−をきのうはかせ


01308
未入力 成茂 (xxx)

老いぬれはさらてもやすくねぬものをなにおとろかす荻の上かせ

おいぬれは−さらてもやすく−ねぬものを−なにおとろかす−をきのうはかせ


01309
未入力 隆祐 (xxx)

中中にとふにつらさのある身ともしらてやすくる荻の上風

なかなかに−とふにつらさの−あるみとも−しらてやすくる−をきのうはかせ


01310
未入力 禅信 (xxx)

吹きすくる風もたゆまぬ荻の葉に結ひかねたる秋のゆふつゆ

ふきすくる−かせもたゆまぬ−をきのはに−むすひかねたる−あきのゆふつゆ


01311
未入力 高倉 (xxx)

いつもきく荻の葉そよく風の音もほに出てて物は秋そかなしき

いつもきく−をきのはそよく−かせのおとも−ほにいててものは−あきそかなしき


01312
未入力 按察 (xxx)

吹きむすふ荻のうは葉の風の音もなにしかいたく袖のぬるらん

ふきむすふ−をきのうははの−かせのおとも−なにしかいたく−そてのぬるらむ


01313
未入力 帥 (xxx)

荻の葉にいたくな風の吹きそかしねさめは秋のならひなれとも

をきのはに−いたくなかせの−ふきそかし−ねさめはあきの−ならひなれとも


01314
未入力 小宰相 (xxx)

秋ことに物おもふことのしるへする風のやとりや庭の荻はら

あきことに−ものおもふことの−しるへする−かせのやとりや−にはのをきはら


01315
未入力 俊成女 (xxx)

とへかしな荻の葉すくるかせならは我か身一の秋をいかにと

とへかしな−をきのはすくる−かせならは−わかみひとつの−あきをいかにと


01316
未入力 少将内侍 (xxx)

音つるる荻のはよりそ秋風のふきとふくよのこともしらるる

おとつるる−をきのはよりそ−あきかせの−ふきとふくよの−こともしらるる


01317
未入力 弁内侍 (xxx)

いかはかりねさめせられむ荻のはに今夜はいたく秋風そふく

いかはかり−ねさめせられむ−をきのはに−こよひはいたく−あきかせそふく


01318
未入力 但馬 (xxx)

秋のくるいろはみえねと荻のはに待ちける風の音そ身にしむ

あきのくる−いろはみえねと−をきのはに−まちけるかせの−おとそみにしむ


01319
未入力 下野 (xxx)

人はこぬよはの嵐におきふして簾うこかす軒の下荻

ひとはこぬ−よはのあらしに−おきふして−すたれうこかす−のきのしたをき


01320
未入力 御製 (xxx)

白露もこほれてにほふ高円の野辺の秋萩いま盛なり

しらつゆも−こほれてにほふ−たかまとの−のへのあきはき−いまさかりなり


01321
未入力 道助 (xxx)

鶉なく小萩かはらの夕くれに露を分けたる花の下ふし

うつらなく−こはきかはらの−ゆふくれに−つゆをわけたる−はなのしたふし


01322
未入力 実氏 (xxx)

露をおもみ本くたち行く秋萩のすゑもとををにいかて相みん

つゆをおもみ−もとくたちゆく−あきはきの−すゑもとををに−いかてあひみむ


01323
未入力 基家 (xxx)

わきもこか袖のつまする色ことに乱れておつるはきの朝露

わきもこか−そてのつまする−いろことに−みたれておつる−はきのあさつゆ


01324
未入力 家良 (xxx)

いかにせむはらははをしみ白露の玉になひける本あらの萩

いかにせむ−はらははをしみ−しらつゆの−たまになひける−もとあらのはき


01325
未入力 基良 (xxx)

真萩原枝もたわわにさく花の色にいててもおける露かな

まはきはら−えたもたわわに−さくはなの−いろにいてても−おけるつゆかな


01326
未入力 隆親 (xxx)

分けきつるかたみなれとや旅衣露よりうつる萩のはなすり

わけきつる−かたみなれとや−たひころも−つゆよりうつる−はきのはなすり


01327
未入力 為家 (xxx)

をとめこかかさしの萩の花のえに玉をかされる秋の白露

をとめこか−かさしのはきの−はなのえに−たまをかされる−あきのしらつゆ


01328
未入力 公相 (xxx)

あさまたきかつおく露も乱れつつ花おもけなる庭の萩原

あさまたき−かつおくつゆも−みたれつつ−はなおもけなる−にはのはきはら


01329
未入力 実雄 (xxx)

白露の心もおかすをりとらは萩の錦の中やたえなん

しらつゆの−こころもおかす−をりとらは−はきのにしきの−なかやたえなむ


01330
未入力 信覚 (xxx)

秋はきの野への夕つゆかき分けてぬるるはかりも誰かたつねん

あきはきの−のへのゆふつゆ−かきわけて−ぬるるはかりも−たれかたつねむ


01331
未入力 為経 (xxx)

秋はきの花さきしより宮城野の木の下露のおかぬまそなき

あきはきの−はなさきしより−みやきのの−このしたつゆの−おかぬまそなき


01332
未入力 忠定 (xxx)

おくままによもの草木はうつろひておのれをそむる萩の上露

おくままに−よものくさきは−うつろひて−おのれをそむる−はきのうはつゆ


01333
未入力 資季 (xxx)

おきまよふ野への白露色に出てて萩の初花いまはさくらん

おきまよふ−のへのしらつゆ−いろにいてて−はきのはつはな−いまはさくらむ


01334
未入力 頼氏 (xxx)

またちらぬもとあらの萩のもとつはをかつかつそむる秋の朝露

またちらぬ−もとあらのはきの−もとつはを−かつかつそむる−あきのあさつゆ


01335
未入力 有教 (xxx)

露のぬきおりはへてけりさほひめのはきの錦の秋の色色

つゆのぬき−おりはへてけり−さほひめの−はきのにしきの−あきのいろいろ


01336
未入力 師継 (xxx)

立ちよりてとらはけぬへき白露を玉にもぬくかのへの秋はき

たちよりて−とらはけぬへき−しらつゆを−たまにもぬくか−のへのあきはき


01337
未入力 定嗣 (xxx)

うつしうゑしこの秋萩の枝たわみあさに日ことにおける白露

うつしうゑし−このあきはきの−えたたわみ−あさにひことに−おけるしらつゆ


01338
未入力 成実 (xxx)

色色に萩の錦をそめてけりたれしら露といひはしめけん

いろいろに−はきのにしきを−そめてけり−たれしらつゆと−いひはしめけむ


01339
未入力 蓮性 (xxx)

人はこぬ草葉のとこの露のうへにかたしきねたる萩か花つま

ひとはこぬ−くさはのとこの−つゆのうへに−かたしきねたる−はきかはなつま


01340
未入力 顕氏 (xxx)

おきわたす露やもりても染めつらん下葉色こきをのの萩原

おきわたす−つゆやもりても−そめつらむ−したはいろこき−をののはきはら


01341
未入力 寂能 (xxx)

うつろはぬまののしら萩下葉のみおのかちくさにそむる露かな

うつろはぬ−まののしらはき−したはのみ−おのかちくさに−そむるつゆかな


01342
未入力 為氏 (xxx)

白露もうつろひにけり高円ののもせにさける秋はきのはな

しらつゆも−うつろひにけり−たかまとの−のもせにさける−あきはきのはな


01343
未入力 真観 (xxx)

萩の上におくも限のありけれはあまりは袖にかかるしら露

はきのうへに−おくもかきりの−ありけれは−あまりはそてに−かかるしらつゆ


01344
未入力 寂西 (xxx)

葉にあまるしつくもあるを萩のえにおきなかしたる秋の露かな

はにあまる−しつくもあるを−はきのえに−おきなかしたる−あきのつゆかな


01345
未入力 為継 (xxx)

萩の葉におきあまれはや秋の露わくれは袖の色に成るらん

はきのはに−おきあまれはや−あきのつゆ−わくれはそての−いろになるらむ


01346
未入力 経朝 (xxx)

ま萩原さくのの色にうつろひて露をは花の染むるなりけり

まはきはら−さくののいろに−うつろひて−つゆをははなの−染むるなりけり


01347
未入力 行家 (xxx)

秋はきの花の錦のたてぬきをおのれ染めてもおける露かな

あきはきの−はなのにしきの−たてぬきを−おのれそめても−おけるつゆかな


01348
未入力 成茂 (xxx)

宮木のや枝もとををの白露にをれぬとみゆる秋の萩はら

みやきのや−えたもとををの−しらつゆに−をれぬとみゆる−あきのはきはら


01349
未入力 隆祐 (xxx)

ちりちらす一になして朝露の庭にしきたる秋萩のはな

ちりちらす−ひとつになして−あさつゆの−にはにしきたる−あきはきのはな


01350
未入力 禅信 (xxx)

しらすけのまのの萩原さきしより我か色ならて露そうつろふ

しらすけの−まののはきはら−さきしより−わかいろならて−つゆそうつろふ


01351
未入力 高倉 (xxx)

白露のおくとはよそにみえしかと花の色こきのへの秋はき

しらつゆの−おくとはよそに−みえしかと−はなのいろこき−のへのあきはき


01352
未入力 按察 (xxx)

とへかしな庭の秋はきつゆけさのこれよりまさるやとはあらしな

とへかしな−にはのあきはき−つゆけさの−これよりまさる−やとはあらしな


01353
未入力 帥 (xxx)

唐衣すそのの萩の花すりにうつりにけりなおけるしら露

からころも−すそののはきの−はなすりに−うつりにけりな−おけるしらつゆ


01354
未入力 小宰相 (xxx)

宮木のの木の下とほき萩のえにおのれと結ふ露そうつろふ

みやきのの−このしたとほき−はきのえに−おのれとむすふ−つゆそうつろふ


01355
未入力 俊成女 (xxx)

秋を思ふ人の涙も萩の上の露よりうつるそての色かな

あきをおもふ−ひとのなみたも−はきのうへの−つゆよりうつる−そてのいろかな


01356
未入力 少将内侍 (xxx)

夜もすからおきそふのへの白露に下をれぬへき秋はきの花

よもすから−おきそふのへの−しらつゆに−したをれぬへき−あきはきのはな


01357
未入力 弁内侍 (xxx)

萩か花うつろひ行くをつらさにてみる我さへそ露けかりける

はきかはな−うつろひゆくを−つらさにて−みるわれさへそ−つゆけかりける


01358
未入力 但馬 (xxx)

あれはててはらはぬやとやかこつらん露にをらるる庭の萩はら

あれはてて−はらはぬやとや−かこつらむ−つゆにをらるる−にはのはきはら


01359
未入力 下野 (xxx)

さきそめて花はつれなき萩かえにかつちる露の色そうつろふ

さきそめて−はなはつれなき−はきかえに−かつちるつゆの−いろそうつろふ


01360
未入力 御製 (xxx)

我なから思ひもわかぬ涙かなたそかれ時のあきのならひは

われなから−おもひもわかぬ−なみたかな−たそかれときの−あきのならひは


01361
未入力 道助 (xxx)

誰しかも外にやはみむ野も山も心よりしる秋の夕暮

たれしかも−ほかにやはみむ−のもやまも−こころよりしる−あきのゆふくれ


01362
未入力 実氏 (xxx)

なかむれはすすろにおつるなみたかないかなるそらそ秋の夕暮

なかむれは−すすろにおつる−なみたかな−いかなるそらそ−あきのゆふくれ


01363
未入力 基家 (xxx)

物ことに秋はかくしもうきものといつよりなれる夕なるらん

ものことに−あきはかくしも−うきものと−いつよりなれる−ゆふへなるらむ


01364
未入力 家良 (xxx)

ふりぬれは哀そひける夕とも秋こそ人に思ひしらすれ

ふりぬれは−あはれそひける−ゆふへとも−あきこそひとに−おもひしらすれ


01365
未入力 基良 (xxx)

大方は夕にかきる哀ともたかならはしのなみたとかしる

おほかたは−ゆふへにかきる−あはれとも−たかならはしの−なみたとかしる


01366
未入力 隆親 (xxx)

秋風の身にしみわたる夕くれは袖もひとつに露そこほるる

あきかせの−みにしみわたる−ゆふくれは−そてもひとつに−つゆそこほるる


01367
未入力 為家 (xxx)

身のうさをいとははしらて過きなましなさけそつらき秋の夕暮

みのうさを−いとははしらて−すきなまし−なさけそつらき−あきのゆふくれ


01368
未入力 公相 (xxx)

をりからにわきてぬれそふ袂かな深山の里の秋の夕くれ

をりからに−わきてぬれそふ−たもとかな−みやまのさとの−あきのゆふくれ


01369
未入力 実雄 (xxx)

我か袖のぬるるや何のかことそと秋の夕をたれにとはまし

わかそての−ぬるるやなにの−かことそと−あきのゆふへを−たれにとはまし


01370
未入力 信覚 (xxx)

谷のとはこの葉みたるる秋かせに人もたつねぬ入合のかね

たにのとは−このはみたるる−あきかせに−ひともたつねぬ−いりあひのかね


01371
未入力 為経 (xxx)

おほつかな何ゆゑ秋の夕とてもろき涙のおちまさるらん

おほつかな−なにゆゑあきの−ゆふへとて−もろきなみたの−おちまさるらむ


01372
未入力 忠定 (xxx)

思ひいれし心の色もそめかへて我か身老いぬる秋の夕くれ

おもひいれし−こころのいろも−そめかへて−わかみおいぬる−あきのゆふくれ


01373
未入力 資季 (xxx)

秋の雨そ時時軒にそそくなるさひしきやとの夕暮の空

おもひいれし−こころのいろも−そめかへて−わかみおいぬる−あきのゆふくれ


01374
未入力 頼氏 (xxx)

なかむれは其事としもなけれとも夕身にしむ秋の空かな

なかむれは−そのこととしも−なけれとも−ゆふへみにしむ−あきのそらかな


01375
未入力 有教 (xxx)

いつも吹く軒はの松の風なれとわきて身にしむ秋の夕暮

いつもふく−のきはのまつの−かせなれと−わきてみにしむ−あきのゆふくれ


01376
未入力 師継 (xxx)

夕くれはさらぬ月日もあるものを秋は何とてなにたてるらん

ゆふくれは−さらぬつきひも−あるものを−あきはなにとて−なにたてるらむ


01377
未入力 定嗣 (xxx)

蝉のこゑ虫の恨そきこゆなる松の台の秋の夕くれ

せみのこゑ−むしのうらみそ−きこゆなる−まつのうてなの−あきのゆふくれ


01378
未入力 成実 (xxx)

いく秋か我か身一の夕くれとちちに物おもふとしのへぬらん

いくあきか−わかみひとつの−ゆふくれと−ちちにものおもふ−としのへぬらむ


01379
未入力 蓮性 (xxx)

この秋は六十あまりに露そおく老や夕のあはれとはなる

このあきは−むそちあまりに−つゆそおく−おいやゆふへの−あはれとはなる


01380
未入力 顕氏 (xxx)

女郎花花のひもとく夕くれに野をなつかしみゆきそやられぬ

をみなへし−はなのひもとく−ゆふくれに−のをなつかしみ−ゆきそやられぬ


01381
未入力 寂能 (xxx)

あさちふのおのれしをるる袖の露おくとそなけく秋の夕暮

あさちふの−おのれしをるる−そてのつゆ−おくとそなけく−あきのゆふくれ


01382
未入力 為氏 (xxx)

秋きては我か身一のゆゑならぬ夕の空をなにうらむらむ

あききては−わかみひとつの−ゆゑならぬ−ゆふへのそらを−なにうらむらむ


01383
未入力 真観 (xxx)

世中は思ひすててもすてかたき時こそありけれ秋の夕暮

よのなかは−おもひすてても−すてかたき−ときこそありけれ−あきのゆふくれ


01384
未入力 寂西 (xxx)

秋風のけにも身にしむ色ならは千しほの程や夕なるらん

あきかせの−けにもみにしむ−いろならは−ちしほのほとや−ゆふへなるらむ


01385
未入力 為継 (xxx)

いかなれは秋のならひをさしもやと思ふにも猶すくる夕暮

いかなれは−あきのならひを−さしもやと−おもふにもなほ−すくるゆふくれ


01386
未入力 経朝 (xxx)

まつ人のあらは恨やかさねまし桐の葉おつる秋の夕くれ

まつひとの−あらはうらみや−かさねまし−きりのはおつる−あきのゆふくれ


01387
未入力 行家 (xxx)

夕とてかならす袖のしをれめや秋の哀は時もわかしを

ゆふへとて−かならすそての−しをれめや−あきのあはれは−ときもわかしを


01388
未入力 成茂 (xxx)

わきつ猶夕はつらき物そとも誰か秋にかおもひそめけん

わきてなほ−ゆふへはつらき−ものそとも−たれかあきにか−おもひそめけむ


01389
未入力 隆祐 (xxx)

野わきする空のけしきに成りにけり村雲はやき秋の夕暮

のわきする−そらのけしきに−なりにけり−むらくもはやき−あきのゆふくれ


01390
未入力 禅信 (xxx)

中中に思ひいれしと思ふさへ心つくしのあきのゆふくれ

なかなかに−おもひいれしと−おもふさへ−こころつくしの−あきのゆふくれ


01391
未入力 高倉 (xxx)

物おもへと露をは袖におきそへて心をしをる秋の夕くれ

ものおもへと−つゆをはそてに−おきそへて−こころをしをる−あきのゆふくれ


01392
未入力 按察 (xxx)

さらになとかなしかるらんあまたうしなれぬるものを秋の夕暮

さらになと−かなしかるらむ−あまたうし−なれぬるものを−あきのゆふくれ


01393
未入力 帥 (xxx)

さらぬたに物おもふころの夕暮をいかにせよとて秋風の吹く

さらぬたに−ものおもふころの−ゆふくれを−いかにせよとて−あきかせのふく


01394
未入力 小宰相 (xxx)

身にしみて雲のはたてを吹く風やあやしとききし夕なるらん

みにしみて−くものはたてを−ふくかせや−あやしとききし−ゆふへなるらむ


01395
未入力 俊成女 (xxx)

これもみなさそなならひの秋そとも思ひかねたる夕まくれかな

これもみな−さそなならひの−あきそとも−おもひかねたる−ゆふまくれかな


01396
未入力 少将内侍 (xxx)

さひしさはさなから秋の空なれと此夕くれと猶やまたまし

さひしさは−さなからあきの−そらなれと−このゆふくれと−なほやまたまし


01397
未入力 弁内侍 (xxx)

わひはつる時とや今をしらすらん物のかなしき秋の夕くれ

わひはつる−ときとやいまを−しらすらむ−もののかなしき−あきのゆふくれ


01398
未入力 但馬 (xxx)

なかめわひぬ我かやとからの夕かと又たか里の秋をとははや

なかめわひぬ−わかやとからの−ゆふへかと−またたかさとの−あきをとははや


01399
未入力 下野 (xxx)

なかむれは秋は夕の空まても身にしむ物と色かはりけり

なかむれは−あきはゆふへの−そらまても−みにしむものと−いろかはりけり


01400
未入力 御製 (xxx)

ほのほのと朝霧かくれ初雁のはつかにすくる声きこゆなり

ほのほのと−あさきりかくれ−はつかりの−はつかにすくる−こゑきこゆなり


01401
未入力 道助 (xxx)

秋をつくる風の便にいそくなり雲の南にはつかりの声

あきをつくる−かせのたよりに−いそくなり−くものみなみに−はつかりのこゑ


01402
未入力 実氏 (xxx)

つくはねの嶺の朝霧飛分けて都になるるはつかりのこゑ

つくはねの−みねのあさきり−とひわけて−みやこになるる−はつかりのこゑ


01403
未入力 基家 (xxx)

秋立ちてまたきかなくに菅原やふしみのくれに雁はきにけり

あきたちて−またきかなくに−すかはらや−ふしみのくれに−かりはきにけり


01404
未入力 家良 (xxx)

我かためにくるともきかぬかりかねの空にまたるる秋にも有るかな

わかために−くるともきかぬ−かりかねの−そらにまたるる−あきにもあるかな


01405
未入力 基良 (xxx)

心から秋しもなとかこしちより都を旅とかりのなくらん

こころから−あきしもなとか−こしちより−みやこをたひと−かりのなくらむ


01406
未入力 隆親 (xxx)

今更におとろかれぬるねさめかなことしもきけははつかりの声

いまさらに−おとろかれぬる−ねさめかな−ことしもきけは−はつかりのこゑ


01407
未入力 為家 (xxx)

かりかねはいまきこゆなり秋風もむへこそさむく吹きまさるらめ

かりかねは−いまきこゆなり−あきかせも−うへこそさむく−ふきまさるらめ


01408
未入力 公相 (xxx)

こしちより鳴きふるしけんかりかねをけふは都に待ちつつそ聞く

こしちより−なきふるしけむ−かりかねを−けふはみやこに−まちつつそきく


01409
未入力 実雄 (xxx)

ぬししらぬうはの空なる玉章を誰かためかけて雁のきつらん

ぬししらぬ−うはのそらなる−たまつさを−たかためかけて−かりのきつらむ


01410
未入力 信覚 (xxx)

昔思ふ身を徒に初かりの啼くねかひなきあきもうらめし

むかしおもふ−みをいたつらに−はつかりの−なくねかひなき−あきもうらめし


01411
未入力 為経 (xxx)

吹きそめていくかもあらぬ秋風にはやさそはれて雁はきにけり

ふきそめて−いくかもあらぬ−あきかせに−はやさそはれて−かりはきにけり


01412
未入力 忠定 (xxx)

此比もこしちやさむき初雁のつはさに雲の衣かくなり

このころも−こしちやさむき−はつかりの−つはさにくもの−ころもかくなり


01413
未入力 資季 (xxx)

帰るさのつれなくみえしかりかねも秋をはかれす今きなくなり

かへるさの−つれなくみえし−かりかねも−あきをはかれす−いまきなくなり


01414
未入力 頼氏 (xxx)

あまを舟はつせの山の初かりも風をたよりの空になくなり

あまをふね−はつせのやまの−はつかりも−かせをたよりの−そらになくなり


01415
未入力 有教 (xxx)

初雁はいまそ雲路にきなくなるかくる玉章誰かみつらん

はつかりは−いまそくもちに−きなくなる−かくるたまつさ−たれかみつらむ


01416
未入力 師継 (xxx)

大空にいまた旅なる雁かねは雲のいつこにやとをかるらん

おほそらに−いまたたひなる−かりかねは−くものいつこに−やとをかるらむ


01417
未入力 定嗣 (xxx)

都にも秋風寒しかりかねはあらちの山をいまやこゆらん

みやこにも−あきかせさむし−かりかねは−あらちのやまを−いまやこゆらむ


01418
未入力 成実 (xxx)

夕されは誰か玉章のことつてに秋くるままの初かりのこゑ

ゆふされは−たかたまつさの−ことつてに−あきくるままの−はつかりのこゑ


01419
未入力 蓮性 (xxx)

旅の空あはれいくへの山こえてけさみやこちに雁のきつらん

たひのそら−あはれいくへの−やまこえて−けさみやこちに−かりのきつらむ


01420
未入力 顕氏 (xxx)

昨日今日いまた旅なる雁かねは誰をたのみに鳴きわたるらん

きのふけふ−いまたたひなる−かりかねは−たれをたのみに−なきわたるらむ


01421
未入力 寂能 (xxx)

久方のあまとふ雁はきにけらし露の玉章誰にかくらん

ひさかたの−あまとふかりは−きにけらし−つゆのたまつさ−たれにかくらむ


01422
未入力 為氏 (xxx)

片岡の柞のこすゑ色つきて朝風さむく雁そ鳴くなる

かたをかの−ははそのこすゑ−いろつきて−あさかせさむく−かりそなくなる


01423
未入力 真観 (xxx)

哀にもきこゆる雁の初ねかななにをうしとか思ひつらぬる

あはれにも−きこゆるかりの−はつねかな−なにをうしとか−おもひつらぬる


01424
未入力 寂西 (xxx)

此秋のにひ玉つさのことつてのいまこそあれと雁はきにけり

このあきの−にひたまつさの−ことつての−いまこそあれと−かりはきにけり


01425
未入力 為経 (xxx)

今はとて雲のはたての秋風にあくかれわたるはつかりの声

いまはとて−くものはたての−あきかせに−あくかれわたる−はつかりのこゑ


01426
未入力 経朝 (xxx)

しをりせし花の春をやしのふらん雲に跡とふ初かりの声

しをりせし−はなのはるをや−しのふらむ−くもにあととふ−はつかりのこゑ


01427
未入力 行家 (xxx)

身にさむく秋風ふきぬむへしこそ衣かりかねけさは鳴くなれ

みにさむく−あきかせふきぬ−うへしこそ−ころもかりかね−けさはなくなれ


01428
未入力 成茂 (xxx)

秋山の木葉も色やかはるらんけさ初雁はなきてきにけり

あきやまの−このはもいろや−かはるらむ−けさはつかりは−なきてきにけり


01429
未入力 隆祐 (xxx)

きても又ねさめの空に過きぬなり契かひなき秋のかりかね

きてもまた−ねさめのそらに−すきぬなり−ちきりかひなき−あきのかりかね


01430
未入力 禅信 (xxx)

今こむと秋をたのむの里人もまつかひあれや初雁の声

いまこむと−あきをたのむの−さとひとも−まつかひあれや−はつかりのこゑ


01431
未入力 高倉 (xxx)

かけて待つ誰か玉章はなけれとも秋をたのむの雁もきにけり

かけてまつ−たかたまつさは−なけれとも−あきをたのむの−かりもきにけり


01432
未入力 按察 (xxx)

我か身にも秋しうけれは鳴く雁のはつねをよその哀とやきく

わかみにも−あきしうけれは−なくかりの−はつねをよその−あはれとやきく


01433
未入力 帥 (xxx)

くれかかる雲井のよそに今こそはほの鳴きわたれ秋のかり金

くれかかる−くもゐのよそに−いまこそは−ほのなきわたれ−あきのかりかね


01434
未入力 小宰相 (xxx)

こしの海をいつか出てけんあまを舟初かりかねそ空にきこゆる

こしのうみを−いつかいてけむ−あまをふね−はつかりかねそ−そらにきこゆる


01435
未入力 俊成女 (xxx)

かけてくる誰か玉章とまたねとも秋はかなしき初雁のこゑ

かけてくる−たかたまつさと−またねとも−あきはかなしき−はつかりのこゑ


01436
未入力 少将内侍 (xxx)

はつしほの紅葉やすらん秋山にけさなくかりの涙おちつつ

はつしほの−もみちやすらむ−あきやまに−けさなくかりの−なみたおちつつ


01437
未入力 弁内侍 (xxx)

空に鳴く秋の哀をつけそめてまつ一つらの雁はきにけり

そらになく−あきのあはれを−つけそめて−まつひとつらの−かりはきにけり


01438
未入力 但馬 (xxx)

時しもあれ身のあらましをかきつらね思ふねさめの初かりの声

ときしもあれ−みのあらましを−かきつらね−おもふねさめの−はつかりのこゑ


01439
未入力 下野 (xxx)

時しもあれややはたさむき秋のよにまちしたのむの雁はきにけり

ときしもあれ−ややはたさむき−あきのよに−まちしたのむの−かりはきにけり


01440
未入力 御製 (xxx)

梓弓春は荒田とみえしものをはやほに出ててなるこ引くなり

あつさゆみ−はるはあらたと−みえしものを−はやほにいてて−なるこひくなり


01441
未入力 道助 (xxx)

もらさしないつくをわかすおく露のいな葉にあまる秋の色かな

もらさしな−いつくをわかす−おくつゆの−いなはにあまる−あきのいろかな


01442
未入力 実氏 (xxx)

おしねかる山田のあせにさすくしのしとろもとろに秋風そ吹く

おしねかる−やまたのあせに−さすくしの−しとろもとろに−あきかせそふく


01443
未入力 基家 (xxx)

夕日さす門田の秋のいなむしろわさほかりしき今やほすらん

ゆふひさす−かとたのあきの−いなむしろ−わさほかりしき−いまやほすらむ


01444
未入力 家良 (xxx)

露おつるわさたのほさき打ちなひきけさ吹く風は袖そさむけき

つゆおつる−わさたのほさき−うちなひき−けさふくかせは−そてそさむけき


01445
未入力 基良 (xxx)

風渡る民の草葉もとしあれは君にそなひく千代の秋まて

かせわたる−たみのくさはも−としあれは−きみにそなひく−ちよのあきまて


01446
未入力 隆親 (xxx)

民もみなをさまれる世と祈るなりかりほすいねの数もかくさす

たみもみな−をさまれるよと−いのるなり−かりほすいねの−かすもかくさす


01447
未入力 為家 (xxx)

はるかなる田のものおしねなす雲の立ちさかへたる御代の秋かな

はるかなる−たのものおしね−なすくもの−たちさかへたる−みよのあきかな


01448
未入力 公相 (xxx)

ほにいつる伏見のを田をみわたせはいなはにつつくうちの河波

ほにいつる−ふしみのをたを−みわたせは−いなはにつつく−うちのかはなみ


01449
未入力 実雄 (xxx)

風さむきかりほのとまのひまをあらみたれいねかてに山田もるらん

かせさむき−かりほのとまの−ひまをあらみ−たれいねかてに−やまたもるらむ


01450
未入力 信覚 (xxx)

を山田のいなはにかよふ秋風に露おきはつる夕くれもなし

をやまたの−いなはにかよふ−あきかせに−つゆおきはつる−ゆふくれもなし


01451
未入力 為経 (xxx)

ゆたかなる民のしわさのひまもなくかりしくをたのいな莚かな

ゆたかなる−たみのしわさの−ひまもなく−かりしくをたの−いなむしろかな


01452
未入力 忠定 (xxx)

秋とめるとはたのうへを見わたせは国さかへたるよとの川舟

あきとめる−とはたのうへを−みわたせは−くにさかえたる−よとのかはふね


01453
未入力 資季 (xxx)

人もらぬ山田のなるこたえすのみおとつれ渡るよはのあき風

ひともらぬ−やまたのなるこ−たえすのみ−おとつれわたる−よはのあきかせ


01454
未入力 頼氏 (xxx)

長き夜にいくたひ露を吹きすててたのもの草にかへる秋風

なかきよに−いくたひつゆを−ふきすてて−たのものくさに−かへるあきかせ


01455
未入力 有教 (xxx)

とへかしなとはたのおものいなむしろしくものもなき秋のけしきを

とへかしな−とはたのおもの−いなむしろ−しくものもなき−あきのけしきを


01456
未入力 師継 (xxx)

我か門のむろのはやわせかりあけておくてにのこるひたの音かな

わかかとの−むろのはやわせ−かりあけて−おくてにのこる−ひたのおとかな


01457
未入力 定嗣 (xxx)

秋の田をみれはよろつのこの車いくそのいねをつみわたすらん

あきのたを−みれはよろつの−このくるま−いくそのいねを−つみわたすらむ


01458
未入力 成実 (xxx)

見わたせは田のものいねのおしなへて雲なす御代の程を知るかな

みわたせは−たのものいねの−おしなへて−くもなすみよの−ほとをしるかな


01459
未入力 蓮性 (xxx)

露むすふわさたのほくみ打ちとけてかりほのとこにいやはねらるる

つゆむすふ−わさたのほくみ−うちとけて−かりほのとこに−いやはねらるる


01460
未入力 顕氏 (xxx)

水ふかき刈田のいねをかりあけて又ほしわふるしつか衣手

みつふかき−かりたのいねを−かりあけて−またほしわふる−しつかころもて


01461
未入力 寂能 (xxx)

秋の田のはつほのいねに雲かけて民ゆたかにもみゆる比かな

あきのたの−はつほのいねに−くもかけて−たみゆたかにも−みゆるころかな


01462
未入力 為氏 (xxx)

白露ももるやかりほのを山田に猶いねかての秋かせそふく

しらつゆも−もるやかりほの−をやまたに−なほいねかての−あきかせそふく


01463
未入力 真観 (xxx)

遠山田むらむらほさき出てにけりいまやみもりのいほりさすらん

とほやまた−むらむらほさき−いてにけり−いまやみもりの−いほりさすらむ


01464
未入力 寂西 (xxx)

しつのをかこゑうちそふるを山たのひたのひひきそよたたさひしき

しつのをか−こゑうちそふる−をやまたの−ひたのひひきそ−よたたさひしき


01465
未入力 為継 (xxx)

またからぬ門田のいなは打ちなひき秋のさかりは風渡るなり

またからぬ−かとたのいなは−うちなひき−あきのさかりは−かせわたるなり


01466
未入力 経朝 (xxx)

つくはねのすそわの田ゐのいなむしろ吹きしく風も時はたかはす

つくはねの−すそわのたゐの−いなむしろ−ふきしくかせも−ときはたかはす


01467
未入力 行家 (xxx)

ひきうゑし程もへなくに我か門のわさたははやくほにそ出てぬる

ひきうゑし−ほともへなくに−わかかとの−わさたははやく−ほにそいてぬる


01468
未入力 成茂 (xxx)

けさみれはをかへのわさたほたちしていほさすまてに成りにけるかな

けさみれは−をかへのわさた−ほたちして−いほさすまてに−なりにけるかな


01469
未入力 隆祐 (xxx)

風ふけは田つらのいほのうちまてもいなはかたふき露にそほちぬ

かせふけは−たつらのいほの−うちまても−いなはかたふき−つゆにそほちぬ


01470
未入力 禅信 (xxx)

すかはらやふしみのをたの夕くれにいなはおしなみ風わたるみゆ

すかはらや−ふしみのをたの−ゆふくれに−いなはおしなみ−かせわたるみゆ


01471
未入力 高倉 (xxx)

いな葉吹く風にたもとのしをるるは露こそ秋の涙なりけれ

いなはふく−かせにたもとの−しをるるは−つゆこそあきの−なみたなりけれ


01472
未入力 按察 (xxx)

いなつまの光の程も思出てはふるのわさたの身をはなけかし

いなつまの−ひかりのほとも−おもひいては−ふるのわさたの−みをはなけかし


01473
未入力 帥 (xxx)

とほ山田人なきよりも秋のよはかりほのひたの音そさひしき

とほやまた−ひとなきよりも−あきのよは−かりほのひたの−おとそさひしき


01474
未入力 小宰相 (xxx)

山里はわさたかるよりしられにし秋のけしきそふかくなり行く

やまさとは−わさたかるより−しられにし−あきのけしきそ−ふかくなりゆく


01475
未入力 俊成女 (xxx)

を山田のいほもるしつの秋の袖やとかる露そおきあかしける

をやまたの−いほもるしつの−あきのそて−やとかるつゆそ−おきあかしける


01476
未入力 少将内侍 (xxx)

かりそめのいほりもさすか世中にすめはすみかのしつかを山田

かりそめの−いほりもさすか−よのなかに−すめはすみかの−しつかをやまた


01477
未入力 弁内侍 (xxx)

うゑてみし人もきにけりを山田のいなはを分けていほやもるらん

うゑてみし−ひともきにけり−をやまたの−いなはをわけて−いほやもるらむ


01478
未入力 但馬 (xxx)

これも又秋の習にを山田のいほもるしつの袖やつゆけき

これもまた−あきのならひに−をやまたの−いほもるしつの−そてやつゆけき


01479
未入力 下野 (xxx)

秋くれは露とわさたのかりいほといつれかまつは結ひそめけむ

あきくれは−つゆとわさたの−かりいほと−いつれかまつは−むすひそめけむ


01480
未入力 御製 (xxx)

きく人の袖もつゆけしさよ衣妻恋に鳴くさをしかの声

きくひとの−そてもつゆけし−さよころも−つまこひになく−さをしかのこゑ


01481
未入力 道助 (xxx)

今夜こそ恨もまされから衣つまもかくれす鹿の鳴くらん

こよひこそ−うらみもまされ−からころも−つまもかくれす−しかのなくらむ


01482
未入力 実氏 (xxx)

をしか鳴くみねのしはふの秋風に羽山のいほの夢は絶えにき

をしかなく−みねのしはふの−あきかせに−はやまのいほの−ゆめはたえにき


01483
未入力 基家 (xxx)

秋の色に身をかへてける棹鹿はわかこのもとや夜寒なるらん

あきのいろに−みをかへてける−さをしかは−わかこのもとや−よさむなるらむ


01484
未入力 家良 (xxx)

秋風になみしはのののよるよるは思ひそふとや鹿の鳴くらん

あきかせに−なみしはののの−よるよるは−おもひそふとや−しかのなくらむ


01485
未入力 基良 (xxx)

宮木のの秋草しのき鳴く鹿のつまとふ夜はもふけにけらしな

みやきのの−あきくさしのき−なくしかの−つまとふよはも−ふけにけらしな


01486
未入力 隆親 (xxx)

この里のむかひの岡の鹿のねもつままちかねてさよふけにけり

このさとの−むかひのをかの−しかのねも−つままちかねて−さよふけにけり


01487
未入力 為家 (xxx)

秋きては独かために長き夜を我しりかほに鹿の鳴くなる

あききては−ひとりかために−なかきよを−われしりかほに−しかのなくなる


01488
未入力 公相 (xxx)

やとちかくつまとふ鹿のこゑのみそ秋のねさめの友となりける

やとちかく−つまとふしかの−こゑのみそ−あきのねさめの−ともとなりける


01489
未入力 実雄 (xxx)

あしひきの山のさをしか妻恋のよるはすからにねをや鳴くらん

あしひきの−やまのさをしか−つまこひの−よるはすからに−ねをやなくらむ


01490
未入力 信覚 (xxx)

むはたまの夢の枕の秋風にちかくもおくるさをしかの声

うはたまの−ゆめのまくらの−あきかせに−ちかくもおくる−さをしかのこゑ


01491
未入力 為経 (xxx)

おく山のすかのねなかき秋のよにたえすそ鹿の妻恋に鳴く

おくやまの−すかのねなかき−あきのよに−たえすそしかの−つまこひになく


01492
未入力 忠定 (xxx)

妻恋の秋の思ひの長き夜をあかしかねたるしかのこゑかな

つまこひの−あきのおもひの−なかきよを−あかしかねたる−しかのこゑかな


01493
未入力 資季 (xxx)

独ねは長きならひの秋のよをあかしかねてや鹿も鳴くらん

ひとりねは−なかきならひの−あきのよを−あかしかねてや−しかもなくらむ


01494
未入力 頼氏 (xxx)

み山ふく夜はの嵐にやとりきてすそ野によわる棹鹿の声

みやまふく−よはのあらしに−やとりきて−すそのによわる−さをしかのこゑ


01495
未入力 有教 (xxx)

高砂のをのへの鹿も秋風の身にさむきよやつまをこふらん

たかさこの−をのへのしかも−あきかせの−みにさむきよや−つまをこふらむ


01496
未入力 師継 (xxx)

秋といへはさらてたに猶長き夜をいねすきけとや鹿の鳴くらん

あきといへは−さらてたになほ−なかきよを−いねすきけとや−しかのなくらむ


01497
未入力 定嗣 (xxx)

むはたまのよるさりくれは棹鹿の鳴くこゑたかしつまこひかねて

うはたまの−よるさりくれは−さをしかの−なくこゑたかし−つまこひかねて


01498
未入力 成実 (xxx)

葦曳の山のはふかく鳴く鹿のおのれさひしき秋のよはかな

あしひきの−やまのはふかく−なくしかの−おのれさひしき−あきのよはかな


01499
未入力 蓮性 (xxx)

ふけゆけは猶妻恋に鹿そ鳴くのへの草はに露や寒けき

ふけゆけは−なほつまこひに−しかそなく−のへのくさはに−つゆやさむけき


01500
未入力 顕氏 (xxx)

おのれさへたのむよころやふけぬらん独ねかたく鹿も鳴くなり

おのれさへ−たのむよころや−ふけぬらむ−ひとりねかたく−しかもなくなり


01501
未入力 寂能 (xxx)

秋の夜は露をそいととかさねける衣かけほす棹鹿の声

あきのよは−つゆをそいとと−かさねける−ころもかけほす−さをしかのこゑ


01502
未入力 為氏 (xxx)

我のみとねをも鳴くかな秋のよのなかき恨はしかはかりかは

われのみと−ねをもなくかな−あきのよの−なかきうらみは−しかはかりかは


01503
未入力 真観 (xxx)

秋かせもややはた寒し棹鹿のつまこふ時のよやふけぬらん

あきかせも−ややはたさむし−さをしかの−つまこふときの−よやふけぬらむ


01504
未入力 寂西 (xxx)

秋風につま待つ山の夜をさむみさこそをのへの鹿は鳴くらめ

あきかせに−つままつやまの−よをさむみ−さこそをのへの−しかはなくらめ


01505
未入力 為継 (xxx)

むはたまのよのふけゆけは高砂のをのへの鹿のこゑそたゆまぬ

うはたまの−よのふけゆけは−たかさこの−をのへのしかの−こゑそたゆまぬ


01506
未入力 経朝 (xxx)

唐衣つまとふ鹿もよやさむきすそのの原に声のうらむる

からころも−つまとふしかも−よやさむき−すそののはらに−こゑのうらむる


01507
未入力 行家 (xxx)

夜をさむみ草のいとすちまとほにて衣やうすき鹿の鳴くなる

よをさむみ−くさのいとすち−まとほにて−ころもやうすき−しかのなくなる


01508
未入力 成茂 (xxx)

秋のよのさよふけかたの山かせにつま待ちかねて鹿そ鳴くなる

あきのよの−さよふけかたの−やまかせに−つままちかねて−しかそなくなる


01509
未入力 隆祐 (xxx)

おのつから秋の哀になく鹿もつまとふよはの名にや立つらん

おのつから−あきのあはれに−なくしかも−つまとふよはの−なにやたつらむ


01510
未入力 禅信 (xxx)

唐衣つまとひかねて長き夜もいねすや鹿の鳴きあかすらん

からころも−つまとひかねて−なかきよも−いねすやしかの−なきあかすらむ


01511
未入力 高倉 (xxx)

春日のにつまよふ鹿の夜もすから秋そ忍のみたれなりける

かすかのに−つまよふしかの−よもすから−あきそしのふの−みたれなりける


01512
未入力 按察 (xxx)

物思ふかきりをしれとふくる夜に鹿こそはなけとふ人はなし

ものおもふ−かきりをしれと−ふくるよに−しかこそはなけ−とふひとはなし


01513
未入力 帥 (xxx)

たくひなく哀とそきくさよふけてつまをたつぬる棹鹿の声

たくひなく−あはれとそきく−さよふけて−つまをたつぬる−さをしかのこゑ


01514
未入力 小宰相 (xxx)

あかしかねつまとふ鹿の秋のよをあふ人からとたれをしむらん

あかしかね−つまとふしかの−あきのよを−あふひとからと−たれをしむらむ


01515
未入力 俊成女 (xxx)

さよすから恋のつまとふさをしかののはらの風にこゑまかふなり

さよすから−こひのつまとふ−さをしかの−のはらのかせに−こゑまかふなり


01516
未入力 少将内侍 (xxx)

今夜もや松風さむみ高砂のをのへの鹿のたえす鳴くらん

こよひもや−まつかせさむみ−たかさこの−をのへのしかの−たえすなくらむ


01517
未入力 弁内侍 (xxx)

つまこふる秋のをしかの声にこそ夜はのかなしきことも知りけれ

つまこふる−あきのをしかの−こゑにこそ−よはのかなしき−こともしりけれ


01518
未入力 但馬 (xxx)

いととしくいまは夜寒の秋風に鳴くねもたえす棹鹿の声

いととしく−いまはよさむの−あきかせに−なくねもたえす−さをしかのこゑ


01519
未入力 下野 (xxx)

山里はまちかき庭のあしかきによやふけぬらん鹿の鳴くなる

やまさとは−まちかきにはの−あしかきに−よやふけぬらむ−しかのなくなる


01520
未入力 御製 (xxx)

暁の枕の下にすみなれてねさめこととふきりきりすかな

あかつきの−まくらのしたに−すみなれて−ねさめこととふ−きりきりすかな


01521
未入力 道助 (xxx)

蛬暁ふかきまとの雨にひとのおもひをなみたにそかる

きりきりす−あかつきふかき−まとのあめに−ひとのおもひを−なみたにそかる


01522
未入力 実氏 (xxx)

こゑこゑにちよ松虫そ聞ゆなる君をしいのる老のねさめに

こゑこゑに−ちよまつむしそ−きこゆなる−きみをしいのる−おいのねさめに


01523
未入力 基家 (xxx)

あり明の野へ吹きおくるおひかせに虫のねならぬ草のはそなき

ありあけの−のへふきおくる−おひかせに−むしのねならぬ−くさのはそなき


01524
未入力 家良 (xxx)

蛬いたく鳴くのの浅茅生は暁さむきつゆやおくらん

きりきりす−いたくなくのの−あさちふは−あかつきさむき−つゆやおくらむ


01525
未入力 基良 (xxx)

なれにける秋のねさめも今更にしののめくらき虫の声かな

なれにける−あきのねさめも−いまさらに−しののめくらき−むしのこゑかな


01526
未入力 隆親 (xxx)

さりともとたのむもよわる明方に猶まつ虫の声そ残れる

さりともと−たのむもよわる−あけかたに−なほまつむしの−こゑそのこれる


01527
未入力 為家 (xxx)

秋はかり露にうれふる蛬わかとことはのねさめをそしる

あきはかり−つゆにうれふる−きりきりす−わかとことはの−ねさめをそしる


01528
未入力 公相 (xxx)

しけり行くむくらの門の蛬あけかたにしもなとうらむらん

しけりゆく−むくらのかとの−きりきりす−あけかたにしも−なとうらむらむ


01529
未入力 実雄 (xxx)

暁のねさめこととふ虫のねに我さへあやな涙おちけり

あかつきの−ねさめこととふ−むしのねに−われさへあやな−なみたおちけり


01530
未入力 信覚 (xxx)

あさちふのおのか秋とは知りなから猶あか月もまつ虫そなく

あさちふの−おのかあきとは−しりなから−なほあかつきも−まつむしそなく


01531
未入力 為経 (xxx)

暁はつゆもなみたもいかならんねにたてて鳴くのへの松虫

あかつきは−つゆもなみたも−いかならむ−ねにたててなく−のへのまつむし


01532
未入力 忠定 (xxx)

あけゆけは野原の虫もかはるなり誰を恨のねをもなかまし

あけゆけは−のはらのむしも−かはるなり−たれをうらみの−ねをもなかまし


01533
未入力 資季 (xxx)

ふるさとのあさちかねやの蛬あか月おきの露になくなり

ふるさとの−あさちかねやの−きりきりす−あかつきおきの−つゆになくなり


01534
未入力 頼氏 (xxx)

あさちふのをのにしめゆふ虫のねを暁露にきくそさひしき

あさちふの−をのにしめゆふ−むしのねを−あかつきつゆに−きくそさひしき


01535
未入力 有教 (xxx)

露さむきむくらか下の虫のねもしのひかねける暁のこゑ

つゆさむき−むくらかしたの−むしのねも−しのひかねける−あかつきのこゑ


01536
未入力 師継 (xxx)

暁はつゆけき物といひなからなと蛬あまりなくらん

あかつきは−つゆけきものと−いひなから−なときりきりす−あまりなくらむ


01537
未入力 定嗣 (xxx)

夢さむる床の下なる蛬声いそかはしあけぬこの夜は

ゆめさむる−とこのしたなる−きりきりす−こゑいそかはし−あけぬこのよは


01538
未入力 成実 (xxx)

くるるより暁かけて鳴く虫の露やなみたと思ひおくらん

くるるより−あかつきかけて−なくむしの−つゆやなみたと−おもひおくらむ


01539
未入力 蓮性 (xxx)

長月のくれこそあらめ蛬夜のあくるにも声よわるなり

なかつきの−くれこそあらめ−きりきりす−よのあくるにも−こゑよわるなり


01540
未入力 顕氏 (xxx)

長月の暁ふかくおくしもにややこゑよわる庭のまつ虫

なかつきの−あかつきふかく−おくしもに−ややこゑよわる−にはのまつむし


01541
未入力 寂能 (xxx)

ときはなる名にはたてともまつ虫のかるる霜夜の暁の声

ときはなる−なにはたてとも−まつむしの−かるるしもよの−あかつきのこゑ


01542
未入力 為氏 (xxx)

いまよりはこゑよわるなり蛬あか月おきの露や寒けき

いまよりは−こゑよわるなり−きりきりす−あかつきおきの−つゆやさむけき


01543
未入力 真観 (xxx)

きぬきぬのはたおる虫のねをそへてたか別ちの露に鳴くらん

きぬきぬの−はたおるむしの−ねをそへて−たかわかれちの−つゆになくらむ


01544
未入力 寂西 (xxx)

蛬枕かたさることやなき暁かけてゆめおとろかす

きりきりす−まくらかたさる−ことやなき−あかつきかけて−ゆめおとろかす


01545
未入力 為継 (xxx)

風さむみ明かたちかくおく露を我かためとのみ虫そなくなる

かせさむみ−あけかたちかく−おくつゆを−わかためとのみ−むしそなくなる


01546
未入力 経朝 (xxx)

虫のねはまたかれなくに初霜のをかへの草の暁のいろ

むしのねは−またかれなくに−はつしもの−をかへのくさの−あかつきのいろ


01547
未入力 行家 (xxx)

鳴く虫のこゑうらふれて此比の有明かたはつゆそさむけき

なくむしの−こゑうらふれて−このころの−ありあけかたは−つゆそさむけき


01548
未入力 成茂 (xxx)

まくす原暁おきの白露にかつ恨みてや虫のなくらん

まくすはら−あかつきおきの−しらつゆに−かつうらみてや−むしのなくらむ


01549
未入力 隆祐 (xxx)

たか秋の別になりて蛬あくるまくらを遠さかるらん

たかあきの−わかれになりて−きりきりす−あくるまくらを−とほさかるらむ


01550
未入力 禅信 (xxx)

秋ふかくなるる枕の蛬あかつきことにこゑそすくなき

あきふかく−なるるまくらの−きりきりす−あかつきことに−こゑそすくなき


01551
未入力 高倉 (xxx)

あけぬよの長き思ひは蛬秋のならひをなにうらむらん

あけぬよの−なかきおもひは−きりきりす−あきのならひを−なにうらむらむ


01552
未入力 按察 (xxx)

なくむしのなみたの露も寒からし草のとさしの明かたの空

なくむしの−なみたのつゆも−さむからし−くさのとさしの−あけかたのそら


01553
未入力 帥 (xxx)

蛬こゑそたえせぬ明方のとこは草葉の露やさむけき

きりきりす−こゑそたえせぬ−あけかたの−とこはくさはの−つゆやさむけき


01554
未入力 小宰相 (xxx)

我かためになく虫のねにあらねともねさめなれはやかなしかるらん

わかために−なくむしのねに−あらねとも−ねさめなれはや−かなしかるらむ


01555
未入力 俊成女 (xxx)

明けぬとてわかれぬ虫のこゑにさへ袖になみたの露そこほるる

あけぬとて−わかれぬむしの−こゑにさへ−そてになみたの−つゆそこほるる


01556
未入力 少将内侍 (xxx)

いまははや霜おきぬへき暁を草葉にわふる虫のこゑかな

いまははや−しもおきぬへき−あかつきを−くさはにわふる−むしのこゑかな


01557
未入力 弁内侍 (xxx)

露しけき暁はかりうき物はなくなくのへの虫もわふなる

つゆしけき−あかつきはかり−うきものは−なくなくのへの−むしもわふなる


01558
未入力 但馬 (xxx)

鐘の音につきせぬねのみなく虫のこゑの限をききあかしつる

かねのおとに−つきせぬねのみ−なくむしの−こゑのかきりを−ききあかしつる


01559
未入力 下野 (xxx)

心していたくな鳴きそ蛬かことかましき老のねさめに

こころして−いたくななきそ−きりきりす−かことかましき−おいのねさめに


01560
未入力 御製 (xxx)

いつくにも月は一をいかにしてをはすて山はてりまさるらん

いつくにも−つきはひとつを−いかにして−をはすてやまは−てりまさるらむ


01561
未入力 道助 (xxx)

月よたた行末とほく契りおきし我か山のはに影なくもりそ

つきよたた−ゆくすゑとほく−ちきりおきし−わかやまのはに−かけなくもりそ


01562
未入力 実氏 (xxx)

あまつ空きよき夕の秋風に山のはのほる月をみるかな

あまつそら−きよきゆふへの−あきかせに−やまのはのほる−つきをみるかな


01563
未入力 基家 (xxx)

山のはに絶え絶えのこる浮雲をてらしけちてもすめる月かな

やまのはに−たえたえのこる−うきくもを−てらしけちても−すめるつきかな


01564
未入力 家良 (xxx)

神さふるいこまの山の高根よりいまさしのほる月のさやけさ

かみさふる−いこまのやまの−たかねより−いまさしのほる−つきのさやけさ


01565
未入力 基良 (xxx)

さしのほる月をみゆきとみかさ山ふりてつかへしなこそ忘れね

さしのほる−つきをみゆきと−みかさやま−ふりてつかへし−なこそわすれね


01566
未入力 隆親 (xxx)

時わかす名こそをくらの山なれとひかりは秋とすめる月かな

ときわかす−なこそをくらの−やまなれと−ひかりはあきと−すめるつきかな


01567
未入力 為家 (xxx)

あまくたる神ちの山の木間よりひかりさやかに出つる月かけ

あまくたる−かみちのやまの−このまより−ひかりさやかに−いつるつきかけ


01568
未入力 公相 (xxx)

くれぬともよるとはいはし紅葉はの下てる山をいつる月かけ

くれぬとも−よるとはいはし−もみちはの−したてるやまを−いつるつきかけ


01569
未入力 実雄 (xxx)

君かすむはこやの山をいつるよりくもらぬ月は空にすみつつ

きみかすむ−はこやのやまを−いつるより−くもらぬつきは−そらにすみつつ


01570
未入力 信覚 (xxx)

いはとあけし神代の月のめくりきてかけもくまなきあまのかく山

いはとあけし−かみよのつきの−めくりきて−かけもくまなき−あまのかくやま


01571
未入力 為経 (xxx)

ひさにふるみむろの山のよはの月いく秋おなし影にすむらん

ひさにふる−みむろのやまの−よはのつき−いくあきおなし−かけにすむらむ


01572
未入力 忠定 (xxx)

まさこ行くちくまの川にうつりきてをはすて山をいつる月影

まさこゆく−ちくまのかはに−うつりきて−をはすてやまを−いつるつきかけ


01573
未入力 資季 (xxx)

秋の日のややくれかかる山のはにまた影うすき月はいてつつ

あきのひの−ややくれかかる−やまのはに−またかけうすき−つきはいてつつ


01574
未入力 頼氏 (xxx)

秋のよのかつらの山の空はれてのこる影なく月やすむらん

あきのよの−かつらのやまの−そらはれて−のこるかけなく−つきやすむらむ


01575
未入力 有教 (xxx)

みても猶なほたくひなきひかりかな月すみのほるさらしなの山

みてもなほ−なほたくひなき−ひかりかな−つきすみのほる−さらしなのやま


01576
未入力 師継 (xxx)

大原やをしほの山のふりぬれは月も神世や思ひいつらん

おほはらや−をしほのやまの−ふりぬれは−つきもかみよや−おもひいつらむ


01577
未入力 定嗣 (xxx)

ふけ行けはあまつみそらにすむ月をいさゆふくれにみねちかく見む

ふけゆけは−あまつみそらに−すむつきを−いさゆふくれに−みねちかくみむ


01578
未入力 成実 (xxx)

月かけの出入る山はかはらねと秋のひかりや空にしるらん

つきかけの−いているやまは−かはらねと−あきのひかりや−そらにしるらむ


01579
未入力 蓮性 (xxx)

たれしかも雲井はるかにとよ国のゆふ山いつる月をみるらん

たれしかも−くもゐはるかに−とよくにの−ゆふやまいつる−つきをみるらむ


01580
未入力 顕氏 (xxx)

もろともにすむへき物とちきらねとみ山のいほに月そよかれぬ

もろともに−すむへきものと−ちきらねと−みやまのいほに−つきそよかれぬ


01581
未入力 寂能 (xxx)

風はまたいたりいたらぬ秋のよに山をつくして月はすみけり

かせはまた−いたりいたらぬ−あきのよに−やまをつくして−つきはすみけり


01582
未入力 為氏 (xxx)

ときは山かはる梢はみえねとも月こそ秋の色に出てけれ

ときはやま−かはるこすゑは−みえねとも−つきこそあきの−いろにいてけれ


01583
未入力 真観 (xxx)

漢河ゐせきの山の高根より月のみ舟の影そさしこす

あまのかは−ゐせきのやまの−たかねより−つきのみふねの−かけそさしこす


01584
未入力 寂西 (xxx)

山のはを吹きこす風に空晴れてさらにみえたる月のさやけさ

やまのはを−ふきこすかせに−そらはれて−さらにみえたる−つきのさやけさ


01585
未入力 為継 (xxx)

空はれてくるれはおなし山のはにいくよさやけき月の出つらん

そらはれて−くるれはおなし−やまのはに−いくよさやけき−つきのいつらむ


01586
未入力 経朝 (xxx)

葦曳の山を木たかみいつる月いく里かけて物思ふらん

あしひきの−やまをこたかみ−いつるつき−いくさとかけて−ものおもふらむ


01587
未入力 行家 (xxx)

つくは山は山のしけみ出てかてにしはしいさよふ夜はの月影

つくはやま−はやまのしけみ−いてかてに−しはしいさよふ−よはのつきかけ


01588
未入力 成茂 (xxx)

うこきなきはこやの山にすむ月のはるかにてらす千代の行末

うこきなき−はこやのやまに−すむつきの−はるかにてらす−ちよのゆくすゑ


01589
未入力 隆祐 (xxx)

もる山も木のはかくれはのこりける待ちいつる程の秋の月影

もるやまも−このはかくれは−のこりける−まちいつるほとの−あきのつきかけ


01590
未入力 禅信 (xxx)

さしも草露を分けてややとるらん秋といふきの山のはの月

さしもくさ−つゆをわけてや−やとるらむ−あきといふきの−やまのはのつき


01591
未入力 高倉 (xxx)

ときは山色なき峰にすむ月はおのれ出ててや秋を知るらん

ときはやま−いろなきみねに−すむつきは−おのれいててや−あきをしるらむ


01592
未入力 按察 (xxx)

かけていのるみむろの山の秋の月神のみまへの鏡とやみん

かけていのる−みむろのやまの−あきのつき−かみのみまへの−かかみとやみむ


01593
未入力 帥 (xxx)

尋ねてもみわのしけ山今夜こそ人のとへとも月はすみけれ

たつねても−みわのしけやま−こよひこそ−ひとのとへとも−つきはすみけれ


01594
未入力 小宰相 (xxx)

秋のよは空行く月もしら鳥のさきさか山の名にそすむらし

あきのよは−そらゆくつきも−しらとりの−さきさかやまの−なにそすむらし


01595
未入力 俊成女 (xxx)

さひしさもあはれとも又ためしたにあらしの山の秋の月影

さひしさも−あはれともまた−ためしたに−あらしのやまの−あきのつきかけ


01596
未入力 少将内侍 (xxx)

山風の吹きやる空の白雲をはるかになしていつる月かけ

やまかせの−ふきやるそらの−しらくもを−はるかになして−いつるつきかけ


01597
未入力 弁内侍 (xxx)

みる程もよや寒からしあし曳の山おろし吹きて月そさやけき

みるほとも−よやさむからし−あしひきの−やまおろしふきて−つきそさやけき


01598
未入力 但馬 (xxx)

思出てになにをかせましさらしなやをはすて山の月みさりせは

おもひいてに−なにをかせまし−さらしなや−をはすてやまの−つきみさりせは


01599
未入力 下野 (xxx)

山ふかみ問ふ人あらはかこたまし心をわけす月をみるよは

やまふかみ−とふひとあらは−かこたまし−こころをわけす−つきをみるよは


01600
未入力 御製 (xxx)

ささ波やしかの浦風海ふけはにほてりまさる月の影かな

ささなみや−しかのうらかせ−うみふけは−にほてりまさる−つきのかけかな


01601
未入力 道助 (xxx)

にほの海や雲よりうへに波こえて月をそあらふ比良の山風

にほのうみや−くもよりうへに−なみこえて−つきをそあらふ−ひらのやまかせ


01602
未入力 実氏 (xxx)

ささ波の数よむはかりすむ月にうらさひしかるしかのから崎

ささなみの−かすよむはかり−すむつきに−うらさひしかる−しかのからさき


01603
未入力 基家 (xxx)

にほてると名におふ浦の秋なれは月になきたるをちのささ波

にほてると−なにおふうらの−あきなれは−つきになきたる−をちのささなみ


01604
未入力 家良 (xxx)

あふみかたみをのみさきの浦風にくもらぬおきの月をみるかな

あふみかた−みをのみさきの−うらかせに−くもらぬおきの−つきをみるかな


01605
未入力 基良 (xxx)

しかの浦やいさよふ波にあらはれてにほてりまさる夜はの月かけ

しかのうらや−いさよふなみに−あらはれて−にほてりまさる−よはのつきかけ


01606
未入力 隆親 (xxx)

しかの浦や底まてきよく月すめはみかみのたけの影そうつれる

しかのうらや−そこまてきよく−つきすめは−みかみのたけの−かけそうつれる


01607
未入力 為家 (xxx)

とほさかるみきはもわかすにほてるや月の氷の秋の浦なみ

とほさかる−みきはもわかす−にほてるや−つきのこほりの−あきのうらなみ


01608
未入力 公相 (xxx)

あまのはら月さえ渡る秋のよに氷をよするしかのうら浪

あまのはら−つきさえわたる−あきのよに−こほりをよする−しかのうらなみ


01609
未入力 実雄 (xxx)

すはの海のこほらぬ水にいかにしてそら行く月のさえ渡るらん

すはのうみの−こほらぬみつに−いかにして−そらゆくつきの−さえわたるらむ


01610
未入力 信覚 (xxx)

にほの海やねぬよの月にこく舟の氷を渡る跡のしらなみ

にほのうみや−ねぬよのつきに−こくふねの−こほりをわたる−あとのしらなみ


01611
未入力 為経 (xxx)

雲きゆるひらの高ねの山風に月影きよししかのから崎

くもきゆる−ひらのたかねの−やまかせに−つきかけきよし−しかのからさき


01612
未入力 忠定 (xxx)

しかの浦やみきはは波のよせなからこほりはとほくうつる月かけ

しかのうらや−みきははなみの−よせなから−こほりはとほく−うつるつきかけ


01613
未入力 資季 (xxx)

にほの海や秋の氷とみるまてにうつれる月の影そきえける

にほのうみや−あきのこほりと−みるまてに−うつれるつきの−かけそきえける


01614
未入力 頼氏 (xxx)

しかの浦やささ波しろくすむ月にをちかた人の心をそ知る

しかのうらや−ささなみしろく−すむつきに−をちかたひとの−こころをそしる


01615
未入力 有教 (xxx)

ささ波やしかの唐崎空晴れて月吹きすさむひらの山かせ

ささなみや−しかのからさき−そらはれて−つきふきすさふ−ひらのやまかせ


01616
未入力 師継 (xxx)

ささ波やしかのおほわたみわたせは浦さひしくもすめる月かな

ささなみや−しかのおほわた−みわたせは−うらさひしくも−すめるつきかな


01617
未入力 定嗣 (xxx)

ささ波やしかの大津に又もみむまことに秋の月はすみけり

ささなみや−しかのおほつに−またもみむ−まことにあきの−つきはすみけり


01618
未入力 成実 (xxx)

くもりなき影をいくよかうつすらんにほてるおきの月の鏡に

くもりなき−かけをいくよか−うつすらむ−にほてるおきの−つきのかかみに


01619
未入力 蓮性 (xxx)

あま人もおものの浜のはまつとを月にあけぬと今やいそかむ

あまひとも−おもののはまの−はまつとを−つきにあけぬと−いまやいそかむ


01620
未入力 顕氏 (xxx)

今夜又にほてる月の影をみてかはらぬ波に秋をしるかな

こよひまた−にほてるつきの−かけをみて−かはらぬなみに−あきをしるかな


01621
未入力 寂能 (xxx)

ささ波や月をはれよと吹きにけりひらのたかねの山おろしのかせ

ささなみや−つきをはれよと−ふきにけり−ひらのたかねの−やまおろしのかせ


01622
未入力 為氏 (xxx)

ささ波やこほりにけりな秋のよの月のにほてるしかの浦風

ささなみや−こほりにけりな−あきのよの−つきのにほてる−しかのうらかせ


01623
未入力 真観 (xxx)

秋風によそふけぬらしあちかまのしほつをさして月渡るみゆ

あきかせに−よそふけぬらし−あちかまの−しほつをさして−つきわたるみゆ


01624
未入力 寂西 (xxx)

にほの海をいつてふ月のよひのまに影はにしなるから崎の松

にほのうみを−いつてふつきの−よひのまに−かけはにしなる−からさきのまつ


01625
未入力 為継 (xxx)

ささ浪やしかの浦人いくかへりつりする袖に月をみるらん

ささなみや−しかのうらひと−いくかへり−つりするそてに−つきをみるらむ


01626
未入力 経朝 (xxx)

水鳥のにほてる月のささ波はこほれと音もたえせさりけり

みつとりの−にほてるつきの−ささなみは−こほれとおとも−たえせさりけり


01627
未入力 行家 (xxx)

にほの海やあみのみるめもなきものを誰かためにとか月はすむらん

にほのうみや−あみのみるめも−なきものを−たかためにとか−つきはすむらむ


01628
未入力 成茂 (xxx)

すみなれししかの浦浪立ちかへり心はれたる月をみるかな

すみなれし−しかのうらなみ−たちかへり−こころはれたる−つきをみるかな


01629
未入力 隆祐 (xxx)

月のみそ袖やぬるらんあま人のくみもならはぬしほつすか浦

つきのみそ−そてやぬるらむ−あまひとの−くみもならはぬ−しほつすかうら


01630
未入力 単雪目 (xxx)

さよふけてしかのうら風海ふけは月影なからささ波そたつ

さよふけて−しかのうらかせ−うみふけは−つきかけなから−ささなみそたつ


01631
未入力 高倉 (xxx)

鏡山くもらぬ秋の月なれはひかりをみかくしかのうらなみ

かかみやま−くもらぬあきの−つきなれは−ひかりをみかく−しかのうらなみ


01632
未入力 按察 (xxx)

みるめなき我か身をうらの月影にしかつのあまや杣ぬらすらん

みるめなき−わかみをうらの−つきかけに−しかつのあまや−そまぬらすらむ


01633
未入力 帥 (xxx)

しかの浦や今夜の月の影にこそつりするあまの袖もみえけれ

しかのうらや−こよひのつきの−かけにこそ−つりするあまの−そてもみえけれ


01634
未入力 小宰相 (xxx)

ひかりそふ月のためとやくるるよりひら山おろし海に吹くらん

ひかりそふ−つきのためとや−くるるより−ひらやまおろし−うみにふくらむ


01635
未入力 俊成女 (xxx)

にほの海の秋のよ渡るあまを舟月にのりてや浦つたひする

にほのうみの−あきのよわたる−あまをふね−つきにのりてや−うらつたひする


01636
未入力 少将内侍 (xxx)

しかのあまのみるめはなしと思へとも秋の月よに成りにけるかな

しかのあまの−みるめはなしと−おもへとも−あきのつきよに−なりにけるかな


01637
未入力 弁内侍 (xxx)

さこそ又月もすむらめ浮雲をみるめはよそににほの浦風

さこそまた−つきもすむらめ−うきくもを−みるめはよそに−にほのうらかせ


01638
未入力 但馬 (xxx)

しかの浦やくもらぬ月のきよけれはまほにそみゆるおきのつり舟

しかのうらや−くもらぬつきの−きよけれは−まほにそみゆる−おきのつりふね


01639
未入力 下野 (xxx)

浪たたは月もうつらしにほの海のひら山おろし雲に吹くらん

なみたたは−つきもうつらし−にほのうみの−ひらやまおろし−くもにふくらむ


01640
未入力 御製 (xxx)

いるかたの山のはもなき武蔵野のあくともよはの月やのこらん

いるかたの−やまのはもなき−むさしのの−あくともよはの−つきやのこらむ


01641
未入力 道助 (xxx)

むさしのやとほさもしらてすむ月は山のはわけて入るかたもなし

むさしのや−とほさもしらて−すむつきは−やまのはわけて−いるかたもなし


01642
未入力 夷氏 (xxx)

わきてみんかたこそなけれ露しけき野なる草木もやとる月影

わきてみむ−かたこそなけれ−つゆしけき−のなるくさきも−やとるつきかけ


01643
未入力 基家 (xxx)

春日野やひかりもきよくてらすよの月と神とに身をそまかする

かすかのや−ひかりもきよく−てらすよの−つきとかみとに−みをそまかする


01644
未入力 家良 (xxx)

高円やあきののうへの月かけに夜風をさむみ露こほれつつ

たかまとや−あきののうへの−つきかけに−よかせをさむみ−つゆこほれつつ


01645
未入力 基良 (xxx)

月やとるのへはみなから月くさのぬれての色に秋風そふく

つきやとる−のへはみなから−つきくさの−ぬれてのいろに−あきかせそふく


01646
未入力 隆親 (xxx)

露しけき草葉をすくる秋風に月も分行くむさしののはら

つゆしけき−くさはをすくる−あきかせに−つきもわけゆく−むさしののはら


01647
未入力 為家 (xxx)

草の原のもせの露にやとかりてそらにいそかぬ月の影かな

くさのはら−のもせのつゆに−やとかりて−そらにいそかぬ−つきのかけかな


01648
未入力 公相 (xxx)

旅衣きつつそみつるすみよしの遠里をのの秋のよの月

たひころも−きつつそみつる−すみよしの−とほさとをのの−あきのよのつき


01649
未入力 実雄 (xxx)

いまよりはあさち色つくやたののにさえたるよはの月のさひしき

いまよりは−あさちいろつく−やたののに−さえたるよはの−つきのさひしき


01650
未入力 信覚 (xxx)

うちはらひ片野のましはふみ分けて月かけあまる袖の上の露

うちはらひ−かたののましは−ふみわけて−つきかけあまる−そてのうへのつゆ


01651
未入力 為経 (xxx)

いにしへにかはらぬかけやうつるらんの中の水のもとの心に

いにしへに−かはらぬかけや−うつるらむ−のなかのみつの−もとのこころに


01652
未入力 忠定 (xxx)

すむ月のひとつひかりにむさしののくさはみなから秋の初霜

すむつきの−ひとつひかりに−むさしのの−くさはみなから−あきのはつしも


01653
未入力 資季 (xxx)

夜もすから月をへたつる影もなしのへに出ててそみるへかりける

よもすから−つきをへたつる−かけもなし−のへにいててそ−みるへかりける


01654
未入力 頼氏 (xxx)

おちまかふ木の下露の時雨にもかたへそくもるみやきのの月

おちまかふ−このしたつゆの−しくれにも−かたへそくもる−みやきののつき


01655
未入力 有教 (xxx)

いそのかみふるののあさち霜かれてすゑはの露もやとる月かけ

いそのかみ−ふるののあさち−しもかれて−すゑはのつゆも−やとるつきかけ


01656
未入力 師継 (xxx)

あまの河なかるる月のさ夜ふけて片野のみのにやとやかるらん

あまのかは−なかるるつきの−さよふけて−かたののみのに−やとやかるらむ


01657
未入力 定嗣 (xxx)

ふなはりのなみしはの野の秋風にはやくよわたる月のさやけさ

ふなはりの−なみしはののの−あきかせに−はやくよわたる−つきのさやけさ


01658
未入力 成実 (xxx)

さきつくす千草の露の色色を瑩きてすめるのへの月影

さきつくす−ちくさのつゆの−いろいろを−みかきてすめる−のへのつきかけ


01659
未入力 蓮性 (xxx)

いなみののあさちか原にしく露ややとかる月の夜とこなるらん

いなみのの−あさちかはらに−しくつゆや−やとかるつきの−よとこなるらむ


01660
未入力 顕氏 (xxx)

絶えはてぬ野中の清水いにしへを忘れす月の影そすみける

たえはてぬ−のなかのしみつ−いにしへを−わすれすつきの−かけそすみける


01661
未入力 寂能 (xxx)

思ひわひねぬ夜あまたの野へのいほにまたしとすれと月そもりくる

おもひわひね−ぬよあまたのの−へのいほに−またしとすれと−つきそもりくる


01662
未入力 為氏 (xxx)

梓弓ひくまの野へのはるかにもいる方とほくすめる月かけ

あつさゆみ−ひくまののへの−はるかにも−いるかたとほく−すめるつきかけ


01663
未入力 真観 (xxx)

高円の野へはふくすの秋風にかへすかへすもみつるつきかな

たかまとの−のへはふくすの−あきかせに−かへすかへすも−みつるつきかな


01664
未入力 寂西 (xxx)

おのつから野へにむかひのやとしめてすむ程とほく月をみるかな

おのつから−のへにむかひの−やとしめて−すむほととほく−つきをみるかな


01665
未入力 為継 (xxx)

木の下の心つくしもなかりけり野中にはるる秋の夜の月

このしたの−こころつくしも−なかりけり−のなかにはるる−あきのよのつき


01666
未入力 経朝 (xxx)

とれはけぬおけは玉なす露の間も忘かたみののへの月影

とれはけぬ−おけはたまなす−つゆのまも−わすれかたみの−のへのつきかけ


01667
未入力 行家 (xxx)

秋風の末ふきなひくすすき野のほむけにのこる月の影かな

あきかせの−すゑふきなひく−すすきのの−ほむけにのこる−つきのかけかな


01668
未入力 成茂 (xxx)

旅人の友とやたのむ高島やかちののはらの秋の月かけ

たひひとの−ともとやたのむ−たかしまや−かちののはらの−あきのつきかけ


01669
未入力 隆祐 (xxx)

かるもかくいなのの原のかり枕さてもねられぬ月をみるかな

かるもかく−いなののはらの−かりまくら−さてもねられぬ−つきをみるかな


01670
未入力 禅信 (xxx)

いにしへの秋の契やのこるらん野中の清水月そすみける

いにしへの−あきのちきりや−のこるらむ−のなかのしみつ−つきそすみける


01671
未入力 高倉 (xxx)

尋ねくる人はかたののささのはに露のやとかる秋のよの月

たつねくる−ひとはかたのの−ささのはに−つゆのやとかる−あきのよのつき


01672
未入力 按察 (xxx)

野へみれはくまなきものを秋の月春をしらすと誰かいひけん

のへみれは−くまなきものを−あきのつき−はるをしらすと−たれかいひけむ


01673
未入力 帥 (xxx)

武蔵野や草葉みなからおく露に末はるかなる月をみるかな

むさしのや−くさはみなから−おくつゆに−すゑはるかなる−つきをみるかな


01674
未入力 小宰相 (xxx)

我かままに野守はみるや秋の月草のいほりを露にまかせて

わかままに−のもりはみるや−あきのつき−くさのいほりを−つゆにまかせて


01675
未入力 俊成女 (xxx)

露にとや花のえことにちきるらん月にやとかる宮木のの原

つゆにとや−はなのえことに−ちきるらむ−つきにやとかる−みやきののはら


01676
未入力 少将内侍 (xxx)

野へみれはやや草枯の霜の色に猶さやかなる秋のよの月

のへみれは−ややくさかれの−しものいろに−なほさやかなる−あきのよのつき


01677
未入力 弁内侍 (xxx)

わすれすはをののしの原忍ふとやあまりてやとる露の月影

わすれすは−をののしのはら−しのふとや−あまりてやとる−つゆのつきかけ


01678
未入力 但馬 (xxx)

秋といへはのこるくまなくすみなれて月こそのへのあるしなりけれ

あきといへは−のこるくまなく−すみなれて−つきこそのへの−あるしなりけれ


01679
未入力 下野 (xxx)

長き夜のあけぬにいそくみかり人いるののすゑの月やみるらん

なかきよの−あけぬにいそく−みかりひと−いるののすゑの−つきやみるらむ


01680
未入力 御製 (xxx)

さしのほる月もさやけし天川とほき渡と秋やなるらん

さしのほる−つきもさやけし−あまのかは−とほきわたりと−あきやなるらむ


01681
未入力 道助 (xxx)

山城の淀の渡をなかむれは月の氷はとくるまそなき

やましろの−よとのわたりを−なかむれは−つきのこほりは−とくるまそなき


01682
未入力 実氏 (xxx)

さして行くなるとのおきの夕塩にひかりみちたる秋の夜の月

さしてゆく−なるとのおきの−ゆふしほに−ひかりみちたる−あきのよのつき


01683
未入力 基家 (xxx)

月さゆるゆらの湊やふけぬらんをちかた人のこゑそのこれる

つきさゆる−ゆらのみなとや−ふけぬらむ−をちかたひとの−こゑそのこれる


01684
未入力 家良 (xxx)

いせの海の塩のひままつみわたしにいそかすやとる秋のよの月

いせのうみの−しほのひままつ−みわたしに−いそかすやとる−あきのよのつき


01685
未入力 基良 (xxx)

川舟の月をあかすやみなれ棹さしもさやけき淀の渡を

かはふねの−つきをあかすや−みなれさを−さしもさやけき−よとのわたりを


01686
未入力 隆親 (xxx)

尋ねみむこつのわたりの渡守いつれのきしか月はくまなき

たつねみむ−こつのわたりの−わたしもり−いつれのきしか−つきはくまなき


01687
未入力 為家 (xxx)

月かけはさして出てぬるゆらのとに塩風まつととまる舟人

つきかけは−さしていてぬる−ゆらのとに−しほかせまつと−とまるふなひと


01688
未入力 公相 (xxx)

浪の上にとわたる舟もあけぬとやいる方いそくあはち島山

なみのうへに−とわたるふねも−あけぬとや−いるかたいそく−あはちしまやま


01689
未入力 実雄 (xxx)

むはたまのよわたる月のひかりにも淀の川をさみ舟さすらし

うはたまの−よわたるつきの−ひかりにも−よとのかはをさ−みふねさすらし


01690
未入力 信覚 (xxx)

有明の月影きよきゆらのとにわたりもはてぬあまのつり舟

ありあけの−つきかけきよき−ゆらのとに−わたりもはてぬ−あまのつりふね


01691
未入力 為経 (xxx)

久方の桂の河の渡し舟よなよな月のかけやすむらん

ひさかたの−かつらのかはの−わたしふね−よなよなつきの−かけやすむらむ


01692
未入力 忠定 (xxx)

月よには我のみと鳴くしかすかのわたりは波のこゑもすみけり

つきよには−われのみとなく−しかすかの−わたりはなみの−こゑもすみけり


01693
未入力 資季 (xxx)

わたの原とほきわたりをこきゆけは夜舟をおくる波の上の月

わたのはら−とほきわたりを−こきゆけは−よふねをおくる−なみのうへのつき


01694
未入力 頼氏 (xxx)

秋風のおくらぬよはの河舟のわたりの波に月そそひゆく

あきかせの−おくらぬよはの−かはふねの−わたりのなみに−つきそそひゆく


01695
未入力 有教 (xxx)

心あるよとの河せの渡し守月をみよとやいそかさるらん

こころある−よとのかはせの−わたしもり−つきをみよとや−いそかさるらむ


01696
未入力 師継 (xxx)

山城のとはにあひみる夜はの月よとの渡に影そふけ行く

やましろの−とはにあひみる−よはのつき−よとのわたりに−かけそふけゆく


01697
未入力 定嗣 (xxx)

久方の月をはるけみ見つるかなつしまの渡わたなかにして

ひさかたの−つきをはるけみ−みつるかな−つしまのわたり−わたなかにして


01698
未入力 成実 (xxx)

なかむれは秋のひかりをさしそへて月によわたるよとの河をさ

なかむれは−あきのひかりを−さしそへて−つきによわたる−よとのかはをさ


01699
未入力 蓮性 (xxx)

すみた川あなかま舟のかちかくせ夜わたる月をととむはかりに

すみたかは−あなかまふねの−かちかくせ−よわたるつきを−ととむはかりに


01700
未入力 顕氏 (xxx)

なるみかた波ちの月をなかめつついそかて渡る秋の舟人

なるみかた−なみちのつきを−なかめつつ−いそかてわたる−あきのふなひと


01701
未入力 寂能 (xxx)

淀河のよとまぬ月の渡し守わたるせはやきあまの友舟

よとかはの−よとまぬつきの−わたしもり−わたるせはやき−あまのともふね


01702
未入力 為氏 (xxx)

まてしはしいそかてゆかんわたし舟さしても月の影はさすらん

まてしはし−いそかてゆかむ−わたしふね−さしてもつきの−かけはさすらむ


01703
未入力 真観 (xxx)

あはちかた塩のはやみのせとわたり心そらなる月をみるかな

あはちかた−しほのはやみの−せとわたり−こころそらなる−つきをみるかな


01704
未入力 寂西 (xxx)

猶しはし淀の河せの月をみむわたしを舟はこきなつけそも

なほしはし−よとのかはせの−つきをみむ−わたしをふねは−こきなつけそも


01705
未入力 為継 (xxx)

渡守はやといへともすみた河くらせるよひの月をこそみれ

わたしもり−はやといへとも−すみたかは−くらせるよひの−つきをこそみれ


01706
未入力 経朝 (xxx)

大淀のわたるせなみの数ことにひかりをやとす秋のよの月

おほよとの−わたるせなみの−かすことに−ひかりをやとす−あきのよのつき


01707
未入力 行家 (xxx)

泉河川せの波も閑にてとほきわたりにすめる月かけ

いつみかは−かはせのなみも−しつかにて−とほきわたりに−すめるつきかけ


01708
未入力 成茂 (xxx)

秋のよの月をしみれはしかすかに心そとまる渡なりける

あきのよの−つきをしみれは−しかすかに−こころそとまる−わたりなりける


01709
未入力 隆祐 (xxx)

月に猶をちかた人やわたすらんよるもつなかぬよとの河舟

つきになほ−をちかたひとや−わたすらむ−よるもつなかぬ−よとのかはふね


01710
未入力 禅信 (xxx)

わたしふね波のよるさへ行きかへり月に棹さすよとの川長

わたしふね−なみのよるさへ−ゆきかへり−つきにさをさす−よとのかはをさ


01711
未入力 高倉 (xxx)

しかすかに秋のひかりやまさるらん夜渡る月の影そさやけき

しかすかに−あきのひかりや−まさるらむ−よわたるつきの−かけそさやけき


01712
未入力 按察 (xxx)

我はかり物思はすはちはや人うちの渡の月やみるらん

われはかり−ものおもはすは−ちはやひと−うちのわたりの−つきやみるらむ


01713
未入力 帥 (xxx)

月のすむ淀の渡のふかき夜に行きかふ舟の音そきこゆる

つきのすむ−よとのわたりの−ふかきよに−ゆきかふふねの−おとそきこゆる


01714
未入力 小宰相 (xxx)

月やとるよとの河舟この程は心すみてそ行きかへるらん

つきやとる−よとのかはふね−このほとは−こころすみてそ−ゆきかへるらむ


01715
未入力 俊成女 (xxx)

しかすかの渡りなれにし月かけも猶すみまさる秋のよの空

しかすかの−わたりなれにし−つきかけも−なほすみまさる−あきのよのそら


01716
未入力 少将内侍 (xxx)

尋ねみる人こそここにいつみ川わたりをとほみすめる月影

たつねみる−ひとこそここに−いつみかは−わたりをとほみ−すめるつきかけ


01717
未入力 弁内侍 (xxx)

月かけにまた夜ふかしと思へとも淀の渡は舟いそくなり

つきかけに−またよふかしと−おもへとも−よとのわたりは−ふねいそくなり


01718
未入力 但馬 (xxx)

舟よするむかひの岸はちかけれと月にそ今夜渡りかねぬる

ふねよする−むかひのきしは−ちかけれと−つきにそこよひ−わたりかねぬる


01719
未入力 下野 (xxx)

雲もなくなきたるよはの月かけにゆらのみなとを渡る舟人

くももなく−なきたるよはの−つきかけに−ゆらのみなとを−わたるふなひと


01720
未入力 御製 (xxx)

夜をかさね露の玉しく庭もせにひかりそへたる秋の月影

よをかさね−つゆのたましく−にはもせに−ひかりそへたる−あきのつきかけ


01721
未入力 道助 (xxx)

のこりなく庭の千草はうつろひぬやとれる月も露やそむらん

のこりなく−にはのちくさは−うつろひぬ−やとれるつきも−つゆやそむらむ


01722
未入力 実氏 (xxx)

かはりける雲井の月の秋よりや衛士のたく火をたゆみそめけん

かはりける−くもゐのつきの−あきよりや−ゑしのたくひを−たゆみそめけむ


01723
未入力 基家 (xxx)

閑なるやとからいととさひしきはみれともふりぬ秋のよの月

しつかなる−やとからいとと−さひしきは−みれともふりぬ−あきのよのつき


01724
未入力 家良 (xxx)

夜をさむみうら葉かれ行く庭くさにさひしかれともすめる月かな

よをさむみ−うらはかれゆく−にはくさに−さひしかれとも−すめるつきかな


01725
未入力 基良 (xxx)

なへてよのひかりもしかし白露の玉の砌にみかく月影

なへてよの−ひかりもしかし−しらつゆの−たまのみきりに−みかくつきかけ


01726
未入力 隆親 (xxx)

よひのまにしくるる空や晴れぬらんぬれてもやとる庭の月かけ

よひのまに−しくるるそらや−はれぬらむ−ぬれてもやとる−にはのつきかけ


01727
未入力 為家 (xxx)

月やとすかきほの霜のふる蓬つもれは老の秋そたけ行く

つきやとす−かきほのしもの−ふるよもき−つもれはおいの−あきそたけゆく


01728
未入力 公相 (xxx)

ひさかたの空にあらしや払ふらん玉しく庭をみかく月影

ひさかたの−そらにあらしや−はらふらむ−たましくにはを−みかくつきかけ


01729
未入力 実雄 (xxx)

九重や玉しく庭の竹のはに露をみかける秋の月影

ここのへや−たましくにはの−たけのはに−つゆをみかける−あきのつきかけ


01730
未入力 信覚 (xxx)

秋もうし人もとひこぬ山のはのをのへのいほの庭の月影

あきもうし−ひともとひこぬ−やまのはの−をのへのいほの−にはのつきかけ


01731
未入力 為経 (xxx)

秋の月影うつり行く庭の面にふけぬるよはの程そみえける

あきのつき−かけうつりゆく−にはのおもに−ふけぬるよはの−ほとそみえける


01732
未入力 忠定 (xxx)

つもりぬる我かよもきふの秋の霜ふり行く庭の月そさひしき

つもりぬる−わかよもきふの−あきのしも−ふりゆくにはの−つきそさひしき


01733
未入力 資季 (xxx)

蓬生に道しけりあふ庭まても里わかぬ月の影はすみけり

よもきふに−みちしけりあふ−にはまても−さとわかぬつきの−かけはすみけり


01734
未入力 頼氏 (xxx)

故郷とあれにし庭のまさこちに玉しきすつる秋のよの月

ふるさとと−あれにしにはの−まさこちに−たましきすつる−あきのよのつき


01735
未入力 有教 (xxx)

千とせまてすむへき秋の庭なれは月のひかりもかきりなきかな

ちとせまて−すむへきあきの−にはなれは−つきのひかりも−かきりなきかな


01736
未入力 師継 (xxx)

あさちふも玉しく庭とみゆるまて露をみかける秋のよの月

あさちふも−たましくにはと−みゆるまて−つゆをみかける−あきのよのつき


01737
未入力 定嗣 (xxx)

さらぬたに人ことおほき庭のうへにささらえをとこ影をよせけり

さらぬたに−ひとことおほき−にはのうへに−ささらえをとこ−かけをよせけり


01738
未入力 成実 (xxx)

身をかこつ袖よりおつるなみたとて蓬か庭に月もうつりぬ

みをかこつ−そてよりおつる−なみたとて−よもきかにはに−つきもうつりぬ


01739
未入力 蓮性 (xxx)

庭もせにまやのあまりの程なきにわりなく月の影もすみけり

にはもせに−まやのあまりの−ほとなきに−わりなくつきの−かけもすみけり


01740
未入力 顕氏 (xxx)

しけりあふ庭の蓬の跡とめて故郷しのふ秋のよの月

しけりあふ−にはのよもきの−あととめて−ふるさとしのふ−あきのよのつき


01741
未入力 寂能 (xxx)

いく夜かも庭のささふのあれまくにをしあけかたの窓の月かけ

いくよかも−にはのささふの−あれまくに−をしあけかたの−まとのつきかけ


01742
未入力 為氏 (xxx)

さしのほるしるへともかな玉しきのみはしになるる秋の月かけ

さしのほる−しるへともかな−たましきの−みはしになるる−あきのつきかけ


01743
未入力 真観 (xxx)

あさちふの庭の白露おきそめてふくるにまさる夜はの月かけ

あさちふの−にはのしらつゆ−おきそめて−ふくるにまさる−よはのつきかけ


01744
未入力 寂西 (xxx)

むす苔もまさこましりの庭のうへははたれに月の影そさやけき

むすこけも−まさこましりの−にはのうへは−はたれにつきの−かけそさやけき


01745
未入力 為継 (xxx)

くるるよの庭の蓬生露しけみはらはぬからに月のみそすむ

くるるよの−にはのよもきふ−つゆしけみ−はらはぬからに−つきのみそすむ


01746
未入力 経朝 (xxx)

みても猶人そまたるるしら露の玉しく庭にすめる月かけ

みてもなほ−ひとそまたるる−しらつゆの−たましくにはに−すめるつきかけ


01747
未入力 行家 (xxx)

うらかるる庭のあさちの初霜をおきかさねたる月の色かな

うらかるる−にはのあさちの−はつしもを−おきかさねたる−つきのいろかな


01748
未入力 成茂 (xxx)

やはらくるひかりやかよふひろまへの庭のいさこをてらす月影

やはらくる−ひかりやかよふ−ひろまへの−にはのいさこを−てらすつきかけ


01749
未入力 隆祐 (xxx)

のきはよりひかりをわけてもる月もおとろく程の秋のうたたね

のきはより−ひかりをわけて−もるつきも−おとろくほとの−あきのうたたね


01750
未入力 禅信 (xxx)

払ひこし庭の蓬の露の上にとはれぬよはの月をみるかな

はらひこし−にはのよもきの−つゆのうへに−とはれぬよはの−つきをみるかな


01751
未入力 高倉 (xxx)

里はあれて庭の蓬はしけれともかはらす月の影はすみけり

さとはあれて−にはのよもきは−しけれとも−かはらすつきの−かけはすみけり


01752
未入力 按察 (xxx)

露はらふ人たにもなき庭もせになさけあれはや月のすむらん

つゆはらふ−ひとたにもなき−にはもせに−なさけあれはや−つきのすむらむ


01753
未入力 帥 (xxx)

故郷とあれにし庭のあさちふにさひしくも有るかすめる月影

ふるさとと−あれにしにはの−あさちふに−さひしくもあるか−すめるつきかけ


01754
未入力 小宰相 (xxx)

こぬ人にみせもきかせはとひやせん月にさえたる庭の松かせ

こぬひとに−みせもきかせは−とひやせむ−つきにさえたる−にはのまつかせ


01755
未入力 俊成女 (xxx)

たつねても忘れぬ月の影そとふ蓬か庭の露のふかさの

たつねても−わすれぬつきの−かけそとふ−よもきかにはの−つゆのふかさの


01756
未入力 少将内侍 (xxx)

庭もせにやとりにけりなあさちふの露の上なる秋の月かけ

にはもせに−やとりにけりな−あさちふの−つゆのうへなる−あきのつきかけ


01757
未入力 弁内侍 (xxx)

我か門を行く人あらは月よよしこてふににたる庭の上かな

わかかとを−ゆくひとあらは−つきよよし−こてふににたる−にはのうへかな


01758
未入力 但馬 (xxx)

軒はもる月にねぬよそつもりぬるなれてくやしき物思へとて

のきはもる−つきにねぬよそ−つもりぬる−なれてくやしき−ものおもへとて


01759
未入力 下野 (xxx)

軒ふかき蓬をわくる秋風や月のひかりをさそひ入るらん

のきふかき−よもきをわくる−あきかせや−つきのひかりを−さそひいるらむ


01760
未入力 御製 (xxx)

旅人の友まとはしてよはふなり朝霧ふかきあしからの関

たひひとの−ともまとはして−よはふなり−あさきりふかき−あしからのせき


01761
未入力 道助 (xxx)

不破の関関守もなき夕まくれ霧はかりにそ立ちとまりぬる

ふはのせき−せきもりもなき−ゆふまくれ−きりはかりにそ−たちとまりぬる


01762
未入力 実氏 (xxx)

しひてやは猶過きゆかむ相坂の関のわらやの秋の夕きり

しひてやは−なほすきゆかむ−あふさかの−せきのわらやの−あきのゆふきり


01763
未入力 基家 (xxx)

あさ霧に宮こやいつここし方も行へもけふは白河の関

あさきりに−みやこやいつこ−こしかたも−ゆくへもけふは−しらかはのせき


01764
未入力 家良 (xxx)

かち人の関のゆききももりわひぬ相坂山のきりのまよひに

かちひとの−せきのゆききも−もりわひぬ−あふさかやまの−きりのまよひに


01765
未入力 基良 (xxx)

はれすのみ関ちへたつる夕霧にたかあふ坂の道まよふらん

はれすのみ−せきちへたつる−ゆふきりに−たかあふさかの−みちまよふらむ


01766
未入力 隆親 (xxx)

あけくれの空も一に霧こめてたれか衣の関をわくらん

あけくれの−そらもひとつに−きりこめて−たれかころもの−せきをわくらむ


01767
未入力 為家 (xxx)

鳥のねはいそく習の関のとにあくるをみせぬ秋の朝霧

とりのねは−いそくならひの−せきのとに−あくるをみせぬ−あきのあさきり


01768
未入力 公相 (xxx)

鳥のねはあけぬとつくる関のとに猶道たとるやまの朝霧

とりのねは−あけぬとつくる−せきのとに−なほみちたとる−やまのあさきり


01769
未入力 実雄 (xxx)

夕霧にえそ過きやらぬあつまちや関はかすみの名にたてれとも

ゆふきりに−えそすきやらぬ−あつまちや−せきはかすみの−なにたてれとも


01770
未入力 信覚 (xxx)

あさあけのをちかた人の跡もなし霧立渡る関の藤川

あさあけの−をちかたひとの−あともなし−きりたちわたる−せきのふちかは


01771
未入力 為経 (xxx)

旅人の相坂山は霧こめて行くも帰るもわかぬころかな

たひひとの−あふさかやまは−きりこめて−ゆくもかへるも−わかぬころかな


01772
未入力 忠定 (xxx)

行人にこの関とほせ秋の霧おのれはしはしあさたたすとも

ゆくひとに−このせきとほせ−あきのきり−おのれはしはし−あさたたすとも


01773
未入力 資季 (xxx)

けふも又夕霧たちぬ相坂の関のゆききの道見えぬまて

けふもまた−ゆふきりたちぬ−あふさかの−せきのゆききの−みちみえぬまて


01774
未入力 頼氏 (xxx)

すすか山あくる関戸も猶閉ちてきり間の道に行く人そなき

すすかやま−あくるせきとも−なほとちて−きりまのみちに−ゆくひとそなき


01775
未入力 有教 (xxx)

みちのくの衣の関をきてみれは立つ朝霧そはるる間もなき

みちのくの−ころものせきを−きてみれは−たつあさきりそ−はるるまもなき


01776
未入力 師継 (xxx)

おほつかなここやなこその関ならん霧の隔に行方もなし

おほつかな−ここやなこその−せきならむ−きりのへたてに−ゆくかたもなし


01777
未入力 定嗣 (xxx)

関こゆる道たつたつし足柄の山へをかくすあまつ霧かも

せきこゆる−みちたつたつし−あしからの−やまへをかくす−あまつきりかも


01778
未入力 成実 (xxx)

秋霧によもの山へはこめなからたちやとまらん相坂の関

あききりに−よものやまへは−こめなから−たちやとまらむ−あふさかのせき


01779
未入力 蓮性 (xxx)

関といふ名こそたかしの浦人はきりを分けても行きかよひつつ

せきといふ−なこそたかしの−うらひとは−きりをわけても−ゆきかよひつつ


01780
未入力 顕氏 (xxx)

霧ふかみ行ききの人もみえわかすいつこ相坂関の名もうし

きりふかみ−ゆききのひとも−みえわかす−いつこあふさか−せきのなもうし


01781
未入力 寂能 (xxx)

霧のうちは行くも帰るもしられねはおとをとかむる不破の関守

きりのうちは−ゆくもかへるも−しられねは−おとをとかむる−ふはのせきもり


01782
未入力 為氏 (xxx)

春は又霞の関とききしかと秋の霧さへ猶たちにけり

はるはまた−かすみのせきと−ききしかと−あきのきりさへ−なほたちにけり


01783
未入力 真観 (xxx)

夕露や立ちへたつらん岩かきのみつきの関は舟もととめす

ゆふつゆや−たちへたつらむ−いはかきの−みつきのせきは−ふねもととめす


01784
未入力 寂西 (xxx)

音羽山霧立渡る相坂のせきちまさしくみえぬ秋かな

おとはやま−きりたちわたる−あふさかの−せきちまさしく−みえぬあきかな


01785
未入力 為継 (xxx)

相坂を越えてや人の迷ふらん関のを川の秋のあさきり

あふさかを−こえてやひとの−まよふらむ−せきのをかはの−あきのあさきり


01786
未入力 経朝 (xxx)

関の戸をさすことしらぬ君か代に霧にやすらふ足柄の山

せきのとを−さすことしらぬ−きみかよに−きりにやすらふ−あしからのやま


01787
未入力 行家 (xxx)

霧ふかみえそ行きやらぬ清見かた関もる波のひまはあれとも

きりふかみ−えそゆきやらぬ−きよみかた−せきもるなみの−ひまはあれとも


01788
未入力 成茂 (xxx)

君か代に又相坂の道しあれはへたてし霧をよそにみるかな

きみかよに−またあふさかの−みちしあれは−へたてしきりを−よそにみるかな


01789
未入力 隆祐 (xxx)

こえきぬる日数もあるを秋霧の又へたてたる白河のせき

こえきぬる−ひかすもあるを−あききりの−またへたてたる−しらかはのせき


01790
未入力 禅信 (xxx)

こえかねてととめぬ人もとまりけり霧のまよひの足柄の関

こえかねて−ととめぬひとも−とまりけり−きりのまよひの−あしからのせき


01791
未入力 高倉 (xxx)

秋霧にたつ旅人を清見かたかさねてとむるなみの関守

あききりに−たつたひひとを−きよみかた−かさねてとむる−なみのせきもり


01792
未入力 按察 (xxx)

相坂や霧のまよひに関こえてしるもしらぬもえこそわかれね

あふさかや−きりのまよひに−せきこえて−しるもしらぬも−えこそわかれね


01793
未入力 帥 (xxx)

此比はさそへたつらん東路のなこその関の秋の夕きり

このころは−さそへたつらむ−あつまちの−なこそのせきの−あきのゆふきり


01794
未入力 小宰相 (xxx)

ふかき夜と人はやすらふ関の戸に霧立ちてけり足柄の山

ふかきよと−ひとはやすらふ−せきのとに−きりたちてけり−あしからのやま


01795
未入力 俊成女 (xxx)

立ちこむるせきちをまよふ夕霧に猶ふきこゆるすまの秋風

たちこむる−せきちをまよふ−ゆふきりに−なほふきこゆる−すまのあきかせ


01796
未入力 少将内侍 (xxx)

秋霧は夜をしこめてや立ちぬらんふはの関との明けやらぬより

あききりは−よをしこめてや−たちぬらむ−ふはのせきとの−あけやらぬより


01797
未入力 弁内侍 (xxx)

誰か又かさねてもきむ秋霧のたてともさむき衣手の関

たれかまた−かさねてもきむ−あききりの−たてともさむき−ころもてのせき


01798
未入力 但馬 (xxx)

清見かた関ちもみえす立つ霧に行ての波もいかかかそへむ

きよみかた−せきちもみえす−たつきりに−ゆくてのなみも−いかかかそへむ


01799
未入力 下野 (xxx)

明けぬとてゆるす関ちのかひもなし行さきとつる霧のふかさに

あけぬとて−ゆるすせきちの−かひもなし−ゆくさきとつる−きりのふかさに


01800
未入力 御製 (xxx)

よやさむきしつのをたまきくり返しいやしき閨に衣うつなり

よやさむき−しつのをたまき−くりかへし−いやしきねやに−ころもうつなり


01801
未入力 道助 (xxx)

里人の夢もまはらになりにけりいく夜かさねて衣うつらん

さとひとの−ゆめもまはらに−なりにけり−いくよかさねて−ころもうつらむ


01802
未入力 実氏 (xxx)

嵐吹く松の木陰にうつ衣いつれ身にしむ音となるらん

あらしふく−まつのこかけに−うつころも−いつれみにしむ−おととなるらむ


01803
未入力 基家 (xxx)

明かたのあまのと渡る月影にうき人さへやころもうつらん

あけかたの−あまのとわたる−つきかけに−うきひとさへや−ころもうつらむ


01804
未入力 家良 (xxx)

秋ふかく成りまさるとやむはたまの一夜もおちす衣うつらん

あきふかく−なりまさるとや−うはたまの−ひとよもおちす−ころもうつらむ


01805
未入力 基良 (xxx)

いつくかは身にさむからぬ秋の風誰か里わきて衣うつらん

いつくかは−みにさむからぬ−あきのかせ−たかさとわきて−ころもうつらむ


01806
未入力 隆親 (xxx)

誰かためにいそく心としらねともねぬめをさますつちの音かな

たかために−いそくこころと−しらねとも−ねぬめをさます−つちのおとかな


01807
未入力 為家 (xxx)

おきあかす霜夜をさむみ独ある人のならひと衣うつなり

おきあかす−しもよをさむみ−ひとりある−ひとのならひと−ころもうつなり


01808
未入力 公相 (xxx)

夜もすからひまこそなけれ蘆かきのまちかきやとに衣うつ音

よもすから−ひまこそなけれ−あしかきの−まちかきやとに−ころもうつおと


01809
未入力 実雄 (xxx)

よはにふくしつかふせやの秋風や身にさむからし衣うつなり

よはにふく−しつかふせやの−あきかせや−みにさむからし−ころもうつなり


01810
未入力 信覚 (xxx)

ささのいほ露もあらしの山のはにぬる夜もうとく衣うつなり

ささのいほ−つゆもあらしの−やまのはに−ぬるよもうとく−ころもうつなり


01811
未入力 為経 (xxx)

わきもこか秋さり衣いまよりの夜寒のとこの霜にうつなり

わきもこか−あきさりころも−いまよりの−よさむのとこの−しもにうつなり


01812
未入力 忠定 (xxx)

霜さむみ人もかれ行くあさちふにたのむこととは衣うつなり

しもさむみ−ひともかれゆく−あさちふに−たのむこととは−ころもうつなり


01813
未入力 資季 (xxx)

ひひきをはよその哀となしはててたれ身のために衣うつらん

ひひきをは−よそのあはれと−なしはてて−たれみのために−ころもうつらむ


01814
未入力 頼氏 (xxx)

雪を打つたか白妙の衣手にころもしられぬ秋風そ吹く

ゆきをうつ−たかしろたへの−ころもてに−ころもしられぬ−あきかせそふく


01815
未入力 有教 (xxx)

風さむきとをちの里のさよ衣打つ音たかくふきおくるなり

かせさむき−とをちのさとの−さよころも−うつおとたかく−ふきおくるなり


01816
未入力 師継 (xxx)

秋のよのきぬたの音のふくるまてあさのさ衣うちもたゆます

あきのよの−きぬたのおとの−ふくるまて−あさのさころも−うちもたゆます


01817
未入力 定嗣 (xxx)

きけは又今夜も千声万声やむ時もなくうつころもかな

きけはまた−こよひもちこゑ−よろつこゑ−やむときもなく−うつころもかな


01818
未入力 成実 (xxx)

山かつのあさのさ衣打ちわひてねぬことしるきよはそさひしき

やまかつの−あさのさころも−うちわひて−ねぬことしるき−よはそさひしき


01819
未入力 蓮性 (xxx)

しつのめはしはしたゆます我かためのよを長月と衣うつなり

しつのめは−しはしたゆます−わかための−よをなかつきと−ころもうつなり


01820
未入力 顕氏 (xxx)

音たててよそにもしるし山かつのおのれもいそくよはのさ衣

おとたてて−よそにもしるし−やまかつの−おのれもいそく−よはのさころも


01821
未入力 寂能 (xxx)

まとろまは旅ねの夢のいかならん衣うつ夜の故郷のそら

まとろまは−たひねのゆめの−いかならむ−ころもうつよの−ふるさとのそら


01822
未入力 為氏 (xxx)

よそにきく我かねさめたに長き夜をあかすやしつか衣うつらん

よそにきく−わかねさめたに−なかきよを−あかすやしつか−ころもうつらむ


01823
未入力 真観 (xxx)

大方もさひしと思ふ秋のよに心すこくもうつ衣かな

おほかたも−さひしとおもふ−あきのよに−こころすこくも−うつころもかな


01824
未入力 寂西 (xxx)

うちかへしうてはやよはのから衣さもうらめしき音の聞ゆる

うちかへし−うてはやよはの−からころも−さもうらめしき−おとのきこゆる


01825
未入力 為継 (xxx)

いまよりのねさめの空の秋風にいかにせよとか衣うつらん

いまよりの−ねさめのそらの−あきかせに−いかにせよとか−ころもうつらむ


01826
未入力 経朝 (xxx)

誰かためにあさのさ衣うちわひてねられぬよはをかさねきぬらん

たかために−あさのさころも−うちわひて−ねられぬよはを−かさねきぬらむ


01827
未入力 行家 (xxx)

山かつの袖の初霜よやさむきしてうち衣いまいそくなり

やまかつの−そてのはつしも−よやさむき−してうちころも−いまいそくなり


01828
未入力 成茂 (xxx)

霜さむきやや長月のよをかさねたれこひしらに衣うつらん

しもさむき−ややなかつきの−よをかさね−たれこひしらに−ころもうつらむ


01829
未入力 隆祐 (xxx)

秋風のあまり身にしむをりをりやよはの衣はうちまさるらん

あきかせの−あまりみにしむ−をりをりや−よはのころもは−うちまさるらむ


01830
未入力 禅信 (xxx)

誰かためも夜寒の衣うちとけてねられぬままの秋風そふく

たかためも−よさむのころも−うちとけて−ねられぬままの−あきかせそふく


01831
未入力 高倉 (xxx)

時しもあれ秋はあらしのさむけれは長き夜あかす衣うつなり

ときしもあれ−あきはあらしの−さむけれは−なかきよあかす−ころもうつなり


01832
未入力 按察 (xxx)

思ひねの夢ちも絶えてかなしきになとかよるしも衣うつらん

おもひねの−ゆめちもたえて−かなしきに−なとかよるしも−ころもうつらむ


01833
未入力 帥 (xxx)

風ならて身にしむこゑの聞ゆるはよはに衣をたれかうつらん

かせならて−みにしむこゑの−きこゆるは−よはにころもを−たれかうつらむ


01834
未入力 小宰相 (xxx)

きく人の身にしむ秋のつまそとも思ひも入れすうつころもかな

きくひとの−みにしむあきの−つまそとも−おもひもいれす−うつころもかな


01835
未入力 俊成女 (xxx)

あちきなしいそかぬよその枕まて夢ちとほさすうつ衣かな

あちきなし−いそかぬよその−まくらまて−ゆめちとほさす−うつころもかな


01836
未入力 少将内侍 (xxx)

きくからにいやはねらるるしきたへのあさのさ衣うたぬはかりそ

きくからに−いやはねらるる−しきたへの−あさのさころも−うたぬはかりそ


01837
未入力 弁内侍 (xxx)

よそなからねぬよの友としらせはや独や人の衣うつらん

よそなから−ねぬよのともと−しらせはや−ひとりやひとの−ころもうつらむ


01838
未入力 但馬 (xxx)

しらしかしあさのさ衣うつ音によその袂のぬるるものとは

しらしかし−あさのさころも−うつおとに−よそのたもとの−ぬるるものとは


01839
未入力 下野 (xxx)

里とほき野守のいほやそれならん尾花かすゑに衣うつなり

さととほき−のもりのいほや−それならむ−をはなかすゑに−ころもうつなり


01840
未入力 御製 (xxx)

いくめくりかきらぬとしをつむ菊の数さへみゆるけふのさか月

いくめくり−かきらぬとしを−つむきくの−かすさへみゆる−けふのさかつき


01841
未入力 道助 (xxx)

九重にうつろひそむる菊の花つらぬる袖とけふそみえつる

ここのへに−うつろひそむる−きくのはな−つらぬるそてと−けふそみえつる


01842
未入力 実氏 (xxx)

紫につらぬる袖やうつるらん雲のうへまてにほふ白菊

むらさきに−つらぬるそてや−うつるらむ−くものうへまて−にほふしらきく


01843
未入力 基家 (xxx)

かきおける詞の露も玉しきの九重にさへ庭のしら菊

かきおける−ことはのつゆも−たましきの−ここのへにさへ−にはのしらきく


01844
未入力 家良 (xxx)

九重に千代やかさねんをとめこか袖にまかへるしら菊の花

ここのへに−ちよやかさねむ−をとめこか−そてにまかへる−しらきくのはな


01845
未入力 基良 (xxx)

むらさきの袖をつらぬる雲の上にうつろふ菊のなさけそふらし

むらさきの−そてをつらぬる−くものうへに−うつろふきくの−なさけそふらし


01846
未入力 隆親 (xxx)

ももしきの大宮人のけふといへはかさしにさけるちよの白菊

ももしきの−おほみやひとの−けふといへは−かさしにさける−ちよのしらきく


01847
未入力 為家 (xxx)

もろ人のけふここのへに匂ふてふ菊にみかける露のことのは

もろひとの−けふここのへに−にほふてふ−きくにみかける−つゆのことのは


01848
未入力 公相 (xxx)

九重に千代をかさねてかさすかなけふをりえたる白菊の花

ここのへに−ちよをかさねて−かさすかな−けふをりえたる−しらきくのはな


01849
未入力 実雄 (xxx)

長月の菊の杯九重にいくめくりともあきはかきらし

なかつきの−きくのさかつき−ここのへに−いくめくりとも−あきはかきらし


01850
未入力 信覚 (xxx)

九重にやへさく菊はをとめこか袖ふるけふも千世はへぬへし

ここのへに−やへさくきくは−をとめこか−そてふるけふも−ちよはへぬへし


01851
未入力 為経 (xxx)

年ことにけふ九重の雲の上にかけさしめくる菊のさか月

としことに−けふここのへの−くものうへに−かけさしめくる−きくのさかつき


01852
未入力 忠定 (xxx)

唐国のことのはしけくひらくなりけふを待ちけるここのへの菊

からくにの−ことのはしけく−ひらくなり−けふをまちける−ここのへのきく


01853
未入力 資季 (xxx)

九重にかさねてにほへをとめこか立ちまふ袖にまかふしら菊

ここのへに−かさねてにほへ−をとめこか−たちまふそてに−まかふしらきく


01854
未入力 頼氏 (xxx)

山人はあとはいくよの跡ふりて秋を忘れぬきくのさか月

やまひとは−あとはいくよの−あとふりて−あきをわすれぬ−きくのさかつき


01855
未入力 有教 (xxx)

をりえたる菊の白露杯にくみてつきせぬ御世はみえけり

をりえたる−きくのしらつゆ−さかつきに−くみてつきせぬ−みよはみえけり


01856
未入力 師継 (xxx)

さか月のかけさしそへてみゆるかな雲の上なる白菊の花

さかつきの−かけさしそへて−みゆるかな−くものうへなる−しらきくのはな


01857
未入力 定嗣 (xxx)

さくりえて其一もしそあらはるるはこをひらけは菊のことのは

きくのはな−けふここのへに−かさしてそ−おいせぬほとの−いろもみすへき


01858
未入力 成実 (xxx)

杯にうつろふ菊のけふことにいくちよかみむ雲の上人

けふかさす−きくのしたつゆ−としをへて−ふちとなるへき−みよそひさしき


01859
未入力 蓮性 (xxx)

ももしきや秋のいくとせふりぬらんけふさく菊の露のことのは

なかつきや−けふをるきくの−はなのえに−よろつよちきる−くものうへひと


01860
未入力 顕氏 (xxx)

杯にうかへてみつる菊の花よはひのふへきしるしなるらし

けふことに−おほみやひとの−かさしそと−ここのへにさく−しらきくのはな


01861
未入力 寂能 (xxx)

あまつ星ひかりをかはす菊の花いく長月のけふはかささむ

めくりあふ−つきひもおなし−ここのへに−かさねてみゆる−ちよのしらきく


01862
未入力 為氏 (xxx)

九重に久しくめくれもろ人の老いせぬ秋の菊のさかつき

さかつきに−うかへるきくの−をりをえて−はなのなさけも−けふそしらるる


01863
未入力 真観 (xxx)

我か君のよを長月によるひをはけふ白菊の花にまかひぬ

けふといへは−おほみやひとの−ことのはに−ひかりをそふる−ちよのしらきく


01864
未入力 寂西 (xxx)

千代ふへき山ちの菊をかめにうゑていま長月の雲井にそかる

めくりあはむ−あきもかきらし−くものうへに−ちよさしそふる−きくのさかつき


01865
未入力 為継 (xxx)

菊の花けふ九重にかさしてそ老いせぬほとの色もみすへき

をとめこか−たちまふそても−にほふらむ−けふここのへの−しらきくのはな


01866
未入力 経朝 (xxx)

けふかさす菊の下露としをへてふちとなるへき御代そ久しき

さかつきの−ちよのひかりも−なかつきの−けふやむかしと−きくそうつろふ


01867
未入力 行家 (xxx)

長月やけふをる菊の花のえに万代ちきる雲の上人

をるひとの−おいせぬあきの−つゆのまに−ちとせをめくる−きくのさかつき


01868
未入力 成茂 (xxx)

けふことに大宮人のかさしそと九重にさくしら菊のはな

つらなれる−ほしのくらゐも−みゆるかな−あきのくもゐの−きくのかさしは


01869
未入力 隆祐 (xxx)

めくりあふ月日もおなし九重にかさねてみゆる千代の白菊

なかつきの−ここのかといふ−ときにこそ−きくををりはへ−かさすもろひと


01870
未入力 禅信 (xxx)

杯にうかへる菊のをりをえて花のなさけもけふそしらるる

もろひとの−なさけすすめて−つむきくの−くもゐにめくる−けふのさかつき


01871
未入力 高倉 (xxx)

けふといへは大宮人のことのはにひかりをそふる千代の白菊

おのれのみ−けふやにほはむ−くものうへを−はなもてかさる−あきのしらきく


01872
未入力 按察 (xxx)

めくりあはむ秋もかきらし雲の上に千代さしそふる菊の杯

たつたひめ−もみちのにしき−おりかけて−たむけしてけり−かみなひのもり


01873
未入力 帥 (xxx)

をとめこか立ちまふ袖もにほふらんけふ九重のしら菊の花

うつりゆく−ひかすもいくか−もみちはを−しはしととめよ−こからしのもり


01874
未入力 小宰相 (xxx)

さかつきの千代の光も長月のけふや昔ときくそうつろふ

いまよりの−しくれもつゆも−いかならむ−うつろひそめし−かみなひのもり


01875
未入力 俊成女 (xxx)

をる人の老いせぬ秋の露の間に千とせをめくる菊のさかつき

かみなひの−もりのわたりは−むらさめの−ふりにしひより−いろつきにけり


01876
未入力 少将内侍 (xxx)

つらなれる星の位もみゆるかな秋の雲井の菊のかさしは

むらしくれ−いくしほそめて−わたつうみの−なきさのもりの−もみちしぬらむ


01877
未入力 弁内侍 (xxx)

長月の九日といふ時にこそ菊ををりはへかさすもろ人

さくりえて−そのひともしそ−あらはるる−はこをひらけは−きくのことのは


01878
未入力 但馬 (xxx)

もろ人のなさけすすめてつむ菊の雲ゐにめくるけふの杯

さかつきに−うつろふきくの−けふことに−いくちよかみむ−くものうへひと


01879
未入力 下野 (xxx)

おのれのみけふやにほはむ雲の上を花もてかさる秋の白菊

ももしきや−あきのいくとせ−ふりぬらむ−けふさくきくの−つゆのことのは


01880
未入力 御製 (xxx)

竜田姫紅葉の錦おりかけてたむけしてけり神なひの杜

さかつきに−うかへてみつる−きくのはな−よはひのふへき−しるしなるらし


01881
未入力 道助 (xxx)

うつり行く日数もいくか紅葉はをしはしととめよ木からしの杜

あまつほし−ひかりをかはす−きくのはな−いくなかつきの−けふはかささむ


01882
未入力 実氏 (xxx)

いまよりの時雨も露もいかならんうつろひそめし神なひの杜

ここのへに−ひさしくめくれ−もろひとの−おいせぬあきの−きくのさかつき


01883
未入力 基家 (xxx)

神なひのもりのわたりは村雨のふりにし日より色つきにけり

わかきみの−よをなかつきに−よるひをは−けふしらきくの−はなにまかひぬ


01884
未入力 家良 (xxx)

村時雨いくしほそめてわたつ海のなきさの杜の紅葉しぬらん

ちよふへき−やまちのきくを−かめにうゑて−いまなかつきの−くもゐにそかる


01885
未入力 基良 (xxx)

いとはやも紅葉ちにけりな神なひの杜の時雨も染めあへぬ間に

いとはやも−もみちにけりな−かみなひの−もりのしくれも−そめあへぬまに


01886
未入力 隆親 (xxx)

この杜をわきて時雨や染めつらんさかり久しき木木の紅葉は

このもりを−わきてしくれや−そめつらむ−さかりひさしき−ききのもみちは


01887
未入力 為家 (xxx)

時雨行く紅葉の色もしたはれて帰りかてなる神なひの杜

しくれゆく−もみちのいろも−したはれて−かへりかてなる−かみなひのもり


01888
未入力 公相 (xxx)

神なひのいはせの杜の紅葉葉をいかに時雨のわきて染むらん

かみなひの−いはせのもりの−もみちはを−いかにしくれの−わきてそむらむ


01889
未入力 実雄 (xxx)

ふりにけるいはたの杜のいくとせか時雨れて秋の紅葉そむらん

ふりにける−いはたのもりの−いくとせか−しくれてあきの−もみちそむらむ


01890
未入力 信覚 (xxx)

露むすふふかき紅葉の色色にしのたの杜のちえの秋風

つゆむすふ−ふかきもみちの−いろいろに−しのたのもりの−ちえのあきかせ


01891
未入力 為経 (xxx)

秋にあへすまつ色かはる木の葉かな時雨もまたき神なひの杜

あきにあへす−まついろかはる−このはかな−しくれもまたき−かみなひのもり


01892
未入力 忠定 (xxx)

名にたてる老その杜の朽木松よそのもみちの色もたのます

なにたてる−おいそのもりの−くちきまつ−よそのもみちの−いろもたのます


01893
未入力 資季 (xxx)

神なひのもりの下露紅に木末の色をいかてそむらん

かみなひの−もりのしたつゆ−くれなゐに−こすゑのいろを−いかてそむらむ


01894
未入力 頼氏 (xxx)

松さむきときはの杜の夕時雨たまたまそむる秋の紅葉は

まつさむき−ときはのもりの−ゆふしくれ−たまたまそむる−あきのもみちは


01895
未入力 有教 (xxx)

うつり行くけしきの杜の下紅葉秋きにけりとみゆる色かな

うつりゆく−けしきのもりの−したもみち−あききにけりと−みゆるいろかな


01896
未入力 師継 (xxx)

とふ人の袖さへそてる津の国のいくたの杜の秋の紅葉は

とふひとの−そてさへそてる−つのくにの−いくたのもりの−あきのもみちは


01897
未入力 定嗣 (xxx)

あかねさす夕日かかやく影そへてもみちことなるかしは木の杜

あかねさす−ゆふひかかやく−かけそへて−もみちことなる−かしはきのもり


01898
未入力 成実 (xxx)

露時雨もりの木葉の紅に色そめつくすあきとみゆらん

つゆしくれ−もりのこのはの−くれなゐに−いろそめつくす−あきとみゆらむ


01899
未入力 蓮性 (xxx)

村時雨けさもゆききの雲の杜いくたひ秋の梢そむらん

むらしくれ−けさもゆききの−くものもり−いくたひあきの−こすゑそむらむ


01900
未入力 顕氏 (xxx)

おほあらきの浮田の杜のうす紅葉かつかつ露や色をそめけん

おほあらきの−うきたのもりの−うすもみち−かつかつつゆや−いろをそめけむ


01901
未入力 寂能 (xxx)

誰かための紅葉の錦立田姫きてもかへらぬころも手の杜

たかための−もみちのにしき−たつたひめ−きてもかへらぬ−ころもてのもり


01902
未入力 為氏 (xxx)

時雨もておるてふ秋の唐錦立ちかさねたる衣手のもり

しくれもて−おるてふあきの−からにしき−たちかさねたる−ころもてのもり


01903
未入力 真観 (xxx)

時雨の雨まなくしふるか名にしおふ木の葉の杜の色かはり行く

しくれのあめ−まなくしふるか−なにしおふ−このはのもりの−いろかはりゆく


01904
未入力 寂西 (xxx)

かしは木の杜の葉もりの立田姫ましける色の紅葉をそみる

かしはきの−もりのはもりの−たつたひめ−ましけるいろの−もみちをそみる


01905
未入力 為継 (xxx)

いくたひかいくたのもりの時雨るらん染めて色こき秋の紅葉葉

いくたひか−いくたのもりの−しくるらむ−そめていろこき−あきのもみちは


01906
未入力 経朝 (xxx)

名にしおはは忍の杜の紅葉はのいかて時雨の色に出つらん

なにしおはは−しのふのもりの−もみちはの−いかてしくれの−いろにいつらむ


01907
未入力 行家 (xxx)

深山なるしけりの杜の下紅葉いつくをもりてそむる時雨そ

みやまなる−しけりのもりの−したもみち−いつくをもりて−そむるしくれそ


01908
未入力 成茂 (xxx)

竜田姫わきて紅葉やたむくらんその名ことなる神なひの杜

たつたひめ−わきてもみちや−たむくらむ−そのなことなる−かみなひのもり


01909
未入力 隆祐 (xxx)

久方のたかまの杜の時雨れてや雲のはたての錦おるらん

ひさかたの−たかまのもりの−しくれてや−くものはたての−にしきおるらむ


01910
未入力 禅信 (xxx)

紅葉するいくたの杜のいくたひか時雨れて後に色かはるらん

もみちする−いくたのもりの−いくたひか−しくれてのちに−いろかはるらむ


01911
未入力 高倉 (xxx)

やよやまて今はかきりの秋の色はもみちにかきる木からしの杜

やよやまて−いまはかきりの−あきのいろは−もみちにかきる−こからしのもり


01912
未入力 按察 (xxx)

日をへつつ時雨るることに故郷のみかさの杜や色まさるらん

ひをへつつ−しくるることに−ふるさとの−みかさのもりや−いろまさるらむ


01913
未入力 帥 (xxx)

露霜の染めてけるかな山城のいはせの杜の秋の紅葉は

つゆしもの−そめてけるかな−やましろの−いはせのもりの−あきのもみちは


01914
未入力 小宰相 (xxx)

としつもる老その杜の紅葉とてむすひやそむる秋の初霜

としつもる−おいそのもりの−もみちとて−むすひやそむる−あきのはつしも


01915
未入力 俊成女 (xxx)

時雨行くいくたの杜の秋の色をとはてそよそにみるへかりける

しくれゆく−いくたのもりの−あきのいろを−とはてそよそに−みるへかりける


01916
未入力 少将内侍 (xxx)

かねてよりうつろふ色はしるかりき木葉しくるる神なひの杜

かねてより−うつろふいろは−しるかりき−このはしくるる−かみなひのもり


01917
未入力 弁内侍 (xxx)

時雨の雨さしもふれはやかすかなる三笠の杜は紅葉しぬらん

しくれのあめ−さしもふれはや−かすかなる−みかさのもりは−もみちしぬらむ


01918
未入力 但馬 (xxx)

晴れくもりしくるるたひに神なひの杜の木葉そぬれて色こき

はれくもり−しくるるたひに−かみなひの−もりのこのはそ−ぬれていろこき


01919
未入力 下野 (xxx)

この杜に神のしめなは引きかへてをる人もなき下紅葉かな

このもりに−かみのしめなは−ひきかへて−をるひともなき−したもみちかな


01920
未入力 御製 (xxx)

流れつる紅葉そとまる大井川ゐせきやもとのふるはなるらん

なかれつる−もみちそとまる−おほゐかは−ゐせきやもとの−ふるはなるらむ


01921
未入力 道助 (xxx)

紅に梢の色のうつるより秋のにしきをあらふ谷川

くれなゐに−こすゑのいろの−うつるより−あきのにしきを−あらふたにかは


01922
未入力 実氏 (xxx)

舟くたす岸の紅葉も大井川うつるかけさへ庭になかるる

ふねくたす−きしのもみちも−おほゐかは−うつるかけさへ−にはになかるる


01923
未入力 基氏 (xxx)

玉しまやこの河かりの柳かけうつる紅葉もせかぬ日そなき

たましまや−このかはかみの−やなきかけ−うつるもみちも−せかぬひそなき


01924
未入力 家良 (xxx)

いろふかきははその紅葉いかなれやさほの河原に風はやみなり

いろふかき−ははそのもみち−いかなれや−さほのかはらに−かせはやみなり


01925
未入力 基良 (xxx)

たつた川ちらぬ梢のうつるより波の下てる秋の紅葉は

たつたかは−ちらぬこすゑの−うつるより−なみのしたてる−あきのもみちは


01926
未入力 隆親 (xxx)

紅葉はの下てる色やうつるらん錦なかるるやまかはの水

もみちはの−したてるいろや−うつるらむ−にしきなかるる−やまかはのみつ


01927
未入力 為家 (xxx)

大井河昔のみゆきまちかほに今も紅葉の時雨れてそふる

おほゐかは−むかしのみゆき−まちかほに−いまももみちの−しくれてそふる


01928
未入力 公相 (xxx)

唐錦たつた河原に秋くれてもみちを渡すせせの岩なみ

からにしき−たつたかはらに−あきくれて−もみちをわたす−せせのいはなみ


01929
未入力 実雄 (xxx)

ちらぬ間もいさよふ波のたつ田かはうつる紅葉の影たにもなし

ちらぬまも−いさよふなみの−たつたかは−うつるもみちの−かけたにもなし


01930
未入力 信覚 (xxx)

たつた川紅葉の錦ちらぬ間は浪にをらるるかけそ残れる

たつたかは−もみちのにしき−ちらぬまは−なみにをらるる−かけそのこれる


01931
未入力 為経 (xxx)

行く水の淵瀬もわかすあすか川秋の紅葉の色にいてつつ

ゆくみつの−ふちせもわかす−あすかかは−あきのもみちの−いろにいてつつ


01932
未入力 忠定 (xxx)

うつりけるかけをやたのむあすか河ふちせも分かす行く紅葉かな

うつりける−かけをやたのむ−あすかかは−ふちせもわかす−ゆくもみちかな


01933
未入力 資季 (xxx)

たつた河わたれとたえぬから錦山の木葉そ影うつしける

たつたかは−わたれとたえぬ−からにしき−やまのこのはそ−かけうつしける


01934
未入力 頼氏 (xxx)

みなの川河のせみれはまたちらぬ峰の紅葉のちりて行く水

みなのかは−かはのせみれは−またちらぬ−みねのもみちの−ちりてゆくみつ


01935
未入力 有教 (xxx)

紅葉はのちりしく時は音羽河音にのみきく水のしら浪

もみちはの−ちりしくときは−おとはかは−おとにのみきく−みつのしらなみ


01936
未入力 師継 (xxx)

この比は錦の浪の立田川ちらぬ紅葉のかけそうつろふ

このころは−にしきのなみの−たつたかは−ちらぬもみちの−かけそうつろふ


01937
未入力 定嗣 (xxx)

いもかひも錦と秋はみゆるまて結ふ河内は紅葉しにけり

いもかひも−にしきとあきは−みゆるまて−むすふかふちは−もみちしにけり


01938
未入力 成実 (xxx)

やま姫の紅葉の露のそめ衣きて影うつす谷河の水

やまひめの−もみちのつゆの−そめころも−きてかけうつす−たにかはのみつ


01939
未入力 蓮性 (xxx)

いかたしのかさす紅葉の色にみよ此河上のあきのふかさは

いかたしの−かさすもみちの−いろにみよ−このかはかみの−あきのふかさは


01940
未入力 顕氏 (xxx)

山川にかたえさしおほふ紅葉はのうつれる色は波もさそはす

やまかはに−かたえさしおほふ−もみちはの−うつれるいろは−なみもさそはす


01941
未入力 寂能 (xxx)

山河のいはかき紅葉おのれのみしたてるはかりうつろひにけり

やまかはの−いはかきもみち−おのれのみ−したてるはかり−うつろひにけり


01942
未入力 為氏 (xxx)

立た川水のまにまにたつね見ん紅葉に秋のとまりありやと

たつたかは−みつのまにまに−たつねみむ−もみちにあきの−とまりありやと


01943
未入力 真観 (xxx)

巻向のあなし河かせよきてふけにほへる紅葉いまさかりなり

まきむくの−あなしかはかせ−よきてふけ−にほへるもみち−いまさかりなり


01944
未入力 寂西 (xxx)

河そひの浪のかけてや染めつらんいはもとかつら紅葉しにけり

かはそひの−なみのかけてや−そめつらむ−いはもとかつら−もみちしにけり


01945
未入力 為継 (xxx)

河かせのやや吹きそむる木のしたにちりかたちかき紅葉をそみる

かはかせの−ややふきそむる−このしたに−ちりかたちかき−もみちをそみる


01946
未入力 経朝 (xxx)

立田川河せをきよみ影みえてちらねと底にうつる紅葉は

たつたかは−かはせをきよみ−かけみえて−ちらねとそこに−うつるもみちは


01947
未入力 行家 (xxx)

なにか又色には出てし山川のいはかけ紅葉人もみなくに

なにかまた−いろにはいてし−やまかはの−いはかけもみち−ひともみなくに


01948
未入力 成茂 (xxx)

昨日とふり今日も時雨れて明日香川もみちも深く成りにけるかな

きのふとふり−けふもしくれて−あすかかは−もみちもふかく−なりにけるかな


01949
未入力 隆祐 (xxx)

いかにして行きてたをらん河こしの岩間にみゆる秋の紅葉は

いかにして−ゆきてたをらむ−かはこしの−いはまにみゆる−あきのもみちは


01950
未入力 禅信 (xxx)

竜田川うつる紅葉の唐錦をりなき水もあきそみえける

たつたかは−うつるもみちの−からにしき−をりなきみつも−あきそみえける


01951
未入力 高倉 (xxx)

竜田川梢をうつす水の秋は底に紅葉の色そみえける

たつたかは−こすゑをうつす−みつのあきは−そこにもみちの−いろそみえける


01952
未入力 按察 (xxx)

吹く風の音なし川の紅葉はは心つからやちりはしむらん

ふくかせの−おとなしかはの−もみちはは−こころつからや−ちりはしむらむ


01953
未入力 帥 (xxx)

たつた川うつる紅葉の影にこそちらぬ紅葉とみえ渡りけれ

たつたかは−うつるもみちの−かけにこそ−ちらぬもみちと−みえわたりけれ


01954
未入力 小宰相 (xxx)

たかねよりおちてなかるる山河にかつかつかはる風の白川

たかねより−おちてなかるる−やまかはに−かつかつかはる−かせのしらかは


01955
未入力 俊成女 (xxx)

たつた河わたれとたえぬ唐錦峰の紅葉の影をひたして

たつたかは−わたれとたえぬ−からにしき−みねのもみちの−かけをひたして


01956
未入力 少将内侍 (xxx)

打ちわたる程はいそかし佐保川のみきはのははそ紅葉しにけり

うちわたる−ほとはいそかし−さほかはの−みきはのははそ−もみちしにけり


01957
未入力 弁内侍 (xxx)

紅葉はのちるてふことのなきのみそたつたの河の底にみえける

もみちはの−ちるてふことの−なきのみそ−たつたのかはの−そこにみえける


01958
未入力 但馬 (xxx)

立田川ちらぬ紅葉のかけとめて流もやらぬ秋のくれなゐ

たつたかは−ちらぬもみちの−かけとめて−なかれもやらぬ−あきのくれなゐ


01959
未入力 下野 (xxx)

河水にちらぬかけみる紅葉ははいつか錦の中はたえけん

かはみつに−ちらぬかけみる−もみちはは−いつかにしきの−なかはたえけむ


01960
未入力 御製 (xxx)

をしみかねちちにそけふはなくさむる我か身一の秋の暮かは

をしみかね−ちちにそけふは−なくさむる−わかみひとつの−あきのくれかは


01961
未入力 道助 (xxx)

まくすはふ籬の霜もおきわかれとまらぬ秋をうらみかほなり

まくすはふ−まかきのしもも−おきわかれ−とまらぬあきを−うらみかほなり


01962
未入力 実氏 (xxx)

ゆくあきのなこりをけふに限るとも夕はあすの空もかはらし

ゆくあきの−なこりをけふに−かきるとも−ゆふへはあすの−そらもかはらし


01963
未入力 基家 (xxx)

なくさめのあすをのこさぬ別ちはいかはかりなる秋とかはしる

なくさめの−あすをのこさぬ−わかれちは−いかはかりなる−あきとかはしる


01964
未入力 家良 (xxx)

いかにせむ心をぬさとくたきても行へしらせぬ秋の別ち

いかにせむ−こころをぬさと−くたきても−ゆくへしらせぬ−あきのわかれち


01965
未入力 基良 (xxx)

いく秋かくれぬとはかり惜むらん霜ふりはつる身をはわすれて

いくあきか−くれぬとはかり−をしむらむ−しもふりはつる−みをはわすれて


01966
未入力 隆親 (xxx)

けふのみと秋の日数を惜めともかきらぬ御代の千千の行末

けふのみと−あきのひかすを−をしめとも−かきらぬみよの−ちちのゆくすゑ


01967
未入力 為家 (xxx)

限あるけふのなこりをしたふとてまたこりすまに秋に見えぬる

かきりある−けふのなこりを−したふとて−またこりすまに−あきにみえぬる


01968
未入力 公相 (xxx)

けふのみとくれ行く秋の空なれは心をさへそつくしはてぬる

けふのみと−くれゆくあきの−そらなれは−こころをさへそ−つくしはてぬる


01969
未入力 実雄 (xxx)

しはしたに猶立ちかへれまくす原うらかれて行く秋のわかれち

しはしたに−なほたちかへれ−まくすはら−うらかれてゆく−あきのわかれち


01970
未入力 信覚 (xxx)

滝河のはやせの浪はととむともせくかたもなき秋の暮かな

たきかはの−はやせのなみは−ととむとも−せくかたもなき−あきのくれかな


01971
未入力 為経 (xxx)

なか月は名のみなりけり春夏のおなし日数にくるる秋かな

なかつきは−なのみなりけり−はるなつの−おなしひかすに−くるるあきかな


01972
未入力 忠定 (xxx)

心あてにみねの嵐やおくるらん行方しらぬ秋のわかれち

こころあて−にみねのあらし−やおくるら−むゆくへしらぬ−あきのわかれち


01973
未入力 資季 (xxx)

まちとほに又こむとしをたのめともくれ行く秋のをしき今日かな

まちとほに−またこむとしを−たのめとも−くれゆくあきの−をしきけふかな


01974
未入力 頼氏 (xxx)

吹く風もこれより北や寒からし秋と冬とのさよの中山

ふくかせも−これよりきたや−さむからし−あきとふゆとの−さよのなかやま


01975
未入力 有教 (xxx)

かねてしる秋の別を今更にけふもくれぬとなにうらむらん

かねてしる−あきのわかれを−いまさらに−けふもくれぬと−なにうらむらむ


01976
未入力 師継 (xxx)

長き夜のふけ行くかねに限るなりたたかた時の秋のなこりは

なかきよの−ふけゆくかねに−かきるなり−たたかたときの−あきのなこりは


01977
未入力 定嗣 (xxx)

かきとむる詞の海のかひそなき紅葉の舟に秋もすくなり

かきとむる−ことはのうみの−かひそなき−もみちのふねに−あきもすくなり


01978
未入力 成実 (xxx)

をしめともかなはぬ物としりなからさてしもなけく秋の暮かな

をしめとも−かなはぬものと−しりなから−さてしもなけく−あきのくれかな


01979
未入力 蓮性 (xxx)

秋はいまくるるもをしきけふの日のさもあやにくにくもる空かな

あきはいま−くるるもをしき−けふのひの−さもあやにくに−くもるそらかな


01980
未入力 顕氏 (xxx)

したふともかひやなからんしはしたに立ちもとまらぬ秋の別ち

したふとも−かひやなからむ−しはしたに−たちもとまらぬ−あきのわかれち


01981
未入力 寂能 (xxx)

山かつのしつかてひきのいとせめてくるるはをしき長月の空

やまかつの−しつかてひきの−いとせめて−くるるはをしき−なかつきのそら


01982
未入力 為氏 (xxx)

されはとてとまる習のありかほに秋の名残を又をしむらん

されはとて−とまるならひの−ありかほに−あきのなこりを−またをしむらむ


01983
未入力 真観 (xxx)

何事か心に物のかなひけるそへにさこそは秋もいぬらめ

なにことか−こころにものの−かなひける−そへにさこそは−あきもいぬらめ


01984
未入力 寂西 (xxx)

けふし又とまりやはせむ秋といひてくれならひにし程の日数は

けふしまた−とまりやはせむ−あきといひて−くれならひにし−ほとのひかすは


01985
未入力 為継 (xxx)

今日の間と思ふにつけてくれやすき秋の別をえやはととめん

けふのまと−おもふにつけて−くれやすき−あきのわかれを−えやはととめむ


01986
未入力 経朝 (xxx)

秋はけふくれていなはの末の露初霜しろくあすやなかめん

あきはけふ−くれていなはの−すゑのつゆ−はつしもしろく−あすやなかめむ


01987
未入力 行家 (xxx)

とりとめぬ秋の日数の行きすきてけふや別のゆふ暮の空

とりとめぬ−あきのひかすの−ゆきすきて−けふやわかれの−ゆふくれのそら


01988
未入力 成茂 (xxx)

今日くるる習は有りとも君か代に千度もめくる秋の長月

けふくるる−ならひはありとも−きみかよに−ちたひもめくる−あきのなかつき


01989
未入力 隆祐 (xxx)

木からしのけふ吹きすくる音きけは人につけてそ秋は暮れぬる

こからしの−けふふきすくる−おときけは−ひとにつけてそ−あきはくれぬる


01990
未入力 禅信 (xxx)

大原や秋のなこりのをしほ山をしむもしらすけふそ暮れぬる

おほはらや−あきのなこりの−をしほやま−をしむもしらす−けふそくれぬる


01991
未入力 高倉 (xxx)

虫のねのよわるはかりを形見にて夕にかきる秋そかなしき

むしのねの−よわるはかりを−かたみにて−ゆふへにかきる−あきそかなしき


01992
未入力 按察 (xxx)

このくれのをしくもあるかな秋を猶あすともたのむ日数ならねは

このくれの−をしくもあるかな−あきをなほ−あすともたのむ−ひかすならねは


01993
未入力 帥 (xxx)

何とてか立ちもとまらん限ありてすき行く秋のけふの別は

なにとてか−たちもとまらむ−かきりありて−すきゆくあきの−けふのわかれは


01994
未入力 小宰相 (xxx)

けふはかりまさ木のつなをかけてたにとめてもみはや秋の別を

けふはかり−まさきのつなを−かけてたに−とめてもみはや−あきのわかれを


01995
未入力 俊成女 (xxx)

かれかれによわるも虫のねのみかはあるにもあらぬ身を秋のくれ

かれかれに−よわるもむしの−ねのみかは−あるにもあらぬ−みをあきのくれ


01996
未入力 少将内侍 (xxx)

花薄草の袂やきぬきぬの秋のわかれにしもはおくらん

はなすすき−くさのたもとや−きぬきぬの−あきのわかれに−しもはおくらむ


01997
未入力 弁内侍 (xxx)

名残をは夕の空にととめおきてあすとたになき秋の暮かな

なこりをは−ゆふへのそらに−ととめおきて−あすとたになき−あきのくれかな


01998
未入力 但馬 (xxx)

あすよりや冬の嵐にたちかへむけふを限の秋のゆふ風

あすよりや−ふゆのあらしに−たちかへむ−けふをかきりの−あきのゆふかせ


01999
未入力 下野 (xxx)

秋の色に心くたけぬをりはあらしけふか限とくるる空まて

あきのいろに−こころくたけぬ−をりはあらし−けふかかきりと−くるるそらまて



宝治百首:冬

02000
未入力 御製 (xxx)

冬きては衣ほすてふひまもなくしくるる空のあまのかこやま

ふゆきては−ころもほすてふ−ひまもなく−しくるるそらの−あまのかこやま


02001
未入力 道助 (xxx)

秋されはよもの草木をそめはてし時雨の末に冬はきにけり

あきされは−よものくさきを−そめはてし−しくれのすゑに−ふゆはきにけり


02002
未入力 実氏 (xxx)

竜田山時雨の雨のおる錦冬きたりとてとふ人もなし

たつたやま−しくれのあめの−おるにしき−ふゆきたりとて−とふひともなし


02003
未入力 基家 (xxx)

神無月時雨や冬のはつせ山峰行く雲はさためなけれと

かみなつき−しくれやふゆの−はつせやま−みねゆくくもは−さためなけれと


02004
未入力 家良 (xxx)

昨日みし空もかはらぬ神無月いましもいかに時雨そふらん

きのふみし−そらもかはらぬ−かみなつき−いましもいかに−しくれそふらむ


02005
未入力 基良 (xxx)

冬きてもふるにかひなき夕時雨身をしる袖はさそなかはらぬ

ふゆきても−ふるにかひなき−ゆふしくれ−みをしるそては−さそなかはらぬ


02006
未入力 隆親 (xxx)

長月の影もとまらぬあしたとてよもの山へのしくれそむらん

なかつきの−かけもとまらぬ−あしたとて−よものやまへの−しくれそむらむ


02007
未入力 為家 (xxx)

はれくもりいつしかかはる神無月時雨や冬の名にはふりけん

はれくもり−いつしかかはる−かみなつき−しくれやふゆの−なにはふりけむ


02008
未入力 公相 (xxx)

はれくもり時雨ふりおける片岡のならの葉そよき冬はきにけり

はれくもり−しくれふりおける−かたをかの−ならのはそよき−ふゆはきにけり


02009
未入力 実雄 (xxx)

山のはにしくるる雲をさきたててけさのあさけに冬はきにけり

やまのはに−しくるるくもを−さきたてて−けさのあさけに−ふゆはきにけり


02010
未入力 信覚 (xxx)

身にたくふたつをたまきの初時雨そめし昔の色をこひつつ

みにたくふ−たつをたまきの−はつしくれ−そめしむかしの−いろをこひつつ


02011
未入力 為経 (xxx)

さもこそは秋の名残のをしからめ空も時雨るる神無月かな

さもこそは−あきのなこりの−をしからめ−そらもしくるる−かみなつきかな


02012
未入力 忠定 (xxx)

冬くれは日影も山をめくるなり高根の雲の時雨れてやゆく

ふゆくれは−ひかけもやまを−めくるなり−たかねのくもの−しくれてやゆく


02013
未入力 資季 (xxx)

神無月はけしさまさる風ませに時雨るる雲は山めくるなり

かみなつき−はけしさまさる−かせませに−しくるるくもは−やまめくるなり


02014
未入力 頼氏 (xxx)

ふりそむる時雨も冬も里なれぬ深山のおくの夕くれの空

ふりそむる−しくれもふゆも−さとなれぬ−みやまのおくの−ゆふくれのそら


02015
未入力 有教 (xxx)

神無月しくるる雲を先たてて冬のけしきは空にみえけり

かみなつき−しくるるくもを−さきたてて−ふゆのけしきは−そらにみえけり


02016
未入力 師継 (xxx)

秋すきて冬はきにけり久方の空かきくもり時雨ふりつつ

あきすきて−ふゆはきにけり−ひさかたの−そらかきくもり−しくれふりつつ


02017
未入力 定嗣 (xxx)

まなくもか時雨ふるらし千早振神無月てふ空のしるしに

まなくもか−しくれふるらし−ちはやふる−かみなつきてふ−そらのしるしに


02018
未入力 成実 (xxx)

冬きぬとわくへき色はみえねともしくれそめぬる神無月かな

ふゆきぬと−わくへきいろは−みえねとも−しくれそめぬる−かみなつきかな


02019
未入力 蓮性 (xxx)

秋をこそ露おく袖とかこてれは時雨はまさる神無月かな

あきをこそ−つゆおくそてと−かこてれは−しくれはまさる−かみなつきかな


02020
未入力 顕氏 (xxx)

かみな月時雨を冬のしるしにていつしか空のかきくもるらん

かみなつき−しくれをふゆの−しるしにて−いつしかそらの−かきくもるらむ


02021
未入力 寂能 (xxx)

はつしくれふりさけきけはならのはの名におふ都風そきたれる

はつしくれ−ふりさけきけは−ならのはの−なにおふみやこ−かせそきたれる


02022
未入力 為氏 (xxx)

神無月時雨とともにさそはすはなににか冬の空をわかまし

かみなつき−しくれとともに−さそはすは−なににかふゆの−そらをわかまし


02023
未入力 真観 (xxx)

いかて我袖もほさまししくれつつけしき空なる冬はきにけり

いかてわれ−そてもほさまし−しくれつつ−けしきそらなる−ふゆはきにけり


02024
未入力 寂西 (xxx)

日数今ふるとはいはし朝時雨松一むらに冬そきにける

ひかすいま−ふるとはいはし−あさしくれ−まつひとむらに−ふゆそきにける


02025
未入力 為継 (xxx)

冬の来てかならすけふの初時雨思ひあへける神無月かな

ふゆのきて−かならすけふの−はつしくれ−おもひあへける−かみなつきかな


02026
未入力 経朝 (xxx)

初しくれそめぬ緑とみし程にときはの松に冬そきにける

はつしくれ−そめぬみとりと−みしほとに−ときはのまつに−ふゆそきにける


02027
未入力 行家 (xxx)

今朝はまつ時雨れておくる村雲の気色もしるき冬はきにける

けさはまつ−しくれておくる−むらくもの−けしきもしるき−ふゆはきにける


02028
未入力 成茂 (xxx)

まきのやのねさめにすくる時雨にそ冬のはしめはおとろかれぬる

まきのやの−ねさめにすくる−しくれにそ−ふゆのはしめは−おとろかれぬる


02029
未入力 隆祐 (xxx)

長月も時雨なれにし空なれは日数そ冬のはしめなりける

なかつきも−しくれなれにし−そらなれは−ひかすそふゆの−はしめなりける


02030
未入力 禅信 (xxx)

冬きぬとさゆるけしきそかはりける秋よりなれし時雨なれとも

ふゆきぬと−さゆるけしきそ−かはりける−あきよりなれし−しくれなれとも


02031
未入力 高倉 (xxx)

里わかす冬は来にけり神無月むらむらすくる時雨なれとも

さとわかす−ふゆはきにけり−かみなつき−むらむらすくる−しくれなれとも


02032
未入力 按察 (xxx)

さらすとて袖やはかわく神無月なにと時雨のふりそはるらん

さらすとて−そてやはかわく−かみなつき−なにとしくれの−ふりそはるらむ


02033
未入力 帥 (xxx)

秋はてて冬やきぬらむさほ山の木すゑさひしく時雨ふるなり

あきはてて−ふゆやきぬらむ−さほやまの−こすゑさひしく−しくれふるなり


02034
未入力 小宰相 (xxx)

さらに又おのれ時雨れてつけすとも人やはしらぬ冬のくるとは

さらにまた−おのれしくれて−つけすとも−ひとやはしらぬ−ふゆのくるとは


02035
未入力 俊成女 (xxx)

まきのやに夜半の時雨のおとつれてねさめに冬とつけて過きぬる

まきのやに−よはのしくれの−おとつれて−ねさめにふゆと−つけてすきぬる


02036
未入力 少将内侍 (xxx)

しくるれとかはらぬ色をしるしにて三わの杉村冬はきにけり

しくるれと−かはらぬいろを−しるしにて−みわのすきむら−ふゆはきにけり


02037
未入力 弁内侍 (xxx)

しくれ行く峰の嵐のはけしさを聞きおとろけは冬はきにけり

しくれゆく−みねのあらしの−はけしさを−ききおとろけは−ふゆはきにけり


02038
未入力 但馬 (xxx)

雲間なき時雨そ冬としらせけるまた露ほさぬ秋の袂に

くもまなき−しくれそふゆと−しらせける−またつゆほさぬ−あきのたもとに


02039
未入力 下野 (xxx)

けさまては秋の時雨のけしきにてかはりもやらぬ冬の空かな

けさまては−あきのしくれの−けしきにて−かはりもやらぬ−ふゆのそらかな


02040
未入力 御製 (xxx)

葦曳の山の木葉も散りはててあらはに冬のけしきなるかな

あしひきの−やまのこのはも−ちりはてて−あらはにふゆの−けしきなるかな


02041
未入力 道助 (xxx)

神無月たかふみわけし跡もなし風のしたなる庭の紅葉葉

かみなつき−たかふみわけし−あともなし−かせのしたなる−にはのもみちは


02042
未入力 実氏 (xxx)

いつまてかふるをもよそに思ひけん時雨に成りぬ峰の紅葉葉

いつまてか−ふるをもよそに−おもひけむ−しくれになりぬ−みねのもみちは


02043
未入力 基家 (xxx)

み山よりおちくる水の遠けれはさそひのこさぬよもの紅葉葉

みやまより−おちくるみつの−とほけれは−さそひのこさぬ−よものもみちは


02044
未入力 家良 (xxx)

吹く風もたかためとてか紅葉はのむくらのやとに錦おるらん

ふくかせも−たかためとてか−もみちはの−むくらのやとに−にしきおるらむ


02045
未入力 基良 (xxx)

ふりはつる庭の紅葉はおのれのみ残るや形見秋の色とて

ふりはつる−にはのもみちは−おのれのみ−のこるやかたみ−あきのいろとて


02046
未入力 隆親 (xxx)

氷せぬころも岩間はせかれけりもみちはよとむ山川の水

こほりせぬ−ころもいはまは−せかれけり−もみちはよとむ−やまかはのみつ


02047
未入力 為家 (xxx)

うちつけにさもふりまさる木葉かな跡みすなとて秋や行きけん

うちつけに−さもふりまさる−このはかな−あとみすなとて−あきやゆきけむ


02048
未入力 公相 (xxx)

夜をかさね峰のこからしおとつれていくへに成りぬ庭の紅葉は

よをかさね−みねのこからし−おとつれて−いくへになりぬ−にはのもみちは


02049
未入力 実雄 (xxx)

冬きてはさゆる嵐の山かせにつきて木のはのふらぬ日はなし

ふゆきては−さゆるあらしの−やまかせに−つきてこのはの−ふらぬひはなし


02050
未入力 信覚 (xxx)

うつり行く秋の梢のかたみとて朝霜そむる庭のもみちは

うつりゆく−あきのこすゑの−かたみとて−あさしもそむる−にはのもみちは


02051
未入力 為経 (xxx)

たまさかに時雨れぬひまのこすゑにも散りかひくもる峰の紅葉は

たまさかに−しくれぬひまの−こすゑにも−ちりかひくもる−みねのもみちは


02052
未入力 忠定 (xxx)

枯れはつる落葉かうへの夕時雨染めし名残の色やわすれぬ

かれはつる−おちはかうへの−ゆふしくれ−そめしなこりの−いろやわすれぬ


02053
未入力 資季 (xxx)

今よりのおのれともろきもみちはは嵐の間にも絶えす散りつつ

いまよりの−おのれともろき−もみちはは−あらしのまにも−たえすちりつつ


02054
未入力 頼氏 (xxx)

神無月つれなき松の山風によもの木のはのはてはみえけり

かみなつき−つれなきまつの−やまかせに−よものこのはの−はてはみえけり


02055
未入力 有教 (xxx)

もみちはやまことふりぬる神なひのみむろの山はあらしふくなり

もみちはや−まことふりぬる−かみなひの−みむろのやまは−あらしふくなり


02056
未入力 師継 (xxx)

もみちはのつもりはてぬる我かやとの庭こそ秋のかたみなりけれ

もみちはの−つもりはてぬる−わかやとの−にはこそあきの−かたみなりけれ


02057
未入力 定嗣 (xxx)

木本はふりはてぬるとみる程に嵐にめくるよその紅葉は

このもとは−ふりはてぬると−みるほとに−あらしにめくる−よそのもみちは


02058
未入力 成実 (xxx)

まきもくのひはらの嵐吹きすきて残る色なく散る木のはかな

まきもくの−ひはらのあらし−ふきすきて−のこるいろなく−ちるこのはかな


02059
未入力 蓮性 (xxx)

秋はいぬ風ははけしく声たてていやしきしきにふるこの葉かな

あきはいぬ−かせははけしく−こゑたてて−いやしきしきに−ふるこのはかな


02060
未入力 顕氏 (xxx)

散りちらすさそふ嵐はわかねとも松より外のいろはのこらし

ちりちらす−さそふあらしは−わかねとも−まつよりほかの−いろはのこらし


02061
未入力 寂能 (xxx)

あかて行く秋のかたみの影もなし木のはにしつむ山の井の水

あかてゆく−あきのかたみの−かけもなし−このはにしつむ−やまのゐのみつ


02062
未入力 為氏 (xxx)

むらしくれさそふ嵐にさすらひて冬は木のはそふりまさりける

むらしくれ−さそふあらしに−さすらひて−ふゆはこのはそ−ふりまさりける


02063
未入力 真観 (xxx)

ちりかかるもみちは山のなみたそとみれはそ人の袖もぬるらん

ちりかかる−もみちはやまの−なみたそと−みれはそひとの−そてもぬるらむ


02064
未入力 寂西 (xxx)

しはしとや風のなさけにのこすらんこのした紅葉つもるはかりを

しはしとや−かせのなさけに−のこすらむ−このしたもみち−つもるはかりを


02065
未入力 為継 (xxx)

もみちはのおつとはみれとおとは猶時雨にのみそふりまかひける

もみちはの−おつとはみれと−おとはなほ−しくれにのみそ−ふりまかひける


02066
未入力 経朝 (xxx)

こすゑには木葉残らす成りにけり庭の嵐のこゑをきくかな

こすゑには−このはのこらす−なりにけり−にはのあらしの−こゑをきくかな


02067
未入力 行家 (xxx)

別れにし秋のかたみのからにしきたちたにのこせ山のこからし

わかれにし−あきのかたみの−からにしき−たちたにのこせ−やまのこからし


02068
未入力 成茂 (xxx)

時雨かと思ひてきけは神無月あらしにおつるこのはなりけり

しくれかと−おもひてきけは−かみなつき−あらしにおつる−このはなりけり


02069
未入力 隆祐 (xxx)

霜結ふ我かもとゆひの神無月この葉もしかとふりまさるなり

しもむすふ−わかもとゆひの−かみなつき−このはもしかと−ふりまさるなり


02070
未入力 禅信 (xxx)

山風のよそのもみちを吹きためて松のしたさへ道はまかひぬ

やまかせの−よそのもみちを−ふきためて−まつのしたさへ−みちはまかひぬ


02071
未入力 高倉 (xxx)

吹きとむる庭のもみちは残りけり嵐そたえぬ秋のかたみは

ふきとむる−にはのもみちは−のこりけり−あらしそたえぬ−あきのかたみは


02072
未入力 按察 (xxx)

風のおとも冬は物うき習とやおつるこのはになみたそふらん

かせのおとも−ふゆはものうき−ならひとや−おつるこのはに−なみたそふらむ


02073
未入力 帥 (xxx)

かたみとて秋のとめたる紅葉葉をうたてもさそふ山おろしかな

かたみとて−あきのとめたる−もみちはを−うたてもさそふ−やまおろしかな


02074
未入力 小宰相 (xxx)

花ゆゑはまれなる人もまちなれてもみちふりしく比そさひしき

はなゆゑは−まれなるひとも−まちなれて−もみちふりしく−ころそさひしき


02075
未入力 俊成女 (xxx)

さらにまたはらひたにせよふりかくすもみちを庭のこからしの風

さらにまた−はらひたにせよ−ふりかくす−もみちをにはの−こからしのかせ


02076
未入力 少将内侍 (xxx)

みわたせはこすゑまはらに冬のきて庭のちしほとちる紅葉かな

みわたせは−こすゑまはらに−ふゆのきて−にはのちしほと−ちるもみちかな


02077
未入力 弁内侍 (xxx)

ととめあへすむへも散りけり山風にしかもあたなる峰の紅葉は

ととめあへす−うへもちりけり−やまかせに−しかもあたなる−みねのもみちは


02078
未入力 但馬 (xxx)

こすゑよりおちて色こきもみちはは冬の物とや霜のおくらん

こすゑより−おちていろこき−もみちはは−ふゆのものとや−しものおくらむ


02079
未入力 下野 (xxx)

みるままにふもとをうつむ紅葉葉はいかに嵐の山にふくらん

みるままに−ふもとをうつむ−もみちはは−いかにあらしの−やまにふくらむ


02080
未入力 御製 (xxx)

かきねなる草も人めも霜かれぬ秋のとなりやとほさかるらん

かきねなる−くさもひとめも−しもかれぬ−あきのとなりや−とほさかるらむ


02081
未入力 道助 (xxx)

霜かれのを花か本のおもひ草結ひかへてしあとものこらす

しもかれの−をはなかもとの−おもひくさ−むすひかへてし−あとものこらす


02082
未入力 実氏 (xxx)

わけわひし軒の下草かれはててさやく霜夜の風そ身にしむ

わけわひし−のきのしたくさ−かれはてて−さやくしもよの−かせそみにしむ


02083
未入力 基家 (xxx)

秋の色はかりにもみえしあしひきの山のかけのの霜の下草

あきのいろは−かりにもみえし−あしひきの−やまのかけのの−しものしたくさ


02084
未入力 家良 (xxx)

うつらふすをののかやふは霜かれてをれはかたより風さやくなり

うつらふす−をののかやふは−しもかれて−をれはかたより−かせさやくなり


02085
未入力 基良 (xxx)

なにゆゑか人もすさめむおきな草身はくちはつる野への霜枯

なにゆゑか−ひともすさへむ−おきなくさ−みはくちはつる−のへのしもかれ


02086
未入力 隆親 (xxx)

吹く風もあたになすきそおのつから霜かれ残る庭のあさちふ

ふくかせも−あたになすきそ−おのつから−しもかれのこる−にはのあさちふ


02087
未入力 為家 (xxx)

しはしこそもえての春も頼みけめよにかれまさる霜の下草

しはしこそ−もえてのはるも−たのみけめ−よにかれまさる−しものしたくさ


02088
未入力 公相 (xxx)

色色に秋のさかりはみしものをそれともわかぬ野への霜かれ

いろいろに−あきのさかりは−みしものを−それともわかぬ−のへのしもかれ


02089
未入力 実雄 (xxx)

武蔵野ののへはみなから霜かれてあはれ草葉の行へしらすも

むさしのの−のへはみなから−しもかれて−あはれくさはの−ゆくへしらすも


02090
未入力 信覚 (xxx)

しほたるるあまのとまやも風さえて枯葉も寒し伊勢の浜荻

しほたるる−あまのとまやも−かせさえて−かれはもさむし−いせのはまをき


02091
未入力 為経 (xxx)

今は又ひとつ色にそ成りにける秋見し草の霜かれのころ

いまはまた−ひとついろにそ−なりにける−あきみしくさの−しもかれのころ


02092
未入力 忠定 (xxx)

しはしこそすゑこす風も恨みしかうつもれはつる霜の下荻

しはしこそ−すゑこすかせも−うらみしか−うつもれはつる−しものしたをき


02093
未入力 資季 (xxx)

おのつから葉わけの霜やもりつらん名のみときはの杜の下草

おのつから−はわけのしもや−もりつらむ−なのみときはの−もりのしたくさ


02094
未入力 頼氏 (xxx)

冬かれの草もまはらに成るままにあさけの霜やおきよわるらん

ふゆかれの−くさもまはらに−なるままに−あさけのしもや−おきよわるらむ


02095
未入力 有教 (xxx)

初霜のふるのの浅茅うらかれて秋のけしきそとほさかり行く

はつしもの−ふるののあさち−うらかれて−あきのけしきそ−とほさかりゆく


02096
未入力 師継 (xxx)

けさみれは草葉もしろく霜おきて野へのけしきはうら枯れにけり

けさみれは−くさはもしろく−しもおきて−のへのけしきは−うらかれにけり


02097
未入力 定嗣 (xxx)

色色にみしこともなく霜おけはひとつにかるる野への冬草

いろいろに−みしこともなく−しもおけは−ひとつにかるる−のへのふゆくさ


02098
未入力 成実 (xxx)

冬草の葉すゑをよわみおく霜のおのれかれのの跡そさひしき

ふゆくさの−はすゑをよわみ−おくしもの−おのれかれのの−あとそさひしき


02099
未入力 蓮性 (xxx)

冬きても人めはしけき道のへに草葉そはやく霜かれにける

ふゆきても−ひとめはしけき−みちのへに−くさはそはやく−しもかれにける


02100
未入力 顕氏 (xxx)

おのつから枯れても残る冬草の跡たにみせすうつむ朝しも

おのつから−かれてものこる−ふゆくさの−あとたにみせす−うつむあさしも


02101
未入力 寂能 (xxx)

草枯の門田の原のいなくきにさらてもたてる霜はしらかな

くさかれの−かとたのはらの−いなくきに−さらてもたてる−しもはしらかな


02102
未入力 為氏 (xxx)

武蔵野や千種にみえし秋の色のひとつにかはる冬はきにけり

むさしのや−ちくさにみえし−あきのいろの−ひとつにかはる−ふゆはきにけり


02103
未入力 真観 (xxx)

霜枯のかきほの荻のおとつれは秋よりもけにきこえけるかな

しもかれの−かきほのをきの−おとつれは−あきよりもけに−きこえけるかな


02104
未入力 寂西 (xxx)

霜枯の草葉も物やおもひいての秋のさかりをすくしきにけん

しもかれの−くさはもものや−おもひいての−あきのさかりを−すくしきにけむ


02105
未入力 為継 (xxx)

冬枯にはや成りにけりひさきおふるをのの浅茅に霜やおくらん

ふゆかれに−はやなりにけり−ひさきおふる−をののあさちに−しもやおくらむ


02106
未入力 経朝 (xxx)

春はみな千草残らぬ冬枯の霜にさひしき野へのかやはら

はるはみな−ちくさのこらぬ−ふゆかれの−しもにさひしき−のへのかやはら


02107
未入力 行家 (xxx)

さもこそは霜のふりはのしをるともねさへかれめや野への冬草

さもこそは−しものふりはの−しをるとも−ねさへかれめや−のへのふゆくさ


02108
未入力 成茂 (xxx)

草の原たれにとはまし人めたにみな霜枯の秋の名残を

くさのはら−たれにとはまし−ひとめたに−みなしもかれの−あきのなこりを


02109
未入力 隆祐 (xxx)

野へみれはまはらにたてる花すすきこほらぬ袖もさむけかるらん

のへみれは−まはらにたてる−はなすすき−こほらぬそても−さむけかるらむ


02110
未入力 禅信 (xxx)

さきましる野辺の千草の色色もおなしすかたに霜枯れにけり

さきましる−のへのちくさの−いろいろも−おなしすかたに−しもかれにけり


02111
未入力 高倉 (xxx)

たつぬへき秋の名残の露きえて霜おきまよふ野への道しは

たつぬへき−あきのなこりの−つゆきえて−しもおきまよふ−のへのみちしは


02112
未入力 按察 (xxx)

今こそは霜のふり葉とみゆれともねさへ枯れめやのへの冬草

いまこそは−しものふりはと−みゆれとも−ねさへかれめや−のへのふゆくさ


02113
未入力 禅信 (xxx)

露おきし千草も今は霜かれて野辺こそあまりさひしかりけれ

つゆおきし−ちくさもいまは−しもかれて−のへこそあまり−さひしかりけれ


02114
未入力 小宰相 (xxx)

いつれそと草のゆかりもとひわかぬしもかれはつるむさしののはら

いつれそと−くさのゆかりも−とひわかぬ−しもかれはつる−むさしののはら


02115
未入力 俊成女 (xxx)

染めかへす秋のまかきの露の上と見しにもあらぬ霜の下草

そめかへす−あきのまかきの−つゆのうへと−みしにもあらぬ−しものしたくさ


02116
未入力 少将内侍 (xxx)

冬されは夕かけ草の枯れそめて人めもおなし時そまれなる

ふゆされは−ゆふかけくさの−かれそめて−ひとめもおなし−ときそまれなる


02117
未入力 弁内侍 (xxx)

かれゆけと外に人めは残るらん猶さひしきはやとの冬草

かれゆけと−ほかにひとめは−のこるらむ−なほさひしきは−やとのふゆくさ


02118
未入力 但馬 (xxx)

花すすきそれともみえすしもかれて残るもつらし秋のかたみは

はなすすき−それともみえす−しもかれて−のこるもつらし−あきのかたみは


02119
未入力 下野 (xxx)

とちはてしむくらの門の冬枯にさしても誰と待つ人はなし

とちはてし−むくらのかとの−ふゆかれに−さしてもたれと−まつひとはなし


02120
未入力 御製 (xxx)

このねぬる朝風さむしむへしこそはたれにつもれ夜はの白雪

このねぬる−あさかせさむし−うへしこそ−はたれにつもれ−よはのしらゆき


02121
未入力 道助 (xxx)

夜もすからふれとたまらぬ跡みえてまかきもかろし今朝の白雪

よもすから−ふれとたまらぬ−あとみえて−まかきもかろし−けさのしらゆき


02122
未入力 実氏 (xxx)

岩の上の苔の衣もうつもれすたたひとへなるけさの白雪

いはのうへの−こけのころもも−うつもれす−たたひとへなる−けさのしらゆき


02123
未入力 基家 (xxx)

ふる程そしはしも雪に笠取の山行く駒はみちもまよはす

ふるほとそ−しはしもゆきに−かさとりの−やまゆくこまは−みちもまよはす


02124
未入力 家良 (xxx)

旅人の道の行てはかつきえて草のははかりかかるしら雪

たひひとの−みちのゆくては−かつきえて−くさのははかり−かかるしらゆき


02125
未入力 基良 (xxx)

あさまたき庭のはたらにふる雪のつもらぬさきに人の問へかし

あさまたき−にはのはたらに−ふるゆきの−つもらぬさきに−ひとのとへかし


02126
未入力 隆親 (xxx)

庭の面に残る木葉の色をたにうつみもはてぬけさの白雪

にはのおもに−のこるこのはの−いろをたに−うつみもはてぬ−けさのしらゆき


02127
未入力 為家 (xxx)

ふれとまたつめもかくれぬさをしかの朝立つをのの冬のしら雪

ふれとまた−つめもかくれぬ−さをしかの−あさたつをのの−ふゆのしらゆき


02128
未入力 公相 (xxx)

跡つけん人なとかめそ山さとのあさけの雪はまたひとへなり

あとつけむ−ひとなとかめそ−やまさとの−あさけのゆきは−またひとへなり


02129
未入力 実雄 (xxx)

夜はにおく霜にいくらもまさらねとふるとはみゆる今朝の初雪

よはにおく−しもにいくらも−まさらねと−ふるとはみゆる−けさのはつゆき


02130
未入力 信覚 (xxx)

おほはらやけさより雪のふるさとにつもらぬさきを問ふ人もかな

おほはらや−けさよりゆきの−ふるさとに−つもらぬさきを−とふひともかな


02131
未入力 為経 (xxx)

さえあかすささやのいほのかりひさしたたひとへなるよはの白雪

さえあかす−ささやのいほの−かりひさし−たたひとへなる−よはのしらゆき


02132
未入力 忠定 (xxx)

白妙のいさこに色をかさねても猶ひとへなるにはのしら雪

しろたへの−いさこにいろを−かさねても−なほひとへなる−にはのしらゆき


02133
未入力 資季 (xxx)

けさまても雲の名残にちりこすは霜とやみましよはの初雪

けさまても−くものなこりに−ちりこすは−しもとやみまし−よはのはつゆき


02134
未入力 頼氏 (xxx)

やたののやたまれはかてに下きえて時雨にましる冬のあは雪

やたののや−たまれはかてに−したきえて−しくれにましる−ふゆのあはゆき


02135
未入力 有教 (xxx)

菊の花残れる色そうつり行くうつむはかりの雪ならねとも

きくのはな−のこれるいろそ−うつりゆく−うつむはかりの−ゆきならねとも


02136
未入力 師継 (xxx)

おきあかす霜とやみえむ浅茅原うつみもはてぬけさの初雪

おきあかす−しもとやみえむ−あさちはら−うつみもはてぬ−けさのはつゆき


02137
未入力 定嗣 (xxx)

白妙にふりしく雪のうすひ山夕こえくれはしかも道あり

しろたへに−ふりしくゆきの−うすひやま−ゆふこえくれは−しかもみちあり


02138
未入力 成実 (xxx)

ふかからぬをののと山の初雪に都へいそきいつるさと人

ふかからぬ−をののとやまの−はつゆきに−みやこへいそき−いつるさとひと


02139
未入力 蓮性 (xxx)

さはた川水の心もあらはれて袖つくはかりふれる白ゆき

さはたかは−みつのこころも−あらはれて−そてつくはかり−ふれるしらゆき


02140
未入力 顕氏 (xxx)

ふりすさむ外山の雪の朝ほらけまたふかからぬ道はまよはし

ふりすさふ−とやまのゆきの−あさほらけ−またふかからぬ−みちはまよはし


02141
未入力 寂能 (xxx)

いつよりか跡絶えはてむ山里にまたふかからぬはつ雪の空

いつよりか−あとたえはてむ−やまさとに−またふかからぬ−はつゆきのそら


02142
未入力 為氏 (xxx)

ちりつもる木葉の色も猶見えて只ひとへふるけさの初雪

ちりつもる−このはのいろも−なほみえて−たたひとへふる−けさのはつゆき


02143
未入力 真観 (xxx)

草枯の冬のの鹿の跡はあれとつめたにひちぬ今朝の雪かな

くさかれの−ふゆののしかの−あとはあれと−つめたにひちぬ−けさのゆきかな


02144
未入力 寂西 (xxx)

ふりそむる庭の白雪おのつからつもりやせむとみゆるはかりそ

ふりそむる−にはのしらゆき−おのつから−つもりやせむと−みゆるはかりそ


02145
未入力 為経 (xxx)

道たえぬ程にはみえぬ故郷の庭の初雪とふ人そなき

みちたえぬ−ほとにはみえぬ−ふるさとの−にはのはつゆき−とふひとそなき


02146
未入力 経朝 (xxx)

白雪のふれともいまた浅ちはらにきりのくちははかくれさりけり

しらゆきの−ふれともいまた−浅ちはらに−きりのくちはは−かくれさりけり


02147
未入力 行家 (xxx)

山風にあれまくみゆる杉のやの板間もあはすふれる雪かな

やまかせに−あれまくみゆる−すきのやの−いたまもあはす−ふれるゆきかな


02148
未入力 成茂 (xxx)

散積る木のはの上のはたれ雪吹きなかくしそけさの山かせ

ちりつもる−このはのうへの−はたれゆき−ふきなかくしそ−けさのやまかせ


02149
未入力 隆祐 (xxx)

雲まよふ夕日かくれの山陰にややみえそめてふれるしら雪

くもまよふ−ゆふひかくれの−やまかけに−ややみえそめて−ふれるしらゆき


02150
未入力 禅信 (xxx)

跡つけてとはれにけりとみゆるまてむら消えそむる庭の薄雪

あとつけて−とはれにけりと−みゆるまて−むらきえそむる−にはのうすゆき


02151
未入力 高倉 (xxx)

思ひきゆる我か心にやたくふらんつもりもやらぬ庭のしら雪

おもひきゆる−わかこころにや−たくふらむ−つもりもやらぬ−にはのしらゆき


02152
未入力 按察 (xxx)

空さゆる日かすはかりは浅けれと只ひとへなる今朝の雪かな

そらさゆる−ひかすはかりは−あさけれと−たたひとへなる−けさのゆきかな


02153
未入力 帥 (xxx)

かきくらしふるとはすれと野も山もうつみそはてぬけさの初雪

かきくらし−ふるとはすれと−のもやまも−うつみそはてぬ−けさのはつゆき


02154
未入力 小宰相 (xxx)

うちたえてふるとはふらぬ雪なれとあさきか庭そしろく成行く

うちたえて−ふるとはふらぬ−ゆきなれと−あさきかにはそ−しろくなりゆく


02155
未入力 俊成女 (xxx)

すそのふく嵐にさえてもみちはのむすほほれたる今朝の初雪

すそのふく−あらしにさえて−もみちはの−むすほほれたる−けさのはつゆき


02156
未入力 少将内侍 (xxx)

山風にうすくや雲のさえぬらんまたひとへなる今朝の初雪

やまかせに−うすくやくもの−さえぬらむ−またひとへなる−けさのはつゆき


02157
未入力 弁内侍 (xxx)

問へかしな庭の白雪只ひとへかさねてふらは人もかよはし

とへかしな−にはのしらゆき−たたひとへ−かさねてふらは−ひともかよはし


02158
未入力 但馬 (xxx)

さゆれとも冬の日数を浅しとやつもりもやらぬ庭のしら雪

さゆれとも−ふゆのひかすを−あさしとや−つもりもやらぬ−にはのしらゆき


02159
未入力 下野 (xxx)

雪気とてはけしかりける風よりは霜にわかれぬ今朝の庭かな

ゆきけとて−はけしかりける−かせよりは−しもにわかれぬ−けさのにはかな


02160
未入力 御製 (xxx)

峰におふる木木のこすゑもうつもれて山よりたかくみゆる雪かな

みねにおふる−ききのこすゑも−うつもれて−やまよりたかく−みゆるゆきかな


02161
未入力 道助 (xxx)

朝夕に通ふ山人みちたえて峰のときは木雪おもるなり

あさゆふに−かよふやまひと−みちたえて−みねのときはき−ゆきおもるなり


02162
未入力 実氏 (xxx)

山深み朝たつ鹿のむねわけよ猶道まよふ峰の白雪

やまふかみ−あさたつしかの−むねわけよ−なほみちまよふ−みねのしらゆき


02163
未入力 基家 (xxx)

日数ふる花の都にひかりそふ雪や昔のあとをみすらん

ひかすふる−はなのみやこに−ひかりそふ−ゆきやむかしの−あとをみすらむ


02164
未入力 家良 (xxx)

をさまれるみよしるあらしとよとしの程もあらはにふれる白雪

をさまれる−みよしるあらし−とよとしの−ほともあらはに−ふれるしらゆき


02165
未入力 基良 (xxx)

あとたえてふりぬる雪の日数にそ年ゆたかなる御代は知らるる

あとたえて−ふりぬるゆきの−ひかすにそ−としゆたかなる−みよはしらるる


02166
未入力 隆親 (xxx)

けふいくかふるの神杉みえぬまてたむけにあける雪のしらゆふ

けふいくか−ふるのかみすき−みえぬまて−たむけにあける−ゆきのしらゆふ


02167
未入力 為家 (xxx)

かつらきや山はたかまもなかりけりもとふりうつむ雪のふかさに

かつらきや−やまはたかまも−なかりけり−もとふりうつむ−ゆきのふかさに


02168
未入力 公相 (xxx)

草も木もわきこそかぬれけさみれは野山をかけて積る白雪

くさもきも−わきこそかぬれ−けさみれは−のやまをかけて−つもるしらゆき


02169
未入力 実雄 (xxx)

友と聞く籬の竹の雪をれもうつもれはてておとつれもせす

ともときく−まかきのたけの−ゆきをれも−うつもれはてて−おとつれもせす


02170
未入力 信覚 (xxx)

山のはの松の雪たにけぬかうへに猶ふりしけるみよしのの里

やまのはの−まつのゆきたに−けぬかうへに−なほふりしける−みよしののさと


02171
未入力 為経 (xxx)

ふりつもる程そしらるるみよしののたかきの山をうつむしら雪

ふりつもる−ほとそしらるる−みよしのの−たかきのやまを−うつむしらゆき


02172
未入力 忠定 (xxx)

ひとりなと道あるみよにまよふらん跡たにたゆなつもるしら雪

ひとりなと−みちあるみよに−まよふらむ−あとたにたゆな−つもるしらゆき


02173
未入力 資季 (xxx)

昨日たに踏分けかたき白雪のはるる間もなくふりくらしつる

きのふたに−ふみわけかたき−しらゆきの−はるるまもなく−ふりくらしつる


02174
未入力 頼氏 (xxx)

ま柴かる道やたえなん山かつのいやしきふれる夜はの白雪

ましはかる−みちやたえなむ−やまかつの−いやしきふれる−よはのしらゆき


02175
未入力 有教 (xxx)

ふみわけて朝行く人の道もなし不尽のすそのの雪の明ほの

ふみわけて−あさゆくひとの−みちもなし−ふしのすそのの−ゆきのあけほの


02176
未入力 師継 (xxx)

都たに日かすつもれる白雪の深きみ山のおくそゆかしき

みやこたに−ひかすつもれる−しらゆきの−ふかきみやまの−おくそゆかしき


02177
未入力 定嗣 (xxx)

みやまきにこほれる雪の風をいたみくたけて空に又やふるらん

みやまきに−こほれるゆきの−かせをいたみ−くたけてそらに−またやふるらむ


02178
未入力 成実 (xxx)

おしなへて富士のしは山わきかねぬ雪たかからぬ所なけれは

おしなへて−ふしのしはやま−わきかねぬ−ゆきたかからぬ−ところなけれは


02179
未入力 蓮性 (xxx)

しはしこそ花とも見つれみよしののこすゑふりしく山の白雪

しはしこそ−はなともみつれ−みよしのの−こすゑふりしく−やまのしらゆき


02180
未入力 顕氏 (xxx)

とはれぬも身のとかならすふる雪にうつもれはつるみ山への里

とはれぬも−みのとかならす−ふるゆきに−うつもれはつる−みやまへのさと


02181
未入力 寂能 (xxx)

ひさにふる雪の下にもおとつれてかよひもはてぬ峰の松風

ひさにふる−ゆきのしたにも−おとつれて−かよひもはてぬ−みねのまつかせ


02182
未入力 為氏 (xxx)

かきおける軒はさなからうつもれぬ余ふりつむ雪のふかさに

かきおける−のきはさなから−うつもれぬ−あまりふりつむ−ゆきのふかさに


02183
未入力 真観 (xxx)

今もふる山路の雪のおときけはさも分けかたく人もこさらん

いまもふる−やまちのゆきの−おときけは−さもわけかたく−ひともこさらむ


02184
未入力 寂西 (xxx)

いつまてかふみもわけけむ深山へのしみたる雪は道たえにけり

いつまてか−ふみもわけけむ−みやまへの−しみたるゆきは−みちたえにけり


02185
未入力 為継 (xxx)

みよしののよしのの雪の習とてつもれる程はいくへともなし

みよしのの−よしののゆきの−ならひとて−つもれるほとは−いくへともなし


02186
未入力 経朝 (xxx)

道たゆる比もうらみすさひしさに身はならはしのやとの白雪

みちたゆる−ころもうらみす−さひしさに−みはならはしの−やとのしらゆき


02187
未入力 行家 (xxx)

下折のいささむらたけなひききて里をもうつむ今朝の雪かな

したをれの−いささむらたけ−なひききて−さとをもうつむ−けさのゆきかな


02188
未入力 成茂 (xxx)

よを祈るとよのそらこそあらはるれ神かきふかき雪をわけつつ

よをいのる−とよのそらこそ−あらはるれ−かみかきふかき−ゆきをわけつつ


02189
未入力 隆祐 (xxx)

つきてふる雪のさかりと成りぬれは竹の末葉もねに帰りけり

つきてふる−ゆきのさかりと−なりぬれは−たけのすゑはも−ねにかへりけり


02190
未入力 禅信 (xxx)

白雪の日ころふりぬるときは山うつみのこせる青葉たになし

しらゆきの−ひころふりぬる−ときはやま−うつみのこせる−あをはたになし


02191
未入力 高倉 (xxx)

風吹けはこすゑにかへす白雪の積るにたへぬ松のした折

かせふけは−こすゑにかへす−しらゆきの−つもるにたへぬ−まつのしたをれ


02192
未入力 按察 (xxx)

み雪ふるいこまの山の朝日陰猶つもるへきそらの色かな

みゆきふる−いこまのやまの−あさひかけ−なほつもるへき−そらのいろかな


02193
未入力 帥 (xxx)

ふりつみてふままくをしき白雪に我かまつ人は今なとひこそ

ふりつみて−ふままくをしき−しらゆきに−わかまつひとは−いまなとひこそ


02194
未入力 小宰相 (xxx)

けぬかうへにいくへも積る雪みれはいつくもおなし山はふしのね

けぬかうへに−いくへもつもる−ゆきみれは−いつくもおなし−やまはふしのね


02195
未入力 俊成女 (xxx)

跡もなくふりつむ雪にことのはの昔をxxるをのの山路

あともなく−ふりつむゆきに−ことのはの−むかしをxxる−をののやまみち


02196
未入力 少将内侍 (xxx)

ここのへといふはかりにやかさぬらんみかきの中の夜はのしら雪

ここのへと−いふはかりにや−かさぬらむ−みかきのうちの−よはのしらゆき


02197
未入力 弁内侍 (xxx)

みよしのの山のみ雪の日をへてはふもとまてこそ道はたえぬれ

みよしのの−やまのみゆきの−ひをへては−ふもとまてこそ−みちはたえぬれ


02198
未入力 但馬 (xxx)

おのつからとふへき人も跡絶えて雪のみ深き山のおくかな

おのつから−とふへきひとも−あとたえて−ゆきのみふかき−やまのおくかな


02199
未入力 下野 (xxx)

まつ人も人をもとはぬやとなれは跡たえはつる雪のふるさと

まつひとも−ひとをもとはぬ−やとなれは−あとたえはつる−ゆきのふるさと


02200
未入力 御製 (xxx)

朝ことに氷そ今は結ひけるしもかれはてしきくの池水

あさことに−こほりそいまは−むすひける−しもかれはてし−きくのいけみつ


02201
未入力 道助 (xxx)

残なく氷りはてたる池水に数かきとめぬにほのした道

のこりなく−こほりはてたる−いけみつに−かすかきとめぬ−にほのしたみち


02202
未入力 実氏 (xxx)

氷りゐて波間もこえぬ池水にをしのうきねも床求むらん

こほりゐて−なみまもこえぬ−いけみつに−をしのうきねも−とこもとむらむ


02203
未入力 基家 (xxx)

池水の玉藻かもとの玉かしはいくへをかけてなほ氷るらむ

いけみつの−たまもかもとの−たまかしは−いくへをかけて−なほこほるらむ


02204
未入力 家良 (xxx)

朝氷結ひにけりな白糸のよるかのいけはゐる鳥もなし

あさこほり−むすひにけりな−しらいとの−よるかのいけは−ゐるとりもなし


02205
未入力 基良 (xxx)

こほる夜はとけてもえやはねぬなはの下にくるしき池のをし鳥

こほるよは−とけてもえやは−ねぬなはの−したにくるしき−いけのをしとり


02206
未入力 隆親 (xxx)

池水は氷りにけりなをし鳥のさ夜のうきねはいつくなるらん

いけみつは−こほりにけりな−をしとりの−さよのうきねは−いつくなるらむ


02207
未入力 為家 (xxx)

山かけのたつらの池の冬寒み氷りにけりなもる水もなし

やまかけの−たつらのいけの−ふゆさむみ−こほりにけりな−もるみつもなし


02208
未入力 公相 (xxx)

冬寒み汀にさわくあしかものつららのとこをむすふ池水

ふゆさむみ−みきはにさわく−あしかもの−つららのとこを−むすふいけみつ


02209
未入力 実雄 (xxx)

鳰とりのかくれてすみし池水のしたの通も氷とちつつ

にほとりの−かくれてすみし−いけみつの−したのかよひも−こほりとちつつ


02210
未入力 信覚 (xxx)

池水のこほらぬ程にゐる鳥のおのかは風も猶や寒けき

いけみつの−こほらぬほとに−ゐるとりの−おのかはかせも−なほやさむけき


02211
未入力 為経 (xxx)

をし鳥のよとこの池のうき枕こほらぬ水のひまもとむらし

をしとりの−よとこのいけの−うきまくら−こほらぬみつの−ひまもとむらし


02212
未入力 忠定 (xxx)

をし鳥の下の思ひやまけつらんけたれす氷る池の水かな

をしとりの−したのおもひや−まけつらむ−けたれすこほる−いけのみつかな


02213
未入力 資季 (xxx)

冬の池の鳰のうきねのとこあれて波も残らす氷りはてぬる

ふゆのいけの−にほのうきねの−とこあれて−なみものこらす−こほりはてぬる


02214
未入力 頼氏 (xxx)

風吹けは浦わの池にいるしほやよるの氷の絶まなるらん

かせふけは−うらわのいけに−いるしほや−よるのこほりの−たえまなるらむ


02215
未入力 有教 (xxx)

あさ氷いくへか結ふおほつかな風さえまさるまのの池水

あさこほり−いくへかむすふ−おほつかな−かせさえまさる−まののいけみつ


02216
未入力 師継 (xxx)

鳰鳥の下の通路氷りゐてよかれやすらんやとの池水

にほとりの−したのかよひち−こほりゐて−よかれやすらむ−やとのいけみつ


02217
未入力 定嗣 (xxx)

月かけのたまりて池に氷れはやふけ行くままにさえ渡るらん

つきかけの−たまりていけに−こほれはや−ふけゆくままに−さえわたるらむ


02218
未入力 成実 (xxx)

あさなあさな氷かさぬる池水に汀の波のおとそたえ行く

あさなあさな−こほりかさぬる−いけみつに−みきはのなみの−おとそたえゆく


02219
未入力 蓮性 (xxx)

ねぬる夜はむへさえけらし今朝は又あしまの池もつららゐにけり

ねぬるよは−うへさえけらし−けさはまた−あしまのいけも−つららゐにけり


02220
未入力 顕氏 (xxx)

あしかものさわく汀のうす氷結ひもはてぬひろさはのいけ

あしかもの−さわくみきはの−うすこほり−むすひもはてぬ−ひろさはのいけ


02221
未入力 寂能 (xxx)

月影は氷の下もはれぬらし池のうき草ねさへあれつつ

つきかけは−こほりのしたも−はれぬらし−いけのうきくさ−ねさへあれつつ


02222
未入力 為氏 (xxx)

をし鳥の羽風も氷る冬のよに池の玉藻のとこやあるらん

をしとりの−はかせもこほる−ふゆのよに−いけのたまもの−とこやあるらむ


02223
未入力 真観 (xxx)

ぬなはひくあちまの池をきてみれは河上かけて今朝そ氷れる

ぬなはひく−あちまのいけを−きてみれは−かはかみかけて−けさそこほれる


02224
未入力 寂西 (xxx)

むへしこそ氷とちけれ霜枯の冬のにつつくはらの池水

うへしこそ−こほりとちけれ−しもかれの−ふゆのにつつく−はらのいけみつ


02225
未入力 為継 (xxx)

蘆ふきのあたりのこやの池なれは結ふ氷も又ひまそなき

あしふきの−あたりのこやの−いけなれは−むすふこほりも−またひまそなき


02226
未入力 経朝 (xxx)

氷りゐるさやまの池のもかり舟xxxxxxxxxxxxxx

こほりゐる−さやまのいけの−もかりふね−xxxxxxx−xxxxxxx


02227
未入力 行家 (xxx)

よなよなのゐなの山かせおとさえていくへかこほるこやの池水

よなよなの−ゐなのやまかせ−おとさえて−いくへかこほる−こやのいけみつ


02228
未入力 成茂 (xxx)

氷りゐてみな白妙のます鏡老のすかたの池とこそ見れ

こほりゐて−みなしろたへの−ますかかみ−おいのすかたの−いけとこそみれ


02229
未入力 隆祐 (xxx)

いつとてもなかれておちぬ池水をせきとめかほに氷る冬かな

いつとても−なかれておちぬ−いけみつを−せきとめかほに−こほるふゆかな


02230
未入力 禅信 (xxx)

すみなるるこやの池水氷して通路しらぬ鳰の浮鳥

すみなるる−こやのいけみつ−こほりして−かよひちしらぬ−にほのうきとり


02231
未入力 高倉 (xxx)

つららゐるますたの池のねぬなはのむすほほれてや下にくるしき

つららゐる−ますたのいけの−ねぬなはの−むすほほれてや−したにくるしき


02232
未入力 按察 (xxx)

氷する冬の池なるうきぬなはくるしやとけすむすほほれつつ

こほりする−ふゆのいけなる−うきぬなは−くるしやとけす−むすほほれつつ


02233
未入力 帥 (xxx)

津国のこやの池水今朝みれは蘆間の氷とちてけるかな

つのくにの−こやのいけみつ−けさみれは−あしまのこほり−とちてけるかな


02234
未入力 小宰相 (xxx)

池にすむ鳰の浮すも中中にこほれる程やたよりなるらん

いけにすむ−にほのうきすも−なかなかに−こほれるほとや−たよりなるらむ


02235
未入力 俊成女 (xxx)

さゆる夜の池にうきねのをし鳥は氷を玉のうてなにやする

さゆるよの−いけにうきねの−をしとりは−こほりをたまの−うてなにやする


02236
未入力 少将内侍 (xxx)

冬の池の水を浅みとみゆるかな氷の上の鳰のかよひ路

ふゆのいけの−みつをあさみと−みゆるかな−こほりのうへの−にほのかよひち


02237
未入力 弁内侍 (xxx)

さらぬたになかれぬ水の上なれは氷るもやすき冬の池かな

さらぬたに−なかれぬみつの−うへなれは−こほるもやすき−ふゆのいけかな


02238
未入力 但馬 (xxx)

とけやらぬ氷や猶もむすふらんこゑさへさむき池のをし鳥

とけやらぬ−こほりやなほも−むすふらむ−こゑさへさむき−いけのをしとり


02239
未入力 下野 (xxx)

いととまたさそはぬ水にねをとめて氷にとつる池のうき草

いととまた−さそはぬみつに−ねをとめて−こほりにとつる−いけのうきくさ


02240
未入力 御製 (xxx)

あまをとめたまもすそひく雲の上の豊明そ面かけにみゆ

あまをとめ−たまもすそひく−くものうへの−とよのあかりそ−おもかけにみゆ


02241
未入力 道助 (xxx)

ひさかたの雲のかけはしみわたせはをとめの袖に霜やおきそふ

ひさかたの−くものかけはし−みわたせは−をとめのそてに−しもやおきそふ


02242
未入力 実氏 (xxx)

もろ人のをとめのすかたみる月にのほりそかぬる雲のかけはし

もろひとの−をとめのすかた−みるつきに−のほりそかぬる−くものかけはし


02243
未入力 基家 (xxx)

風さゆるみかきの竹のふえのねにをとめ立ちゐる雲の通路

かせさゆる−みかきのたけの−ふえのねに−をとめたちゐる−くものかよひち


02244
未入力 家良 (xxx)

忘れすよとよのあかりに日かけしてまつさきたてしをみの衣手

わすれすよ−とよのあかりに−ひかけして−まつさきたてし−をみのころもて


02245
未入力 基良 (xxx)

わすられぬ豊明の日かけかな雪をかさせる身xxxxxx

わすられぬ−とよのあかりの−ひかけかな−ゆきをかさせる−みxxxxxx


未入力 隆親 (xxx)

(空白)

xxxxx−xxxxxxx−xxxxx−xxxxxxx−xxxxxxx


02246
未入力 為家 (xxx)

をみ衣けふきてかさす日かけ草豊明の名こそしるけれ

をみころも−けふきてかさす−ひかけくさ−とよのあかりの−なこそしるけれ


02247
未入力 公相 (xxx)

山あゐのをみの衣手月さえて雲ゐの庭に出つるもろひと

やまあゐの−をみのころもて−つきさえて−くもゐのにはに−いつるもろひと


02248
未入力 実雄 (xxx)

月さゆる豊明の雲の上にをとめの袖もひかりそへつつ

つきさゆる−とよのあかりの−くものうへに−をとめのそても−ひかりそへつつ


02249
未入力 信覚 (xxx)

むかし見し豊明にかけとめてをみの衣は猶そわすれぬ

むかしみし−とよのあかりに−かけとめて−をみのころもは−なほそわすれぬ


02250
未入力 為経 (xxx)

むかしよりをとめか袖のふりはへて猶山あゐの色そかはらぬ

むかしより−をとめかそての−ふりはへて−なほやまあゐの−いろそかはらぬ


02251
未入力 忠定 (xxx)

あかさりし豊明の月もみむわれになとちそ雲のかよひち

あかさりし−とよのあかりの−つきもみむ−われになとちそ−くものかよひち


02252
未入力 資季 (xxx)

けふにあふ豊明の日かけ草いつれのよよりかけはしめけん

けふにあふ−とよのあかりの−ひかけくさ−いつれのよより−かけはしめけむ


02253
未入力 頼氏 (xxx)

けふまては豊明のいとまなみ月にもうとき雲のうへ人

けふまては−とよのあかりの−いとまなみ−つきにもうとき−くものうへひと


02254
未入力 有教 (xxx)

袖ふれしあまの羽衣かさねてもをとめのすかたかはらさりけり

そてふれし−あまのはころも−かさねても−をとめのすかた−かはらさりけり


02255
未入力 師継 (xxx)

ももしきの豊明の月影にあまつをとめのすかたをそみる

ももしきの−とよのあかりの−つきかけに−あまつをとめの−すかたをそみる


02256
未入力 定嗣 (xxx)

いにしとし豊明のをとめをは我たてまつり袖ふらしてき

いにしとし−とよのあかりの−をとめをは−われたてまつり−そてふらしてき


02257
未入力 成実 (xxx)

もろ人のたちぬる庭に月さえて豊明をそらにしるかな

もろひとの−たちぬるにはに−つきさえて−とよのあかりを−そらにしるかな


02258
未入力 蓮性 (xxx)

雲の上にあまつ日かけのさしなからをとめさひすも年のへにける

くものうへに−あまつひかけの−さしなから−をとめさひすも−としのへにける


02259
未入力 顕氏 (xxx)

をとめこか昔のすかたそれなからいつたひかへす山あゐの袖

をとめこか−むかしのすかた−それなから−いつたひかへす−やまあゐのそて


02260
未入力 寂能 (xxx)

あまつ袖ふる白雪のいくかへりをとめさひすもけふにあふらん

あまつそて−ふるしらゆきの−いくかへり−をとめさひすも−けふにあふらむ


02261
未入力 為氏 (xxx)

をとめこか雲の通路月すみてとよのあかりの影そさやけき

をとめこか−くものかよひち−つきすみて−とよのあかりの−かけそさやけき


02262
未入力 真観 (xxx)

いて我もとよのあかりのをみ衣きつつつかへてありし物なり

いてわれも−とよのあかりの−をみころも−きつつつかへて−ありしものなり


02263
未入力 寂西 (xxx)

もろ人のむれても庭にたつの日は豊明そいやめつらなる

もろひとの−むれてもにはに−たつのひは−とよのあかりそ−いやめつらなる


02264
未入力 為継 (xxx)

ここのへにとよのあかりをみるたひに光そへたるをみ衣かな

ここのへに−とよのあかりを−みるたひに−ひかりそへたる−をみころもかな


02265
未入力 経朝 (xxx)

をとめこか雪をめくらすあまつ袖ためしはたつの日影なりけり

をとめこか−ゆきをめくらす−あまつそて−ためしはたつの−ひかけなりけり


02266
未入力 行家 (xxx)

みの山のしら玉つはきいつよりか豊明にあひはしめけん

みのやまの−しらたまつはき−いつよりか−とよのあかりに−あひはしめけむ


02267
未入力 成茂 (xxx)

よそなから豊明もみつるかな思ひもかけぬあまつをとめこ

よそなから−とよのあかりも−みつるかな−おもひもかけぬ−あまつをとめこ


02268
未入力 隆祐 (xxx)

日かけさすとよのあかりもよそなれはひとりやみなるよにまとひつつ

ひかけさす−とよのあかりも−よそなれは−ひとりやみなる−よにまとひつつ


02269
未入力 禅信 (xxx)

雲の上のあまつをとめか玉かつらよろつよかけて君のみそみる

くものうへの−あまつをとめか−たまかつら−よろつよかけて−きみのみそみる


未入力 高倉 (xxx)

(空白)

xxxxx−xxxxxxx−xxxxx−xxxxxxx−xxxxxxx


02270
未入力 按察 (xxx)

をみ衣すれる山ゐのあかひものとけし昔や今夜なるらん

をみころも−すれるやまゐの−あかひもの−とけしむかしや−こよひなるらむ


02271
未入力 帥 (xxx)

もろ人のひかけの糸のなかきよにいかてかみまし豊明を

もろひとの−ひかけのいとの−なかきよに−いかてかみまし−とよのあかりを


02272
未入力 小宰相 (xxx)

たち渡るをとめの袖もここのへのみはしの霜やさえまさるらん

たちわたる−をとめのそても−ここのへの−みはしのしもや−さえまさるらむ


02273
未入力 俊成女 (xxx)

くもりなきとよのあかりのをみ衣日かけにみかく雲の上人

くもりなき−とよのあかりの−をみころも−ひかけにみかく−くものうへひと


02274
未入力 少将内侍 (xxx)

雲の上の豊明に立出ててみはしのそらに月も見しかな

くものうへの−とよのあかりに−たちいてて−みはしのそらに−つきもみしかな


02275
未入力 弁内侍 (xxx)

雲の上や豊明の月の色に日かけをそふるをみのをとめこ

くものうへや−とよのあかりの−つきのいろに−ひかけをそふる−をみのをとめこ


02276
未入力 但馬 (xxx)

雲の上に今も絶えせぬをとめこか袖ふる事も遠きむかしを

くものうへに−いまもたえせぬ−をとめこか−そてふることも−とほきむかしを


02277
未入力 下野 (xxx)

もろ人の袖をつらぬる雲上にをとめのすかた昔をそしる

もろひとの−そてをつらぬる−くものうへに−をとめのすかた−むかしをそしる


02278
未入力 御製 (xxx)

白妙の光そまさる冬の夜の月のかつらに雪つもるらし

しろたへの−ひかりそまさる−ふゆのよの−つきのかつらに−ゆきつもるらし


02279
未入力 道助 (xxx)

さえくらす峰の浮雲ととまらて嵐にもれて月そいさよふ

さえくらす−みねのうきくも−ととまらて−あらしにもれて−つきそいさよふ


02280
未入力 実氏 (xxx)

さえこほる嵐の風を身にしめて独そみつるあり明の月

さえこほる−あらしのかせを−みにしめて−ひとりそみつる−ありあけのつき


02281
未入力 基家 (xxx)

行く水の浅瀬こほれる長き夜にむすほほれたる月の寒けさ

ゆくみつの−あさせこほれる−なかきよに−むすほほれたる−つきのさむけさ


02282
未入力 家良 (xxx)

あけやらぬあまの河戸の冬のよに渡りかねたる月そ残れる

あけやらぬ−あまのかはとの−ふゆのよに−わたりかねたる−つきそのこれる


02283
未入力 基良 (xxx)

思ひかね行くせにつらき河風にまたさえわたる夜はの月影

おもひかね−ゆくせにつらき−かはかせに−またさえわたる−よはのつきかけ


02284
未入力 隆親 (xxx)

いかはかりさえても月のやとるらん霜のふるえの蘆の枯葉に

いかはかり−さえてもつきの−やとるらむ−しものふるえの−あしのかれはに


02285
未入力 為家 (xxx)

さらてたに長きをかこつ冬のよにねられぬ月の影そひさしき

さらてたに−なかきをかこつ−ふゆのよに−ねられぬつきの−かけそひさしき


02286
未入力 公相 (xxx)

霜結ふ窓のくれ竹風すきて夜ことにさゆる冬の月かけ

しもむすふ−まとのくれたけ−かせすきて−よことにさゆる−ふゆのつきかけ


02287
未入力 実雄 (xxx)

いふき山さしもはけしきこからしに峰たちはなれ出つる月かけ

いふきやま−さしもはけしき−こからしに−みねたちはなれ−いつるつきかけ


02288
未入力 信覚 (xxx)

あしかきのまちかき山のこからしに木葉くもらぬ月をみるかな

あしかきの−まちかきやまの−こからしに−このはくもらぬ−つきをみるかな


02289
未入力 為経 (xxx)

おほ空をさえても月の渡るかなあまの河原や氷とつらん

おほそらを−さえてもつきの−わたるかな−あまのかはらや−こほりとつらむ


02290
未入力 忠定 (xxx)

風はやみ行瀬の水もこほる夜は雲になかるるあり明の月

かせはやみ−ゆくせのみつも−こほるよは−くもになかるる−ありあけのつき


02291
未入力 資季 (xxx)

冬の夜の嵐の音ははけしくてさえたる空の月をみるかな

ふゆのよの−あらしのおとは−はけしくて−さえたるそらの−つきをみるかな


02292
未入力 頼氏 (xxx)

ひとりねの枕の上に影寒しふらぬ雪気の雲間行く月

ひとりねの−まくらのうへに−かけさむし−ふらぬゆきけの−くもまゆくつき


02293
未入力 有教 (xxx)

秋とのみ思ひしものを月かけはさゆる霜夜そ見るへかりける

あきとのみ−おもひしものを−つきかけは−さゆるしもよそ−みるへかりける


02294
未入力 師継 (xxx)

冬の夜の雲のさ衣ぬきをうすみ嵐たてはや月のさやけさ

ふゆのよの−くものさころも−ぬきをうすみ−あらしたてはや−つきのさやけさ


02295
未入力 定嗣 (xxx)

秋たにも思ひまかへし夜はの月冬はさなから雪にそ有りける

あきたにも−おもひまかへし−よはのつき−ふゆはさなから−ゆきにそありける


02296
未入力 成実 (xxx)

山あゐの袖うちふりしそのかみの霜夜の月の影そ忘れぬ

やまあゐの−そてうちふりし−そのかみの−しもよのつきの−かけそわすれぬ


02297
未入力 通性 (xxx)

今夜我心ならすや月をみん衣手さえていこそねられね

こよひわれ−こころならすや−つきをみむ−ころもてさえて−いこそねられね


02298
未入力 顕氏 (xxx)

久方の天河原やさえぬらんそらにこほれる月のかけかな

ひさかたの−あまのかはらや−さえぬらむ−そらにこほれる−つきのかけかな


02299
未入力 寂能 (xxx)

霜こほる山田に残るかりいほに猶すむ物は冬の夜の月

しもこほる−やまたにのこる−かりいほに−なほすむものは−ふゆのよのつき


02300
未入力 為氏 (xxx)

霜深き夜はにや空もさえぬらんかけまてこほる山のはの月

しもふかき−よはにやそらも−さえぬらむ−かけまてこほる−やまのはのつき


02301
未入力 真観 (xxx)

さらてたにさえとほりたる月にまたはけしや今夜山おろしの風

さらてたに−さえとほりたる−つきにまた−はけしやこよひ−やまおろしのかせ


02302
未入力 寂西 (xxx)

今はとて嵐吹きそふ神無月さむく夜ことに月そさえ行く

いまはとて−あらしふきそふ−かみなつき−さむくよことに−つきそさえゆく


02303
未入力 為継 (xxx)

難波江にたてるあしへの冬の月光は霜のうへそさひしき

なにはえに−たてるあしへの−ふゆのつき−ひかりはしもの−うへそさひしき


02304
未入力 経朝 (xxx)

ひさきおふる清き河原の霜の上にかさねてさゆる冬のよの月

ひさきおふる−きよきかはらの−しものうへに−かさねてさゆる−ふゆのよのつき


02305
未入力 行家 (xxx)

たえす猶月そなかるる天河冬もこほらぬ雲のみをにて

たえすなほ−つきそなかるる−あまのかは−ふゆもこほらぬ−くものみをにて


02306
未入力 成茂 (xxx)

冬まつり榊にさゆる夜はの月又たちまひてみるもかしこし

ふゆまつり−さかきにさゆる−よはのつき−またたちまひて−みるもかしこし


02307
未入力 隆祐 (xxx)

冬枯も空にはみえぬ月かけのいかにすめはかさひしかるらん

ふゆかれも−そらにはみえぬ−つきかけの−いかにすめはか−さひしかるらむ


02308
未入力 禅信 (xxx)

あらし山木のは吹きしく大井河ゐせきにくもる冬の夜の月

あらしやま−このはふきしく−おほゐかは−ゐせきにくもる−ふゆのよのつき


02309
未入力 高倉 (xxx)

ならひこし露のゆかりをたつねてや霜にやとかるよはの月かけ

ならひこし−つゆのゆかりを−たつねてや−しもにやとかる−よはのつきかけ


02310
未入力 按察 (xxx)

おく霜にぬれてさえたる袖の上のいく夜の月にまたこほるらん

おくしもに−ぬれてさえたる−そてのうへの−いくよのつきに−またこほるらむ


02311
未入力 元帥 (xxx)

かたしきの衣のいたくさゆるかな霜おく夜はの袖の月かけ

かたしきの−ころものいたく−さゆるかな−しもおくよはの−そてのつきかけ


02312
未入力 小宰相 (xxx)

峰の雪汀の氷かけそへてまきのを山に月そかかれる

みねのゆき−みきはのこほり−かけそへて−まきのをやまに−つきそかかれる


02313
未入力 俊成女 (xxx)

冬の夜のそらにこほれる月影の鏡とみゆるしもの上かな

ふゆのよの−そらにこほれる−つきかけの−かかみとみゆる−しものうへかな


02314
未入力 少将内侍 (xxx)

雲もなく嵐はかりを雪けにてさやけき月の影のさむけさ

くももなく−あらしはかりを−ゆきけにて−さやけきつきの−かけのさむけさ


02315
未入力 弁内侍 (xxx)

冬も猶かけみる水は有るものをこほりなはてそ山のはの月

ふゆもなほ−かけみるみつは−あるものを−こほりなはてそ−やまのはのつき


02316
未入力 但馬 (xxx)

吹きはらふ雲も残らす山かせにそらさへさえて出つる月かけ

ふきはらふ−くもものこらす−やまかせに−そらさへさえて−いつるつきかけ


02317
未入力 下野 (xxx)

すさましき物といひけんいにしへの人さへつらき冬のよの月

すさましき−ものといひけむ−いにしへの−ひとさへつらき−ふゆのよのつき


02318
未入力 御製 (xxx)

此夕しほみちくらし難波かたあしまの千鳥声さわくなり

このゆふへ−しほみちくらし−なにはかた−あしまのちとり−こゑさわくなり


02319
未入力 道助 (xxx)

はまひさしつま吹く風に恨みわひしほひのかたに千鳥鳴くなり

はまひさし−つまふくかせに−うらみわひ−しほひのかたに−ちとりなくなり


02320
未入力 実氏 (xxx)

和歌の浦や塩ひのかたにすむ千鳥昔の跡をみるもかしこし

わかのうらや−しほひのかたに−すむちとり−むかしのあとを−みるもかしこし


02321
未入力 基家 (xxx)

まつらかたもろこし舟の出てぬ日も波路をさして千鳥鳴くなり

まつらかた−もろこしふねの−いてぬひも−なみちをさして−ちとりなくなり


02322
未入力 家良 (xxx)

難波潟暁寒き浪風にみきはたちぬと千鳥なくなり

なにはかた−あかつきさむき−なみかせに−みきはたちぬと−ちとりなくなり


02323
未入力 基良 (xxx)

あかしかたいかに契りて友千鳥たちそふ波になれて鳴くらん

あかしかた−いかにちきりて−ともちとり−たちそふなみに−なれてなくらむ


02324
未入力 隆親 (xxx)

なにはかた汀の千鳥さゆる夜はあしまの霜をうらみてそ鳴く

なにはかた−みきはのちとり−さゆるよは−あしまのしもを−うらみてそなく


02325
未入力 為家 (xxx)

ときつ風寒く吹くらしかすひかたしほひの千鳥夜はに鳴くなり

ときつかせ−さむくふくらし−かすひかた−しほひのちとり−よはになくなり


02326
未入力 公相 (xxx)

夕されは塩ひのかたになく千鳥声をは千代にや千代とそ鳴く

ゆふされは−しほひのかたに−なくちとり−こゑをはちよに−やちよとそなく


02327
未入力 実雄 (xxx)

夜のまにも塩のひかたそしられける汀の千鳥遠さかるなり

よのまにも−しほのひかたそ−しられける−みきはのちとり−とほさかるなり


02328
未入力 信覚 (xxx)

思ひいつる昔もとほくなるみかたたへぬ涙になく千鳥かな

おもひいつる−むかしもとほく−なるみかた−たへぬなみたに−なくちとりかな


02329
未入力 為経 (xxx)

遠さかる塩のひかたの浦風に夕浪たかく千鳥鳴くなり

とほさかる−しほのひかたの−うらかせに−ゆふなみたかく−ちとりなくなり


02330
未入力 忠定 (xxx)

波のひくしほひのかたのはま千鳥なれさへこゑの遠さかり行く

なみのひく−しほひのかたの−はまちとり−なれさへこゑの−とほさかりゆく


02331
未入力 資季 (xxx)

夕しほやとほつひかたにみちぬらん鳴きてちかつく友千鳥かな

ゆふしほや−とほつひかたに−みちぬらむ−なきてちかつく−ともちとりかな


02332
未入力 頼氏 (xxx)

あすかかた跡ふみつくるかち人のしほひの道に千鳥鳴くなり

あすかかた−あとふみつくる−かちひとの−しほひのみちに−ちとりなくなり


02333
未入力 有教 (xxx)

波よするいそをむれたつ友千鳥しほひのかたに猶き鳴くなり

なみよする−いそをむれたつ−ともちとり−しほひのかたに−なほきなくなり


02334
未入力 師継 (xxx)

今来鳴くしほのひかたの夕千鳥立ちにし跡の友したふなり

いまきなく−しほのひかたの−ゆふちとり−たちにしあとの−ともしたふなり


02335
未入力 定嗣 (xxx)

さよふけてうなかみかたに舟とめつしは鳴く千鳥今きかんかも

さよふけて−うなかみかたに−ふねとめつ−しはなくちとり−いまきかむかも


02336
未入力 成実 (xxx)

友千鳥おきのひかたの月影にさ渡るこゑそとほさかり行く

ともちとり−おきのひかたの−つきかけに−さわたるこゑそ−とほさかりゆく


02337
未入力 蓮性 (xxx)

夕波のたゆたひくれはあさかかた塩ひのゆたに千鳥鳴くなり

ゆふなみの−たゆたひくれは−あさかかた−しほひのゆたに−ちとりなくなり


02338
未入力 顕氏 (xxx)

さよ千鳥跡ふみつけしかたをなみみちくるしほのいやましにして

さよちとり−あとふみつけし−かたをなみ−みちくるしほの−いやましにして


02339
未入力 寂能 (xxx)

夕しほのひかたの舟の友千鳥波のうつにはさわかさりけり

ゆふしほの−ひかたのふねの−ともちとり−なみのうつには−さわかさりけり


02340
未入力 為氏 (xxx)

風寒きふけひの浦のさよ千鳥遠きしほひのかたに鳴くなり

かせさむき−ふけひのうらの−さよちとり−とほきしほひの−かたになくなり


02341
未入力 真観 (xxx)

あゆちかたしほひにけらしゆふさらす遊ふ千鳥もこゑのとかなる

あゆちかた−しほひにけらし−ゆふさらす−あそふちとりも−こゑのとかなる


02342
未入力 寂西 (xxx)

風さゆる浦わの千鳥むれつつも猶そしほひのかたに鳴くなる

かせさゆる−うらわのちとり−むれつつも−なほそしほひの−かたになくなる


02343
未入力 為継 (xxx)

風はやきしほひのかたの友千鳥いかはかりかは夜寒なるらん

かせはやき−しほひのかたの−ともちとり−いかはかりかは−よさむなるらむ


02344
未入力 経朝 (xxx)

夕くれのしほ風あらくなるみかた方も定めすなく千鳥かな

ゆふくれの−しほかせあらく−なるみかた−かたもさためす−なくちとりかな


02345
未入力 行家 (xxx)

難波かた浪吹きよする浦風のさえたる夜はになく千鳥かな

なにはかた−なみふきよする−うらかせの−さえたるよはに−なくちとりかな


02346
未入力 成茂 (xxx)

なるみかたしほみちくらし友千鳥空にむれたる声聞ゆなり

なるみかた−しほみちくらし−ともちとり−そらにむれたる−こゑきこゆなり


02347
未入力 隆祐 (xxx)

なるみかたしほみちくれは跡たえて身のたくひなる友千鳥かな

なるみかた−しほみちくれは−あとたえて−みのたくひなる−ともちとりかな


02348
未入力 禅信 (xxx)

船よするなきさもとほき浦千鳥しほひのかたをさして鳴くなり

ふねよする−なきさもとほき−うらちとり−しほひのかたを−さしてなくなり


02349
未入力 高倉 (xxx)

なるみかたしほみちまさる浦風に夕浪立ちて千鳥鳴くなり

なるみかた−しほみちまさる−うらかせに−ゆふなみたちて−ちとりなくなり


02350
未入力 按察 (xxx)

石見かた妻恋ひかぬるさよ千鳥ふかき恨のねをや鳴くらむ

いはみかた−つまこひかぬる−さよちとり−ふかきうらみの−ねをやなくらむ


02351
未入力 帥 (xxx)

霜さえてふけ行くままにはりまかたこゑもはるかに千鳥鳴くなり

しもさえて−ふけゆくままに−はりまかた−こゑもはるかに−ちとりなくなり


02352
未入力 小宰柑 (xxx)

あはれとや老のね覚のあかしかたとひかほにしも千鳥なくらん

あはれとや−おいのねさめの−あかしかた−とひかほにしも−ちとりなくらむ


02353
未入力 俊成女 (xxx)

難波かた月のてしほに立つ千鳥友よふ声の遠さかり行く

なにはかた−つきのてしほに−たつちとり−ともよふこゑの−とほさかりゆく


02354
未入力 少将内侍 (xxx)

夕されはしほひのかたのうら風にいふかひなしや千鳥なくなり

ゆふされは−しほひのかたの−うらかせに−いふかひなしや−ちとりなくなり


02355
未入力 弁内侍 (xxx)

あかしかた浦風あれてさむきよは立つ方しらす鳴く千鳥かな

あかしかた−うらかせあれて−さむきよは−たつかたしらす−なくちとりかな


02356
未入力 但馬 (xxx)

あかしかたかたもさためす立つ千鳥浦風あらく波そよりける

あかしかた−かたもさためす−たつちとり−うらかせあらく−なみそよりける


02357
未入力 下野 (xxx)

身の程はいはてそ思ふ石見かたなにと恨みて千鳥なくらむ

みのほとは−いはてそおもふ−いはみかた−なにとうらみて−ちとりなくらむ


02358
未入力 御製 (xxx)

是そ此つもれは老と成るとしのくるるをしらてなにいそくらん

これそこの−つもれはおいと−なるとしの−くるるをしらて−なにいそくらむ


02359
未入力 道助 (xxx)

あはれ又末の松山六十にもちかつくとしのこえむとすらん

あはれまた−すゑのまつやま−むそちにも−ちかつくとしの−こえむとすらむ


02360
未入力 実氏 (xxx)

夕つくひみるかけさへにととまらてかたふく山を年やこゆらん

ゆふつくひ−みるかけさへに−ととまらて−かたふくやまを−としやこゆらむ


02361
未入力 基家 (xxx)

かつこえてわかるる冬の山陰に人たのめなるはるのうくひす

かつこえて−わかるるふゆの−やまかけに−ひとたのめなる−はるのうくひす


02362
未入力 家良 (xxx)

いたつらに我か身ふり行くたひことにをしさもまさるとしのくれかな

いたつらに−わかみふりゆく−たひことに−をしさもまさる−としのくれかな


02363
未入力 基良 (xxx)

行くとしをいかかをしまぬ老いらくのくるともしらぬ春にかへては

ゆくとしを−いかかをしまぬ−おいらくの−くるともしらぬ−はるにかへては


02364
未入力 隆親 (xxx)

はるかにもききて過きにしとし波の我か身にかかる春そちかつく

はるかにも−ききてすきにし−としなみの−わかみにかかる−はるそちかつく


02365
未入力 為家 (xxx)

をりふしの月日すきける程なさも今更をしきとしの暮かな

をりふしの−つきひすきける−ほとなさも−いまさらをしき−としのくれかな


02366
未入力 公相 (xxx)

限ありてくれ行くとしと知りなから今更人のなにいそくらん

かきりありて−くれゆくとしと−しりなから−いまさらひとの−なにいそくらむ


02367
未入力 実雄 (xxx)

今日とくれ今夜と明けて年月の又もはしめに成りぬへきかな

けふとくれ−こよひとあけて−としつきの−またもはしめに−なりぬへきかな


02368
未入力 信覚 (xxx)

さりともと君につかへし跡はあれと又いたつらに暮るるとしかな

さりともと−きみにつかへし−あとはあれと−またいたつらに−くるるとしかな


02369
未入力 為経 (xxx)

身の上につもる月日のめくりきていくたひ同し年のくるらん

みのうへに−つもるつきひの−めくりきて−いくたひおなし−としのくるらむ


02370
未入力 忠定 (xxx)

をしきかな我か世もとしもせまり行く六十の冬の夕暮の空

をしきかな−わかよもとしも−せまりゆく−むそちのふゆの−ゆふくれのそら


02371
未入力 資季 (xxx)

徒に過行くものと思ひにし年のなにとて身につもるらん

いたつらに−すきゆくものと−おもひにし−としのなにとて−みにつもるらむ


02372
未入力 頼氏 (xxx)

荒玉のとしの暮行くいとなみは民やすき世もかはらさりけり

あらたまの−としのくれゆく−いとなみは−たみやすきよも−かはらさりけり


02373
未入力 有教 (xxx)

くれぬとも何かをしまむ思出てもなくて過きぬるとしのつらさを

くれぬとも−なにかをしまむ−おもひいても−なくてすきぬる−としのつらさを


02374
未入力 師継 (xxx)

いたつらにけふもくれぬといひいひてとしの終に成りにけるかな

いたつらに−けふもくれぬと−いひいひて−としのをはりに−なりにけるかな


02375
未入力 定嗣 (xxx)

つかふとてよるひるわかすいそくまにわたくししらて年そ暮れぬる

つかふとて−よるひるわかす−いそくまに−わたくししらて−としそくれぬる


02376
未入力 成実 (xxx)

いたつらにことしもくれて行く水にかく数ならぬうき身をそ知る

いたつらに−ことしもくれて−ゆくみつに−かくかすならぬ−うきみをそしる


02377
未入力 蓮性 (xxx)

くれぬとて何かはいそく年をへて人のためなる春とみなから

くれぬとて−なにかはいそく−としをへて−ひとのためなる−はるとみなから


02378
未入力 顕氏 (xxx)

いそのかみふるやみゆきの日数へてつもりはてぬるとしの暮かな

いそのかみ−ふるやみゆきの−ひかすへて−つもりはてぬる−としのくれかな


02379
未入力 寂能 (xxx)

ももとりのふるすもとめしすもりこの帰らぬ物はくるるとし波

ももとりの−ふるすもとめし−すもりこの−かへらぬものは−くるるとしなみ


02380
未入力 為氏 (xxx)

身につもる物とは人の知りなから猶いそきけるとしのくれかな

みにつもる−ものとはひとの−しりなから−なほいそきける−としのくれかな


02381
未入力 真観 (xxx)

なそや身のうきに哀をとりそへてとしさへ又はくれかさぬらん

なそやみの−うきにあはれを−とりそへて−としさへまたは−くれかさぬらむ


02382
未入力 寂西 (xxx)

よしさらは身にもかさなれ行くとしのつもるをたにも人数にせん

よしさらは−みにもかさなれ−ゆくとしの−つもるをたにも−ひとかすにせむ


02383
未入力 為継 (xxx)

数ならてふるにもつもる月日かな人にもよらぬとしのくれとて

かすならて−ふるにもつもる−つきひかな−ひとにもよらぬ−としのくれとて


02384
未入力 経朝 (xxx)

めくりあふ春を隣とたのますはいかてかとしの暮にたへまし

めくりあふ−はるをとなりと−たのますは−いかてかとしの−くれにたへまし


02385
未入力 行家 (xxx)

徒につもる月日のはては又たた一とせのくれにそ有りける

いたつらに−つもるつきひの−はてはまた−たたひととせの−くれにそありける


02386
未入力 成茂 (xxx)

七十のさかひをしめて待つ程はをしまてすくるとしのくれかな

ななそちの−さかひをしめて−まつほとは−をしまてすくる−としのくれかな


02387
未入力 隆祐 (xxx)

たまさかに月をそへたる年たにもくるれはたれも猶や惜しけん

たまさかに−つきをそへたる−としたにも−くるれはたれも−なほやをしけむ


02388
未入力 禅信 (xxx)

立帰る物ならなくに人しれす行くとし波をなにいそくらん

たちかへる−ものならなくに−ひとしれす−ゆくとしなみを−なにいそくらむ


02389
未入力 高倉 (xxx)

なへて世のうきにつけては中中につもらんとしのくれもいとはし

なへてよの−うきにつけては−なかなかに−つもらむとしの−くれもいとはし


02390
未入力 按察 (xxx)

しらぬ間の月日は空に行きかへりむへもとしとそくれはてにける

しらぬまの−つきひはそらに−ゆきかへり−うへもとしとそ−くれはてにける


02391
未入力 帥 (xxx)

誰も皆身にこそつもる年なれとなとしもけふのくれ急くらん

たれもみな−みにこそつもる−としなれと−なとしもけふの−くれいそくらむ


02392
未入力 小宰相 (xxx)

身にそへて行くとし波にあらねともくるるをいかにをしみそめけん

みにそへて−ゆくとしなみに−あらねとも−くるるをいかに−をしみそめけむ


02393
未入力 俊成女 (xxx)

思出ても涙ふり行くけふことにさすかに物のとしそくれぬる

おもひいても−なみたふりゆく−けふことに−さすかにものの−としそくれぬる


02394
未入力 少将内侍 (xxx)

日ころよりつもりきにけるとしの暮今夜をつらく思ひけるかな

ひころより−つもりきにける−としのくれ−こよひをつらく−おもひけるかな


02395
未入力 弁内侍 (xxx)

春のくるためこそとしのくれ行くを身にうらめしく思ひけるかな

はるのくる−ためこそとしの−くれゆくを−みにうらめしく−おもひけるかな


02396
未入力 但馬 (xxx)

ふりはてて春はよそなる身のうさにくれ行く年のいとなみもなし

ふりはてて−はるはよそなる−みのうさに−くれゆくとしの−いとなみもなし


02397
未入力 下野 (xxx)

さりともと待ちかほにのみすくせともとしくるるまてうきはかはらす

さりともと−まちかほにのみ−すくせとも−としくるるまて−うきはかはらす



宝治百首:恋

02398
未入力 御製 (xxx)

かきくもり空行く月の影をたにまたみぬ人を恋ひやわたらむ

かきくもり−そらゆくつきの−かけをたに−またみぬひとを−こひやわたらむ


02399
未入力 道助 (xxx)

たのめてもむなしき空の偽にふけ行く月を待出てつるかな

たのめても−むなしきそらの−いつはりに−ふけゆくつきを−まちいてつるかな


02400
未入力 実氏 (xxx)

待つとせし人はつれなき我か袖の涙こととへいさよひの月

まつとせし−ひとはつれなき−わかそての−なみたこととへ−いさよひのつき


02401
未入力 基家 (xxx)

うちはらふ我か敷妙のとことはに待つ夜かさねてつらき月かな

うちはらふ−わかしきたへの−とことはに−まつよかさねて−つらきつきかな


02402
未入力 家良 (xxx)

しられしな霞にもるる三日月のほのみし人にこひわひぬとも

しられしな−かすみにもるる−みかつきの−ほのみしひとに−こひわひぬとも


02403
未入力 基良 (xxx)

さても又いかなる夜はの月影にうきおも影をさそひ初めけん

さてもまた−いかなるよはの−つきかけに−うきおもかけを−さそひそめけむ


02404
未入力 隆親 (xxx)

わひぬれは有明の空もまたれけりわかれしままの月の影とて

わひぬれは−ありあけのそらも−またれけり−わかれしままの−つきのかけとて


02405
未入力 為家 (xxx)

くれかかる山の端ちかきみか月のいて我まほにいつか逢ひみん

くれかかる−やまのはちかき−みかつきの−いてわれまほに−いつかあひみむ


02406
未入力 公相 (xxx)

まちかぬる今夜もつらし有明の月はわかれの物と見しかと

まちかぬる−こよひもつらし−ありあけの−つきはわかれの−ものとみしかと


02407
未入力 実雄 (xxx)

我か恋はよそにのみして久堅の月のかつらの手にもとられす

わかこひは−よそにのみして−ひさかたの−つきのかつらの−てにもとられす


02408
未入力 信覚 (xxx)

もらすなよおもふ心も久かたの月や涙の色はしるらむ

もらすなよ−おもふこころも−ひさかたの−つきやなみたの−いろはしるらむ


02409
未入力 為経 (xxx)

山の端に影まつ月の出てやらて心つくしに人を恋ひつつ

やまのはに−かけまつつきの−いてやらて−こころつくしに−ひとをこひつつ


02410
未入力 忠定 (xxx)

つつみあまりいつよりかかる露ならん尋ねて袖に月のすむまて

つつみあまり−いつよりかかる−つゆならむ−たつねてそてに−つきのすむまて


02411
未入力 資季 (xxx)

あまの河光ととめす行く月の早くも人に恋ひやわたらん

あまのかは−ひかりととめす−ゆくつきの−はやくもひとに−こひやわたらむ


02412
未入力 頼氏 (xxx)

なかむれは月にもくもる涙かないひしはかりの秋ならねとも

なかむれは−つきにもくもる−なみたかな−いひしはかりの−あきならねとも


02413
未入力 有教 (xxx)

三日月のほのかにみてしおも影をうはの空にや恋渡るへき

みかつきの−ほのかにみてし−おもかけを−うはのそらにや−こひわたるへき


02414
未入力 師継 (xxx)

ほのかなるおもかけはかりみか月のわれて思ふとしらせてしかな

ほのかなる−おもかけはかり−みかつきの−われておもふと−しらせてしかな


02415
未入力 定嗣 (xxx)

恋恋ひていつよりも猶あけやらて月や今夜にかたよりにせん

こひこひて−いつよりもなほ−あけやらて−つきやこよひに−かたよりにせむ


02416
未入力 成実 (xxx)

こひそめておつる涙の数ことに我か身はなれぬ袖の月影

こひそめて−おつるなみたの−かすことに−わかみはなれぬ−そてのつきかけ


02417
未入力 蓮性 (xxx)

いかてかは我か恋ひさらんよひよひにいさよふ月の心つくしを

いかてかは−わかこひさらむ−よひよひに−いさよふつきの−こころつくしを


02418
未入力 顕氏 (xxx)

月てはとたのめし空のふけ行くを思ひもいれて君やねぬらん

つきてはと−たのめしそらの−ふけゆくを−おもひもいれて−きみやねぬらむ


02419
未入力 寂能 (xxx)

あしかきにもりくる月のほのかにも隙なき恋をいかてしらせん

あしかきに−もりくるつきの−ほのかにも−ひまなきこひを−いかてしらせむ


02420
未入力 為氏 (xxx)

山の端にふけて出てたる月影のはつかにたにもいかてしらせん

やまのはに−ふけていてたる−つきかけの−はつかにたにも−いかてしらせむ


02421
未入力 真観 (xxx)

月にこそあくかれめとはおもふよに又我さそふ恋やなになる

つきにこそ−あくかれめとは−おもふよに−またわれさそふ−こひやなになる


02422
未入力 寂西 (xxx)

みすもあらぬ人のおも影いつよりか空行くよはの月にそひけん

みすもあらぬ−ひとのおもかけ−いつよりか−そらゆくよはの−つきにそひけむ


02423
未入力 為継 (xxx)

忍ふれは月をもいたくなかめしとおもふにつけて涙おちけり

しのふれは−つきをもいたく−なかめしと−おもふにつけて−なみたおちけり


02424
未入力 経朝 (xxx)

よひのまにうはの空行くみか月の影はかりみし人にこひつつ

よひのまに−うはのそらゆく−みかつきの−かけはかりみし−ひとにこひつつ


02425
未入力 行家 (xxx)

しるらめやほのかにみえし三日月の空にも人を恋ひわたるとは

しるらめや−ほのかにみえし−みかつきの−そらにもひとを−こひわたるとは


02426
未入力 成茂 (xxx)

みすもあらぬ木のまの月のおほつかないかにかせまし心つくしを

みすもあらぬ−このまのつきの−おほつかな−いかにかせまし−こころつくしを


02427
未入力 隆祐 (xxx)

深けにける槙の板戸のやすらひに月こそ出つれ人はつれなし

ふけにける−まきのいたとの−やすらひに−つきこそいつれ−ひとはつれなし


02428
未入力 禅信 (xxx)

月ゆゑになれにし人のおも影はやかて思ひのたよりとそなる

つきゆゑに−なれにしひとの−おもかけは−やかておもひの−たよりとそなる


02429
未入力 高倉 (xxx)

おもふより袖に先たつ涙かなぬるるかほなる月のしるへに

おもふより−そてにさきたつ−なみたかな−ぬるるかほなる−つきのしるへに


02430
未入力 按察 (xxx)

さたかにはみもせぬ人のおもかけを何そや月に思ひいつらん

さたかには−みもせぬひとの−おもかけを−なにそやつきに−おもひいつらむ


02431
未入力 帥 (xxx)

月みれはすすろに音こそなかれけれ是や物おもふはしめなるらん

つきみれは−すすろにねこそ−なかれけれ−これやものおもふ−はしめなるらむ


02432
未入力 小宰相 (xxx)

目にはみて雲井のよそに行く月のたよりもしらぬ我か思ひかな

めにはみて−くもゐのよそに−ゆくつきの−たよりもしらぬ−わかおもひかな


02433
未入力 俊成女 (xxx)

月ゆゑにあくかれそめし有明の空にしめゆふ忍もちすり

つきゆゑに−あくかれそめし−ありあけの−そらにしめゆふ−しのふもちすり


02434
未入力 少将内侍 (xxx)

人めのみしけき木のまをもる月の心つくしに恋ひわたれとや

ひとめのみ−しけきこのまを−もるつきの−こころつくしに−こひわたれとや


02435
未入力 弁内侍 (xxx)

袖にしも月ゆゑとまるおも影のなにと身にそふ涙なるらむ

そてにしも−つきゆゑとまる−おもかけの−なにとみにそふ−なみたなるらむ


02436
未入力 但馬 (xxx)

なにとなく物思ひそめてなかむれはかはらぬ月も袖ぬらしけり

なにとなく−ものおもひそめて−なかむれは−かはらぬつきも−そてぬらしけり


02437
未入力 下野 (xxx)

月をたにくもらぬ空にみしものを誰かおも影のかきくらすらむ

つきをたに−くもらぬそらに−みしものを−たかおもかけの−かきくらすらむ


02438
未入力 御製 (xxx)

はかなしや夢のおも影きえはつる朝の雲はかたみなれとも

はかなしや−ゆめのおもかけ−きえはつる−あしたのくもは−かたみなれとも


02439
未入力 道助 (xxx)

これをたに君かかたみとおもひいてよなかむるそらにのこるうき雲

これをたに−きみかかたみと−おもひいてよ−なかむるそらに−のこるうきくも


02440
未入力 実氏 (xxx)

又もみし峰のよこ雲たちわかれきえてかなしきしののめの空

またもみし−みねのよこくも−たちわかれ−きえてかなしき−しののめのそら


02441
未入力 基家 (xxx)

ゆくへなき無き名は空に立ちにけりかつらき山に雲はゐれとも

ゆくへなき−なきなはそらに−たちにけり−かつらきやまに−くもはゐれとも


02442
未入力 家良 (xxx)

何とうき身をはしらすて白雲のかかるおもひにうかれそめけん

なにとうき−みをはしらすて−しらくもの−かかるおもひに−うかれそめけむ


02443
未入力 基良 (xxx)

恋ひしなんうき名はかりにきえわひていくよか雲の空にまよはん

こひしなむ−うきなはかりに−きえわひて−いくよかくもの−そらにまよはむ


02444
未入力 隆親 (xxx)

夢にみしあたなる雲の跡をたになと夕暮にたのめさりけむ

ゆめにみし−あたなるくもの−あとをたに−なとゆふくれに−たのめさりけむ


02445
未入力 為家 (xxx)

たのめはやさたにもいひて恋ひしなん夕の空の雲はわれそと

たのめはや−さたにもいひて−こひしなむ−ゆふへのそらの−くもはわれそと


02446
未入力 公相 (xxx)

逢ふ事は跡たにもなきしらくもの空にのみたつ名をいかにせん

あふことは−あとたにもなき−しらくもの−そらにのみたつ−なをいかにせむ


02447
未入力 実雄 (xxx)

あはれわか心にかかるあま雲のよそにや人をおもひきえなん

あはれわか−こころにかかる−あまくもの−よそにやひとを−おもひきえなむ


02448
未入力 信覚 (xxx)

恨みても誰にとはまし白雲のよそにかかれるかつらきのやま

うらみても−たれにとはまし−しらくもの−よそにかかれる−かつらきのやま


02449
未入力 為経 (xxx)

しら雲の跡なき契なにゆゑにきえぬうき名のまたきたつらん

しらくもの−あとなきちきり−なにゆゑに−きえぬうきなの−またきたつらむ


02450
未入力 忠定 (xxx)

いけるより空の雲とや成りぬらん月日にそへていとはるる身は

いけるより−そらのくもとや−なりぬらむ−つきひにそへて−いとはるるみは


02451
未入力 資季 (xxx)

あしひきの山よりをちにゐる雲の思ひきゆとも人しらめやは

あしひきの−やまよりをちに−ゐるくもの−おもひきゆとも−ひとしらめやは


02452
未入力 頼氏 (xxx)

心あらは伊駒嵐やはらふらん君かあたりの山の端の雲

こころあらは−いこまあらしや−はらふらむ−きみかあたりの−やまのはのくも


02453
未入力 有教 (xxx)

恋すてふうき名は空に立つ雲のかかるつらさに消えやはてなん

こひすてふ−うきなはそらに−たつくもの−かかるつらさに−きえやはてなむ


02454
未入力 師継 (xxx)

あま雲のよそにみしよりかきくらす心の中をいかてしらせん

あまくもの−よそにみしより−かきくらす−こころのうちを−いかてしらせむ


02455
未入力 定嗣 (xxx)

我か恋はたゆたひやすきしら雲の風にまかせて行へしられす

わかこひは−たゆたひやすき−しらくもの−かせにまかせて−ゆくへしられす


02456
未入力 成実 (xxx)

逢ふにかへて身は浮雲のきえもせてつらき我か名やよよに立ちなん

あふにかへて−みはうきくもの−きえもせて−つらきわかなや−よよにたちなむ


02457
未入力 蓮性 (xxx)

空にのみ行きてわかるるうきくものなにのたつきに逢ひみそめけん

そらにのみ−ゆきてわかるる−うきくもの−なにのたつきに−あひみそめけむ


02458
未入力 顕氏 (xxx)

わかせこか心は空にかよふともつらきゆふへの雲やへたてむ

わかせこか−こころはそらに−かよふとも−つらきゆふへの−くもやへたてむ


02459
未入力 寂能 (xxx)

八雲たついつもの宮の神代よりたえす物思ふみとのまくはひ

やくもたつ−いつものみやの−かみよより−たえすものおもふ−みとのまくはひ


02460
未入力 為民 (xxx)

中空に浮きたる雲のはてもなく行へしらすもこひわたるかな

なかそらに−うきたるくもの−はてもなく−ゆくへしらすも−こひわたるかな


02461
未入力 真観 (xxx)

人しれすおもふ心は山の端にたなひく雲のゆたにたえすも

ひとしれす−おもふこころは−やまのはに−たなひくくもの−ゆたにたえすも


02462
未入力 寂西 (xxx)

あた人の心の花にまかへはやうきたる雲の跡もさためぬ

あたひとの−こころのはなに−まかへはや−うきたるくもの−あともさためぬ


02463
未入力 為継 (xxx)

いはぬまは心そはれぬよそにのみなにしかみゆるみねのしら雲

いはぬまは−こころそはれぬ−よそにのみ−なにしかみゆる−みねのしらくも


02464
未入力 経朝 (xxx)

いたつらに夕の雲もなれにけり待ちしかたみのなかめせしまに

いたつらに−ゆふへのくもも−なれにけり−まちしかたみの−なかめせしまに


02465
未入力 行家 (xxx)

伊駒山峰に朝ゐるしら雲のへたつる中は遠さかりつつ

いこまやま−みねにあさゐる−しらくもの−へたつるなかは−とほさかりつつ


02466
未入力 成茂 (xxx)

よそにみしかつらき山の峰のくもうたて心にかかりそめけむ

よそにみし−かつらきやまの−みねのくも−うたてこころに−かかりそめけむ


02467
未入力 隆祐 (xxx)

つらからぬ雲をはなにとなかむらん心よりこそ中はへたつれ

つらからぬ−くもをはなにと−なかむらむ−こころよりこそ−なかはへたつれ


02468
未入力 禅信 (xxx)

逢ふ事はうはの空なる村雲のたえまをしけく何おもふらん

あふことは−うはのそらなる−むらくもの−たえまをしけく−なにおもふらむ


02469
未入力 高倉 (xxx)

つれもなき人の心はうき雲のたえたえになるはてそかなしき

つれもなき−ひとのこころは−うきくもの−たえたえになる−はてそかなしき


02470
未入力 按察 (xxx)

されはたた恋ひもしねとやしら雲のよそにのみして人のつれなき

されはたた−こひもしねとや−しらくもの−よそにのみして−ひとのつれなき


02471
未入力 帥 (xxx)

我なからもとかしきかなしらくものうはの空なる人恋ふる身は

われなから−もとかしきかな−しらくもの−うはのそらなる−ひとこふるみは


02472
未入力 小宰相 (xxx)

君かあたり伊駒の山はよそなからへたつる雲の色もはかなし

きみかあたり−いこまのやまは−よそなから−へたつるくもの−いろもはかなし


02473
未入力 俊成女 (xxx)

しられしな夕の雲をそれとたにいはておもひのしたにきえなは

しられしな−ゆふへのくもを−それとたに−いはておもひの−したにきえなは


02474
未入力 少将内侍 (xxx)

いかにせん跡なき雲と思へとも我か名は空に立ちにけるかな

いかにせむ−あとなきくもと−おもへとも−わかなはそらに−たちにけるかな


02475
未入力 弁内侍 (xxx)

うきなからきえすはありとも白雲の空に乱れて恋ひやわたらん

うきなから−きえすはありとも−しらくもの−そらにみたれて−こひやわたらむ


02476
未入力 但馬 (xxx)

わきてみる夕の雲のなかめにもしのふけしきを人やとかめん

わきてみる−ゆふへのくもの−なかめにも−しのふけしきを−ひとやとかめむ


02477
未入力 下野 (xxx)

なかめやるそなたの空の雲たにも跡なきはてそきえてかなしき

なかめやる−そなたのそらの−くもたにも−あとなきはてそ−きえてかなしき


02478
未入力 御製 (xxx)

はれくもりふりつる雨といひなしてけふこそやすく袖ぬらしつれ

はれくもり−ふりつるあめと−いひなして−けふこそやすく−そてぬらしつれ


02479
未入力 道助 (xxx)

おほつかな誰かぬれきぬそ雨やまぬ軒もたもともおつる玉水

おほつかな−たかぬれきぬそ−あめやまぬ−のきもたもとも−おつるたまみつ


02480
未入力 実氏 (xxx)

こかれゆくよその紅葉にくらへみよたもとにかきる秋の村雨

こかれゆく−よそのもみちに−くらへみよ−たもとにかきる−あきのむらさめ


02481
未入力 基家 (xxx)

くもれはとなほさり事をたのみしも今は昔の秋のむらさめ

くもれはと−なほさりことを−たのみしも−いまはむかしの−あきのむらさめ


02482
未入力 家良 (xxx)

我か恋はみほの岩屋にふる雨のいつこもりてか人にしられし

わかこひは−みほのいはやに−ふるあめの−いつこもりてか−ひとにしられし


02483
未入力 基良 (xxx)

かきくらす涙もはれぬ衣手にいつれを雨とわきてしほらん

かきくらす−なみたもはれぬ−ころもてに−いつれをあめと−わきてしほらむ


02484
未入力 隆親 (xxx)

春雨に猶ふりまさる涙こそつらき恨のかたみなりけれ

はるさめに−なほふりまさる−なみたこそ−つらきうらみの−かたみなりけれ


02485
未入力 為家 (xxx)

雨涙身をしりかほにふりそへて恋のま袖はほすかたもなし

あめなみた−みをしりかほに−ふりそへて−こひのまそては−ほすかたもなし


02486
未入力 公相 (xxx)

ふる雨をいつまてよそに思ひけんぬるるは恋のたもとなりけり

ふるあめを−いつまてよそに−おもひけむ−ぬるるはこひの−たもとなりけり


02487
未入力 実雄 (xxx)

うたたねの夢のちきりのかたみとて夕の空にすくるむらさめ

うたたねの−ゆめのちきりの−かたみとて−ゆふへのそらに−すくるむらさめ


02488
未入力 信覚 (xxx)

ふみまよふ野原の萩の色に出てて袖にこととふ秋の村雨

ふみまよふ−のはらのはきの−いろにいてて−そてにこととふ−あきのむらさめ


02489
未入力 為経 (xxx)

我か涙うき身をしれる雨なれはふりこそまされはるるまもなし

わかなみた−うきみをしれる−あめなれは−ふりこそまされ−はるるまもなし


02490
未入力 忠定 (xxx)

忘らるる身をしる袖のゆかりにも雨やは待ちし軒のたま水

わすらるる−みをしるそての−ゆかりにも−あめやはまちし−のきのたまみつ


02491
未入力 資季 (xxx)

むらさめにぬるともゆかん我かせこかたのめし夜はと待ちもこそすれ

むらさめに−ぬるともゆかむ−わかせこか−たのめしよはと−まちもこそすれ


02492
未入力 頼氏 (xxx)

いとはすよちきり深行く夜の雨はかこつ涙のたよりはかりに

いとはすよ−ちきりふけゆく−よるのあめは−かこつなみたの−たよりはかりに


02493
未入力 有教 (xxx)

誰にかはとはぬ恨ものこるへき身をしる雨は日比へぬれと

たれにかは−とはぬうらみも−のこるへき−みをしるあめは−ひころへぬれと


02494
未入力 師継 (xxx)

数ならぬ身をしる雨はあた人のとふにつけつつふりそまされる

かすならぬ−みをしるあめは−あたひとの−とふにつけつつ−ふりそまされる


02495
未入力 定嗣 (xxx)

かきくらすけふのこさめにま袖ぬれいも立待つとしるらめやそも

かきくらす−けふのこさめに−まそてぬれ−いもたちまつと−しるらめやそも


02496
未入力 成実 (xxx)

あまそそき程ふるやとに待ちわひてうたても袖やぬれてしほらん

あまそそき−ほとふるやとに−まちわひて−うたてもそてや−ぬれてしほらむ


02497
未入力 蓮性 (xxx)

ことならはけさふる雨に我ぬれて夜はの涙をしはしまかへむ

ことならは−けさふるあめに−われぬれて−よはのなみたを−しはしまかへむ


02498
未入力 顕氏 (xxx)

わすれ行く人をはうしといひもせて身をしる雨そ袖にたゆまぬ

わすれゆく−ひとをはうしと−いひもせて−みをしるあめそ−そてにたゆまぬ


02499
未入力 寂能 (xxx)

袖にもる雨も涙も早瀬河せくかたなきはこころなりけり

そてにもる−あめもなみたも−はやせかは−せくかたなきは−こころなりけり


02500
未入力 為氏 (xxx)

恋すてふうき名なかすな我か袖の涙も雨とふるにまかせて

こひすてふ−うきななかすな−わかそての−なみたもあめと−ふるにまかせて


02501
未入力 真観 (xxx)

あはれ我なにここちせんわかせこかふるとも雨にぬれてきたらは

あはれわれ−なにここちせむ−わかせこか−ふるともあめに−ぬれてきたらは


02502
未入力 寂西 (xxx)

我か恋はあれたるやとにふる雨のもらしやすくもぬるる袖かな

わかこひは−あれたるやとに−ふるあめの−もらしやすくも−ぬるるそてかな


02503
未入力 為継 (xxx)

待ちかぬる涙ににたる夕くれの空かきくもる雨はふりつつ

まちかぬる−なみたににたる−ゆふくれの−そらかきくもる−あめはふりつつ


02504
未入力 経朝 (xxx)

物おもへは空かきくらしふる雨のはれなは袖を何にまかへむ

ものおもへは−そらかきくらし−ふるあめの−はれなはそてを−なににまかへむ


02505
未入力 行家 (xxx)

さらてたにさはりかちなる夕暮に又かきくもり雨はふりきぬ

さらてたに−さはりかちなる−ゆふくれに−またかきくもり−あめはふりきぬ


02506
未入力 成茂 (xxx)

なく涙かたしきわふる閨にしもあはぬ板間のあめもふりつつ

なくなみた−かたしきわふる−ねやにしも−あはぬいたまの−あめもふりつつ


02507
未入力 隆祐 (xxx)

過きやすき夕の空のむらさめをやかてかことにこぬ夜とそなる

すきやすき−ゆふへのそらの−むらさめを−やかてかことに−こぬよとそなる


02508
未入力 禅信 (xxx)

君しのふ心の中もかきくらし身をしる雨のわひつつそふる

きみしのふ−こころのうちも−かきくらし−みをしるあめの−わひつつそふる


02509
未入力 高倉 (xxx)

紅の千しほに袖はそめてけり人のつらさの秋のしくれに

くれなゐの−ちしほにそては−そめてけり−ひとのつらさの−あきのしくれに


02510
未入力 按察 (xxx)

わひつつもえやはねらるるおのつからたのむるよはの雨のつらさに

わひつつも−えやはねらるる−おのつから−たのむるよはの−あめのつらさに


02511
未入力 帥 (xxx)

雨ふれは庭に数そふうたかたのあはれもかけぬ人そ恋しき

あめふれは−にはにかすそふ−うたかたの−あはれもかけぬ−ひとそこひしき


02512
未入力 小宰相 (xxx)

思ひきや涙にしほる袖に猶身をしるあめをそへん物とは

おもひきや−なみたにしをる−そてになほ−みをしるあめを−そへむものとは


02513
未入力 俊成女 (xxx)

おも影を夢にまかへよむかしみし夕の雨の恋のつまとも

おもかけを−ゆめにまかへよ−むかしみし−ゆふへのあめの−こひのつまとも


02514
未入力 少将内侍 (xxx)

雨ならて又もる物は我か袖の涙あらはす人めなりけり

あめならて−またもるものは−わかそての−なみたあらはす−ひとめなりけり


02515
未入力 弁内侍 (xxx)

とひかたみさてもや人のつらからんうき身をしれる袖の雨かな

とひかたみ−さてもやひとの−つらからむ−うきみをしれる−そてのあめかな


02516
未入力 但馬 (xxx)

いとと猶はれぬおもひそまさりける人待つよひの雨のけしきを

いととなほ−はれぬおもひそ−まさりける−ひとまつよひの−あめのけしきを


02517
未入力 下野 (xxx)

かきくもれたのむるよひのむらさめにさはらぬ人の心をもみん

かきくもれ−たのむるよひの−むらさめに−さはらぬひとの−こころをもみむ


02518
未入力 御製 (xxx)

いもとぬるすきまの風そ猶さむきいつならひける心なるらん

いもとぬる−すきまのかせそ−なほさむき−いつならひける−こころなるらむ


02519
未入力 道助 (xxx)

あまのすむ里によわらぬ塩風も人の恨に吹きなれにけり

あまのすむ−さとによわらぬ−しほかせも−ひとのうらみに−ふきなれにけり


02520
未入力 実氏 (xxx)

夕されはあまつ空なる秋風の行へもしらぬ人を恋ひつつ

ゆふされは−あまつそらなる−あきかせの−ゆくへもしらぬ−ひとをこひつつ


02521
未入力 基家 (xxx)

待つ人のこぬみの浦のおきつかせあらきけしきを猶やしたはん

まつひとの−こぬみのうらの−おきつかせ−あらきけしきを−なほやしたはむ


02522
未入力 家良 (xxx)

秋風の露ふくかせのくすかつらつらしうらめし人の心は

あきかせの−つゆふくかせの−くすかつら−つらしうらめし−ひとのこころは


02523
未入力 基良 (xxx)

此暮の荻の葉にたに音つれぬ人ををしふる秋風もかな

このくれの−をきのはにたに−おとつれぬ−ひとををしふる−あきかせもかな


02524
未入力 隆親 (xxx)

そよいかに思ひいつともしらせましゐなのささふの風につけても

そよいかに−おもひいつとも−しらせまし−ゐなのささふの−かせにつけても


02525
未入力 為家 (xxx)

まとろまてなけくならひもしるはかりこぬ人にふけ夜はの松風

まとろまて−なけくならひも−しるはかり−こぬひとにふけ−よはのまつかせ


02526
未入力 公相 (xxx)

こぬ人をまつ吹く風もをりからやなほ夕暮は音にたつらん

こぬひとを−まつふくかせも−をりからや−なほゆふくれは−おとにたつらむ


02527
未入力 実雄 (xxx)

秋風の身にしむ比をとひみはやつれなき人も涙おつやと

あきかせの−みにしむころを−とひみはや−つれなきひとも−なみたおつやと


02528
未入力 信覚 (xxx)

さくらあさのをふのうら風恨みても波によかれぬ夢のかよひち

さくらあさの−をふのうらかせ−うらみても−なみによかれぬ−ゆめのかよひち


02529
未入力 為経 (xxx)

敷妙のとこの山風あやにくにひとりぬる夜はさむく吹くなり

しきたへの−とこのやまかせ−あやにくに−ひとりぬるよは−さむくふくなり


02530
未入力 忠定 (xxx)

あた人の心の花にふく風のめにみぬ色ををしみかねつつ

あたひとの−こころのはなに−ふくかせの−めにみぬいろを−をしみかねつつ


02531
未入力 資季 (xxx)

さらぬたにわかれもやらぬしののめに身にしめと吹くねやの秋風

さらぬたに−わかれもやらぬ−しののめに−みにしめとふく−ねやのあきかせ


02532
未入力 頼氏 (xxx)

さすらふるみちもはかなしこぬ人のそなたの風に袖をまかせて

さすらふる−みちもはかなし−こぬひとの−そなたのかせに−そてをまかせて


02533
未入力 有教 (xxx)

たのめてもこぬはならひの我かやとにいかてとふらん庭の松かせ

たのめても−こぬはならひの−わかやとに−いかてとふらむ−にはのまつかせ


02534
未入力 師継 (xxx)

ことのははたよりあらはとおもひしをことかたにのみ秋風そふく

ことのはは−たよりあらはと−おもひしを−ことかたにのみ−あきかせそふく


02535
未入力 定嗣 (xxx)

いかほ風吹く日ふかぬ日ましらははなと我か袖のほす時のなき

いかほかせ−ふくひふかぬひ−ましらはは−なとわかそての−ほすときのなき


02536
未入力 成実 (xxx)

玉簾これをたよりのしるへともたのまぬ風のひまもとめつつ

たますたれ−これをたよりの−しるへとも−たのまぬかせの−ひまもとめつつ


02537
未入力 蓮性 (xxx)

我かせこか袖のにほひをさそひこはこち吹く風をまたましものを

わかせこか−そてのにほひを−さそひこは−こちふくかせを−またましものを


02538
未入力 顕氏 (xxx)

そなたより吹きくる風のつてにたになさけをかくる音つれそなき

そなたより−ふきくるかせの−つてにたに−なさけをかくる−おとつれそなき


02539
未入力 寂能 (xxx)

おのつから人は思ひもいてすともそなたの風はなほまたれつつ

おのつから−ひとはおもひも−いてすとも−そなたのかせは−なほまたれつつ


02540
未入力 為氏 (xxx)

こりすまにさのみな吹きそ今こんといひてむなしき庭の松風

こりすまに−さのみなふきそ−いまこむと−いひてむなしき−にはのまつかせ


02541
未入力 真観 (xxx)

いもにこひ夜さむなる身のいねかてにさも吹きまさる風の音かな

いもにこひ−よさむなるみの−いねかてに−さもふきまさる−かせのおとかな


02542
未入力 寂西 (xxx)

出てかての老の我か身の風をいたみさもつつましき恋もするかな

いてかての−おいのわかみの−かせをいたみ−さもつつましき−こひもするかな


02543
未入力 為継 (xxx)

あまつ風めにみぬ色のつてにたに猶身にしみて人そ恋しき

あまつかせ−めにみぬいろの−つてにたに−なほみにしみて−ひとそこひしき


02544
未入力 経朝 (xxx)

天つ風雲吹きはらふ中空にいとはれてのみふる身なりけり

あまつかせ−くもふきはらふ−なかそらに−いとはれてのみ−ふるみなりけり


02545
未入力 行家 (xxx)

来ぬ人のつらさをそへて今夜しも夜さむにふきぬ閨の秋風

こぬひとの−つらさをそへて−こよひしも−よさむにふきぬ−ねやのあきかせ


02546
未入力 成茂 (xxx)

吹く風のしるへはうはの空なれとそなたときかむおとつれもかな

ふくかせの−しるへはうはの−そらなれと−そなたときかむ−おとつれもかな


02547
未入力 隆祐 (xxx)

目に見えぬ心の花をさそへはや風のやとりをしられさるらん

めにみえぬ−こころのはなを−さそへはや−かせのやとりを−しられさるらむ


02548
未入力 禅信 (xxx)

夜をかさね松吹く風のさむしろにねられぬままの夢をのこしつ

よをかさね−まつふくかせの−さむしろに−ねられぬままの−ゆめをのこしつ


02549
未入力 高倉 (xxx)

涙のみむなしき袖にかかる身のくるれははらふとこのうらかせ

なみたのみ−むなしきそてに−かかるみの−くるれははらふ−とこのうらかせ


02550
未入力 按察 (xxx)

いつとても袖のよそとはならはねとうき身にさむき風の音かな

いつとても−そてのよそとは−ならはねと−うきみにさむき−かせのおとかな


02551
未入力 帥 (xxx)

秋風にかきほのまくす吹きかへしうらみはかりはたゆる夜もなし

あきかせに−かきほのまくす−ふきかへし−うらみはかりは−たゆるよもなし


02552
未入力 小宰相 (xxx)

おのつから風のたよりを待ちえてもなくさむ程のことのはそなき

おのつから−かせのたよりを−まちえても−なくさむほとの−ことのはそなき


02553
未入力 俊成女 (xxx)

いかにせんまとふ恋ちにしるへして身を浮舟をさそふしほ風

いかにせむ−まとふこひちに−しるへして−みをうきふねを−さそふしほかせ


02554
未入力 少将内侍 (xxx)

身にさむく秋風ふかは忘れなん我をふるせるときしうけれは

みにさむく−あきかせふかは−わすれなむ−われをふるせる−ときしうけれは


02555
未入力 弁内侍 (xxx)

身にしみて秋かせさむきよひたにも衣かたしきひとりねよとや

みにしみて−あきかせさむき−よひたにも−ころもかたしき−ひとりねよとや


02556
未入力 但馬 (xxx)

いかにせんそなたの風のつてにたにあはれをかくることのはもなし

いかにせむ−そなたのかせの−つてにたに−あはれをかくる−ことのはもなし


02557
未入力 下野 (xxx)

さりともと待つにむなしきよなよなはこととふ風のおともうらめし

さりともと−まつにむなしき−よなよなは−こととふかせの−おともうらめし


02558
未入力 御製 (xxx)

よしや人みまれ見すまれ今はたためつらしけなき恋の煙を

よしやひと−みまれみすまれ−いまはたた−めつらしけなき−こひのけふりを


02559
未入力 道助 (xxx)

空にのみ恋のけふりや立ちぬらんをちかた人もとかむはかりに

そらにのみ−こひのけふりや−たちぬらむ−をちかたひとも−とかむはかりに


02560
未入力 実氏 (xxx)

するかなる山はふしのね我かことやたえぬけふりにむすほほるらん

するかなる−やまはふしのね−わかことや−たえぬけふりに−むすほほるらむ


02561
未入力 基家 (xxx)

うらむてふ里のしるへにあま人のしほやかぬ日もたつ煙かな

うらむてふ−さとのしるへに−あまひとの−しほやかぬひも−たつけふりかな


02562
未入力 家良 (xxx)

身にあまる思ひを何にくらへましむろのやしまもけふりこそたて

みにあまる−おもひをなにに−くらへまし−むろのやしまも−けふりこそたて


02563
未入力 基良 (xxx)

我はかりおもひこかれぬかはら屋の煙もなほそしたむせふなる

われはかり−おもひこかれぬ−かはらやの−けふりもなほそ−したむせふなる


02564
未入力 隆親 (xxx)

夕煙なひくならひをたのますはおもひたつへき恋の道かは

ゆふけふり−なひくならひを−たのますは−おもひたつへき−こひのみちかは


02565
未入力 為家 (xxx)

しほたれて我か身すくもに立つ煙あまのしわさといつ思ひけん

しほたれて−わかみすくもに−たつけふり−あまのしわさと−いつおもひけむ


02566
未入力 公相 (xxx)

すくもたくもしほのけふりなひけたた恨みし末のしるへともみむ

すくもたく−もしほのけふり−なひけたた−うらみしすゑの−しるへともみむ


02567
未入力 実雄 (xxx)

まつしまやあまのもしほ木それならてこりぬおもひにたつ煙かな

まつしまや−あまのもしほき−それならて−こりぬおもひに−たつけふりかな


02568
未入力 信覚 (xxx)

くらへてもしらしなふしの夕けふり猶立ちのほるおもひありとは

くらへても−しらしなふしの−ゆふけふり−なほたちのほる−おもひありとは


02569
未入力 為経 (xxx)

あまのやくもしほの煙我か方になひかぬ恋の身をこかすかな

あまのやく−もしほのけふり−わかかたに−なひかぬこひの−みをこかすかな


02570
未入力 忠定 (xxx)

恋ひしなはむろのやしまにあらすともおもひのほとはけふりにもみよ

こひしなは−むろのやしまに−あらすとも−おもひのほとは−けふりにもみよ


02571
未入力 資季 (xxx)

蚊遣火のしたにくるしき夕けふりまたき無き名や空に立つらん

かやりひの−したにくるしき−ゆふけふり−またきなきなや−そらにたつらむ


02572
未入力 頼氏 (xxx)

はるかなるふしの煙を身にそへてまちかき人にこふる比かな

はるかなる−ふしのけふりを−みにそへて−まちかきひとに−こふるころかな


02573
未入力 有教 (xxx)

年ふれとおもひはつきしふしのねに心たかくもたつけふりかな

としふれと−おもひはつきし−ふしのねに−こころたかくも−たつけふりかな


02574
未入力 師継 (xxx)

かはらやの下にこかるる夕けふりたえぬおもひのありとたにみよ

かはらやの−したにこかるる−ゆふけふり−たえぬおもひの−ありとたにみよ


02575
未入力 定嗣 (xxx)

ふしのねにいつよりけふり立ちそめていやとほなかきおもひなるらん

ふしのねに−いつよりけふり−たちそめて−いやとほなかき−おもひなるらむ


02576
未入力 成実 (xxx)

あまのすむ里のしるへを恨みても行方しらす立つけふりかな

あまのすむ−さとのしるへを−うらみても−ゆくかたしらす−たつけふりかな


02577
未入力 連性 (xxx)

もえわたるおもひはそれとあらはれてふしのみたけも煙立つなり

もえわたる−おもひはそれと−あらはれて−ふしのみたけも−けふりたつなり


02578
未入力 顕氏 (xxx)

つれもなき人にみせはや浦にたくもしほの煙なひきけりとも

つれもなき−ひとにみせはや−うらにたく−もしほのけふり−なひきけりとも


02579
未入力 寂能 (xxx)

身にあまる思ひやそらにみちのくのしのふかひなくたつけふりかな

みにあまる−おもひやそらに−みちのくの−しのふかひなく−たつけふりかな


02580
未入力 為氏 (xxx)

あま人のたくもの煙なひくともこと浦風をいかかたのまん

あまひとの−たくものけふり−なひくとも−ことうらかせを−いかかたのまむ


02581
未入力 真観 (xxx)

なにはめかあし火のけふり立つと見はうきふしことにもゆとしらなん

なにはめか−あしひのけふり−たつとみは−うきふしことに−もゆとしらなむ


02582
未入力 寂西 (xxx)

すくも火の煙につけておさへたるめをたに今は見せぬ君かな

すくもひの−けふりにつけて−おさへたる−めをたにいまは−みせぬきみかな


02583
未入力 為継 (xxx)

いかにせんしほやくあまの夕煙なひかぬ程はそらにみゆらん

いかにせむ−しほやくあまの−ゆふけふり−なひかぬほとは−そらにみゆらむ


02584
未入力 経明 (xxx)

煙たつあさまの山のみねの雲もゆるおもひもわかれさりけり

けふりたつ−あさまのやまの−みねのくも−もゆるおもひも−わかれさりけり


02585
未入力 行家 (xxx)

すくも火のほには恋ひめやくゆりわひたえぬ煙は空に立つとも

すくもひの−ほにはこひめや−くゆりわひ−たえぬけふりは−そらにたつとも


02586
未入力 成茂 (xxx)

したもえの思ひを空にしのはすはふしの煙はたちもおよはし

したもえの−おもひをそらに−しのはすは−ふしのけふりは−たちもおよはし


02587