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永福門院百番自歌合


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作品集名永福門院百番自歌合 
作品集名読みえいふくもんいんひゃくばんじうたあわせ 
作成年月日 
場所 

00001
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春とたに思ひもあへぬけさの朝け山の霞ははや立ちにけり

はるとたに−おもひもあへぬ−けさのあさけ−やまのかすみは−はやたちにけり


00002
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朝嵐は外面の竹に吹きあれて山の霞も春寒き比

あさあらしは−そとものたけに−ふきあれて−やまのかすみも−はるさむきころ


00003
未入力 (xxx)

外山には霞たな引きむへしこそ野沢の雪も下消えにけれ

とやまには−かすみたなひき−うへしこそ−のさはのゆきも−したきえにけれ


00004
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なほさゆる夜半の雪けのうすくもり晴行く月も又霞みぬる

なほさゆる−よはのゆきけの−うすくもり−はれゆくつきも−またかすみぬる


00005
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峰の霞ふもとの草のうす緑野山をかけて春めきにけり

みねのかすみ−ふもとのくさの−うすみとり−のやまをかけて−はるめきにけり


00006
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木木の心花ちかからし昨日けふ世はうすくもり春雨そふる

ききのこころ−はなちかからし−きのふけふ−よはうすくもり−はるさめそふる


00007
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折りかさす道行人のけしきにて世はみな花の盛をそしる

をりかさす−みちゆきひとの−けしきにて−よはみなはなの−さかりをそしる


00008
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入あひのこゑする山の陰くれて花の木の間に月出てにけり

いりあひの−こゑするやまの−かけくれて−はなのこのまに−つきいてにけり


00009
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花のうへにしはしうつろふ夕附日入るともなしに影消えにけり

はなのうへに−しはしうつろふ−ゆふつくひ−いるともなしに−かけきえにけり


00010
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何となき草の花さく野への春雲にひはりの声ものとけき

なにとなき−くさのはなさく−のへのはる−くもにひはりの−こゑものとけき


00011
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窓の梅のかをりなつかし朝明に閨なから聞く鴬の声

まとのうめの−かをりなつかし−あさあけに−ねやなからきく−うくひすのこゑ


00012
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あくかるる心なからやさそはれん梅咲く軒のはるの夕かせ

あくかるる−こころなからや−さそはれむ−うめさくのきの−はるのゆふかせ


00013
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遠近の霞の色はふかけれと岸の柳そ淺みとりなる

をちこちの−かすみのいろは−ふかけれと−きしのやなきそ−あさみとりなる


00014
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霞みわたり長閑けき暮に河きしの柳一もと春風そふく

かすみわたり−のとけきくれに−かはきしの−やなきひともと−はるかせそふく


00015
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さえかへる嵐を寒み足引の山のさくらも咲きやかねぬる

さえかへる−あらしをさむみ−あしひきの−やまのさくらも−さきやかねぬる


00016
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遠近の鴬の音ものとかにて花の咲きそふ宿の夕暮

をちこちの−うくひすのねも−のとかにて−はなのさきそふ−やとのゆふくれ


00017
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一木つつつきて咲きなん我か宿の花は見るほと久しかるへき

ひときつつ−つきてさきなむ−わかやとの−はなはみるほと−ひさしかるへき


00018
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春ことにかはらぬものか梅の匂ひ桜かいろにうつるこころは

はることに−かはらぬものか−うめのにほひ−さくらかいろに−うつるこころは


00019
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峰のかすみ麓の花に鳥のこゑ野山のはるは夕なりけり

みねのかすみ−ふもとのはなに−とりのこゑ−のまのはるは−ゆふへなりけり


00020
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夕暮の霞につつむ山本の花とけふりの里のむらむら

ゆふくれの−かすみにつつむ−やまもとの−はなとけふりの−さとのむらむら


00021
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夕月日軒はの影はうつり消えて花のうへにそしはし残れる

ゆふつくひ−のきはのかけは−うつりきえて−はなのうへにそ−しはしのこれる


00022
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何となく庭の梢はかすみふけて入るかた晴るる山のはの月

なにとなく−にはのこすゑは−かすみふけて−いるかたはるる−やまのはのつき


00023
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詠めやるかすみの遠のはるの暮柳さくらの色そこもれる

なかめやる−かすみのをちの−はるのくれ−やなきさくらの−いろそこもれる


00024
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枝かはす柳か末はなひけとも盛のはなは風もよきけり

えたかはす−やなきかすゑは−なひけとも−さかりのはなは−かせもよきけり


00025
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吹きはらふ山の嵐ははけしきにおつる桜はのとけかりけり

ふきはらふ−やまのあらしは−はけしきに−おつるさくらは−のとけかりけり


00026
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ちるとなみ花おちすさふ夕暮の風ゆるき日の二月の空

ちるとなみ−はなおちすさふ−ゆふくれの−かせゆるきひの−きさらきのそら


00027
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あひ思はてうたて散りゆく花にしも何あちきなく心そむらん

あひおもはて−うたてちりゆく−はなにしも−なにあちきなく−こころそむらむ


00028
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あやにくに吹きたつ風のつらきかなあすまてよものけふの桜に

あやにくに−ふきたつかせの−つらきかな−あすまてよもの−けふのさくらに


00029
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残なく散りしく庭の花の雪えたにをかへせ春のゆふ風

のこりなく−ちりしくにはの−はなのゆき−えたにをかへせ−はるのゆふかせ


00030
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峰つつきくれて吹きたつ山風にさかぬ野へまて花そ散りしく

みねつつき−くれてふきたつ−やまかせに−さかぬのへまて−はなそちりしく


00031
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滝つせやいはもと白くよる花は流るとすれと又かへるなり

たきつせや−いはもとしろく−よるはなは−なかるとすれと−またかへるなり


00032
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流れやらぬ花のしら浪立ちかへり春をととむる山川の水

なかれやらぬ−はなのしらなみ−たちかへり−はるをととむる−やまかはのみつ


00033
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明けかたき秋の寝覚もかくやありし草の庵のよはの春雨

あけかたき−あきのねさめも−かくやありし−くさのいほりの−よはのはるさめ


00034
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何となく寝覚の袂しほりわひおし明くる空もよはの春雨

なにとなく−ねさめのたもと−しほりわひ−おしあくるそらも−よはのはるさめ


00035
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帰さの道もやまよふ夕暮のかすむ雲井にきゆる雁かね

かへるさの−みちもやまよふ−ゆふくれの−かすむくもゐに−きゆるかりかね


00036
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入かたの月影かすむ山のはに帰る雁さへほのかなるこゑ

いりかたの−つきかけかすむ−やまのはに−かへるかりさへ−ほのかなるこゑ


00037
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此ころよ井手のわたりもかくやらん山吹咲きてかはつ鳴くなり

このころよ−ゐてのわたりも−かくやらむ−やまふきさきて−かはつなくなり


00038
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打ちいつる浪さへ色にうつろひぬ井手の川瀬の山吹の比

うちいつる−なみさへいろに−うつろひぬ−ゐてのかはせの−やまふきのころ


00039
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ゆく春をしたひかねてそ聞ゆなる青葉のなかの鴬の声

ゆくはるを−したひかねてそ−きこゆなる−あをはのなかの−うくひすのこゑ


00040
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岩かくれ咲けるつつしの人しれす残れる春の色もめつらし

いはかくれ−さけるつつしの−ひとしれす−のこれるはるの−いろもめつらし


00041
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神まつる卯月になれや榊葉にみしめはへたるあけの玉垣

かみまつる−うつきになれや−さかきはに−みしめはへたる−あけのたまかき


00042
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ほとときすこゑも高根のよこ雲になき捨ててゆく曙の空

ほとときす−こゑもたかねの−よこくもに−なきすててゆく−あけほののそら


00043
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卯の花の垣ねの月のうす雲に山ほとときすひと声そ鳴く

うのはなの−かきねのつきの−うすくもに−やまほとときす−ひとこゑそなく


00044
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月雪の色にそまかふ卯の花のかきねつつきのたそかれの宿

つきゆきの−いろにそまかふ−うのはなの−かきねつつきの−たそかれのやと


00045
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さなへなひく外面の小田のむら雨に山時鳥こゑおとすなり

さなへなひく−そとものをたの−むらさめに−やまほとときす−こゑおとすなり


00046
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楢の葉にむら雨かかる山陰のくるる雲間に郭公なく

ならのはに−むらさめかかる−やまかけの−くるるくもまに−ほとときすなく


00047
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小山田のさなへの色はすすしくて岡へこくらき杉の一村

をやまたの−さなへのいろは−すすしくて−をかへこくらき−すきのひとむら


00048
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山本のけふりの色も消えはてぬ遠里むらの五月雨の比

やまもとの−けふりのいろも−きえはてぬ−とほさとむらの−さみたれのころ


00049
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五月雨のふる屋の軒の糸水のくる人もなき暮そ淋しき

さみたれの−ふるやののきの−いとみつの−くるひともなき−くれそさひしき


00050
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五月雨のはるる雲間の宵の月軒のあまりの影そすくなき

さみたれの−はるるくもまの−よひのつき−のきのあまりの−かけそすくなき


00051
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夕立の雲も残らす空晴れてすたれをのほる宵の月影

ゆふたちの−くもものこらす−そらはれて−すたれをのほる−よひのつきかけ


00052
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風の音もすすしくそよく呉竹のふしうきよはの月の影かな

かせのおとも−すすしくそよく−くれたけの−ふしうきよはの−つきのかけかな


00053
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みしか夜はさし入る月の影をこめて枕の山ははや明けにけり

みしかよは−さしいるつきの−かけをこめて−まくらのやまは−はやあけにけり


00054
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雨はるる梢の青葉いろそひて吹きたつ風は露はらふなり

あめはるる−こすゑのあをは−いろそひて−ふきたつかせは−つゆはらふなり


00055
未入力 (xxx)

なく蝉のこゑさへすすし吹く風にむら雨ましる山のゆふかけ

なくせみの−こゑさへすすし−ふくかせに−むらさめましる−やまのゆふかけ


00056
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旅人のあまた立ちよる夕木陰山川きよみすすみ涼しも

たひひとの−あまたたちよる−ゆふこかけ−やまかはきよみ−すすみすすしも


00057
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夜の雨に竹の葉末はなひき伏して朝けの窓の風の涼しさ

よるのあめに−たけのはすゑは−なひきふして−あさけのまとの−かせのすすしさ


00058
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夏深き草のしけみのしけくのみ思ふおもひは道もとほらす

なつふかき−くさのしけみの−しけくのみ−おもふおもひは−みちもとほらす


00059
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谷ふかき庵の軒のまつの風秋よりさきに秋をきくかな

たにふかき−いほりののきの−まつのかせ−あきよりさきに−あきをきくかな


00060
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吹くかせも今宵はすすし御祓する川瀬の浪に秋やさきたつ

ふくかせも−こよひはすすし−みそきする−かはせのなみに−あきやさきたつ


00061
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いつしかと聞くに心そ愁へそむる荻のうへわたる秋のはつ風

いつしかと−きくにこころそ−うれへそむる−をきのうへわたる−あきのはつかせ


00062
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何もなくかはるとなしの色さひて松も桧原も秋は見えけり

なにもなく−かはるとなしの−いろさひて−まつもひはらも−あきはみえけり


00063
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ひこほしのあふ夜をちかく思ふより我さへ空に詠をそする

ひこほしの−あふよをちかく−おもふより−われさへそらに−なかめをそする


00064
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天の川としのわたりを待つよりもけふのくるるは猶や久しき

あまのかは−としのわたりを−まつよりも−けふのくるるは−なほやひさしき


00065
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秋草の花のひもとく比しもあれ吹きなむすひそ野への夕風

あきくさの−はなのひもとく−ころしもあれ−ふきなむすひそ−のへのゆふかせ


00066
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宮城野やちくさのうへの秋の風なひくそ花のすかたなりける

みやきのや−ちくさのうへの−あきのかせ−なひくそはなの−すかたなりける


00067
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おきて見る朝けの籬露しけし小萩かすゑの花になる比

おきてみる−あさけのまかき−つゆしけし−こはきかすゑの−はなになるころ


00068
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出てそむる尾花もはきも色そこき露の籬のけさの曙

いてそむる−をはなもはきも−いろそこき−つゆのまかきの−けさのあけほの


00069
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更くる夜の月と虫とは何なれや光もこゑもひとつにそすむ

ふくるよの−つきとむしとは−なになれや−ひかりもこゑも−ひとつにそすむ


00070
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みちのへや垣根の虫も声更けて月より外に行く人もなし

みちのへや−かきねのむしも−こゑふけて−つきよりほかに−ゆくひともなし


00071
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庭白く月出て始むる宵のまの草の葉かくれきりきりす鳴く

にはしろく−つきいてそむる−よひのまの−くさのはかくれ−きりきりすなく


00072
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虫のこゑ露の光もさよ更けて霧にしめれる野への月影

むしのこゑ−つゆのひかりも−さよふけて−きりにしめれる−のへのつきかけ


00073
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きかしみしかけそふ比の月の色にねさめ秋なる荻の上かせ

きかしみし−かけそふころの−つきのいろに−ねさめあきなる−をきのうはかせ


00074
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秋の夜の月は心にすみけるを雲井にのみと何おもひけん

あきのよの−つきはこころに−すみけるを−くもゐにのみと−なにおもひけむ


00075
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雨風は暮にやみぬる大空の雲間に早き夜半の月影

あめかせは−くれにやみぬる−おほそらの−くもまにはやき−よはのつきかけ


00076
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村雲にかくれ顕れゆく月のはれも曇りも秋そ悲しき

むらくもに−かくれあらはれ−ゆくつきの−はれもくもりも−あきそかなしき


00077
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秋風のひひきは峰にさよ更けて影遠くなる入かたの月

あきかせの−ひひきはみねに−さよふけて−かけとほくなる−いりかたのつき


00078
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このまより月はたえたえ庭にもりて軒端にさわく夜半の松風

このまより−つきはたえたえ−にはにもりて−のきはにさわく−よはのまつかせ


00079
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月にみかく露の光も清くしてよなよな涼し竹の秋風

つきにみかく−つゆのひかりも−きよくして−よなよなすすし−たけのあきかせ


00080
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更行けはまきのを山に霧はれて月影清し宇治の川浪

ふけゆけは−まきのをやまに−きりはれて−つきかけきよし−うちのかはなみ


00081
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露繁き草葉のうへは静にて下には虫の声そみたるる

つゆしけき−くさはのうへは−しつかにて−したにはむしの−こゑそみたるる


00082
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宵過きて月また遅き山のはの雲にひかれる秋の稲妻

よひすきて−つきまたおそき−やまのはの−くもにひかれる−あきのいなつま


00083
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はるはるとわたるや雁のこゑ遠し雲に色ある西の山のは

はるはると−わたるやかりの−こゑとほし−くもにいろある−にしのやまのは


00084
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やへきりのたつ山本のはるはると田面におつる秋の雁かね

やへきりの−たつやまもとの−はるはると−たのもにおつる−あきのかりかね


00085
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末高き籬の花はかたふきて露おちつつく雨の夕暮

すゑたかき−まかきのはなは−かたふきて−つゆおちつつく−あめのゆふくれ


00086
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何となく寝覚の袖もうるほひぬ明けやらぬ窓の秋のよの雨

なにとなく−ねさめのそても−うるほひぬ−あけやらぬまとの−あきのよのあめ


00087
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うす霧の朝けの梢いろさひて虫の音残る森の下草

うすきりの−あさけのこすゑ−いろさひて−むしのねのこる−もりのしたくさ


00088
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露しけき草のうへより明けそめて霧の山へそしはし夜深き

つゆしけき−くさのうへより−あけそめて−きりのやまへそ−しはしよふかき


00089
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秋風の梢をはらふ夕暮の雲にはつるるみか月のかけ

あきかせの−こすゑをはらふ−ゆふくれの−くもにはつるる−みかつきのかけ


00090
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夕附日いはねの苔に影きえて岡の柳は秋風そふく

ゆふつくひ−いはねのこけに−かけきえて−をかのやなきは−あきかせそふく


00091
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其いろとささぬ夕の悲しきはをはなか風に薄雲の空

そのいろと−ささぬゆふへの−かなしきは−をはなかかせに−うすくものそら


00092
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さまさまにうき世をおもふ夕暮のそてと草葉といつれ露けし

さまさまに−うきよをおもふ−ゆふくれの−そてとくさはと−いつれつゆけし


00093
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おしなへて紅葉はちかく成りにけり夕日の山の秋のゆふくれ

おしなへて−もみちはちかく−なりにけり−ゆふひのやまの−あきのゆふくれ


00094
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時雨れつつ秋すさましき岡のへの尾花にましる櫨の一本

しくれつつ−あきすさましき−をかのへの−をはなにましる−はしのひともと


00095
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打ちはらふ袖にも秋そすさましき露霜かかる山の下道

うちはらふ−そてにもあきそ−すさましき−つゆしもかかる−やまのしたみち


00096
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嵐吹く岡への秋はさむくして柞のもみち散りそめぬなり

あらしふく−をかへのあきは−さむくして−ははそのもみち−ちりそめぬなり


00097
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何となき山の木のはは落ちすさひ時雨るる暮の秋そ悲しき

なにとなき−やまのこのはは−おちすさひ−しくるるくれの−あきそかなしき


00098
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もろくなる桐のかれ葉は庭に落ちて嵐にましる村雨の音

もろくなる−きりのかれはは−にはにおちて−あらしにましる−むらさめのおと


00099
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とめかたき日数の秋をおもふよの月たに空をいそかさらなん

とめかたき−ひかすのあきを−おもふよの−つきたにそらを−いそかさらなむ


00100
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色残る花の籬はまた秋をはや霜しろしけさの朝明

いろのこる−はなのまかきは−またあきを−はやしもしろし−けさのあさあけ


00101
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浮雲は軒はの峰をこえかかりしはし時雨れて又過きぬなり

うきくもは−のきはのみねを−こえかかり−しはししくれて−またすきぬなり


00102
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枯れておつる木の葉の上にかかれはや時雨の音ももろく聞ゆる

かれておつる−このはのうへに−かかれはや−しくれのおとも−もろくきこゆる


00103
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さやかなる光もぬれてみゆるかな時雨の後の庭の月影

さやかなる−ひかりもぬれて−みゆるかな−しくれののちの−にはのつきかけ


00104
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月のすかた猶有明の村雲に一そそきする時雨をそ見る

つきのすかた−なほありあけの−むらくもに−ひとそそきする−しくれをそみる


00105
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もみち葉をさそひておろす山風にいく木の錦庭に敷くらん

もみちはを−さそひておろす−やまかせに−いくきのにしき−にはにしくらむ


00106
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一はらひ励しくおろす夕暮のあらしの末を木のはにそみる

ひとはらひ−はけしくおろす−ゆふくれの−あらしのすゑを−このはにそみる


00107
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朝日さす野原のをささ霜消えて露としもなき光をそみる

あさひさす−のはらのをささ−しもきえて−つゆとしもなき−ひかりをそみる


00108
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山本はまた霧くらき曙のすそ野は霜の色にしらめる

やまもとは−またきりくらき−あけほのの−すそのはしもの−いろにしらめる


00109
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窓たたく嵐にさやく呉竹のよことに雪をあすやとそ待つ

まとたたく−あらしにさやく−くれたけの−よことにゆきを−あすやとそまつ


00110
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村鳥の羽音してたつ朝明の汀のあしも雪降りにけり

むらとりの−はおとしてたつ−あさあけの−みきはのあしも−ゆきふりにけり


00111
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雪の色にややしらみ行く山のはの梢にきゆる有明の月

ゆきのいろに−ややしらみゆく−やまのはの−こすゑにきゆる−ありあけのつき


00112
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朝戸明の軒はに近く聞ゆなる梢のからす雪ふかきこゑ

あさとあけの−のきはにちかく−きこゆなる−こすゑのからす−ゆきふかきこゑ


00113
未入力 (xxx)

宵のまま雪はひとへの色なから薄雲晴れて月そさやけき

よひのまま−ゆきはひとへの−いろなから−うすくもはれて−つきそさやけき


00114
未入力 (xxx)

雲はるる月は梢に更過きて積りもそはぬ夜半の薄雪

くもはるる−つきはこすゑに−ふけすきて−つもりもそはぬ−よはのうすゆき


00115
未入力 (xxx)

遠近の里のわたりそ静なるかよひ絶えたる雪の夕くれ

をちこちの−さとのわたりそ−しつかなる−かよひたえたる−ゆきのゆふくれ


00116
未入力 (xxx)

浦風や雪の白浪吹きはれてしはし霞める遠しまの松

うらかせや−ゆきのしらなみ−ふきはれて−しはしかすめる−とほしまのまつ


00117
未入力 (xxx)

むらむらに小松ましれる冬枯の野へすさましき夕暮の雨

むらむらに−こまつましれる−ふゆかれの−のへすさましき−ゆふくれのあめ


00118
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寒き雨はかれ野の原に降りしめて山松風の音たにもせす

さむきあめは−かれののはらに−ふりしめて−やままつかせの−おとたにもせす


00119
未入力 (xxx)

解けやらぬ池の汀のあさ氷こほれるほととつもる雪かな

とけやらぬ−いけのみきはの−あさこほり−こほれるほとと−つもるゆきかな


00120
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とちわたる氷のひまを行きなやみ常よりほそき山川の水

とちわたる−こほりのひまを−ゆきなやみ−つねよりほそき−やまかはのみつ


00121
未入力 (xxx)

降る雪にしられぬ程に交る雨の暮れゆく軒に音をたてぬる

ふるゆきに−しられぬほとに−ましるあめの−くれゆくのきに−おとをたてぬる


00122
未入力 (xxx)

くもる夜の庭はむらむら霰にてまかきの竹は風はらふなり

くもるよの−にははむらむら−あられにて−まかきのたけは−かせはらふなり


00123
未入力 (xxx)

天乙女そてふる夜はの風さむみ月を雲井におもひやるかな

あまをとめ−そてふるよはの−かせさむみ−つきをくもゐに−おもひやるかな


00124
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あれぬ日の夕の空は長閑にて柳のすゑも春近く見ゆ

あれぬひの−ゆふへのそらは−のとかにて−やなきのすゑも−はるちかくみゆ


00125
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つつむかた人めも常に忘るるを世にもそもるのことよせもなし

つつむかた−ひとめもつねに−わするるを−よにもそもるの−ことよせもなし


00126
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此暮につつむ涙はととめかねぬおさふる袖の下とほるまて

このくれに−つつむなみたは−ととめかねぬ−おさふるそての−したとほるまて


00127
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あやしくも心のうちそみたれ行く物おもふ身とはならしと思ふに

あやしくも−こころのうちそ−みたれゆく−ものおもふみとは−ならしとおもふに


00128
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とにかくに晴れぬ思ひにむきそめて憂きより先に物の悲しき

とにかくに−はれぬおもひに−むきそめて−うきよりさきに−もののかなしき


00129
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逢ふことはなきさによするしき浪の頻にぬるる袖を見せはや

あふことは−なきさによする−しきなみの−しきりにぬるる−そてをみせはや


00130
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いつまても命をかけて待つへきになからへかたくなるそ悲しき

いつまても−いのちをかけて−まつへきに−なからへかたく−なるそかなしき


00131
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蘆間わくる湊の小舟とにかくに障りやすさをこりす待つかな

あしまわくる−みなとのをふね−とにかくに−さはりやすさを−こりすまつかな


00132
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いつとしもたのめぬ暮の玉章に解けぬにおとるつらさこそそへ

いつとしも−たのめぬくれの−たまつさに−とけぬにおとる−つらさこそそへ


00133
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何となく今宵さへこそ待たれけれあかぬきのふの心ならひに

なにとなく−こよひさへこそ−またれけれ−あかぬきのふの−こころならひに


00134
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またやもしと頼む心の今日さへよけさ別れきとおもふものから

またやもしと−たのむこころの−けふさへよ−けさわかれきと−おもふものから


00135
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空しくはおもひはつへき今宵ともしらてや人のたた明すらん

そらしくは−おもひはつへき−こよひとも−しらてやひとの−たたあかすらむ


00136
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つひに今宵こすしもならん後にこそつらき人とは思ひはてなめ

つひにこよひ−こすしもならむ−のちにこそ−つらきひととは−おもひはてなめ


00137
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後をとも頼まぬ中のたまさかにあふ夜は時のうつらすもかな

のちをとも−たのまぬなかの−たまさかに−あふよはときの−うつらすもかな


00138
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たまさかに逢ははひと夜の時のまにこひも恨もいかにはるけん

たまさかに−あははひとよの−ときのまに−こひもうらみも−いかにはるけむ


00139
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馴れしかたの哀はかりは捨てすとも又逢見すは何にかはせん

なれしかたの−あはれはかりは−すてすとも−またあひみすは−なににかはせむ


00140
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思ひ過す其をりをりの心をもいつあひ見てかかかりしもせん

おもひすくす−そのをりをりの−こころをも−いつあひみてか−かかりしもせむ


00141
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つつみくらす涙をゆるす時にして月をさたかにみるよはそなき

つつみくらす−なみたをゆるす−ときにして−つきをさたかに−みるよはそなき


00142
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涙にも余りて人のつらきよは慰にみし月さへもうし

なみたにも−あまりてひとの−つらきよは−なくさみにみし−つきさへもうし


00143
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いつまてか行衛さためぬ浮雲のうきて立ゐに物を思はん

いつまてか−ゆくへさためぬ−うきくもの−うきてたちゐに−ものをおもはむ


00144
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大かたは頼むへくしもなき人のうからぬにこそ思ひ佗ひぬれ

おほかたは−たのむへくしも−なきひとの−うからぬにこそ−おもひわひぬれ


00145
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よはの残り契りかたやの疑ひにまた深しともえこそいはれね

よはののこり−ちきりかたやの−うたかひに−またふかしとも−えこそいはれね


00146
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別れてもまた夜は深き鳥のねを独なこりの床に聞くかな

わかれても−またよはふかき−とりのねを−ひとりなこりの−とこにきくかな


00147
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思ひしる一ふしをたに見せかぬる心よわさそ我なからうき

おもひしる−ひとふしをたに−みせかぬる−こころよわさそ−われなからうき


00148
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有りしよりも哀はそひてみしよりもうさはまさるに思ひかねぬる

ありしよりも−あはれはそひて−みしよりも−うさはまさるに−おもひかねぬる


00149
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宵宵の夢の行衛のあやしさよ我かおもひ寝かひとの心か

よひよひの−ゆめのゆくへの−あやしさよ−わかおもひねか−ひとのこころか


00150
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おもふてふことのはなくは今更に人のこころにまよはさらまし

おもふてふ−ことのはなくは−いまさらに−ひとのこころに−まよはさらまし


00151
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おのつからおなし月をは詠むともおもふ思ひは我にしもにし

おのつから−おなしつきをは−なかむとも−おもふおもひは−われにしもにし


00152
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人恋ふる心につねにあくかれてふるとはかりの世にはいつまて

ひとこふる−こころにつねに−あくかれて−ふるとはかりの−よにはいつまて


00153
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うれしかりし昨日の暮の契こそけふはつらさの数に成りけれ

うれしかりし−きのふのくれの−ちきりこそ−けふはつらさの−かすになりけれ


00154
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かけて待ちし月日を何に歎きけん後も頼まぬ帰るさの道

かけてまちし−つきひをなにに−なけきけむ−のちもたのまぬ−かへるさのみち


00155
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おなし世を頼むかたにはあらねとも別れし名残を忘れかねぬる

おなしよを−たのむかたには−あらねとも−わかれしなこりを−わすれかねぬる


00156
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かはさすは夜比かさなるから衣かへすかへすも身をそうらむる

かはさすは−よころかさなる−からころも−かへすかへすも−みをそうらむる


00157
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其折をかきるとは猶おもはぬをいかなるふしにいつ替りけん

そのをりを−かきるとはなほ−おもはぬを−いかなるふしに−いつかはりけむ


00158
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日数とは哀いつまてかそへけんいく年月の中のへたてを

ひかすとは−あはれいつまて−かそへけむ−いくとしつきの−なかのへたてを


00159
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恋ひやまぬ身はことわりにかへれとも忘るる人のうさはゆるさす

こひやまぬ−みはことわりに−かへれとも−わするるひとの−うさはゆるさす


00160
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限そと命をかけてかこてとも厭ふひとには其かひもなし

かきりそと−いのちをかけて−かこてとも−いとふひとには−そのかひもなし


00161
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おもひ馴れし我か心こそ哀なれ頼まぬものを夕暮の空

おもひなれし−わかこころこそ−あはれなれ−たのまぬものを−ゆふくれのそら


00162
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憂きはてをつれなやありてとはかりにむかふ夕そたへす悲しき

うきはてを−つれなやありて−とはかりに−むかふゆふへそ−たへすかなしき


00163
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契りけりまちけり哀其時のことのは残る水茎のあと

ちきりけり−まちけりあはれ−そのときの−ことのはのこる−みつくきのあと


00164
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うかりしも哀なりしもあらぬ世の今になりてはみなそ恋しき

うかりしも−あはれなりしも−あらぬよの−いまになりては−みなそこひしき


00165
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山松の梢の空のしらむままにかへにきえ行く閨の月かけ

やままつの−こすゑのそらの−しらむままに−かへにきえゆく−ねやのつきかけ


00166
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ひひきつる松の嵐の音もせす月さしのほる夕暮の山

ひひきつる−まつのあらしの−おともせす−つきさしのほる−ゆふくれのやま


00167
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月も入り鐘も声やむ明くれの空しつかなる星の影かな

つきもいり−かねもこゑやむ−あけくれの−そらしつかなる−ほしのかけかな


00168
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里遠く八こゑの鳥は音つれて月すみ清き有明の空

さととほく−やこゑのとりは−おとつれて−つきすみきよき−ありあけのそら


00169
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月ははや遠島かけに傾きぬしはしととめよ須磨の関守

つきははや−とほしまかけに−かたふきぬ−しはしととめよ−すまのせきもり


00170
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大空の月よ何とて常ならんさしもすみうき此世とおもふに

おほそらの−つきよなにとて−つねならむ−さしもすみうき−このよとおもふに


00171
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山川のたた一筋のなかれこそあまたの滝に落ちわかれけれ

やまかはの−たたひとすちの−なかれこそ−あまたのたきに−おちわかれけれ


00172
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しつみはてぬ入日は浪のうへにして塩干に清き磯の松原

しつみはてぬ−いりひはなみの−うへにして−しほひにきよき−いそのまつはら


00173
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峰ふかき嵐の音と聞くほとに谷の松にそ吹きおろしぬる

みねふかき−あらしのおとと−きくほとに−たにのまつにそ−ふきおろしぬる


00174
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谷川の底のひひきにかよふなり高き梢のまつかせの音

たにかはの−そこのひひきに−かよふなり−たかきこすゑの−まつかせのおと


00175
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聞きしほるねさめの窓は夜ふかくて槙の葉くらき暁の雨

ききしをる−ねさめのまとは−よふかくて−まきのはくらき−あかつきのあめ


00176
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山風の吹きわたるかと聞くほとに桧原に雨のかかるなりけり

やまかせの−ふきわたるかと−きくほとに−ひはらにあめの−かかるなりけり


00177
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濡れまさる草葉の色にしられけりそそくも見えぬ夕暮の雨

ぬれまさる−くさはのいろに−しられけり−そそくもみえぬ−ゆふくれのあめ


00178
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おく山の桧原かうへに雨落ちて雲ゐる谷に鳥かへるなり

おくやまの−ひはらかうへに−あめおちて−くもゐるたにに−とりかへるなり


00179
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夕暮の山きは清く雨はれて雲おりかかる杉のむらたち

ゆふくれの−やまきはきよく−あめはれて−くもおりかかる−すきのむらたち


00180
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たちみたれ風に浮きゆく雨雲に半いろこきゆふくれの山

たちみたれ−かせにうきゆく−あまくもに−なかはいろこき−ゆふくれのやま


00181
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風たちてむらむらわたる雨雲の晴るる方より星出てにけり

かせたちて−むらむらわたる−あまくもの−はるるかたより−ほしいてにけり


00182
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別れゆく雲の絶間の見えてしも更に降りそふ夕暮の雨

わかれゆく−くものたえまの−みえてしも−さらにふりそふ−ゆふくれのあめ


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山あひにおりしつまれる白雲のしはしと見れははや消えにけり

やまあひに−おりしつまれる−しらくもの−しはしとみれは−はやきえにけり


00184
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暮れはつる嵐の底にこたふなり宿とふ山の入相のかね

くれはつる−あらしのそこに−こたふなり−やととふやまの−いりあひのかね


00185
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折しもあれ遠里けふり絶えはてて夕のなかめ哀そふらん

をりしもあれ−とほさとけふり−たえはてて−ゆふへのなかめ−あはれそふらむ


00186
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うちむれて麓にくたる山人のゆくさきくるる野への夕霧

うちむれて−ふもとにくたる−やまひとの−ゆくさきくるる−のへのゆふきり


00187
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竹の編戸かこふともなき柴の垣物はかなけの賎か家居や

たけのあみと−かこふともなき−しはのかき−ものはかなけの−しつかいへゐや


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山里の軒はに近き椎柴のしひてうき世にいつまてかへん

やまさとの−のきはにちかき−しひしはの−しひてうきよに−いつまてかへむ


00189
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山水の流を見ても住む人のこころの塵をすすけとそ思ふ

やまみつの−なかれをみても−すむひとの−こころのちりを−すすけとそおもふ


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なかれての末をも何か頼むへき飛鳥の川のあすしらぬよに

なかれての−すゑをもなにか−たのむへき−あすかのかはの−あすしらぬよに


00191
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旅衣たつより袖は涙にてむすふまくらも野への夕露

たひころも−たつよりそては−なみたにて−むすふまくらも−のへのゆふつゆ


00192
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ひにそへて都の空そ隔てまさる昨日の宿はけふのふる里

ひにそへて−みやこのそらそ−へたてまさる−きのふのやとは−けふのふるさと


00193
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はしめなく迷ひ初めける長き夜の夢を此たひいかて覚さん

はしめなく−まよひそめける−なかきよの−ゆめをこのたひ−いかてさまさむ


00194
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心をも何かととめん露の命しはしおくまのかりの宿に

こころをも−なにかととめむ−つゆのいのち−しはしおくまの−かりのやとりに


00195
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昔とは遠きをのみは何かいはん近き昨日もけふはむかしを

むかしとは−とほきをのみは−なにかいはむ−ちかききのふも−けふはむかしを


00196
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こし方を忍ふ涙の玉くしけふたたひあはぬ時そ悲しき

こしかたを−しのふなみたの−たまくしけ−ふたたひあはぬ−ときそかなしき


00197
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人のうへのはかなき事を聞くにしも身は行末のよよのかねこと

ひとのうへの−はかなきことを−きくにしも−みはゆくすゑの−よよのかねこと


00198
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目のまへに見聞きしひとのなき数をかそへかそへて我もいつまて

めのまへに−みききしひとの−なきかすを−かそへかそへて−われもいつまて


00199
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日にそへてうきふししけみ呉竹の世にへかたくも成りまさるかな

ひにそへて−うきふししけみ−くれたけの−よにへかたくも−なりまさるかな


00200
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手すさひにつけおく墨も行末は誰かあはれと水茎の跡

てすさひに−つけおくすみも−ゆくすゑは−たれかあはれと−みつくきのあと